争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
次元の狭間でグレートレッドから伝えられたのは二天龍の争いで世界の崩壊が加速するという内容だった。簡単に言えば強大な力がぶつかり合えば次元が傷つき、その傷が綻びとなって大きな亀裂に変貌し崩壊を招く
二天龍が神器に封印される前の頃から傷そのものは発生していたが小さかったことで自浄作用が働いて修復が可能だった。しかし宿主たちによる喧嘩が何度も続き修復が追いつかなくなってきた。このまま永遠に争いが続けば終焉を迎えてしまうことを危惧したグレートレッドは伸元に目をつけた
「あの『覇龍』を克服した姿という訳じゃな」
オーディンの問い掛けに伸元は頷いた。破壊に溺れた歴代赤龍帝との対話が終わり『紅赤朱の兆覇龍』を発現させた彼なら願いを託せると思い、頭を下げて頼んできたのである
「グレートレッドが提案したのはヴァーリから『白龍皇の光翼』を抜き取って、俺の体内に取り込むことだった」
「二天龍を同じ器の中に入れてしまえば争いは起きないな、過去にそんな馬鹿げたことをした奴なんて誰一人もいない…やったとしても体が持たない」
腕を組んで思案していたアザゼルが頭の中で点と点を結んで線にしている。そして光翼が抜き取られた後に彼の体に吸い込まれた魔力について答えを導き出してしまった
「あれは力を受け取ったという訳か?」
「アルビオンを受け入れたとしても寿命がネックだった。だからグレートレッドから夢幻の力を貰ったことで人間を辞めることになった。転生悪魔・転生天使が存在するなら『転生龍』が妥当だが少しダサいな」
『なら『龍人化』はどうだ?』
「それで採用だ!」
黙っていたアルビオンが提案した名称に納得してサムズアップした彼はヴァーリの方へ視線を向ける
「神器を抜き取れば所有者は死んでしまうから、ここに来る前に冥界へ寄ってセラフォルーさんたちに頭を下げて頼んで交渉してきた」
「姉さんに…なんて?」
「"二天龍の争いは俺の代で終わらせるから『悪魔の駒』を1つください"って、もちろんグレートレッドも口にブレスを溜めた状態で頭を下げてくれたよ」
それは交渉ではなく脅迫なのでは?虎の威を借りる狐ではなく、"赤龍神帝の威を借りる赤龍帝"の絵面を想像した面々は同じことを思っていた
「でも何で、私の『兵士』の駒を使ったの!ソーナの駒だって余っているじゃない」
「それが冥界におけるアンタの評価ってことだよ、リアス・グレモリー」
「どういうことよ?」
ヴァーリを転生悪魔にすること自体は問題無かった。グレートレッドの計画を知ったアジュカとファルビウム無駄な争いが無くなることを歓迎したがセラフォルーだけは反対していた
「ノブちゃんはそれでいいの?だって…顔の知らない誰かのために人柱になるんだよ」
涙を浮かべながら彼が引き返すことを望んでいる
「傷なんて私が絆創膏や包帯で治しちゃうから、今すぐじゃなくても…悪魔の中ですごく頭が良いアジュカちゃんが食い止める方法を思いつくかもしれないし、ファルビウムちゃんだって本気を出せば何でも」
「セラフォルーさん、いつまでも皆と一緒ですよ」
その言葉を聞いて彼女は伸元のことを抱きしめた。身長差の都合で抱きつく形になったが大泣きをしながら彼の選んだ道を尊重することにした
彼女の落涙が終わるとアジュカ・ベルゼブブが彼のところに近付いて懇願されていた『悪魔の駒』を手渡す
「それはリアス・グレモリーの所有する『兵士』の駒だ」
「でもアジュカちゃん1個だけじゃ―――」
「君はもう考えているんだよね?言っておくけどヴァーリ・ルシファーが転生しても未来のことに関して口を出すつもりはない、それは当事者たちで決めることだ」
アジュカの問い掛けに彼は強く頷いて、ポケットの中に『兵士』の駒を入れてグレートレッドの背中に飛び乗った
「ノブちゃん」
「一緒に行ってきてもいいよ、少しの間なら2人でも大丈夫だけど」
再び溢れてくる涙を拭って彼女は首を横に振った。伸元のやろうとすることを間近で見届けるのも必要なことだが冥界から離れて禍の団から攻められてしまっては意味がない、段々と小さくなる赤き龍を見ながらセラフォルーは彼が無事に帰ってきたら、もう一度抱きしめてあげようと思った
なお道中で堕天使領に寄って匙を連れてくる予定だったが、目の下に真っ黒な隈を作っていたシェムハザが倒れそうだったので断念するのであった
「言ってしまえば他の魔王から見限られているんだよ…アンタは」
「そんな…嘘よ!私は、ワタシは…グレモリー家の次期……魔王のいもっ、妹で、レーティングゲームのトップに」
現実を受け入れることが出来ないリアスは壊れかけのラジオのように歪な声をあげながら、髪の毛を掻き毟っている
「ヴァーリを『白龍皇の光翼』で弱体化させたのは『兵士』の駒で転生させるためか」
「それもあるけど、コイツが俺から光翼を取り戻す可能性もあるし云わば保険だね」
アルビオンの力は『半減』でありドライグの逆になる。時間にして100秒の半減をさせたので本来の約1024分の1で転生させた。ぶっちゃけると最弱の転生悪魔になるのでアーシアと殴り合っても負けてしまう存在だ
「そうよ…私の駒で転生したのなら、忠誠を…それに人工神器を使えば壁役ぐらいには」
「断る!俺にだって選ぶ権利はある」
「なっ……なっ、なっ…」
ヴァーリは美候と共に立ち上がる。如意棒を手にした彼は地面を叩くと学園から消え去ったときのように黒い闇が広がった
「俺はテロリストだから『はぐれ悪魔』になる。当然だろ!」
「待ちなさい!私の命令が聞けないの」
「またラーメンを食いに行こうな赤龍帝、今度はアーサーも連れてくるぜ」
段々と沈んでいく2人を見てリアスは魔力弾を放つが如意棒で弾き返されてしまう。そして今度は伸元の方に顔を向けて唾を飛ばし
「何とかしなさいよ!あなたのせいで」
「カラダガウゴカナイヨー、キットツカレテイルセイダー(棒)」
満場一致でアカデミー賞主演男優賞を獲得できる迫真の演技を披露し、オーディンとグレイフィアが大きな声をあげて爆笑していた
そして外で町の修繕を行っていた面々も帰還したことで話し合い場は解散する流れになったが、未だに納得することができないリアスは髪の毛を連獅子のように振り回し、抗議をしているがグレイフィアに平手打ちされたことで脳がピンボールのように揺れてしまい意識を失った
「小僧…会談が終ったら改めて礼を言いにいくからのぅ」
オーディンは護衛のバラキエルとロスヴァイセを引き連れて宿泊先のホテルに戻るのだが、道中で気になった巨乳の美女がポーズを決める『触っていいとも!』という看板が気になって寄り道をする
「僕たちも行こう」
白目を剥いて倒れているリアスを背負った木場はアザゼルたちと一緒に部屋から出て行った。今回のことで殆ど戦力にならなかったことを謝ったが、彼としても今の立場に甘んじるつもりはなく翌日から自身に過酷なトレーニングを課す
シトリー眷属たちも部屋の片付けを済ませる1人ずつ魔方陣で帰宅し残ったのはソーナと伸元だけだった。アーシアとグレイフィアは空気を読んで退出し、ゼノヴィアもイリナと一緒に席を外している
「あなたは…いつも」
「いつも通りの俺ですよ」
危険な目に合わせない"私が護る"と彼の目の前で宣言したのにも関わらず、想像の斜め上のことをしでかしてしまった。彼は誰かの未来のために人柱になることを受け入れた
「龍人化でちょっとだけ長生き出来るようになりました。これで会長たちの夢を最後まで見届けることができます」
「そんなこと!…だって、そんなこと私は望んでなんか」
スカートの裾を強く掴んで拳の色が変色していく、食い込んだ爪が皮膚を裂いて血が段々と滴り落ちて血溜りを作る
「じゃあ会長に頼みがあります」
「…頼み?ですか」
ギブアンドテイクは日常茶飯事だったが普段とは違う雰囲気にソーナは身構えてしまう。彼は何を望むのだろうか?
「匙やゼノヴィアたちの前で悲しい顔や辛い表情を出さないでください!」
「それって…いったい?」
逆のパターンなら書籍などのフィクションで目にしてきたが彼ではなくゼノヴィアたちを指名したことに疑問を浮かべる
「だから俺の前ではいつものソーナ・シトリーでいてください、昨日と同じように俺のことを普通に石動伸元として接してください」
「石動君……、あなたって人は」
「もう人間じゃないので『人』だと語弊がありますね」
『龍人化なら『人』でも問題無かろう』
ドライグのツッコミに彼女の顔が段々と崩れ、握られていた拳も解かれていく
出会った時と同じように近くに置かれていたペットボトルの封を開けて洗い流すとハンカチを取り出して傷口に巻いていく
「長生きするんで色々と頼らせてください」
涙腺崩壊した目元から大粒の涙を流したソーナ・シトリーは自身の手で拭うと強く頷くのであった
人間ではなくなっても石動君の日常は変わることはありません(HUNTERXHUNTERの最終回まで生きていられるぞ感覚)
なおヴァーリは『はぐれ悪魔』になりました。アジュカもリアスに期待することは無いので「はぐれ」を容認しています(リアスに魅力が無いので)
石動君は白龍皇の過去の宿主たちと対話を試みる予定です
とりあえず修学旅行編へ(シリアスが続いたのでシリアルを挟む予定)
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
石動君の技にキン肉マンから抜粋してもよろしいでしょうか
-
マイナーな技も出してくれよ OK
-
ハイDにキン肉マンは合わないから NG