争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい   作:大気圏突破

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それは報い

 1人暮らしの青少年が憧れるシチュエーションって何だろう?親の出張や海外への駐在に伴って遠縁の親戚と同じ屋根の下で暮らしたり旦那と疎遠になった人妻と仲良くなったり、鍋を持って作った料理をお裾分けに来る女性との関係が深まるのが漫画やアニメで見受けられる。

 

 この春から1人暮らしになった伸元は上記のことに合致すると思いきや微妙にズレれている。ゼノヴィアと一緒に暮らしているが親戚ではない、グレイフィアとは彼女がサーゼクスと疎遠になる前から互いに信頼できる間柄で息子のミリキャスとも仲が良い、そして目の前にいる鍋を持ったイリナの第一声は

 

 

「ご飯を分けてください!」

 

 だった。なんだろう全部ニアミスしている気がする

 

 

「やっぱり『エース』じゃなくて『アホ』だろ!」

「違うもんアホじゃないもん」

「じゃあ『あんたバカァ?』の『A』だ」

「伸元君がいじめるよ~…ゼノヴィア~~~」

 

 オーディンの護衛として天界から派遣された紫藤イリナは駒王町に残ることになった。悪魔の管理する土地だが三大勢力の和平が結ばれた場所に天界関係者が居ないことを憂いだミカエルは土地勘のある彼女に白羽の矢を立てることにした

 

 そのイリナは伸元たちが住む家の近くに部屋を借りて1人暮らしをしている。もちろん駒王学園へ編入し彼等と同じクラスに身を置くことになった

 

 

 

 

「お米を炊き忘れるなんて、人間失格だ!」

「イリナは転生天使だから、もう人間じゃないぞ」

 

 かつての相棒に助けを求めたがエプロン姿でお玉を持つ彼女に否定され追い打ちをのダメージを受けてしまった。晩御飯でカレーを作ったまでは良かったが炊飯ジャーの蓋を開けたら水に浸された生米が浮いていた

 

 今から炊飯スイッチを押して待つのは神が与えた苦行だとしても酷である。鍋の前で悩んだイリナは旧約聖書の"隣人を自分のように愛しなさい"という『隣人愛』を自分なりに解釈し"隣人に愛してもらいなさい"と変換した

 

 

「今回ぐらいは大目に見てやるから上がれ」

「いいの!」

 

 このまま鍋を持つ彼女を追い返す程の悪辣漢ではない、三合炊くと少なくて五合だと余ってしまい冷蔵庫行きなので彼女に食べてもらうことした。イリナのおかげで白龍皇を受け入れることが出来たので敷居が下がり多少甘くなっている。そして招かれざる悪霊も敷居を跨いでしまった

 

 

 

「あのクソ野郎!オッパイの大きい女の子と2人暮らしで…イリナにまで」

 

 石動家に侵入した兵藤一誠は怒りの表情で食卓を囲む3人を睨みつけていたが、至近距離まで接近することが出来なかった。地縛霊になってから彼は男子生徒の憧れの存在である『学園の二大お姉さま』の姫島朱乃が住む神社に向かった

 

 拘束具(ブラジャー)を外し誰もが羨む大きなメロンを目に焼き付けようと、鳥居を通り抜けた瞬間に頭痛と吐き気に催し叫び声をあげた。口の中にアルミホイルを突っこまれ無理やり歯を嚙まされるような感覚に汚い体液を撒き散らして転がるように撤退した

 

 

 

「俺が死んで、アイツが幸せになるなんて間違ってるぜ神様よぉ!」

 

 何も間違っていないし神も存在しない、お前みたいな性犯罪者が正義になる世の中なんて天地がひっくり返っても有り得ないことだ!むしろ直接的な被害を受ける女性が減ったことを世間は喜んでいる

 

 幸せな光景を見つめることしか出来ない、寺を脱出してから温かい食事を口にしていなかった。ゴミ箱を漁り廃棄された弁当で腹を下しながら胃に詰め込んだ、未就学児が公園で食べているお菓子を強引に奪ったこともあった

 

 

 

「俺は…オレは!」

 

 顔が歪み醜悪な見た目になる。ふと彼はある行動を実践するために短距離走のクラウチングスタートのような体勢になって伸元のことを見つめていた

 

「(あのクソ野郎の体を乗っ取ってやる!)」

 

 子供の頃に見たアニメで幽霊が生きてる人間に憑依して好き勝手に暴れていたことを思い出し実行しようとしていた。仮に伸元が警察に捕まったとしても抜け出してしまえば問題無い、自分が幸せから不幸に墜とされたのならコイツにも不幸になる権利があり、自分が鉄槌を下す選ばれた存在だと思い込んでしまった

 

 

 

『(邪魔だ!)』

「ガハッ!」

 

 思うだけでとどまっていたら良かったのに、一歩を踏み出したことで赤い龍の逆鱗に触れてしまった。二天龍のオーラで屋外に弾き飛ばされた一誠は星空を見上げながら名も知らぬ土地にある田畑の肥溜めに落ちた

 

「(どうした?ドライグ)」

『(食卓に似つかわしくない小蠅を追い払っただけだ!)」

「???」

 

 こうして石動家に不法侵入した不届き者…もとい不届き悪霊は追い出された。彼はカレーを盛った皿にゼノヴィアが作った鶏のから揚げをトッピングして口の中に運んだ

 

 

 

 

 

「あぁぁぐぅぅん……がっあぁぁ」

 

 肥溜めから抜け出し息を整える。知らない場所だが幽霊の身なら飛んでいけば駒王町に戻ることなんて容易いことだ、今回は失敗したけど人間なんて星の数ほど存在する。別に彼に憑依する必要なんてない、自分を見捨てた両親や松田や元浜の体を奪ってしまえば夢を叶えることが出来る

 

 

「あら…見ない顔ね」

 

 一誠は声のする方へ視線を向けるとギョッとしてしまった。そこにいたのは100人中100人が不細工と答える人物が立っていた。該当する芸能人はいないが形容するなら『ちびまる子ちゃん』に登場する野口さんの兄の彼女にソックリだ

 

 ただ明確な違いがあるとしたらシャツから弛んだ腹がでっぷりと存在感を主張し、ヘソの下や脇毛がボーボーだった。更に顔は芸術家が目隠しで制作したようなパーツ構成で目にいたっては散眼して焦点が定まっていない

 

 

「この辺も狩りつくしちゃって…引っ越そうと思ったけど、1日延ばして正解ね」

「くっ…くる、来るなっ!」

「ちょっと臭うけど、なかなかのイケメンじゃない」

 

 青髭を触りながら腰を抜かす一誠に段々と近づく、ベルトを緩めてズボンとパンツを脱ぎ捨てると彼と同じモノが存在していた

 

 

 

「幽霊にも住みやすい世の中になったものね。あちきが死んだ頃なんてISDNなんて言葉は存在しなかったものよ」

 

 多分だけどLGBTと勘違いしていると思う。男は(・・)涎を垂らし唇を舌で潤すと一誠に突進して覆い被さり全ての初めてを奪った

 

 

「ああああああっぐぅ‼!??%&$あががg」

「もっと子犬のように鳴きなさい、私を興奮させるために」

 

 どんなに大声で叫んでも霊魂の声は一般人には伝わらなかった

 

 

 いったい何が悪かったのか兵藤一誠はこれまでの人生を振り返っていたが、こんな目に遭うような悪いことをしたという自覚なんて無かった。たった一度の人生を楽しんで何が悪い?『誰しもが自分の人生の主人公』なら何で自分は死んでしまったのか?

 

「あぁ……ぁあ、ああ」

「もう壊れちゃったの?まだまだ夜は長いの、楽しまないと損するわよ」

「ははぁ……あぁぁ」

 

 もはや彼は童貞じゃなくなった。巨体に押しつぶされて体液まみれになるが終わる気配なんて微塵も無かった

 

 

「(……っぱい、おっパ…井はど、こ?オレの、πはどこ)」

 

 そこには円周率の『π(パイ)』で興奮し授業中に騒いでいた少年は死して大人の階段を上る稀有な経験をした。天井の染みを数えていれば問題無いというが染みではなく星たちが自分たちを見下ろしている

 

 流れ星に祈っても願いなんて叶わない、そもそも何を願うのか思い出せないのだ!瞼を閉じて浮かび上がるのは両親の顔だが険しいもので、自分を追い払うように手で"あっち行け!"の仕草をするのであった

 

 

 

 

 

「お招きありがとうございます」

 

 修学旅行まで1週間を切った日曜日に伸元は冥界のアガレス領に訪れていた。手提げ袋の中には人間界で購入したモビルスーツのプラモデルや純正の工具が詰め合わせてあった

 

 ソーナも椿姫を伴って挨拶回りを行い、2年生たちは必需品の買い出しとイリナを加えて女子会の流れになった。なお顧問のグレイフィアも休日なのでミリキャスを連れて遊園地に向かった

 

 

 

「お忙しい中なのにワガママを聞いてくださりありがとうございます」

 

 シーグヴァイラ・アガレスは父親と共に頭を下げで出迎えてくれた。2人は手渡されたプラモデルを見ると目が子供のように輝いて嬉しそうな表情を浮かべた

 

 

 

「外で立ち話という訳にはいけません、どうぞこちらに」

 

 それは彼女が伸元の手を引いて館内に入れようとした瞬間だった

 

 

 

「オイッ!赤龍帝」

 

 振り向くとそこにはシャルバによってボコボコにされたグラシャラボラス家の次期当主であるゼファードル・グラシャラボラスが暴走族の特攻服を身に纏って立っていた

 

 

「ゼファードル!どうしてあなたがここに?まだ入院していたのでは」

「っんなことはどうでもいいんだよクソアマッ!俺はそこにいる赤龍帝に用があるんだ!」

 

 

 唾を地面な吐き捨て田舎のヤンキーの如くメンチを切るように睨みつける

 

 彼と因縁どころか握手や挨拶を交わしたことも無い、せいぜい若手悪魔の顔見せのときにサイラオーグの手によって沈められたのを遠くから見ていただけだった

 

 

「テメェを倒せば箔がつくんだよ!そうすれば俺を見下す連中も手のひら変えて尻尾を振りまわす。サイラオーグはこんな弱そうな見た目の人間に負けやがって」

「なら、そのサイラオーグにやられた貴方は負け犬以下ですわね」

 

 

 シーグヴァイラの発した言葉に青筋を立てて飛び掛かろうとしたが、間に伸元が入って止められてしまった

 

 

「そうこなくちゃ……くたばれ赤龍帝!」

 

 握った拳を彼の顔面に叩き込もうとしたが、その手は決して届かなかった。目に浮かんだのは自身の首から下が吹き飛んで骨だけが残っている姿だった

 

 

「あぁ……あおぉ…っ」

 

 何度も触って肉体があることを確かめた。血液が循環しているはずなのに体が冷たく感じる。心臓の鼓動も耳に伝わっているはずなのに生きてる心地がしない

 

 

「くたばれ……って誰に対してだ?」

 

 彼は自分のことを見ていない、しかし背中から現れる龍を模したオーラは口を開けて丸呑みにしようとしている

 

 

「アァァっっっ、…、あっ」

 

 挑む相手を間違えた。選択肢をミスってしまった。相手は二天龍を宿す化け物であることを失念したゼファードルは壊れたように笑い膝をつくのであった

 




イッセーは大人の階段を登りました(拍手)
まだ成仏させていないので登場する可能性もあります

彼が受け入れられた原作世界ってやっぱり変でしたよね?作中内では報いを受けてもらいました

感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます

石動君の技にキン肉マンから抜粋してもよろしいでしょうか

  • マイナーな技も出してくれよ OK
  • ハイDにキン肉マンは合わないから NG
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