争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
ソーナ・シトリーには夢がある。階級・身分に関係なく子ども達がレーティングゲームを学ぶことが出来る学校を設立し、指導することだ!
日本の学校で運営方法や組織の在り方を学び夢を実現する為に驀進する。前例が存在しない無謀なチャンジだと思うが絶対に叶えてみせる
「いや無理でしょ!」
彼女の夢は赤龍帝の言葉に跳ね返されてしまい、心にダイレクトダメージを受けてしまうのであった。それはまだ彼が中学3年生の頃だった
シトリー家に呼ばれた彼はソーナからプレゼンを受けて協力してほしいと懇願された。1番最高なのは自身の眷属になってもらい支えてほしいと思っていたが伸元のガードは固かった
「どうしてですか何が無理なんですか!」
「殆どというか全部」
アイスコーヒーの入ったコップをテーブルの上に置いた彼はソーナの作ったお菓子に手を伸ばして口の中に放り込む、独特な風味を持つが青汁やゴーヤチャンプルーのように玄人好みの味を気に入っている
「金銭面に看板の弱さ指導内容と土地の確保に―――」
「ちょっと待ってください!書くモノを持ってきますので」
・資本金や授業料
学校を設立に関する工事費や運営費、また入学してきた子供からの授業料の算出が手つかずであり親の収入で入れない子供たちも出てくる。仮に授業料を無償化にした場合は大きな財源を確保できなければ赤字運営となってしまう。また学食・給食・弁当持参でもコストは違ってくる。もし給食になった場合アレルギー持ちの悪魔に対する配慮や管理栄養士の存在が必須になる。また学校で作るのか?業者に頼むのか?それだけでも初期投資額は上下する
・看板
現在のソーナの肩書きは『魔王の妹』でしかない、子供を送り出す親側としては実績が不十分だと及び腰になってしまう。トップランカーとまでいかないが抜きん出た成績を上げなければ生徒は集まらない、そしてレーティングゲームで勝つ為には戦力を揃えなければならないが今のところ真羅椿姫しかいない
・指導内容
彼女の眷属が指導者になるが全員に教師としての適性があるか?実技と座学の2つに分かれると思うが指導する側にも相当の知識や実務経験が必要になる。『#教師のバトン』でも分かるように教育現場は疲弊しているのをみると経験の無い眷属たちに務まるのか?教員を外部から補充する場合も金銭面や『〇〇先生より✕✕先生の方が分かりやすい』など軋轢が生じる可能性がある
・悪魔社会に中指を立てている
悪魔は貴族社会であり上級悪魔から見て下級悪魔とは自分たちが優雅に暮らす為の歯車に過ぎない、肩書きや特権階級に依存している彼等にとって下級が同じフィールドにいることを毛嫌う。シトリー家の領内では差別意識は少ないが酷いところはゴミ扱いするところもある
・卒業後の進路
ソーナの眷属から指導を受けて卒業しても彼等を受け入れてくれる悪魔はいるのか?結局のところ少し強くなった下級悪魔に過ぎない、レーティングゲームへ参加出来るという確約は存在しないのである。『王』としても神器持ちや特殊な出自を持つ人材を選びたい
「まだ言おうか?」
「すいませんもう少し待ってください」
半ベソになりながら伸元の口にしたことをノートに書き込んでいきながらソーナは自分の見通しの甘さに嘆いていた。眷属を集めて皆で頑張れば夢を叶えることが出来ると思っていたが突き付けられた現実に悲観してしまう
生前の彼は教育者ではないが、SNSやYouTubeなどで流れてくる教育現場の悲鳴をブラック企業に勤める自分と重ね合わせていた
「セラフォルーさんの力を使えば叶うと思うけど」
「そんな虎の威を借りる狐みたいなことはしたくありません」
現魔王の妹という肩書きを使えば立ちはだかる壁を破壊するのは容易ではあるが、ソーナは自分たちの力で悲願を達成したい
「こっちも長年シトリー家には世話になってるし手は貸すよ、でも今のままだと絵に描いた餅で悲惨な状況にしかならない」
「でも諦めたくありません!」
涙を拭いて頑なに決意表明をする彼女はテコでも動かないだろう。彼としても友人の手助けをしたいと思うし、これからも良好な関係でありたい
「じゃあ実績を出すしかないでしょ!」
「レーティングゲームで勝つということですね」
「どちらかと言うと指導者としての実績なんだけど」
学校ではなく、まずは規模の小さい学習塾や道場を設立して眷属と一緒にノウハウを学ぶこと、指導者として名前を売ることが出来れば学校にシフトチェンジすれば良い
「石動君も手伝ってくれますか?」
「可能な限り、でもちゃんと雇用契約は結んで!」
夢に向かって即ジャンプではなくホップ・ステップの段階を踏むことでソーナ・シトリーの方針は決まった。なお設立の目的を問われれば『レーティングゲームの指導者を目指す』という理由なら古い考えれ凝り固まった上級悪魔以上の面々も必要以上に唾は飛ばさないはずだ
生徒会室で目標を綴ったノートを読み返すソーナは眷属に加わったアーシアのことを考えていた。物腰の柔らかい彼女なら生徒から好かれる先生になると思うし、神器を活かして保険教諭の可能性も見出していた
「(石動君は臨時講師を担ってもらいましょう)」
眷属たちも1名を除いては悪感情を抱いていない、夏には自身やリアスを含めた若手悪魔のお披露目の公演が行われる予定だ!ここでシトリー家と彼が懇意な関係であることを周知させれば基盤は強固になるだろう…そして件の彼は
「お茶です」
「お気遣いありがとうございます」
伸元の目の前には銀髪でメイド服姿の女性が座ってた。見た目は東方プロジェクトに出てくるPAD長にそっくりであり違うのは胸の膨らみぐらいだけだろう
「グレイフィアさんでしたっけ?」
「はい…サーゼクス・ルシファーの妻でリアスの義姉になります」
「…なんで俺ん家に」
学園から下校した彼は特に用事も無かったので真っ直ぐ帰宅したら、玄関の真横に彼女が立っていた。近隣の住宅街に似つかわしくない出で立ちに回れ右をして退散しようとしたが捕まってしまいドライグの仲介によって家の中に入れることにした
「まずはリアスの無礼について謝罪させてください」
「生徒会室に殴り込んできたことですね」
その言葉にグレイフィアは頷いた。殴り込んだ件以外にもはぐれ悪魔の討伐や堕天使が領内に入り込んで悪事を働いていたことを見過ごし対処することができなかったことも謝った。今日はグレモリー家の代表として頭を下げに来たのである
彼女のことはセラフォルーから「最強の女性悪魔」の座を争ったライバルということを聞かされていた。しかし写真や映像で見たことがなかったので本人を目の前にしても気づくことが出来なかった
「それでただ謝罪に訪れた訳じゃないですよね?」
「リアスのことについて耳に入れてほしいことがありまして、お願いも含まれています」
彼女のことを毛嫌いしている伸元だが、シトリー家との関係のように別に全ての悪魔に対して拒絶反応を示している訳ではない、上から目線で命令してくる奴に対話しようと思わないだけである
「とりあえず話だけは聞きましょう」
グレイフィアとの会話が終わって数日後のことだった。屋上でぼっち昼食の弁当を食べ終わった伸元はベンチの上で寝そべって流れる雲を見上げていた。今日は放課後にシトリー眷属への指導を行う予定だ!体力を温存するために5時間目の国語は睡眠学習にしようと考えていた矢先
「ちょっと、いいかな?」
ふと誰かに声をかけられる。顔を上げるとそこにはオカ研の木場と塔城が立っていたので腹筋に力を入れて起き上がる
「なんの用だ?」
「石動君に頼みたいことがあって」
「リアス・グレモリーの結婚のことか?」
その言葉に2人は口をポカンと開けて顔を見合わせていた。その仕草と表情を見て伸元は軽く息を吐いて髪の毛をかき上げる
「どうしてそのことを?」
「少し前にグレモリーのお義姉さんが俺ん家にきて教えてくれた」
「グレイフィア様が…」
顔を輝かせた木場たちは少しだけ心臓の鼓動が早くなる。現魔王の妻であり部長の義姉が自分たちよりも先に話しをしてくれたことに舞い上がっている。彼の力が加われば問題を解決することが可能になる……はずだったが
それは彼等の求める救いの言葉ではなかった
アニメ1期の後半戦に突入しました。そろそろ放校処分になった一誠のことも触れておこうかしら?
原作小説を読んでないけどソーナの学校って学園サイズの大きな学校なのかな?
日曜日に更新出来るかな(NHKマイルあるし)
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