争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
ケモミミ少女と妖怪たちに襲われたが2人の敵ではなかった。魔力を放出して疲労困憊のゼノヴィアを背負って山を下りると魔方陣で彼が泊まっている部屋に運ぶと夕食の時間まで寝かせることにした。
そしてまだ観光中のアーシアたちに連絡していると、寝ている彼女が手を握ってきたので久々に応えるようにして自身の魔力を優しく流し込んだ。少し前に美候から聞いたことだが仙術を極めれば魔力で回復させるよりも効果的で精神を落ち着かせることが出来る
「いつでも黒歌を派遣するぜ!因みに今は発情期で楽しめるから覚悟しておけよ」
初めての相手が人外で襲われるように絞られるってトラウマものだから落ち着いてから考えよう。限りなく時間は余っているので暇だったら覚えてみようと思う
夕食が終わり自由時間を館内をプラプラしていると、自身のスマホにセラフォルーからの着信が入り2人で話したいことがあると伝えてきたので、昼間に購入した簪を持って星空向けて飛び立った
「ごめんね☆こんな時間に呼び出しちゃって」
「渡したいものがあったので丁度良かったです」
彼女が得意とする氷結魔法をイメージした色合いの簪を目の前に差し出すと、抱き着いて喜びを表現してくれた
「それで俺だけを呼び出したということは吉報ではなさそうですね」
「うん…元々は京都の妖怪さん達と協力体制を得るために話し合いを進めていたんだけど、大将の九尾の狐さんが行方不明になっちゃって」
少女は狐の耳を宿していた。あの口ぶりだと大将の娘なのかもしれない
「多分だけど禍の団が関わっているみたい、ただ目的は分からないの」
「身代金とかは?」
『それなら娘の方を狙うはずだ!大妖怪の九尾の狐を攫うということは宿されている妖力を使って良からぬことを企んでいるな』
見た目はドラゴン!頭脳もドラゴンによる考察は理にかなっている
「アザゼルちゃんと今後の対応を検討するわ…だからノブちゃんたちは修学旅行を楽しんできて」
「…っえ?」
「あのね私たちの都合で、みんなを巻き込んじゃいけないの」
月を背にするセラフォルーは悲しげな表情をしていたが、すぐにいつもの天真爛漫な笑顔に切り替えていた
「去年のソーナちゃんたちは思う存分楽しんでいて最高の笑顔を見せてくれたの☆だからノブちゃんたちも楽しまないとダメでしょ☆」
昨年の修学旅行ではシスコン魔王の2人は仕事をほったらかして妹たちのことをストーキングしていた。もしろんだがグレイフィアに怒られたのは言うまでもない
彼女は投げキッスをすると魔方陣を展開し伸元の前から消えていった
『勝手だな!こやつを今まで散々関わらせておいて』
『どうする相棒?今回も首を突っこむか』
二天龍の問い掛けに彼は自身の想いを口にする
2日目は班行動で清水寺に向かった。仁王門を潜ると壮大な景観に教会トリオは驚きの声をあげている。そして境内には安全と合格の祈願や恋愛成就を願う小さなお社があり
【あーくんと幸せな家庭を築けますように】
【来年産まれてくる子供が健康でありますように】
夫婦の願いだが旦那の空白部分に【あー君は私と幸せなりたくないの?】【なりたいに決まっているだろ!】【なんで書かないの?】【神様じゃなくて俺が叶えるからだ】【もう素直じゃないんだから♥】
惚気るのは家でやってほしいものだ!自販機で買ったブラックコーヒーが甘く感じてしまう。『あーくん』は頑張って家族と一緒に幸せな家庭を築いてください
「伸元君…代わりに御神籤を引いて結んでおいたから」
「勝手なことをするな!」
中身を見ることなく結ばれた枝に視線を向けると夥しい量の御神籤が存在し探すことを諦めた。清水寺を後にすると銀閣寺でゼノヴィアが"ウソダ!ドンドコドーン"状態で叫んでいる
「ゼノヴィアさんは教室でも『銀閣寺が銀で、金閣寺が金。きっと輝いているのだろうな』って言っていたものですから」
「こんなの違法建築だ」
四つん這いのゼノヴィアの前に桐生が立ち、肩に手を置いた
「金閣寺は金だから、元気だしなさいよ」
「本当か!」
「でも…私たちが産まれる前に放火で燃えちゃったから、レプリカなんだけど」
励ましているのか?追い打ちをかけているのか?分からない、反応を見て笑っているのを見れば後者なんだと思う
「(またか)」
『(懲りない奴等だ!相棒…今度は俺の出番だ)』
金閣寺に赴くと昨日と同じように隠れている妖怪たちの視線が降り注ぐ、2日間連続で不快な気分になってしまう。既にドライグはやる気満々で殺気に満ちている
「やるぞノブチカ」
ゼノヴィアも準備万端だが人工神器を握る彼女の手を押し戻した。昨日も戦闘後に倒れて観光を満喫することが出来なかったのだ、今日も同じようなことを遭わせたくない
「俺とドライグに任せてくれ、すぐに終わらせるから先に店で注文を済ませてくれ」
「だが…わたしだっ―――」
言い切る前に彼は地面を蹴る。目の前で受け取った優しさは彼女の心を針でチクリと刺すのであった
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!痛いぃぃぃ痛いよ!」
「待ってください赤龍帝殿…我等の話を」
昨日とは違い先手必勝だ!赤龍帝の籠手で倍加した拡散型のドラゴンショットで蹴散らし、指示を出しているリーダーの鴉天狗にダイスを転がし『下痢』の面が出たのを確認し腹パンした。上空へ逃げた奴等に落ちていた岩を投げつけ撃ち落としてから空中でキャッチすると
「ナパーム・ストレッチ」
立っている妖怪は殆どいなかった。奥で腰を抜かしている奴に向かおうとすると
「遅かったか…おい!此奴らは戦いに来たんじゃねぇ、昨日の誤解が解けたから九尾の娘がお前に謝りたいと言ってきたんだ」
「そうやって油断したところを襲うんだろ?アザゼル…いや本当にアザゼルなのか?妖怪って人を化かして騙すってゲゲゲの鬼太郎で」
冷酷な瞳で現れた堕天使総督のことを見つめるが、信じてもらうために彼は懐から人工神器を取り出して『堕天龍の鎧』を披露したことで伸元は矛を収めた
「一緒に来てくれるか」
「謝罪だけは受けるよ…謝罪だけはね」
実はセラフォルーとアザゼルの意見は対立していた。彼女は学生たちを巻き込まない方針だったがアザゼルは今回の件で伸元の力を必要としている。昨晩の話し合いは平行線でおわったので彼は、なし崩し的に戦力として引き入れて今回のことを解決させようと思うのだが言動を聞いて望みは薄いと思ってしまう
金閣寺近くの人気のない場所に設置した鳥居を潜ると別世界に足を踏み入れた。薄暗い空間とひんやりとした感覚を肌が襲い、そこに住まう妖怪達が珍獣を見るような目を向けてくる
「ここは裏京都だ!大抵の妖怪はここに住んでいるが表の京都に身を置く奴もいる」
「文字通り裏社会って訳か、それで首謀者はどこにいる?」
彼の問い掛けにアザゼルは建ち並ぶ家屋の奥に存在する巨大な赤い鳥居に視線を促す。そしてその付近には旅行中の生徒会メンバーとオカ研の木場が待っていた
「ノブさん…」
「セラフォルーさんから話は聞いているか?」
全員が顔を見合わせて首を横に振る。どうやら昨日のことはまだ伝わっていないみたいだ
「セラフォルー様は何て言っていたんだい」
全員を代表して木場が前に出てきたので月夜で伝えられたことを説明するが、話の途中でアザゼルが遮ると九尾の娘が現れたことを知らせる
少女は先日の巫女装束ではなく煌びやかで豪華な着物を身に纏って姿を見せると、頭を深々と下げてた
「昨日は申し訳なかった。お主達を私の勘違いで襲ってしまった。どうか…許してほしい」
「ちゃんと謝れるだけ、そこにいるアザゼルより偉いな」
「確かにアザゼル先生って往生際が悪いからね」
木場が合いの手を入れたことで少しだけ空気は弛緩し緊張感が和らぐ…しかし
「んじゃ…終わったから帰るぞ!」
目的は果たされた。伸元は九重に背を向けて立ち去ろうとしている
「待ってくれ赤龍帝」
「アザゼル…なんで俺たちを巻き込もうとする?人じゃない奴は旅行を楽しむ権利なんて無いって言いたいのか?なぁ…答えてくれよ…なぁ堕天使総督のアザゼルさんよぉぉぉ」
心臓を鷲掴みにされたような感覚だった。今までとは違う凄みを全身に受けたアザゼルは冷や汗が止まらず心拍数も一気に跳ね上がる
「ノブチカ…お前は」
アザゼルが転生悪魔の面々を戦力として引き込もうとしているのは薄々理解していた。しかしそれがまかり通ってしまったら旅行の思い出なんて殆ど残らない
だからこそ彼は矢面に立って今回の件を断ろうとしている。ここにいるイリナや転生悪魔にも修学旅行を楽しむ権利は存在するんだ!大人の都合で振り回されるつもりは無いと断言している
「こっちはミリキャスからの手紙を持って行かないといけないんだ」
「…ミリキャス?赤龍帝殿…今なんて申した?」
伸元の言葉に反応した九重は顔を見上げると、彼は懐の中から預かっていた封筒を取り出した
「そういえば『ここのえ』と『くのう』って漢字が一緒だな」
「ミリキャスは私の文通相手なのだ!」
その発言に彼は持っていた封筒を落としてしまうのであった
今日は難産でした。先の展開に繋げることを考えながらなので筆の進みが遅かった(競馬もしてましたが)
なお中盤の絵馬は例の芸能人夫婦のモノです
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
石動君の技にキン肉マンから抜粋してもよろしいでしょうか
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マイナーな技も出してくれよ OK
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ハイDにキン肉マンは合わないから NG