争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
アザゼルを血祭りにして屋外の電柱に鎖で縛り付けると、ハサミで彼の着ている服に対して2箇所の穴を開けて放置することにした。穴を開けた場所は胸の部分であり、往来する人々に対して堕天使の乳首を見せびらかす『
八坂救出の為に駆り出される面々だが、ホテルで待機という訳ではなく一般の生徒と同じように3日目も観光に赴いても構わないことになった
「八坂ちゃんはこの地に流れる様々な気を管理してるの、もし犯人たちが彼女を連れて逃亡や殺めていれば京都には異変が起きちゃうの、だからまだ生きてここにいるはずなの」
セラフォルーから現在の状況を確認した面々は、観光中にテロリストたちと出くわすことを考慮し極力固まって行動することを決めた
「何故ここにいる?」
額に怒りマークを作る伸元の目の前には八坂の娘である九重がいた。彼女は昨日・一昨日とは違い普通の和服姿だったが高貴な身分のオーラが存分に溢れ出ている
「母上の為に貴重な時間を割いてくれるのじゃ、せめてもの償いに京を案内をしようと思って…それにミリキャスのことも聞きたくて」
有難迷惑な行為である。もしセラフォルーからの号令が掛かったらメンバーの誰かが彼女の護衛として残らないといけないし、自分たちの前に禍の団が現れたら守りながら戦わないといけない
アニメや漫画だと非戦闘員のヒロインキャラが敵に対して降伏を呼び掛けることがあるが、戦っている身としては邪魔でしかない
「どうするノブチカ?」
木場やイリナを含め全員の視線が彼に向く、別に代表を名乗っている訳ではないがメンバーの中で1番強い奴の意見を尊重する空気になっている
「連れていくしかないか、頼めるかアーシア?」
「任せてください」
彼女は九重と手を繋いで離れないようにした。現状ではこれがベターな選択肢である
「ここが天龍寺なのじゃ」
嵐山の観光は地元民の九重がガイド役になって紹介していった。道中では『晒乳首』から解放されていたアザゼルが一服していたので再び全員でボコボコにした
「結局遅かれ早かれこうなる運命だったんだよ!お前がいればテロリスト鎮圧も容易なんだ!今回のことは
匙に60秒溜め込んだ力を『譲渡』し全力で殴ってもらった。他の面々も列を作って『倍加』を受けるのを待っていたら、ぬるりと生暖かい感触が全身を包み込んでいった
「これって…まさか、あの時の?」
周囲を見渡すと、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、九重、匙、翼紗、巴柄、桃、木場とズタボロのアザゼルしか周辺に人がいなかった
「絶霧か、みんな集まれ!」
彼とイリナを『次元の狭間』へ追いやった神滅具の1つ、ただ一般人の気配が無いので現時点では転移ではなく現世と隔絶されたというのが正しいのかもしれない
「母上の護衛が口にしておった。気づいたときには霧に包まれていた…と」
アーシアに抱き着いて震える九重は思い出したように口を開いた。そういった重要なことはちゃんと伝えてほしかった
「禍の団でしょうか?」
「十中八九そうだな、美候の奴めもっと詳しい情報を送れってんだ」
悪態をつくアザゼルは懐から自身の人工神器を取り出し臨戦態勢となっている。他の面々も周囲を警戒しながら九重を守るように陣形を組んだ
霧が揺らめくと中から人影がいくつか現れた。先頭に立つ黒髪の青年は伸元たちのことを値踏みするような視線で見つめると軽く頭を下げた
「はじめまして堕天使総督のアザゼル、そして赤龍帝…いや白龍皇でもあるか」
学生服の上から漢服らしきものを羽織り、そして手には不気味なオーラを放つ槍を携えている
「おまえが噂の英雄派を仕切ってる男か?」
「そうだ!曹操と名乗っている。三国志で有名な曹操の子孫さ」
アザゼルの問い掛け青年は槍の柄を地面に軽く叩きつけて答えると、
「なあ…」
「全員あの男の槍には注意しろ。あれは最強の神滅具だ」
伸元の声を遮るようにアザゼルは声を張り上げ、狼狽していた全員の警戒度が一気に跳ね上がる
「これは『黄昏の聖槍』だ!神を貫く絶対の槍、日本人にも分かる馴染みの深い代物さ」
見せびらかすように掲げると教会トリオの3人が夢遊病者みたいに虚ろな瞳で見つめながら手を伸ばそうとしている
「信仰のある者はあの槍をあまり見るな!心を持っていかれるぞ」
我に返ったゼノヴィアは未だに呆けているイリナの頬に往復ビンタを与え正気にさせると、隣にいるアーシアの肩を掴んで名前を叫びながら揺らした
「大丈夫かアーシア」
「ふぉっと…しぇのふぃあ、あちゅかいに、っしゃをかんじ―――」
差別はしないが区別はする。2人の対応に差が出るのは言うまでもない
「母上をさらったのはおまえらか?」
「ああ、その通りさ」
「返せ…母上を返すのじゃ!」
九重の叫びに曹操はニヤッと笑みを浮かべて答えた。英雄派と名乗りながら完全に悪役の顔をしている
「小さな姫君よ、それは無理な相談だ!彼女には俺達の礎となってもらう」
「礎だと?何をするつもりだ」
テロリスト集団のトップはオーフィスだったが彼女は『次元の狭間』に帰る算段をつけて、グレートレッドが口にした"見聞を広める旅"に出ている。彼女にとって彼等は無用な存在である
「狐の化け物や巨大な龍ってのは倒されるべき存在だろ?」
「貴様らまさか!」
英雄派のやろうとしているのは完全な自己満足であり、周囲を巻き込んで自らの野望を叶えようとしている。例え八坂に帰りを待つ家族がいようが関係の無いことだ
曹操の言葉に1名を除いて戦闘態勢になり神器を顕現し、彼に飛びかかろうとしている九重を翼紗が後ろから抱きしめて身動きを封じている
「なぁ…ちょっと!」
「なんだ!早くお前も準備しろ!」
ようやく伸元のことに気付いてくれたアザゼルは未だに戦う意志を見せない彼に、唾を飛ばし『紅赤朱の兆覇龍』になることを促す
「あのさぁ……曹操って何?歴史上の偉人?」
「「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」
伸元の発した言葉に全員が同じ声を出していた。こいつは今なんて言った?木場と匙が近寄って発言の真意を聞き出そうとしている
「石動君こんなときに冗談なんて笑えないよ」
「そうですよノブさん…何ボケているんですか?」
きっと相手に支配され緊張する場の空気を弛緩させて自分たちをリラックスさせることだと思ってる
「いや…曹操という人は凄い功績を残した英雄で有名人なの?」
「まさか本気で言ってる?」
その問い掛けに彼は普通に頷いた。とてもキョトンとした顔で何度も分かりやすく首を縦に振っている
「君って世界史が苦手なのかな?」
「いや…これは世界史以前の問題じゃないか」
2人は腕を組んで頭を悩ませるようなポーズを披露している。伸元は女性陣の方へ視線を向けると彼女たちも困惑の表情で見つめていた
「ノブさん無双シリーズやったこと無いんですか?」
「戦国BASARAの方はやったけど、無双には手を出してないよ」
彼はCAPCOM信者だ
「ヤンジャンのキングダムって読んだことない?」
「ジャンプとプレイボーイは読んでるけど、それって異世界転生の作品なのか?」
伸元はキン肉マンの載らない雑誌に興味を持たない
「三国志も知らないのか?」
「中学の授業で名前だけは教科書で見たけど『ぎ』『くれ』『しょく』だったよな?」
それは広島の地名で海軍基地として有名な場所だ
「ちょっと待って、夏休み明けの世界史って何点だった?」
「確か92点」
馬鹿という望みは絶たれた。こいつは中国の歴史に関して興味が無いだけなのだ!
「そんなに凄い人なのか?曹操って奴は」
全員が絶句している。なんなら九重だって名前ぐらいは理解している存在である
「あの〜……いったい何を?作戦でも立てているのか?」
痺れを切らし英雄派の曹操が遠くから声を掛けると
「ちょっと絶霧を解いてくれない?」
「逃げる気か?」
彼は槍を構えて伸元のことを見つめるが
「Wikiで曹操って調べるから、電波が繋がらないと」
「えっ……と、その…何て言った赤龍帝?」
「だから!曹操のことなんて知らないから今から調べるんだよ!何度も言わせるな」
その瞬間に彼のアイデンティティは崩れ落ちた
まさか三国志の曹操を知らなかった
しかし学校の授業でも三国志は触りだけだし、武将について調べることも無いですし
キングダムを読まなければ分からないと思いますよ
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます