争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい   作:大気圏突破

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前話は多くの感想コメントありがとうございました。励みになります
あと水曜日は更新出来ずにすいませんでした。パソコンの前で寝落ちしてました


だって進研ゼミでも習わないもん

「曹操なんて知らない!」

 

 伸元の発した言葉に味方側よりも英雄派の方が深刻なダメージを受けていた。三国志は日本でも有名なはずなのに何故『曹操』のことを知らないのだろうか?もしかして自分たちの名前も存じあげないのでは?と思ってしまう

 

 

「そもそも『曹操』って本当に実在したのか?」

 

 彼の発言は更に追い打ちをかける

 

「ノブさんどういう意味ですか?」

「だってメイドインチャイナの時点で怪しさ満点だろ!肉まんの中に段ボールを混ぜて販売して、自国の歴史を勝手に書き換える国だぞ…あの人民共和国は」

 

 国際問題待ったなしの発言で公の場では口にしてはいけないワードである。それを言ったら日本の歴史も怪しい部分は沢山ある。彼にとって聖徳太子は水色のジャージを着たオッサンのイメージが強い

 

 

「そもそも何でコイツ等は英雄の名前を語っているんだ?」

 

 

 その言葉に英雄派の面々は雷に打たれたような感覚に陥る

 

 

「石動君?言ってる意味が…ちょっと」

「だって"まだ何も英雄らしい偉業を成し遂げていないだろ!"ご先祖様にあやかって愛称や漢字を1文字貰って名乗るなら理解できるけど」

 

 

 テリーマンは荒々しいファイトスタイルから『テキサスの暴れ馬』と呼ばれていたが、その息子であるテリー・ザ・キッドが受け継ぐことを対戦相手のスカーフェイスが待ったをかけた

 

 

「しかも英雄って自称するものじゃないよな?人々から羨望の眼差しを受けて功績に対して、ようやく呼称されることじゃん」

「そうだ……よね、確かに間違ったことは言ってないね」

「だろ!」

 

 コメントに困った木場は頷くしかないが彼の言ってることは正しい、伸元の言葉を聞いていると敵対する英雄派の面々が痛いコスプレ集団に見えてしまう

 

 

「そこの金髪!あんたの名前は?」

「……ジャンヌ……」

「もっと腹から声を出せ!」

 

「ジャンヌ・ダルクですわ!」

 

 顔を真っ赤にさせて大声を腹の底から放つと周囲の木々が揺れて動く

 

 

「ちょっと待て!オルレアンの聖女は火炙りで処刑されて子孫なんて残っていないぞ、まさか偽物のジャンヌ・ダルクか?」

 

 曹操のことは知らないがジャンヌのことは知っている。英霊を現代に召喚する作品で有名な存在だが未婚のまま19歳で処刑された農家出身である彼女の血を継ぐものは居なかったはずだ

 

「私はジャンヌの魂を受け継ぎましたの!偽物なんかじゃありません」

「えっと…ちょっと待て!魂を継ぐってアリなのか?証明する方法が何もない自称じゃんか、そこの曹操より酷いぞ!」

「何と言われましても私は紛れもなくジャンヌ・ダルクですわ!」

 

 

 金髪を靡かせた彼女は両手を腰に置いて胸を張った。もしかしたら自分も知られていないのでは?という不安にかられてしまったが、安心するのであった

 

 戦う前から精神的なダメージ受けて戦意を喪失している。リーダーの曹操に至っては四つん這いまま動こうとしない

 

 

「お前等って英雄派じゃなくて、ただのコスプレものまね軍団だろ」

「コス……ものまね」

「アザゼルよぉ…あの槍ってキリストを貫いた槍なんだろ?偉人の曹操ってキリスト教なのか?中国なら仏教・道教・儒教のどれかだよな」

 

 中国の英雄の名を語りながら持っている神滅具はキリスト教に由来するものだ、ちゃんぽん野郎に侮蔑の視線を向ける伸元は、未だに顔を上げようとしない曹操に近付く

 

 

「親から貰った名前で成り上がれよ…結果を出したら曹操って名乗ればいいじゃん、それともご先祖様の名前がないと夜中に1人でトイレにも行けないのか?」

 

 英雄派の面々は彼が口にした情景を思い浮かべ吹き出してしまい、ジャンヌは腹を抱えて笑っている

 

 

「貴様!」

 

 横薙ぎで槍を振ったが動揺しているせいで遅く切っ先が鈍っている。伸元は片手で軽く受け止めてしまった

 

 

「このっ…離せ!」

「じゃあ引き離してみなよ、困難に打ち勝ってこその英雄なんだろ?」

 

 

 聖槍が全くびくともしない、押しても引いても無駄だった。曹操は全身に力を込めて動かそうとするが顔が真っ赤になるだけで無意味な行為を延々と続けている。言っておくが伸元は素の状態である

 

 

「やっぱりアンタはものまね芸人だよ」

「なっ!」

 

 片手で先端を握ったまま彼は曹操を持ち上げてしまった。尋常じゃない筋力に驚く面々だが1人だけ伸元の意図を察した悪魔がいた

 

 

邪龍黒炎弾!(ダーク・メガフレア)

 

 

 バスケットボールサイズの黒炎の弾が無防備な自称英雄に直撃した。普通の炎とは違い火傷ではなく呪いを与える炎は、匙がまだ伸元に対して敵意を持っている頃の模擬戦にてラインを繋いだ時に血液を吸ったことで『不健康の極み』の能力が微弱に発現したのだ

 

 

「ドンピシャだ匙!」

 

 

 黒い炎を浴びて曹操は未だに浮いたまま藻掻き苦しんでいる。彼は槍を振るって木に叩きつけるように捨て去った

 

 

「アンタ等のせいで初日に京都の妖怪たちに襲われて、今日の観光もオジャンだよ責任とれよ!」

 

 赤龍帝の籠手を顕現させて殴りつける

 

 

「九重の母親が迷惑を掛けることでもしたのか?トイレットペーパーや米の買い占めをやってフリマアプリで転売してたのか?玉座に座って『世界の半分をくれてやろう』って言ってきたか?」

 

 

 今度は白龍皇の光翼を背中に輝かせて追撃を加える

 

 

「伸元君」

「あんなノブさん初めて見るぜ」

「…………」

 

 イリナ・匙口を開きゼノヴィアが黙っている。目の前では自分たちを襲ってきた曹操が物理と精神を同時に削られボロボロになっていく、再び籠手を顕現させ禁止化の状態でダイスを投げると『耳垢栓塞』の面が出た

 

 

 

「まだ続けるか?って、流石に耳クソが詰まっていたら聞こえないよな」

 

 

 喉仏を掴んだまま持ち上げ握り締める。気道が塞がれ酸素を取り込むことが出来ない状態へ陥り曹操の顔が段々と青くなる

 

 

「待つのじゃ赤龍帝!頭目には捕まっておる母上の居場所を聞かねばならんのじゃ」

「あと『黄昏の聖槍』を調べたい、生きたままで頼む」

 

 

 九重とアザゼルが後方から叫ぶが、伸元は決して力を緩めることをしなかった。特に神器馬鹿の言葉は彼の神経を逆撫でる

 

 

 この光景を見ているジャンヌたちは全く動けなかった。リーダーの言葉を信じ歩んできたら最悪の化け物と出くわせてしまった。『龍の逆鱗に触れる』という文言を身を持って体験している状態だ

 

 

 

「もう止めようノブチカ!これ以上はダメだ」

 

 一方的な蹂躙を止めさせる為にゼノヴィアは彼の後ろから抱き着いた。その弾みで曹操は地面に落ちて過呼吸患者のように浅い呼吸で酸素を取り込もうとしている

 

「曹操は虫の息じゃないか、旅行はまたみんなと行こう会長やセラフォルー様も連れて大所帯で費用は全部アザゼルに出してもらえばいい」

「……そうだな…やりすぎだな、すまない」

「いいんだ!私だって食べ放題や甘い物の前ではスプーンが止まらないんだ」

「それは…ちょっと違うような気がするんだが」

 

 

 相手はテロリストだが人間なのだ、人を辞めて龍人と化してしまった彼に殺人者になってほしくなかった。

 

 自分たちを覆っていた霧が晴れていく、倒れている曹操のもとに仲間たちが駆けつけ呼びかけているが『耳垢栓塞』のせいで声を聞き取ることが出来ない…しかし

 

 

 

「はは…はっはは」

「何がおかしい?気でも狂ったか?」

 

 壊れたように突然笑い出した曹操を見てアザゼルは問い詰めるが、ただ笑い続けるだけだった

 

 

「作戦が上手くいって最高にハイ!ってヤツさ、目論見とは違うが結果は同じだ」

「どういうことだ!何を言ってる?」

「何のために、絶霧でお前たち全員を閉じ込めたと思う?」

 

 耳を穿った彼の問い掛けの答えを模索しているとアザゼルの個人端末が鳴り響く

 

「やっと繋がった!ねぇノブちゃんは近くにいるの?今どこにいるの?」

「どうしたセラフォルー?いったい」

 

 電話口にいるセラフォルーが焦った口振りで尋ねてくる。いったい何があったのか聞き出そうとすると

 

 

"ドォォォオォォォンンンンンンンン"

 

 今まで感じたことのない力の流れを感じる。気を抜いたら押し潰されそうな感覚で、吸い込む空気すら鉛のように重い

 

 

「言っただろ狐の化け物が必要だと」

「母上に何をしたのだ!答えろ…答えるのじゃ!」

 

 泣き叫びながら問い掛けてもダイスの影響で言葉は伝わないが曹操は雰囲気で理解した

 

 

「こんなところで油を売ってていいのか?早くしないと二条城が化け狐によって滅ぼされるぞ」

「なん…だと、おい!今どこだ!」

「二…条城よ、結界…で守って、るけど数が……おお」

 

 ノイズ混じりの通信は切れてしまい端末を地面に叩きつけてしまい粉々になる。自身を囮にしての時間稼ぎの罠にハマっったのだ、元々は暴走した八坂を英雄派の面々で討伐するつもりだったが今の状態では不可能である

 

 

「逃げるつもりか?英雄の名が廃れるぜ」

「戦略的撤退と言わせてもらう…生きていたらまた会おう」

「待て!」

 

 光の槍を投げつけるが英雄派の面々は絶霧で転移して消えてしまい木に刺さるだけだった。今はこんなところで悔しがっているつもりではない

 

 

「二条城ってどっちだ!」

 

 アザゼル以外の面々は天使や悪魔の翼を広げ、伸元も九重を抱えて『白龍皇の光翼』を展開させている

 

「こっちなのじゃ…急ぐのじゃ!」

 

 小さい人差し指が向く先には歪な力が溢れ空気が違っているように感じる。地面を強く蹴って飛び立った彼等は急いでセラフォルーのところへ向かうのであった




朝勤務の週はどうしても時間がなくて(もしかしたら2日に1話更新になるかも)

石動君は普通に中国の歴史に関して無頓着で、ラーメンマンの出身ぐらいの認識です
ジャンヌに関しては知識として記憶し、西洋の世界史は好きな部類です

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