争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
彼女から見て彼の存在は『弟』のようなものだった。迷子になっていた愛しい妹を助けた小さい勇者はいつの間にか自分の背を抜き去ってしまい魔王よりも強くなっていた。神滅具を私利私欲の為に使うこともなくソーナの語る夢を手助けする大切な人で家族以上に家族と呼べる存在だ
そんな彼が人間を止めてしまった。赤龍帝と白龍皇の宿主が戦いが世界を破滅に導くと知った伸元は未来の為に人柱となった。人ではなくなったけど彼は昨日までと同じく変わらない日々を過ごしていたが周囲はそれを許してくれなかった
ゼファードル・グラシャラボラスが引き起こした凶行に彼女は心を痛めた。贖罪の意味を込めて初めてを捧げる気持ちだったが身内たちの手によって止められてしまった。悪魔どころか冥界そのものが滅んでもおかしくないのに、彼の表情は変わることなく普段通りだったがセラフォルーはそれを歪と感じてしまう
「(ノブちゃんのことを支えることが出来るのは私たちだから)」
命が続く限り、妹のソーナと一緒に彼と共にあろうと思っている。人間の頃より長生き出来るということは沢山の思い出を作ることが出来るはずだ!みんなと旅行したり味音痴のソーナと一緒に料理の勉強をして振舞ったり、いろいろなことに対して想い馳せていたのに……いたのに
「光栄に思うんだな魔王よ!英雄に倒されるのだから」
伸元が倒れている―――どうして?
なんで腹から血を流している?―――誰を助ける為に
あそこに立っていたのは自分のはず―――私を護る為に犠牲に
「もう長くはないだろう…喜べ魔王、同じ場所へ葬ってやるさ」
理解した。優しい彼は自分を助けるために犠牲になった。学生にとって一大イベントである楽しい修学旅行を棒に振ったのにも関わらず
ゆっくりと立ち上がり、彼のことを自身の魔力で凍らせた
「ちょっと待ってて、すぐに終わらせるから我慢しててね」
「残す言葉はあるか魔王よ、仲間たちに伝えてやるぞ!」
気に障る声だ、無言のまま首を横に振ると彼女は一心不乱に突撃した
【消し飛べ!】【全てを破壊せよ】
【夢が終わるっ】【叶わぬ想いは地に伏す】
【裏切りの果て】【冤罪者の末路】
【無限を妬み、夢幻を想う―――我、白き龍の覇道を極め】
「ゴチャゴチャうるせェェェェ!」
頭の中に響く歴代白龍皇の声を一蹴しゲンコツをお見舞いした。次第に声は聞こえなくなり今度は涙を零しながら暴力に対して謝罪を要求してきたが全員を座らせて睨みつけた
「グチグチ陰で言ってないで真正面から言いに来い!全部受け止めてやる」
歴代赤龍帝たちと同じように彼等の全てを受け入れる。相手が自分の前に座るまで粘り続ける根比べは転生前の満員電車通勤で培った忍耐力の賜物だ
【なぜ他者の為に自分の身を犠牲にするのだ?あの魔王は血の繋がらない悪魔で堕天使のように、お前を利用しているのかもしれんのだぞ】
「セラフォルーさんが傷つくのを見たくないだけだ!ガキの頃から俺のことを守ってくれた『姉』のような存在なら『弟』は尽くすに決まっているだろ?」
シトリー家の庇護下のおかげで自身の存在がバレずに高校2年を迎えることが出来たのは彼女の尽力があってこそだ
【お前は二天龍の双方の力を得た!その気になれば冥界を含め全てを蹂躙し手中に収めることも可能になった。もう奴等に縛られることも】
「俺は好きでシトリー家にいる。これからもずっとだ」
純粋な気持ちで不変することなく龍人になっても揺らぐことはない
「生きている限り2人を見放すことはしない…そういえば俺って今どうなっているんだ?」
確かセラフォルーに『聖槍』が刺さりそうになったのを弾き飛ばして自分が…自分?
「あっ!やべぇ、俺死んだのか?世界が崩壊…」
『大丈夫だ相棒!俺とアルビオンで仮死状態にさせてある。セラフォルー・レヴィアタンが凍らせたことで腐敗も進行していない』
『ヴァーリも馬鹿だがコイツは相当のアホだ!やれやれ…とんでもないヤツを主にしてしまった』
嘆く台詞を吐くが悲観しているよりも呆れているように感じる。そして歴代白龍皇の中で代表格のような人物が彼の前に座る
【戻ってどうするつもりだ?このまま我等と】
「とりあえずアザゼルを懲らしめて九重をお尻ペンペンしないといけないし、何より」
【何だ?】
「この前買った簪を渡しに行かないと、今まで会長にプレゼントなんてしたことが無かったんだ!驚く顔を見ないと死にきれないよ」
その言葉を聞いた面々はポカンとしていた。かつての自分たちは力を持ったことで利用・迫害され世界を恨みながら息絶え次世代に引き継がせた。『覇龍』に至らせ魂を神器の中へ縛り付ける
しかし赤龍帝の主は幼少の頃から歴代の者たちと対話を続けてきた。全てを受け止め理解し怨嗟の流れを断ち切ることに努めた
ー羨ましかったー
ー自分もかつて試みたが力に飲み込まれてしまったー
ー先代たちとは違うと言い聞かせたー
ー結局ダメだったー
ーもしかしたら彼なら違った未来を見せてくれるかもしれないー
ーでもダメだったら?ー
ーグレートレッドに見込まれた男だ!我々も賭けてみようー
ー話し相手が欲しかった。永遠に近い時間が残されている愉しませてもらおうー
今までこんな宿主は居なかった。新たな可能性に全てを託してみよう
歴代白龍皇たちの意見は一致し、今ここに目覚める
「なかなかやるが相性の差だな」
「黙れ!」
曹操は槍の柄を肩に乗せてトントンと叩きながら地に伏せるセラフォルーを見下していた。戦いの余波で九重は遠くで倒れ意識を失っている
魔獣と戦う生徒会メンバーたちもギリギリのところで持ちこたえているが数に押され防戦一方である。誰かが欠けてしまったら簡単に崩れ落ちてしまうだろう
「無駄なことを、英雄に倒されてこその悪い魔王だ!我々の礎と―――」
オオォォォォォォォォォンッ!!
今まで意識を失っていた九尾の狐が目を覚ました。振り向いた曹操はニヤリと笑う
「そこにいる奴には感謝せねばならんな、お前たちが弱らせてくれたおかげで伝説の妖怪も私の手で葬っっっ―――」
人間でも妖怪でも寝起きが悪い奴は一定数存在する。八坂は自身の尾を振り回して曹操を薙ぎ払い壁面に叩きつけて口から火炎放射を吐く
「この狐畜生が!」
このまま残って悪魔と狐を討伐するか?体勢を立て直すべきか?曹操は2つの選択肢に迫られていた。英雄派の仲間たちに"俺だけで十分"と豪語した手前でありプライドが許さない
「(なら化け狐で魔王を)」
とどのつまり九尾の狐だとしても地脈の影響で暴走しているだけで分別はつかない、現に娘に対して攻撃してきたのが証である。知能の低い獣なら動く者に反応するはずだ
「(どうしたらいいの)」
満身創痍の体で立ち上がるセラフォルーに力は残されていなかった。助けを求めようとしても味方とは距離が離れてる
「(ノブちゃんごめんね)」
自分にもっと力があれば、彼等を巻き込まない政治力を持ち合わせていたら、真面目に政務に取り組んでいたら違った光景が広がっていたはずだ
月夜の下で彼がプレゼントしてくれた簪を触る。もしかしたら力を分けてくれるかもしれない
「(魔王がオカルトを信じるなんて、カテレアちゃんも笑うよね)」
渇いた薄ら笑いを浮かべ横になる彼を見ると氷の一部が砕けていた。戦闘の余波に巻き込まれてしまったのかもしれない、だけど彼の様子が変だ
「槍の傷が…ふさがって?なんで?」
よく見ると出血が収まり八坂との戦闘で負った傷や痣も無くなっている。そして閉じられていた瞳が見開き拳を突き上げるように立ち上がり全ての氷を溶かしながら自身の手で砕いた
「ただいま」
「ノブ……ちゃん」
関節を鳴らし軽く自身の頬を叩いて気合を入れる。セラフォルーは彼を抱きしめて泣きたいと思ったが踏みとどまった。これは今することではないのだから
「ちゃっちゃと終わらせてアザゼルを虐めにいきますか」
「どんなことをするの?」
「堕天使の骨や羽で武器ってなりませんかね?やっぱりみんなに必要でしょ」
いつもの石動伸元がそこにいる。1時間も経っていないのに何年も離れていたような感覚だった
「じゃあデザインは私が考えてもいいよね?」
「魔法のステッキを作らないでくださいよ」
軽口を言い合って調子を取り戻しアザゼルの末路について考える。散々ふざけたことを抜かしてきたんだ激痛を伴ってもらわないと割に合わない
「ちょっと待っててください」
「?」
彼は呼吸を整えるとボロボロになった制服を破り棄て目を閉じる
我に宿りし紅蓮の赤龍よ、覇の極みに至れ
我に宿りし無垢なる白龍よ、新たな導き手と共に真に集え
夢幻の神が与えし永劫に続く未来に、祝福の名を刻め
人を超え龍に至り、その手に掴むは終幕への誘い
歩んできた者に敬意を、託してくれた者に礼を尽くす
覇道を照らす日輪を背に、我、赤朱の真龍神と成りて
汝を、燚焱のごとく我らが共にあらんことを
「『紅蓮赤朱の極覇龍』」
「さぁ、この争いを終わらせよう!」
歴代白龍皇たちと対話をしましたが、完全には終わっていません
なので最後に登場した新しい形態は仮面ライダーアギトにおけるバーニングフォームみたいなもので、更に上の形態が残っています
今まで変身していた『紅赤朱の兆覇龍』の100%状態解放状態で体にかかる負担を白龍皇の『半減』で抑えています
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
明日は福島名物七夕賞、頑張れヤマニンブークリエ
石動君の技にキン肉マンから抜粋してもよろしいでしょうか
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マイナーな技も出してくれよ OK
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ハイDにキン肉マンは合わないから NG