争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
曹操が倒され地脈の力で暴走していた八坂も浄化された。神滅具で造られた魔獣たちも崩壊し表面上はすべて解決したが面倒くさい事後処理のゴングが助っ人の登場によって鳴り響く
「すまんのぅ遅れてしまって、玉龍の馬鹿が駄々をこねていたもんで」
「クソジジイ!俺に擦りつけんな、二日酔いで便器に抱きついて迎え酒してたのはテメェだろ!闘戦勝仏の名が聞いてあきれるぜ」
転生悪魔の面々は重症を負っていたので外部スタッフの手によって搬送され、現場に残っているセラフォルーたちの下へアザゼルが呼んだ助っ人が遅れて到着した
「もう堕天使との同盟を止めません?」
「今度の会議で提言してみるね」
なにせ今回に至ってはアザゼルのせいで多大な迷惑を被った。勝手に戦力として組み込み修学旅行を台無しにされたし、この戦闘にも参加していないのを見ると面倒なことを他人任せにして美味しいところを持っていくつもりだろう
「それも面白そうだ二天龍の坊や、しかし凄いな…その歳で『覇』を克服するとは、美猴から耳にしておったが中々の傑物じゃのう」
「美猴の知り合い?」
金色に輝く体毛に法衣を纏った黒い肌の老猿は彼と似たような棒を地面に叩きつけて一緒に現れた龍と共に自己紹介を始めた
「ワシの名は闘戦勝仏じゃ、斉天大聖とも呼ばれておるが三蔵法師と天竺に向かった孫悟空と言えば分かりやすいの」
「久しぶりじゃねぇかドライグ!元気そうじゃねぇか!」
「知り合い?」
緑色のオーラを発しながら宙を舞う東洋龍はハイテンションで語りかけてくる
『
「?」
西遊記にドラゴンっていたっけ?三蔵法師の配下に猿・豚・河童と酒瓶を持った加藤がいたけどドラゴンなんて見たことがない、もしかして鉄扇公主の方か?
『こいつは馬に変身する。三蔵法師が乗っていただろ!』
「馬になるの?ドラゴンが?」
「お前の知名度も廃れたもんだな玉龍」
宙に浮かぶ龍を見上げながら高笑いをするが、未だに遅れて到着したことに対して謝罪の言葉を全く述べていない、アザゼルと交友関係のある奴等は時間にルーズなのがデフォなのかもしれないがケジメをつけてもらわないといけない
「遅れてしまったのはすまねぇが、暴力沙汰は勘弁してもらいたい」
「まだ何もしていないが」
頭の中で殴り飛ばすイメージをしただけなのに孫悟空は先読みをしたように言葉を発してきた。軽く握った右手に如意棒を向けて指摘する
「仙術を極めれば容易いことよ、まぁワシのようになれば未来予知みたいなことも可能じゃ」
「じゃあ早く来てくれよ」
約束や時間を守るって大切なことだと思う。そして遅れたら真っ先に腰を曲げて頭を下げるべきじゃないのか?アレコレ理由を並べて遅刻したことを有耶無耶にするのは恥ずべき行為だ
「ははうえ!…母上ぇぇぇっ!」
少し離れた場所では意識を取り戻した八坂に九重が抱きついている。流石に全裸はマズイので結界を維持していた悪魔に頼んで羽織るものを持ってきてもらった
「どうしたのじゃ?九重。おまえは、いつまで経っても泣き虫じゃな」
「ははうえぇぇぇっ!」
八坂は優しく九重を抱きしめて頭を撫でる。とても感動的なシーンで今からエンディングテーマが流れてスタッフのテロップが映し出されそうな雰囲気だが現実は簡単に許してくれない
英雄派の奴等が悪いのだが、彼女が攫われたことで九重が伸元たちのことを悪党だと思い込んでしまったことから始まり、旅行を邪魔され聖槍で貫かれて死にそうになった。しかも九重のせいで戦闘を邪魔された事実もあるので対等な関係になることは不可能だろう
「ノブちゃん、私は八坂ちゃんのところにいるから任せてもいい?」
「丸投げですか?」
「英雄派のリーダーを倒したのはノブちゃんだし、徹底的にやってくれるでしょ?大丈夫よ☆責任は私が全部引き受けるから☆」
そう言ってセラフォルーは八坂のところまで走っていった
「しかし酷いやられようじゃのぅ、一応生きておるようだが」
「クマムシって知ってますか?乾眠状態にすれば生身で宇宙空間でも生きていけるんですよ」
カラカラに干からびた曹操を見下ろしながら今後のことを考えていた。ヴァーリから『白龍皇の光翼』を引き抜いたように『黄昏の聖槍』を彼から取り出すことも可能だが死んでしまう。アザゼルなら生かしたまま抜くことは出来るが、良くないことが起きるのが火を見るよりも明らかだ
「坊主よ、曹操の小僧をワシの組織に任せてもらえんか、師匠なら強固な封印を施すことも可能だ!『黄昏の聖槍』が使い手と共に三大勢力のどこかに渡れば疑心暗鬼となるだろう」
「師匠って?」
「泣く子も黙る
須弥山と呼ばれる組織には日本でも有名な神々が名を連ねる。孫悟空も三蔵法師と出会う前に好き勝手した挙句、観音菩薩の手によって大岩に封印された。有名な話の1つに筋斗雲で世界の果てに辿り着いた孫悟空は柱に自身の名前を残した
しかしそれは手のひらで起きていた出来事であり、彼のサインが菩薩の指に記されていた
「いっそのことワシのように大岩に閉じ込めることも進言してみよう」
「逃げたらどうする?」
「そいつはちと無理なことだな、閻魔の配下に鬼灯という鬼がいての…まぁコイツは滅茶苦茶厳しくて部下たちも鍛えられとる。それにワシ等の名も安くはない!各陣営に対して牽制にはなるじゃろう」
孫悟空の爺さんが言うように『黄昏の聖槍』が三大勢力のどこかに渡ればパワーバランスが崩壊する。伸元は個人勢力だがシトリー家が背後にあるので悪魔側だと言われても仕方がない
「もしコイツが再び出てきたら責任とってくれますよね?」
「斉天大聖を舐めるな!」
オーラのように放たれた闘気は歴戦の猛者を思わせるような雰囲気で『極覇龍』状態なのに鳥肌が立ってしまう
「すまんのぅ荒ぶって、それでどうする?」
「じゃあ頼みますよ」
「心得た!」
これだけ自信たっぷりに宣言するのであれば信じてみようと思う。彼の中で各陣営の信頼度ランキングを発表すれば堕天使はマイナス評価でぶっちぎりの最下位、悪魔と天使が同率の横ばい状態だが数字は低い、原因は言うまでもない
「まっ!何はともあれ、これで解決じゃい…と言いたいところじゃが九尾の姫さんと会談をしなければならないのぅ、当事者として坊やにも参加してもらうぞ」
どうやら決定事項であり、彼の修学旅行最終日は人外たちとの面談会となってしまった。なんだろう駒王に戻ったら会長がまた沈痛な表情をしてきそうで心が重くなりそうな気がする
「づがれだぁぁぁ~~~」
温泉から上がった伸元は豪華な和室に敷かれた布団の上にダイブした。ここは『ヴリトラホテル』ではなく『京都セラフォルーホテル』であり、看板から分かるように彼女が人間界で経営するホテルの1つで政財界の大物や海外からの国賓も泊まる五つ星ホテルなのだ
今回の功労者である彼に対して今できる最大限の礼であり、入浴前には豪華絢爛な食事も運ばれ福岡から仕入れた巨大なアラを板長が目の前で捌いて鍋にしてくれた
『(ついに覇を極めたか)』
「(なぁ…ちょっと気になったが)」
『(どうした相棒)』
まどろむような声で尋ねてきたので、ドライグは寝ることを勧めたが首を横に振る
「(今の俺って赤龍帝で白龍皇でもあるんだよな)」
『(そうだな、二天龍を同時に宿した馬鹿者だ)』
「(新しい呼び方って無い?"赤龍帝"って呼ばれるとアルビオンを仲間外れにしちゃう気がして、個人的に嫌なんだよね)」
今までは赤龍帝でも良かったがアルビオンも大切な仲間である。敵から呼ばれる時も白龍皇がスルーされるのを見ていて悩んでたのだ
『(そんなのを気にするな!)』
「(でもさぁ~~~)」
『(そう思ってくれるだけでも有難い、気になるのであれば自身で納得する呼び名を考えろ)』
介入してきたと思いきや言いたいことを口にしてアルビオンは寝てしまった。これに関しては今すぐに決める必要はないので後回しにしよう
「ノブちゃん☆入るよ!」
「どうぞ」
湯上り姿のセラフォルーが入ってきて彼の隣に座った。彼女は太ももを叩いて頭を乗せることを強要してくるので甘えることにする
髪の毛を手櫛で梳かしながら頭を撫でる。小さい頃にソーナと喧嘩した彼女が泣きながら迫ってきたときに同じことをしたのを思い出し懐かしく感じていた
「ごめんね弱い魔王で、もっと頑張っていたらノブちゃんたちに迷惑なんて―――」
「真面目になったらセラフォルーさんじゃないですよ」
「言うようになったわね。旅行前にソーナちゃんの口を引っ張った罰を受けてもらうよ☆」
痛みはなく赤ちゃんの肌を触るようにムニムニと優しく引き伸ばす
「ねぇ…いっそのこと魔王にならない?別に4人が絶対じゃないし、悪魔じゃない魔王ってアリじゃない☆」
「俺がガキの頃にも言ってましたね」
「冥界にも新しい風と血が必要だと思うの☆でも無理強いなんてしないよ、ノブちゃんの好きなことをやればいいし、私も応援するから」
この半年で目まぐるしい変化が起きた。そしてその中心にいるのは彼であり今後も注目されるだろう。現に今まで繋がりの無かったフェニックス家がシトリー家と交友を持とうとしている
「頼もしい味方のお姉さんがいてくれて幸せですよ」
そう言って彼は瞼を閉じて寝息を立ててしまった。そしてセラフォルーは湯上りで火照る体を自身の魔力で冷ましながら伸元を包み込むように抱いて1つの布団で身を寄せ合い、昔のことを思い出しながら夢の世界へ旅立つのであった
セラフォルーがメインヒロインになってきた。もう「弟」のような存在ではなく異性として意識するかも
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
石動君の技にキン肉マンから抜粋してもよろしいでしょうか
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マイナーな技も出してくれよ OK
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ハイDにキン肉マンは合わないから NG