争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
民衆から羨望の眼差しを受け歓声に手を振る。自身の背後にいる眷属たちも同じように笑顔で対応しているのを見て彼女は自分がようやく世間から認められたことを実感した。もう『サーゼクス・ルシファーの妹』ではなく『リアス・グレモリー』として認知してくれた
バルーシュと呼ばれるオープンカー仕様の馬車から降り立ったリアスは花束を受け取り高く掲げる。それに呼応して大きなうねりが発生し新たなチャンピオン誕生を祝福するが
「(何で私がそこにいるの?)」
華やかなパレードに似つかわしくないボロボロの衣服を着たリアス・グレモリーがそれを見つめていた。枝毛だらけの髪の毛から異臭が湧き全体的に泥だらけである。声を出そうとしても口から空気が漏れるだけで言葉を紡ぐことが出来ない
視線の先には絵本に出てくるようなお姫様の恰好をした自分がいる。それは社交界デビューしたら身に纏うはずだった高級な代物でドレスに用いている生地だけで平民の年収を超えてしまう。ティアラやネックレスもグレモリー家に出入りする商人から購入した。もちろん兄が全部賄ってくれたのだ
「(あそこにいるのはニセモノだ!)」
自分の所有物を取り返そうと群衆を押しのけようとするが全く動かない、叩いても蹴っても微動だにせず拍手をするだけで誰も自分のことを見ようとしない、それなら滅びの魔力で消し去るのみだ!平民が1人消えようが問題無い、いつものように手から放出しようとするが何も出てこない
「(どうして?…なんで?)」
私が本物のリアス・グレモリーなのに何で?混乱する彼女は自身の象徴とも言える真紅の髪に目を向けるが段々と色が抜け落ちて白く染まっていく、水溜りに写る自身の顔を見ると肌が砂のように崩れていくのが見て取れる
「(待って!まって…待って、マッテ)」
私が…リアス・グレモリーが、歩んできた日々が無くなろうとしている。そして歓声に応える彼女の隣にはタキシードを着た男性が立っているが顔の部分は黒の油性マジックで乱暴に塗ったようにモザイクが掛かっていた
あそこにいる自分は欲しいものを全て持っている。そのどれもが自身が受け取るはずだったのに
「私だって!」
学園で行われた和平会談を襲ってきたカテレアの言葉が脳裏によぎる。兄のサーゼクスは全力をだすと人型の消滅のオーラそのものとなり周辺一帯を消滅させてしまう
「ワタシダッテ!デキルンダ‼」
同じ血を継いでいる。それなら自分も同じことが出来ると信じた!言葉にならない呻き声をあげながら体内の魔力を暴走させるように全身全霊を込めて滾らせる。心臓の鼓動が高速で躍動し髪の毛1本にまで血液が行き渡る
王の駒とオーフィスの蛇が体内で絡み合って変異していくのを感じたリアスの目の前に着飾った彼女が現れ微笑んでいたが
「キエナ…ザイ」
跡形もなく消し去ってしまい高笑いをしながら残っていた花束を踏みつけた
最初に気付いたのはサイラオーグだった。リアスの腹に渾身の一撃を叩き込んでダウンさせたはずなのに彼女は目をカッと見開いて立ち上がったが様子が変だ!自身の歯が砕けるほど強く噛みながら白目を剥いて髪の毛を皮膚から千切った
「何をするつもりだ」
呼び掛けても応えることはなく耳をつんざくような叫び声を発声させると彼女の体が段々と黒く歪みながら変貌していく、まるで本気のサーゼクス・ルシファーように人の形を模した消滅のオーラに近い存在となる
「滅……be」
髑髏を模した人魂が何百も放出され生きている者たちを襲い始めた
「助けぇぇぇ……」
「じにだぁ」
それに触れた悪魔は一瞬で絶命し骨だけの姿になった。隣にいた配偶者や当主代行として訪れていた面々が物言わぬ存在になると生き残った奴等は出口に殺到しドミノ倒しが起きてしまう
キシャァァァァァァ!
リアスから放出された髑髏がレイヴェルに襲い掛かる。恐怖で動けない彼女は身を屈めることしか出来なかったが、どれだけ待っても何も変化が起きなかった
「石動様!ソーナ様」
如意棒と閻水を地面に突き刺した2人は魔力を放出して髑髏を退かせるとセラフォルーとシーグヴァイラが結界を作り出した。尚も迫ってくるが溶けるように蒸発していく
「………リアス」
「あれは暴走してるのか?」
「リアスちゃん」
フィールドに目を向けるとサイラオーグが金色に輝いて咆哮と共に闘気で自身の体を護っているが今の状態を維持し続けるのは難しい
「目を覚ませリアス!」
「ジャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
呼び掛けても返ってくるのは獣のような呻き声であり、滅びの魔力が散弾銃のように飛来してくる。ビー玉サイズでありながら石柱を容易く破壊し並大抵のものではないと理解する
「(どうする?)」
禁手化しても彼の攻撃手段は徒手空拳である。背後にいる伸元たちに助力を頼み彼女を鎮圧してもらうのが最良だが、身内のしでかした騒動を自身の手で終わらせたいと思っていた
「(ショック療法が1番だがどうやって拳を)」
殴るにしても接近しなければならないうえに物理攻撃が効く保証はどこにも無い、自身の持つ技の中で拳で殴らずに黙らせる方法なんて存在しな………
「いや、あるぞ!」
目の前に迫る髑髏の人魂を闘気で滅すると、サイラオーグは自身の生命を活力にするように心の火を燃やし灼熱の業火の如く燃え盛った
身に纏う金色のオーラに情熱の色が宿り極限までに高める。自身を強く育ててくれた母に感謝の礼を述べると、片足を前に出し大きく脚を開き腰を落とし限界まで力を込めた右手で正拳突きを放った
「壱足!」
サイラオーグの正拳突きは空気の壁を叩き、滅びのオーラと化していたリアスに空気弾として直撃し吹き飛ばした。すかさず2発目を繰り出そうとするが
「だぁぁったぁぁ」
とてつもない負荷が骨に亀裂を作り激痛が全身を駆け巡る。彼がやろうとしているのは伸元の家で読ませてもらった忍者漫画に登場したゲキマユ体術のスペシャリストが披露した必殺の拳
漫画の描写だけでは分かりにくかったのでYouTubeでアニメ版を見せてもらい頭の中にモーションを叩き込んで冥界へ帰還してから眷属たちに隠れて密かに練習をしていた
「威力を上げながら5連発とは凄まじい男だ‥‥だが俺は更に上を目指す!」
仕切り直しの1発を放ちリアス・グレモリーを空中で拘束する。追撃の空気砲を連続で繰り出し片方は呻き声で泣き叫びながら助けを求めるような表情を作り藻掻き苦しみ、もう片方は蓄積するダメージで吐血しながら攻撃を加えていくが、6発目で鎧が砕けてボロボロに崩れ落ちてしまい身を守るモノが無くなってしまうが構わずに最後の1撃を与えるモーションに入った
「ギシャァァァァァァ!アガガガガガガギャアアアアアア!」
空気砲の拘束から抜け出そうするが全く身動きが取れない、既に人の言葉を話すことが出来なくなった彼女は叫びながらサイラオーグを見つめるだけであった
「これでラストだ!」
ドッガァァ!
まるで隕石が衝突したような衝撃だった。頭上から振り落とされた極限の拳はリアスを捉えフィールドに叩きつけるが威力は収まることなく地中深くまで進行させる。全てを出し切ったサイラオーグは力尽きて落下してしまうが『白龍皇の光翼』を展開した伸元がキャッチした
「おれは……かったの、か」
「大勝利だ!今は目を閉じて休め」
「そうさせて貰う…石動よ、いつ………か」
最後まで言い切ることなく彼は意識を失ってしまった。待機していた救護班と同行してきたアーシアたちにサイラオーグを頼むとセラフォルーのところへ戻った
「アイツは?」
「ソーナちゃんたちが付き添って運ばれて行ったよ、ねぇノブちゃん…なんでリアスちゃんは『オーフィスの蛇』を持っていたの?」
「今のオーフィスが直接渡すとは思えないし、禍の団と繋がっていたのかもしれないけど」
「けど?」
「何か別の力を取り込んでいたと思う。サイラオーグの攻撃を避けたり後ろに跳んで威力を軽減することなんてグレモリーには出来ない」
退場した木場なら可能だが近接戦が不得手なリアスに出来る芸当ではない、対峙していた彼なら分かるかもしれないが満身創痍の状態で問いただすのも気が引ける
「俺達も運ばれた病院に行きますか」
「ねぇ…どうなるんだろう?今年に入ってから色々なことが起きて大変なのに、結んだ和平も形だけになっちゃって」
「でも1つだけ断言して口にすることがありますよ」
「知ってる。私も同じことを思ってるから声にするのは止めようか☆」
「会長が揃った時に言いましょうか」
「うん☆」
そう言って2人はリアスが運ばれた病院へ向かうのであった
戦闘終了です。リアスがサーゼクスと同じように滅びのオーラ形態になりましたが、サイラオーグの拳の前では無力に過ぎません(ガイ先生の技ですが)
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
石動君の技にキン肉マンから抜粋してもよろしいでしょうか
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マイナーな技も出してくれよ OK
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ハイDにキン肉マンは合わないから NG