争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
「サーゼクスと妹は封印されたのか」
「恩赦があれば外に出られるが、終身刑に等しいな」
「滅びの力で自身を滅ぼすとはな、滑稽だな」
「リアス・グレモリーが『オーフィスの蛇』を使っていたんだが出処は分かるか?」
反対側のベンチに座る銀髪の青年とは背中合わせで顔を見ていない、今日は駒王学園の学園祭であり一般の来場者も多く盛大に賑わっている。伸元は生徒会の面々と一緒にトラブル対応に駆り出されていた
「旧魔王派の奴等が関わっていると思うが確信は無い、蛇が渡されたとしたらグレートレッドとオーフィスとの和解前になるな」
「明日聞いてくるから詳しいことが分かったら伝える」
「それと美猴からの情報だが、シャルバの奴が今回の件を受けて悩みだしたみたいだ」
幹部のクルゼレイを失い瓦解した英雄派を雑兵として取り込んでいた旧魔王派だがサーゼクス・ルシファーの度重なる愚行やバアル家の没落を見て、自分たちの存在意義について悩んでいるみたいだ
云わば、何もしなくても悪魔社会は勝手に崩壊するのでは?と集団内で意見が上がっている。武力行使をすることが無駄な労力だと感じてしまったのだ
「平和が一番だけど…なんの為に戦ってきたんだと思うな」
「強者との戦いに明け暮れていた俺にとってはシンパシーを感じるな」
ヴァ―リは烏龍茶を飲み干してゴミ箱に投げ捨てる。実際のところ冥界の世論調査でも現魔王の体制を批判しシャルバたちのことを受け入れる層が段々と増えてきた。この状況下で『王の駒』の存在を明かしたら国家を運営することは難しくなる
「何を考えている?」
「今の冥界ってラーメン屋の元祖と本家の争いみたいだなって、些細なことで争いが起きて引き返せなくなるほど疲弊して」
「振り返ったら瓦礫の山か」
その言葉にGガンダムのワンシーンが思い浮かぶ、ガンダムファイトを勝ち抜いた東方不敗がクーロンガンダムから見た光景が自分たちの手で荒廃させてしまった地球であったことに絶望したことに
「話は変わるが昨日ラーメン屋でこんなものを貰ったんだが」
懐から1枚の名刺を取り出した。そこには『苺プロ代表取締役社長 不知火フリル』と書かれ事務所の住所と電話番号が記載されていた
「おいおい、芸能事務所にスカウトされたのか」
「行った方がいいのか?」
「人生何事も経験だぜ!嫌なら止めればいいってことだ」
「そうか」
立ち上がったヴァ―リは校舎の外に向けて歩き出した。戦うことに明け暮れていた彼から憑き物が落ちたように穏やかになっていた。この変貌にアルビオンは声を出すことができず無言になるだけだった
「あ~んするのじゃ!ミリキャス」
「恥ずかしいな」
爪楊枝で刺したタコ焼きを彼の口に近付ける九重は、自身の息で冷ましてから再びミリキャスの口元に運んだ
「はふぅ…はふ、おいひぃです」
「そうか、じゃあ今度は私にやってほしい」
「分かりました」
仲睦まじい様子を校舎の屋上から望遠レンズで覗くグレイフィアは息子の成長に歓喜して笑みをこぼしていた。サーゼクスとは正式に離婚しミリキャスが大学を卒業するまでは人間界で暮らすこと決めた。その後のことは不明だが彼女は伸元からプレゼントされた簪に手を触れる
グレイフィアにとって彼がシトリー家の姉妹と結ばれるのは好都合であり、所帯を持てば使用人が必要になるので自身に白羽の矢が立つ、状況によってはミリキャスの弟か妹が誕生する可能性もある。働く場所が学園から変わるだけなので問題は無い
「(さようならサーゼクス・ルシファー)」
ゴミ箱にプロポーズされた時の指輪を捨てた彼女は望遠レンズを仕舞って職員室へ戻っていくのであった
「ここにいたんですね」
「かい…ソーナも一休みで?」
その問い掛けに頷いた彼女は『空飛ぶスパゲッティモンスター教研究部』で貰った駄菓子を伸元に手渡した。ソーナは目を閉じて口を開けていたので彼はポケットに入れていた『綿パチ』を詰め込もうとしたが直前で閉じられてしまい逆に入れられてしまった
「お見通しですよ」
「残念!」
ブラックコーヒーが甘くなりそうな空間を血涙を流して見つめる匙は握っているコンクリートの柱を握力で亀裂を刻み込んでいく、後夜祭のダンスにソーナを誘おうとしたが自身の目の前で幸せそうな笑顔を披露するのを見つめている
2人が親しい仲なのは知っていたが友人関係止まりだと思い込んでいた。匙の夢はソーナと『できちゃった結婚』することだったが自分のことを恋愛対象として見てくれていない、でもいつか振り向いてもらえると信じてアピールしていた。伸元が人間のままだったら寿命で亡くなった後に自分が隣に立つはずだったのに
「私のパートナーになってくれますか?」
「俺でよければ」
「エスコートしますので信じてくださいね」
無残な宣告を聞いてしまった匙は試合に負けた矢吹ジョーのように真っ白になってしまった。彼に宿るヴリトラが慰めの言葉を掛けるが耳に全く入らない、だが千載一遇のチャンスは割と近くに迫っているのをまだ知らない
学園祭が終わった翌日に冥界でアジュカの説明を受けた。やはりレーティングゲームのトップランカーたちは『王の駒』を使用していた。そして賄賂・八百長などの不正が行われ不誠実な競技となっている。無論だが不正に手を染めることなく実力だけで上り詰めた悪魔も一定数存在する
「それで『オーフィスの蛇』はどうやって?」
「アガレス家とのゲームが終わった時に控え室のロッカーに入っていたそうだ!ただ映像はもう消されているし誰が仕込んだのか分からない」
そしてソーナはアジュカに自身の考えである別リーグ構想を提案した。少し難色を示した表情だが彼も思うところがあり"検討する"と答えた
説明が終わると今回の事件に関わった面々はレイヴェルに案内されフェニックス家への招待を受ける。大広間で久々にライザーと顔を合わせると伸元の両手を掴んで感謝の気持ちを多く述べてくれた。グレモリー家との婚姻騒動の時に出会っていなければフェニックス家は今頃没落していた可能性があるからだ
フェニックス夫妻から学園卒業後の進路について聞かれると、何も考えていなかったことに恥ずかしさを感じた。2年生に進級したての頃は進学を模索していたが今の自分がサラリーマンになる未来を想像することが出来なかった
適当に答えをはぐらかし宴会が終わると彼は冥界のシトリー家の邸宅に戻り、ベッドの上で仰向けになりながら今後ことについてドライグたちと話し込んでいた
『(好きに生きれば問題なかろう、相棒はどんなことでも可能にする力を持っている)』
『(今まで様々なことを成してきた報奨を得てきたのだろう?食う寝るに困らぬ生活を過ごすことが出来るのは幸せなことだ!)』
二天龍の意見も役に立ちそうで役に立たない、ソーナの夢を叶える為に尽力するつもりだが、相乗りしているだけで自分の夢ではない
この世界に転生した頃は『平穏無事に過ごしたい』という想いで生きてきたが周囲が許してくれなかった。道中に出会った上から目線でドライグのことを罵ってきた悪魔に対してダイスを投げて『過食症』にさせたこともある
「ノ〜ブ〜ちゃん!」
湯上がりで頬が紅く染まったセラフォルーが答えを聞かずに部屋の中へ入ってきた。頭部には彼がプレゼントした簪が飾り付けられている
「どうしました?」
「用が無いと来ちゃダメ?☆」
「いつでもいいですよ」
甘えるような仕草で彼女は伸元の太ももの上に跨いで抱き着いてきた。気まぐれで猫のような態度で構ってほしいアピールのつもりらしい
「昔は私の膝の上に乗っていたのに今は逆だね☆」
「凄く前のことですね」
「私の膝は2人だけの特等席よ☆」
ソーナに甘えてもらいたい時もあれば彼女に甘えたい時もある。最近は泣き落としが通用しなくなってきたので別の手段を模索中みたいだが中々上手くいかないのが実情だ
「ノブちゃんは偉いよ!力があれば何でも好き勝手にすることが出来て傍若無人に振る舞うことが出来るのに、ソーナちゃんの夢を応援しながら世界を救っちゃうんだもん」
「………でも」
「悩むことが出来るのは生きている証なの☆ロボットみたいに決められたことを無感情で淡々と終わらせていくのって虚しいでしょ」
どうやら自身の悩みを見抜かれていたようだ
「でも欲望を抑え込んでいたら疲れちゃうよね。頑張ったらご褒美がないと」
「それはソーナにも言ったらどうですか?」
「もう伝えてあるから大丈夫☆…ところで何でソーナちゃんのことを呼び捨てにしているのカナ?まさか同棲して深~~~い関係になっちゃったのかな?」
笑顔だが目が笑っていない、ここは言葉で取り繕ってはぐらかすより真実を伝えるしかない
「ねぇ…ノブちゃん!ソーナちゃんと一緒に私も幸せにしてくれる?」
「えっ?」
「答えはこの中で聞かせてね」
セラフォルーは伸元の持っているボールを投げて室内にテントを展開させると彼の手を引いて中に入っていった。ここから先はR-18になりますので割愛しますが伸元は初キスよりも童貞を先に奪われるのであった
大人の階段を上ってしまった石動君でした。年上のお姉さんなら大丈夫ですね(というより周囲に年上しかいない)
そろそろ終わり方も考えながら物語を考えます
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