争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
物事は単純に考えよう
「1.2.3、四ッ国!四ッ国!」
3倍録画で擦り切れたビデオテープから再生された映像を見ることもなく彼は怠惰を貪りながら研究に浸っていた。特殊加工されたフラスコの中には2つの魂魄が蠢いている。表面には付箋が貼られ『ヒョウドウ・イッセー』『カミキ・ヒカル』と記されていた
カミキの魂魄から記憶を抜き取りプレステのメモリーカードに転送するが中身を確認することなく全てをゴミ箱へ捨てていく、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーは自身の研究室で永遠に続く暇つぶしを満喫することなく大きな欠伸をしてしまう。自身と同じ超越者のサーゼクスが表舞台から消えたが興味を持つことなく些末な出来事として捉えていた
「な~んか面白いことでも起きないかね~、おじさんこのままじゃ暇すぎて死んじゃうよ」
彼はまだ知らない自身の研究室が危険物でいっぱいであることを、そして経年劣化が原因で『ヒョウドウ・イッセー』と貼られたフラスコにひび割れが起きていることに気付いていなかった
三大勢力は停滞期に陥った。和平が結ばれた頃は魔王に対する支持率や過去のわだかまりを乗り越えていくと民衆から期待の眼差しを向けられていたが出てくるのはマイナスなことばかりだった。特にサーゼクスの別居から続くスキャンダルの連続は現体制を批判するにはもってこいの材料であり大王側も攻撃していたが共倒れする形で没落していった
本来なら滞っていた若手悪魔たちのレーティングゲームを再開させ結果を残しているシトリー家の面々から昇進試験を受けさせる流れになるのだがリアス・グレモリーの愚行によってストップしてしまった
「アジュカ様は大丈夫でしょうか?」
ソーナの問い掛けに彼は答えることが出来なかった。彼女は肩を揺さぶって起こそうとするがぐったりとしている伸元は呻き声をあげながら体をゆっくりと反転させるのが精一杯であった
「なんで、そんなに元気…なの」
「悪魔ですから」
「左様ですか」
自身のYシャツを素肌の上に纏いソーナは襟裳の匂いを嗅ぐと冷蔵庫を開けてベッドの下で倒れているセラフォルーの手元にポカリのペットボトルを置いたが彼女も殆ど動けない状態で穴から体液を垂れ流していた
親しい魔王に初めてを奪われた伸元は同日にソーナにも襲われた。彼女も姉と同じように自身がプレゼントした簪を挿して部屋に訪れてたが、室内にテントが展開されているのを見て強行突破で突撃し彼はソーナも受け入れた
「姉妹共々…私たちを甘くみないでくださいね」
「お手柔らかに」
「大丈夫です。それに石動君にはグレイフィア様にも寵愛を与えてもらいますので」
多妻に関して自分と姉を深く愛してくれるのなら容認するスタンスで、グレイフィアを迎え入れることも彼女が提案した。1人を奪い合う醜い争いを起こすのではなく彼に全員を分け隔てなく愛してもらおうということである
『(とんでもない悪魔を伴侶にしてしまったな相棒!)』
『(よっ!この年上キラー)』
ドライグとアルビオンが合いの手を入れて茶化してくる。受け入れたのは自分の意志だから逃げるつもりも無い、なおソーナは進学を控えているので当分の間は子を宿さない避妊魔法を施すことになった
シトリー家の当主で姉妹の父親も今回のことに関して問題なく承諾してくれた。長女のセラフォルーが生涯未婚で終わることも危惧していたが2人の相手が自身の良く知る伸元なら大丈夫だと太鼓判を押す
「ソ〜ナちゃん」
ぐったりしていた魔王が復活し下着姿のまま妹のことを抱き締めた。普段ならスキンシップ嫌がる彼女だが同じ男性を愛した直後なので邪険にすることなく姉に抱かれる
「そんなに見つめなくてもノブちゃんにも後でいっぱいギュ〜☆ってしてあげるから待っててね☆」
そこには魔王の威厳は無く年上の女の子として彼のことを見て笑っている。彼女たちが自分のことを好いているように彼もシトリー家の姉妹を愛してる。森の中で迷子になっていたソーナと出会ってシトリー家の庇護を受けてから約10年の月日が過ぎようとしていた。素直になろう!彼女たちとこれからも…いつまでも
「あのね大事なことなんだけど2人には先に教えちゃうね☆」
ちょっとだけ真面目で真剣な顔になったセラフォルーの発言は、彼にとってあることを決めさせる切っ掛けになる
「お待ちしてました石動様」
魔王領ルシファードの外れにある窓の無い建物に乗り付けられた黒い高級車の中から伸元が現れ、スーツ姿の女性が頭を下げてると前に立ってエスコートをする
テンキーを高速で叩きパスワードと声紋・指紋・網膜のセキュリティチェックをクリアして重厚な扉が開かれ畳のある和室に通された
「あと1名が訪れるまでもう少々お待ちください!」
身元を探らせないように仮面と漆黒のヴェールで顔を隠した女性悪魔は自身の影に溶け込むように消えてしまい室内には伸元しか存在しない、彼は懐から取り出したアジュカ・ベルゼブブからの招待状に目を落とす
セラフォルーから通じて渡されたモノなので偽物やイタズラではないと予想出来る。不祥事でサーゼクスが消えたことで残った3人の魔王たちは今の状況下でふざけている余裕は無いので文面から本気であることが分かる
『(今の悪魔たちに未来などあるのか?)』
「(さっさと終わってほしいな)」
『(息を吐くようにイチャイチャしおって)』
2人と結ばれてから仲睦まじい日々を過ごしている。台所に立つようになったエプロン姿のソーナはタブレット端末を見ながら料理を作るようになったが発展途上の真っ最中で醤油を入れたはずなのにケチャップの味がしてしまう珍料理を生み出してしまう
そして空気になっていたゼノヴィアは覚悟を決めた!ソーナやセラフォルーが子を宿し出産したら乳母として立派に成長させようと心に決め、彼等が安心して暮らしていけるようにマタニティスクールの選定やオムツの交換方法などを学び自己の能力向上にむけて邁進している
「準備が整いましたので魔法陣の上にお乗りください」
言われるがままに促され足を踏み入れると彼は光に包まれ転送された。瞑っていた目を開けると目の前には3人の悪魔が椅子に座っていたが、その面々が異質だった
招待状を出したアジュカがいるのは勿論だが、対面にはレーティングゲームにおいてランキング1位の絶対王者で皇帝・王者の異名を持つディハウザー・ベリアルがいて隣には
「シャルバ…どうしてアンタが?」
「赤龍…いや今は夢双龍か」
禍の団で旧魔王派を率いる頭目のシャルバ・ベルゼブブが座っていた。驚く表情を見せるが目の下に濃い隈を浮かび上がらせている彼から全く敵意が伝わってこない、上座のアジュカに促されて伸元は腰を降ろす
「驚かせてすまない、今回のことはそこにいるベリアル家のディハウザーが持ち掛けてきて俺も青天の霹靂だ」
『どうなっていやがる!何故テロリストと王者が肩を並べているのだ?』
『ベリアル貴様もまさか?』
ドライグたちも状況に混乱しているが誰も答えてくれない、アジュカは咳払いをして3人の視線を集中させる
「グレモリー兄妹のせいで冥界は混迷を極めている。天使・堕天使との和平協定も形骸化してしまい殆ど無用の長物として機能していない、悪魔を統べる長として言わせてもらうと我々は段々と滅びゆくだろう」
長寿が故の悩みは子孫繫栄が難しいことである。赤ちゃんが産まれにくい環境で年齢別の人口推移を表した横棒グラフが上に向かうほど伸びているが若年層は男女ともに短いのが実情である
「我々が動かなかったのは戦力を整える意味もあったが、争いで散っていったクルゼレイたちの墓を立て弔いながら悪魔の在り方を静観していた。懐古主義ではないがやはり昔の方が良かった」
「私は生前従姉妹から『王の駒』について知らされた。最初は鼻で笑っていたが亡くなった後に匿名の知らせを受け調べさせてもらった。そして従姉妹の死に古い悪魔たちが関わっていることに」
クレーリア・ベリアルはリアス・グレモリーの前任として駒王町を管轄していたが教会の戦士である八重垣と恋に落ちた。表向きは相容れない組織との恋愛を理由に粛清されたが彼女の死には冥界上層部が関わっていた
「それでどうしろと?」
「前にも言ったが私は貴公とシトリー家の兵士を高く評価している!偽りの魔王を席から退かせた手腕を持つ夢双龍としての意見を聞きたい」
その言葉に少し黙り思案する。敵対していた集団のリーダーから褒められるのは背中の痒くなってしまう
正直な気持ちを話すなら『勝手にしてくれ』である。冥界や悪魔の未来を自分に託そうするのが分からない、しかしそんなことを口にしたら今回の会談が混迷を極めるので1つの意見を提示するとアジュカ・シャルバ・ディハウザーは三者三葉の表情を作り最後は笑っていた。
そして翌日の昼にテレビで生放送の番組が急遽組み込まれカメラの前に4人が映っていた。MCからマイクを受け取った伸元は声高々に宣言する
今後の流れですが数話以内に本編を終わらせて、本編に詰め込むことが出来なかったネタをSSの形で執筆する予定です。(主にアガレス家との絡み)
最後のは幽白のアレです
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明日は新潟千直アイビスサマーダッシュ 頑張れ1200メートル日本記録保持馬テイエムスパーダ