争いは他所でやってくれ!最後は平穏無事に過ごしたい 作:大気圏突破
レーティングゲームが行われる5日前にライザー・フェニックスとの会談を行うことの出来た石動は人間界にあるシトリー家で彼に対してデメリットの開示をした
「嘘だ!リアスがそんなことをするはずが」
「まぎれもなく事実で当事者が目の前にいます」
赤龍帝を取り込んで結婚を破談に持ち込もうとしたこと、無防備なアーシアに向けて滅びの力を放ったこと、拠点とする領内ではぐれ悪魔や堕天使に好き勝手にされていること、鼻呼吸を嫌悪するレベルの腋臭であることをライザーに伝えた
「今のリアス・グレモリーを伴侶にしたら、確実にライザー氏の評判は落ちます。その覚悟があるのでしたら止めはしません」
リアスを見れば当然のことだが悪魔はプライドの高い生き物である。自身の肩書きや家の看板を穢されることを極端に嫌う傾向を持ち合わせている。結婚相手には相応な態度や実力が伴ってほしいものである
「俺にどうしろと?」
「レーティングゲームで彼女たちを徹底的に潰してください」
「なんだと」
言うなればライザー・フェニックスの実力を周囲に誇示をする為にリアスを利用する。冥界では彼女のことを疑問視する声があり『魔王の妹』という理由だけで優遇されているのではないのか?という声が少なからず上がっている
今回のゲームが始まる前からライザー陣営の勝ちは100%決まっている。なら魅せ方で観客たちにインパクトを与えることが必要だ、数の暴力で相手をボコしても意味がない、それならフェニックスの威厳を見せつけて完膚なきまで叩きのめす
「それなら俺や実家の評判は落ちることはないが、グレモリー家はどうなる?」
「向こうには慈悲を与えてください」
「どういう意味だ?」
今回の婚姻は本来の予定より前倒しで行われる。それならリアスの求める大学卒業まで待てば良い、約4年間で見違えるような成長を遂げていれば改めてゲームを行って求婚をする。ライザーの寛大な心で猶予を与えられたのでグレモリー家に拒否の選択肢は存在しない、逆に何も変わらないワガママ娘だったら見捨ててしまえば良い
「確かバアル家が滅びの力を欲していたな」
「その場合だとグレイフィアさんのご子息のミリキャス君がグレモリー家を継ぐと思います」
詳細は伏せるがリアス・グレモリーの母親の実家は彼女の力を求めている。出自は同じところなので血が濃くなり出生率の低下や健康に難ありという子供が産まれる可能性は否定できない、純血悪魔を増やす為の婚姻なのに真逆なことになってしまう。…家庭の問題?そんなこと人間の彼にとって知ったこっちゃないのだ
「もう1つ質問だ!なぜそこまでして加担する?部外者…とは少し違うが対岸の火事として傍観すればリアスは学園から消えてストレスフリーになると思うが」
「理由なんて特にありませんよ……強いて言えば俺はアイツのことが嫌いなんで評価が落ちて、顔を髪の毛と同じ色になるぐらい真っ赤にさせて地団駄を踏むところを見たいだけです。そして頑張っている人に正しい評価が行き渡ることを望みます」
その言葉を聞いてライザーは軽く笑った。そしてソーナ・シトリーのことを羨ましいと思ってしまう。眷属でもない一介の人間が彼女の為に策謀を考える。主従関係ではなく純粋に彼女の為に奮闘する姿を見て少しだけジェラシーを感じる
「分かった。赤龍帝お前の言う通りに動こう」
「配慮していただき感謝致します」
「そう畏まるな、こっちも地雷を踏むところだった。結婚は人生の墓場というがアンデッドの方がまだマシだ」
ポケットから手のひらに乗るサイズの小瓶を2つ出して伸元に手渡す。いかなる傷もその場で癒すことができる『フェニックスの涙』というもので簡単には入手出来ない希少で高価な代物だ
「今回の礼だ、受け取ってくれ」
互いに握手を交わすとライザーは魔法陣に乗って消えていった。後のことは彼に任せよう。今回のことで自分に課せられた役は殆ど全うしたのだから、あとはことの成り行きを見送るしかない
「ただ少しだけ言わせてもらいたい!勇猛果敢に挑んできた騎士よ、勝てぬ相手と分かっても俺に立ち向かってくる気概は見事であった。これからも日々の努力を怠るな」
レーティングゲーム終了後の勝利者インタビューで彼は木場のことを褒めていた。いきなりのことで当人はポカンとしているが観戦者たちも拍手で健闘を讃えている
「しかし残った戦車と女王の体たらくに失望した!主に対する忠道ではなく己のプライドを優先した浅ましさ手の内を隠し何も出来ずに散った有様を今一度思い出せ、これは俺に対しての侮辱…否レーティングゲームの盤面に立つプレイヤーへの冒涜だ」
小猫と朱乃に対しては辛辣な言葉を述べると、マイクを返しライザーは眷属たちを壇上に呼び寄せて今日の観戦に訪れた方々へ深く頭を下げて会場から姿を消した
結局ところ伸元の書いた台本通りにリアス・グレモリーの結婚騒動は幕を閉じた。グレイフィアから語られたグレモリー家の顛末だが、父親と母親も今の状態でリアスを次期当主に据えることを望んではいなかった。1から基本を徹底的に叩き込むと意気込んでいるみたいで夏休みは潰れることになった。魔王のサーゼクスだけは能天気に現状を満足しているようで妻のグレイフィアは深い溜息を吐いていた
「石動君もう1度言ってくれませんか?」
「だ~か~ら、なんでグレモリーたちは制服で戦っていたんだ!」
生徒会室では会長とシトリー眷属に伸元が集まって、録画されたリアスVSライザーの試合を全員で視聴し感想戦を行っていた。とは言っても彼の蹂躙劇を見るだけなので目立った意見は見受けられず、不死の特性を持つ相手への対抗手段がホワイトボードに記されるだけであった
「4人で16人を相手するつもりなのに防具の1つも身につけてないんだ?レーティングゲームに持ち込み禁止ルールでもあるのか…でも向こうのカーラマインだっけ?甲冑っぽいのは身に纏っていたな」
「俺達は駒王学園の生徒なんだ、制服で戦うのが当たり前だろ」
彼の意見に匙が犬のように吠えて抗議の言葉を述べるがソーナは顎に手を当てて考え込んでしまった。勝つ為には最後まで生き残る必要だ、言ってしまえば敵から受けるダメージを軽減する装備や散り際に相手を道連れにするギミックが重要になる
「どんな競技でも準備することは必要だろ?対戦相手の映像を見て自己鍛錬をするだけでレーティングゲームは勝てるほど単純なものなのか?」
「いいえ違います。例え能力が劣っていても知略で盤面を覆すことができます」
「会長、こんな奴の戯言なんかに耳を貸す必要はありません…俺が強くなって」
その言葉に賛同する者は誰もいなかった。彼が伸元に善戦できるレベルなら問題なかったが模擬戦では手加減されて連戦連敗である。気長に匙の成長を待つよりも勝率を上げる手段を全員で模索する方が早い
「姉さんに問い合わせてみます。もし了承を得られたら全員の採寸をします」
「かっ…会長」
「当たり前のことを見落としていた私の落ち度です。他にも似たような意見があったらドンドン手をあげて発表をしてください」
ホワイトボードが文字で埋まり、とりあえず先々の基本方針は定まった個々のレベルアップも必要だが、埃を被って疎かにしていた部分を掃除し新たな可能性を模索する。やはり彼が自分たちの味方でいてくれることに安心感を抱く、出来ればこの関係が長く続くことを願うソーナ・シトリーであった
リアスの結婚騒動編(アニメ1期)は終わりです。とりあえず彼女は地上で学生生活を続けることが出来ますがプライドを大きく傷つけられたので、悪いことを考えていると思います
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