その後、ルードくんにぶつかった男の子とお母さんが謝ってきた。
「私たちも通行の邪魔になってしまったかもしれないし、気にしないでください」という旨を伝えると感謝しつつ去っていく。
ぼくにもあんな時代があったなと思いつつ見送り、ふとさっきの老夫婦のことを考えてしまった。
「なんだったんだろうねあの二人……というかおばあちゃんの方……」
と、みんなに話しかけるとハクアさんが神妙な顔になって、
「いえ、聞いたことがあります……!」
と名探偵じみた語りを始めた。
「知ってんのかハクア姉……!?」
「はい。彼女はおそらく持っているんです。あの資格を……!」
「まじか……!?」
「恋愛テクニックを知り尽くしたハンターたち……数年おきに、秘密裏に開催されるハンター試験を通過した人だけに与えられる『
なんのための資格なんだそれ。
「彼女があの……!?」
「はい、恋愛偏差値140を超えた者でなければ参加すらできない……過酷な試験……!」
偏差値140て。
「特定の飲食店で、合言葉を店主に伝える必要があるっていうのも聞いたことがある……」
ルードくんも知ってるんだ……てかそれハンター○ハンターすぎない?
「そしてこれも聞いた話ですが……およそ五十年前に、ハンター試験に初めて挑戦するルーキーながら、総合成績一位で突破し、『
「あの人と、年齢は一致するな……」
「彼女は敬意と畏怖を込めて『
「秘密な割に結構知られてるね?」
「ふふふ、リリィさん? これが現代の乙女の嗜みですよ?」
「どんな嗜みだよ……」
「あいたっ!? なんで叩くんですかコクトくん!?」
流れるようにハクアさんにチョップをかましたコクトくん。「ぽこっ」という軽い音と共に抗議の声が上がる。
「わーん、キズモノにされちゃいましたー! コクトくんの不良ウサギ! DV男子! 慰めてくださいリリィさーん!」
「なんで
とてもじゃないけど痛そうに見えないハクアさんが、ぼくに抱きついて助けを求めてくる。
「わひゃっ!? えーと……よしよし……?」
とりあえず二人の漫才に水を差さずに受け入れておこうかな。そう思いつつ、ぼくは胸元にあるハクアさんの頭を撫でてみた。
それにしても、ぼくって意外と触覚が鋭いんだな。さっきからなぜか女子っぽいリアクションばかり出ちゃう。そういえば昔からくすぐったがりではあったかな。
「ぐへへ……おっぱいでかくて最高です……」
なんか言ってんなこの子。
「リリィさん、早くそのセクハラくそカラスから離れた方がいいっすよ……」
「なんでですか! さっきはルードさんも堪能してたから、うちが触ってもいいじゃないですかー!」
「不可抗力と故意だと話変わってくるだろ……?」
「こ、恋!? こここ、コクトくんってば、うちのこと好きだったんですか……?」
「ハクア姉……」
「コクトくん……」
「はい逮捕……セクハラで現行犯だな……」
「うわー!? 乙女の純情を弄ぶなんてサイテーですよコクトくーん!?」
「乙女の肉体を弄んだ奴がよく言うよ……」
「離してください! うちにはまだ、リリィさんの柔らかさんを堪能する責務がー!」
「「「そんな責務あってたまるか!」」」
おっと三人の心が一つに。
なんてことを考えていると、