blue sky archive   作:subnautica

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閑話です

宇宙に興味を持ったシロコがスペースアノマリーで宇宙の文化を学ぶ話です


サブミッション シロコの宇宙見学

サブクエスト シロコの宇宙見学

 

セリカがらみのごたごたが片付いてからしばらくのこと……

 

「コーストさん、また宇宙に行ってみたい。」

 

シロコは一度宇宙に出てから宇宙に対してかなり興味を持ったらしく、いくつか宇宙に関する雑誌を買ってみたり、取りに行った月の石を時々眺めたりしてる。

 

「行くのはいいが、どんな場所に行きたいんだ?」

「ん……、そういえばコーストさん以外にも宇宙にはいろんな人がいるんでしょ?その人たちに会ってみたい。」

 

その言葉にコーストは一瞬自分の貨物船団に連れて行ってやろうかと考えたが、あいつらは海賊上がりなだけあって基本的に態度と口が悪い。

言葉は通じないだろうが、純粋なシロコを連れて行くと悪影響が出そうなのでやめておいた。

 

「う~ん……あ、俺たちみたいなトラベラーが集まるスペースアノマリー*1っていう施設があるんだが、そこに連れて行くっていうのはどうだ?」

「ん!」

 

シロコは目をキラキラさせてうなづいた。コーストの同族(トラベラー)が集まるという言葉に引かれたらしい。

 

「それじゃ、ホシノたちに知らせてから出るか。」

 

そう言って二人はホシノたちに許可を取ってコルベットへと向かった。

ワクワクするシロコと歩く姿は休日に娘を外に連れ出す父親のようである。

コーストは大気圏外に出た後、いつもの感覚でスペースアノマリーを呼び出し、中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「速報です!今しがた、空のかなたに巨大な金属の球体が出現しました!正体は不明で、現在も調査が続けられています!」

 

昼寝のBGMに流していたラジオからそんなニュースが聞こえてきて跳び起きたホシノは、窓の外をのぞくと確かに空に謎の巨大な球体が浮かんでいるのが確認できた。

 

「コーストさん……これは、戻ってきたらお仕置きかな?」

 

ホシノは額に青筋を浮かべそうつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことになっているとは露知らず、コーストとシロコはスペースアノマリーの離着陸場に到着していた。

周りを見れば多様な宇宙船が所狭しと並んでいる。

その光景にシロコは目を輝かせた。

 

「盛り上がるのはいいがはぐれないようにしてくれよ?お前はここの言葉がわからないんだから迷子になったらかなりまずいぞ?」

「ん、さすがに大丈夫。子ども扱いしすぎ。」

 

そうは言うものの、目線はきょろきょろと動き回っており、興奮を抑えきれないように耳がピコピコ動いている。

どことなく不安を抱えたままたどり着いたのはスペースアノマリーのど真ん中に立っている光り輝く巨大なモノアイである。

 

「コーストさん、あれは何?」

「あれはネクサスと言ってな、銀河のいろんな人が出した依頼をあそこで受託できるんだ。」

「例えばどんなの?」

「そうだな、特定の資源を採掘してこいだとか、有害植物の駆除、あとは原生生物を手懐けるなんてのもあったな。」

「ん、最後のはなんだか楽しそう。」

 

シロコは何てことなさそうに言うがそんなことはない。

手なずけるのが落ち着いた環境の土地ならまだいいのだが、やたらと嵐が多かったり、放射能や有毒物まみれの惑星で作業をやらされることもあり、字面に比べてだいぶ過酷な仕事である。

そもそもシロコが想定している生き物は地球にいるような生き物たちだが、手懐けなくてはならないのは過酷な環境を生き延びる原生生物である。

餌をやろうとした原生生物に敵対され突き飛ばされて崖から転げ落ちたのは今でも彼のトラウマになっている。

いやなことを思い出して沈んだ空気を醸し出したコーストをシロコに不思議そうな目で見つめられながら二人はネクサスの横にある階段を上った。

 

 

 

 

 

 

階段を上った先にいるのはコーバックスの司祭ナーダとゲックの技術者であるポーロ。

コーストの友人である。

 

「ktszik jkjskrtgf zsxhtvy kzwtrn?」

「……コーストさん、この人はなんていってるの?」

「ああ、彼は『久しぶりだなトラベラーよ、横にいるのは新しい友人か?』と言っている。……『その通りだナーダ。彼女は私の新しい友人、仲良くしてやってくれ。』」

 

コーストがそう言うとナーダはシロコに向かってその右手を差し出した。シロコはいまいち状況を呑み込めていなかったが、とりあえず握手しておいた。

 

「このスペースアノマリーは彼のものでな、そしてここの設計はそこにいるポーロがすべて一人でやったんだ。」

『やぁ、友人!まさかあなたが新たな友人を連れて私たちに会いに来てくれるなんて!きっといろいろなことを経験したんだろう?さあ、私にもその物語を聞かせてくれ!』

 

妙にテンションの高いポーロにシロコがぎょっとする。

地球人視点からするとゲックは二足歩行のカエル顔といった印象にどうしてもなってしまうのでインパクトが強いのはどうしようもない。

 

「『ハハ、すまないなポーロ。今日は彼女にここを案内するのが優先だ。心配せずともまたすぐにやってくるからその時に話してやるさ。』」

『そうか……先約があるなら仕方ないねェ。また会いに来てくれるその時を楽しみにするとしよう。そこの新しい友人もよろしくねェ。』

 

そう言ってポーロもシロコに右手を差し出す。

シロコは苦笑いを浮かべながらその右手をとった。

 

 

 

 

 

 

 

二人に見送られながら次に二人が向かったのは中央の部屋から向かって左にある巨大なワープホール、星間ターミナルである。

 

「ん、これはコーストが基地においてあるのと同じ?」

「まあ、そうだな。サイズは違うが機能は大体一緒だ。」

 

コーストがアビドスの校庭に作った家にもワープゲートは置いてある。

コーストは本拠点との行き来にちょくちょく使っているが、対策委員会の面々はどこか怖いのかあまり近づこうとはしない。

 

「ワープゲートはどこにでも行けるの?」

「ああ、行きたい場所のワープゲートの座標が記録してあれば銀河の端から端でも、はたまた別の銀河にだって跳ぶことができるぞ。」

「おお……」

 

予想以上の回答にシロコは考えるのをやめた。

 

 

 

 

 

 

次に向かったのは中央から向かって右の部屋、食に対して強いこだわりを持つゲック、イテレーション:クロノスの元である。

 

『うん?なんだトラベラー、私に批評してほしい料理があるのか?まて、お前から漂う香り……かなりいいものを持っているな?』

 

インベントリ内の料理がにおいを発するとはあまり考え難いのだが、それでもにおいを感じられるというのは彼の食に対する愛が為せるものだろうか。

 

「『ああ、私が作ったものではないが、これに関しては自信があるぞ!』」

 

そう言ってコーストがインベントリから取り出したのは以前店に立ち寄った際にしまっておいた柴関ラーメン。

インベントリ内の食品は状態がほとんど固定されるため、出来立て同様である。

コーストがクロノスにラーメンの器を渡すと彼は無言となって一心不乱に食べ始め、瞬く間に完食してしまった。

 

『銀河にはまだこんなにも素晴らしい食があったとは……感謝するぞトラベラー。ぜひこれを作ったものにも感謝を伝えておいてくれ。』

 

クロノスは余韻に浸るようにそう言っていつもよりかなり多めのナノマシンクラスターを渡してくれた。

 

「ん、確かに柴関ラーメンはおいしい。宇宙で認められるのも納得。」

「だな。クロノスの感謝を伝えるのもかねてまた食べに行くか。」

 

満足げなクロノスを背に二人は最後の目的地に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

二人が最後に訪れたのはコンパニオン*2のホロデータ同士を争わせるゲーム、ホロアリーナの台である。

 

「ん、これは……動物同士が戦っている?」

「ああ、これは自分が持っているコンパニオンのデータを戦わせるゲームだな。最近あちこちではやっててな、ここにも台が設置されたんだ。」

「動物同士を戦わせるのって大丈夫なの?」

「まあ、あくまでコンパニオンのデータだけだからな。実際に自分のコンパニオンが傷つくわけじゃないから大丈夫さ。」

 

コーストが説明していると後ろからホロアリーナに熱心に取り組むトラベラーのオケアノスがやってきた。

 

『おや、コーストさんじゃないですか、お久しぶりです。今日は私とホロアリーナの対戦に来てくれたのですか?それとも……新規プレイヤーの方を連れてきてくださったので?』

 

オケアノスが好きなゲームの布教のチャンスにテンションを上げる。

強い熱意にシロコがたじろぐ。

 

『いや、彼女はコンパニオンを持っていないからな。プレイはちょっと難しい。』

『そうですか……それは残念です。コンパニオンを捕まえたらぜひプレイしてみてほしいとそこの方に伝えておいてはもらえませんか?』

『はは……伝えておくさ。』

 

あまり長居すると彼のホロアリーナ談議が始まってしまいそうな感じがしたので、軽く会釈をして二人は足早に去っていった。

 

「別にアイツも悪い奴じゃないんだが……ホロアリーナのことになるとだいぶ押しが強くなるんだよな……。」

「ん、確かにあの人の熱意には驚いたけど、ゲームはとても面白そうだった。私にもできる?」

「う~ん、シロコはコンパニオンを登録するための端末を持ってないからな……やるにしても俺のコンパニオンを使う感じになるだろうな。」

「そういえば、コーストはどんなコンパニオンを持ってるの?」

 

言われてみれば対策委員会の前でコンパニオンを出した記憶がないことに気づいた。

せっかくなのでシロコの前に一体出してみることにした。

呼び出したのはヘルメットのような殻が特徴のヤドカリ「tuligar-tuligar」である。

 

「ん?……これはヘルメット?」

「まあ確かにヘルメットにしか見えないがこれはあくまで殻だ。これと同じ奴が何匹も深海を歩いていたからな。」

「ん。生命の神秘。」

 

シロコは考えるのをやめた。(二回目)

 

 

 

 

 

 

「さて、スペースアノマリーの紹介はこんなもんかな。どうだった、シロコ?」

「ん、楽しかった。地球の常識が通じない感じがすごかった。」

 

ほめているのかどうなのかよくわからない返答だったが、とりあえずは気に入ってくれたようだ。

 

「そろそろ帰るが何かやり残したことはあるか、シロコ?」

「あ、じゃあ写真だけ取らせて。さっきのヤドカリも一緒に。」

 

そしてネクサスの前でヤドカリを背後に二人で写真を撮った後、スペースアノマリーを出てアビドスに帰還した。

撮影した写真はシロコが自室に飾っている。

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ~てコーストさん、何で今正座させられているのかちゃんとわかってるのかなぁ~?」

「スミマセンデシタ……。」

 

地球に戻ってきたコーストは速攻でキレたホシノに拉致られて部室で正座させられていた。

いかつい見た目のスペースアノマリーがコーストが帰ってくるまで上空に居座っていたことでキヴォトスはちょっとした混乱状態になていたのである。

「コーストさんがあれ呼んでから、キヴォトスは大騒ぎだったんですよ?」

「まあ、これはコーストさんが悪いわね。」

「あはは……頑張ってください、コーストさん。」

 

どうやら他に味方はいないようだ。

 

「ホ、ホシノ、エクソスーツは重くて、この座り方だと足のしびれがひどいんだ。だからせめて別の座り方に――」

「本当に反省してるなら問題ないでしょ!」ツンツン

「あががっ!」

 

 

 

シロコの宇宙見学はキヴォトスに波紋を生んだものの、とりあえずは平和的に幕を閉じた。

 

*1
No Man's Skyにおける主要な施設が集まるマルチロビーのような場所。巨大な金属の球体であり、メニューから呼び出すことができる。

*2
要はペット。惑星上で気に入った生物を見つけた場合、えさを与え手懐けることで自分のコンパニオンにすることができる。




subnauticaです

前回のあとがきで次は便利屋みたいなことを書きましたが、ちょっと書きたいネタがあったので閑話を挟みました。

こういう閑話はちょくちょく挟んだほうがいいんですかね。

それと、私の小説をお気に入りしてくださったり感想をくださる方、本当にありがとうございます。とても励みになっております。

これからも温かく見守っていただけると幸いです。

次回からは元のストーリーに戻るかと思います。

では、また次回お会いしましょう。
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