2026/5/8 一部文章を編集、追加
1 惑星earth
私はアトラスの助言を受け入れた。ほかに選択肢があるはずもない。
私もアトラスの一部で、アトラスなしに存在しえないのだ。
機械が完全に壊れ、このシミュレーションが停止するまでに、どれほどの時間が残されているかはわからない。
だが、少なくともここには無数の星々、無数の銀河がある。どこを探索しようが私の自由だ。
今はただ、この旅を楽しむだけだ。
少し昔、数千光年離れた銀河のかなたで…
「この星系にも楽園の惑星はないか……やはり意図して探そうとするとなかなか見つからないものだな」
彼の名はコースト、宇宙を旅するトラベラーだ。
以前は銀河全体にかかわる厄介ごとに巻き込まれていたが、今は自由に宇宙船を乗り回している。
今は趣味の楽園惑星探しに躍起になっているが、実は貨物船団のオーナーをやっていたりもする。
「今日だけで何回ワープしたんだ…いい加減次見つからなかったら一度休むとするか。」
人が快適に住める環境の楽園惑星がそう簡単に見つかるはずもなく、さすがに一度休もうかと考えていたところ、
ワープマップに奇妙な星系が映った。
「ん……?なんだこの星系は。」
その星系は本来多くても1つの星系に6つほどしか存在しないはずの惑星が8つも存在し、星系の特徴を示す色も赤でも黄色でもなくオレンジのような色をしている。
「もしかしてアトラス*1のバグか?今までそんなもの見たことないが……まあ、これも何かの縁だろうし最後に跳んでみるか。」
そう言うとコーストは目的地をその星系に定めハイパードライブを起動した。
この時のコーストはちらっと星系を覗き見て自分の基地に戻る予定だったが、数々の混乱に巻き込まれしばらく基地に帰ってこなくなるとはこの時は思ってもいなかった。
たいよう 星系
Eissentam | 新しいディスカバリー
「おお、確かに惑星が多いな、スキャナーの故障というわけではなかったか…お!」
ジャンプしてきて早々に見えたのは明らかに普段見かける星系より多い惑星とその衛星の数である
が、彼のそんな疑問を吹き飛ばす惑星が現れた。
「青色の大気、青い海、緑色の土地……これ以上ない惑星じゃないか」
宇宙船搭載のスキャナーでも確認したが、しっかり楽園の土地と記載がされている。どうやらセンチネルもいないようだ。
「さあ、新たな基地建設地にふさわしいか見せてもらおう。」
そう言い残しコーストはパルスドライブを起動し惑星「Earth」へと乗り込んでいった。
パルスドライブ停止//弾道飛行を開始
Earth
たいよう星系 | coastが発見
■■惑星 ――楽園の土地?――
気候 無欠
センチネル 不在
植物 生命レベル高6
動物 生命レベル高7
意気揚々と乗り込んだはいいものの降り立った場所はどう見ても砂漠地帯なうえ、遠くでは砂嵐のようなものが見える。
環境防御こそ作動しないものの、気温もだいぶ高い。
おまけにコルベット*2を降りて惑星探査をしたら「楽園の土地」が「楽園の土地?」になっていた。なぜ疑問形なんだ。
とはいえ、惑星を覆うような規模ではないものの、傍目から見てわかるような砂嵐が起きるような惑星は求めているものとは少し違う。
ぬか喜びか…と踵を返したその時、視界の端に何かが映った。
分析バイザーを起動し確認したところ、どうやら生物のようである。それもヒト型をしている。
「この惑星に発見者はいなかったはずだが……」
警戒しつつ近づいていくとコーストの顔は驚愕に満ちた。
「ヴァイキーンでもゲックでもコーバックス*3でもましてやアノマリーでもない…どちらかというと俺と似たような容姿か?
いや、そんなことを言っている場合ではなさそうだな。」
その生命体はいままで旅をしてきながらも一度も見ることのなかったトラベラーである自身と同種族のように見えた。
思いがけない同種との遭遇に喜びかけるも、砂漠のど真ん中に倒れる同種は息はしているがどう見ても瀕死の状態であった。
「とりあえず医療ポッドに入れよう…それで目を覚ましてくれるといいが」
そういってコーストは偶然見つけた自分の同種と思しき存在――梔子ユメを担ぎ上げた。
体が動かされ少し意識が戻ったのか、彼女は彼女は何かを喋る。
『***……*****?』
初めて聞く言語のため、彼女が何を言ったのかは聞き取れなかった。だが、
「安心しろ、必ず助けてやるさ。」
彼女もその言葉を理解できなかっただろうがその言葉に安心を感じたのか、再び彼女は眠るように意識を失った。
積極的に人助けをするタイプではない彼だが、この時だけは彼女を救はねばならないといけない予感に襲われていた。
「これは、しばらくこの星にいることになるかもな」
ユメをコルベットの医療ポッドに運びながらコーストはそうつぶやいた。
p...p...p...
コルベットの船内に医療ポッドの稼働音が響く
そこで、一人の少女が目を覚ました。
「あれ……私は一体なにを……確か砂嵐に巻き込まれて…ここはどこ?」
記憶にある限り、私は砂漠を横断中に砂嵐に巻き込まれ、脱水症状で倒れていたはず。そういえば、誰かが自分を担ぎ上げてくれる夢を見たような…
『おお、目を覚ましたか。自分では一度も使ったことがなかったが医療ポッドにもちゃんと効力があるものなんだな。』
「うひゃあ!!」
突如脇から聞こえた見知らぬ言語に飛び上がって驚いた。
『おっと、驚かせてしまったか…といっても多分この言語では通じていないのだろうな。翻訳機が機能するまで相手から言葉を引き出すしかないな』
私の横で何かを喋っている彼は夢で私を助けてくれたヘルメットの人に似ている…というより現状を見る限り実際に彼が助けてくれたのだろう。
「あの…私の言葉は通じないかもしれませんが、ありがとうございました。」
頭を下げてそう言うとニュアンスは伝わったのか彼は手を振って気にするなといった感じのジェスチャーを返してくれた。
とはいえ、ずっとここにいるわけにもいかない。ホシノちゃんには何も言わずに出てきてしまったのだ。
もしかしたらとても心配かけちゃってるかも。
「あの、私アビドスに帰らなきゃなんですけど、いや、私の言葉は通じてないし、え……えと、あ、あいうぉんとぅごーとぅあびどす…?」
必死に身振り手振り伝えてみるが、コーストの扱う言語は当然英語ではないため通じない。
とはいえコーストも彼女が自分の拠点に戻りたいであろうことは理解しているし、彼自身この星のコミュニティと接触したかったので、とりあえず惑星スキャンから読み取った周辺地形図の前に彼女を連れて行った。
大半は砂漠の様相だったが、端のほうに見覚えのある街並み、そしてアビドス高校があることに気づく。
「あっ!ここですここ!お願いです!ここに連れて行ってください!」
彼に自分の言葉が伝わらないことも忘れて地形図の一部を指さし彼女は叫んだ
『なるほど、ここが彼女の目的地、あるいは拠点て訳か。よし、連れてってやろう。』
コーストはいいねのジェスチャーで同意の意を示した。
瞬間、彼女は家に帰れる安堵からか涙を流し始めた。
「よかった…私、帰れるんだ。待っててねホシノちゃん。」
こうして俺-コーストはこれから先も深くかかわっていくアビドス高校へと向かうこととなった。
そして、「ホシノちゃん」とやらへの思いが高ぶってか、高校に向かう傍らコックピットの隣で延々しゃべり続けるユメのおかげで、
翻訳機が簡単な返答を返せる程度の言語データが集まった。
数分後、アビドス高校付近まで飛んだコーストの船は……
銃口を向けられていた。
「そこの飛んでるやつ!今すぐ降りてこないなら撃ち落とすよ!」
ピンク髪の少女がショットガン片手にこちらを視線で誰かを殺せそうな目でにらんでいる。何を言っているかはまだわからないが、どう見ても歓迎されてない。
見たところ、この星の文明レベルはまだ宇宙に達するほどには成長していないように見える。そんな文明の住人からすれば突然飛んできた正体不明の飛行物体は脅威にしか映らないだろう。
当然の反応である。
相手を刺激してもしょうがないのでとりあえず建物のわきのスペースに着陸した。
着陸と同時にユメはハッチのほうへと走っていく。
「まったく、ユメ先輩も行方不明なのに次から次へと……「ホシノちゃーん!!会いたかったよおお!!」……ユ、ユメ先輩!?」
ハッチの裏に陣取っていたホシノにハッチから飛び出したユメが思い切り抱き着いた。
いわゆる感動の再会というものだろう。
「ユメ先輩今まで一体どこに行ってたんですか!」
「ひぃん、ごべんねぇホシノぢゃぁぁぁん」
もはやユメのほうは泣きすぎて会話になってないように見える。
「はぁ……先輩のことは後で聞くとして、一緒に出てきたあの方は一体誰なんですか」
そういってホシノはユメの無事を確認したからか先ほどよりも幾分か敵粛心が解けた目でこちらを見てきた。
「あ!このひとはね、……名前はわからないんだけど砂漠で遭難してた私を助けてくれたんだよ!」
「砂漠で遭難!?……一体どういうことですか先輩?」
あ… といった表情で固まるユメ。ホシノの顔は先ほどのような修羅に戻っている。
そこから先はコーストをそっちのけにしたホシノの説教タイムが始まった。
ユメがひんひん言いつつ謝る中、コーストは言語解析を進めていた。
「A...a..ああ。お二人さん、そろそろいいかな?」
「今取り込み中です。ちょっとだまってt「ええ!コーストさん、喋れたんですか!」」
正座していたユメがすごい顔をして驚いていた。
今まで必死に身振り手振りでコミュニケーションをとっていたやつが急に流暢にしゃべりだしたら、まあ驚くだろう。
「正確には今しがたある程度喋れるようになったというのが正しいな。お前さんとそいつの会話をずっと翻訳機に解析させてたからな。」
「ほえ~そんな便利なものも持ってたんですねぇ。あ!じゃあ!じゃあ!」
ユメは先ほどとは打って変わって元気になって
「私!梔子ユメです!ほら、ホシノちゃんも!」
「……私は小鳥遊ホシノです。それで?あの見たこともない航空兵器にその姿……あなたいったい何者なんですか?」
ホシノが探るような眼で聞いてくる
「そうだな……」
何者かと聞かれると自分でもわからないことが多いが、この質問の返答としてはこれが一番だろう。
「私の名前はコースト。――宇宙を旅するトラベラーだ。」
subnauticaです
ノリで書き上げました文章ですが、気に入っていただけたら幸いです
ちなみに翻訳機の稼働がやたら早いのは物語を円滑に進めるためのものです。
初投稿でわからないことも多いですが、よろしくお願いします!