ホシノがセンチネルウォーカーを吹き飛ばした後のこと……
とりあえず応援に来てくれた各陣営には後で必ずお礼をすると伝え一度その場では解散。
疲れた体を休めることとなった。
また、センチネルの件で半分くらい頭から飛んでいたカイザーとの問題だが、アビドスの借金に関して直属の責任者が不明ということもあって、いったん利率は元に戻り、今までと変わらない状況となった。
カイザーが起こした問題のあれこれの責任はすべて理事にひっ被せられていたようで、本社のほうは一切無関係であると釈明していた。
要はスケープゴートを作って責任逃れしたということだ。まあ、大人の世界ではよくあることだろう。
最後に、突如として現れたセンチネルの軍勢。
こいつらに関してだが――
「すまない先生。……センチネルの件、俺が原因だったかもしれない。」
コーストが先生に向かって頭を下げた。
「え、どういうことだい、コースト?」
いきなりのことに先生も驚きの声を上げる。
「あいつらセンチネルは惑星資源の守護を目的としてあらゆる惑星に存在している。スキャン結果ではこの惑星上にセンチネルは存在していないと思っていたんだが……この惑星は護衛対象ではないが、監視対象ではあったようだ。」
「それは、つまりどういうこと?」
「センチネルは惑星資源を盗掘するほか、特定の建造物、惑星上の工場や遺跡を攻撃すると敵対する。この惑星の住民がやる分には問題なかったんだろうが、俺たちはセンチネルの警戒対象にある星系外生命体だ。おそらく、カイザーのあの施設はセンチネルに監視されていて、俺達が大規模な破壊活動を行ったことがセンチネル敵対のトリガーになってしまったんだろう……。俺の短慮がこのような結果を招いてしまったこと、本当に申し訳なく思う。」
その言葉に先生は思案するような顔をする。
「そのセンチネルたちが出てくる条件はそれだけかい?」
「ああ。この惑星上にセンチネルが駐在しているわけじゃない。俺が今後大規模な破壊活動を行わなければ問題はないはずだ。」
「そうか。なら構わないよ。」
「……本当にいいのか?間接的とはいえ、俺はお前の生徒たちを危険にさらしてしまったわけだが……。」
「確かに、あの戦闘はかなり危険なものだったけど、別に故意でやったわけではないでしょ?それに、キミはアビドスの子たちを、私の生徒たちをここまで助けてくれた。謝罪の言葉ももらったし、これ以上何か言うつもりはないよ。」
「優しいな、あんたは。俺は、お前の生徒ではないんだぞ?」
「確かにコーストは僕の生徒ではないけど……友人ではあるでしょ?」
その言葉にコーストが笑い声をあげる。
「ハハハ!そうか、友人だからか!」
「なにさ、笑うことないでしょ!」
「すまんな。別に馬鹿にしてるわけじゃないさ。……それじゃ、これからも友人としてよろしく頼むぜ、先生?」
そう言ってコーストは右手を差し出す。
「ああ、よろしく!」
二人はその手を固く握った。
「……それはともかく、助けてくれた子たちには厚い謝礼をしておいたほうがいいだろうね。」
「……確かに、俺が巻き込んだようなものだからな。あいつらは、何を送れば喜んでもらえるのかね……。」
それから数日後、アビドス高校廃校対策委員会にて……
「では、第……第何回目かは忘れましたがアビドス定例会議を始めます!……ほら、ホシノ先輩起きてください!」
問題があらかた解決したアビドス高校ではあるが、別に借金が消滅したわけではない。
やらなければいけないことは山積みなのである。
「うへ~帰ってきて早々後輩が冷たいよ~。」
「何言ってるんですか先輩!そんなこと言うならドローンに残った再会シーンをここで上映して……」
「わ、分かったから、ちゃんとするからそれはやめて!」
ホシノが顔を赤くしてアヤネを必死に制止する。
アヤネはホシノに対して特攻カードを手に入れたようだ。
「最初からそうしてください……それで議題ですが、元の利率に戻ったとはいえまだまだ膨大な量の借金です。結局今までまともな案が出たことはありませんが、今日こそはちゃんと議論してください!」
「はい!それなら、私にいい案があるわ!」
そう言って一番最初に手を上げるはセリカ。
もう嫌な予感しかしない。
アヤネもげんなりした表情を浮かべている。
「……はい。黒見さん、どうぞ……」
「ええ!この前聞いたんだけど、アビドス砂漠の一角にある岩山に金を含んでいるかもしれない岩石があるんだって!その時はお金が足りなかったんだけど、そこの採掘権を売ってくれるって人がいて……」
「もういいです。なんでこの数日で新しい詐欺に引っかかれるんですか!」
「ええ!詐欺なの!」
「この辺りに金が取れるような地層はないですし、仮にとれたとしても手掘りで掘れる量なんてたかが知れてます!そもそも、この辺りは全部カイザーの土地なのにどうやって個人が採掘権を売るっていうんですか!」
「そ、そんな~!」
予想通り、セリカは道端でまた変な詐欺に引っかかりかけてたようだ。
今度、先生に頼んで詐欺の対策抗議でも開いてもらおう。
「まったく……。そもそも、金なんて小惑星を割ればいくらでも手に入るんだ。大した価値にならないだろう。借金返済には全く足りないぞ?」
その言葉に対策委員会全員の動きが凍り付く。
「ん?どうしたんだお前ら――」
「コーストさん、もう一度さっきの言葉を言ってもらえませんか?」
「な、なんだノノミ、顔が怖い――」
「もう一度、さっきの、言葉を、言ってもらえませんか?」
「き、金なんて小惑星を割ればいくらでも手に入るんだから、大した価値はないだろう?」
ノノミは一度深呼吸をし、再び口を開く。
「もしかしてコーストさん、金いっぱい持ってたりします?」
「あ、ああ。」
そう言ってコーストがインベントリから実体化を行うと虚空からゴロゴロと大量の金塊が机の上に現れる。
「う、うわあ……」
「わ、私、本物の金なんて初めて見たわよ……しかもこんなに。」
セリカたちが恐る恐る金塊を指で触れたりしながら眺めている。
全員がその輝きに目を奪われているようだ。
「え、どういうことだ?」
「……コーストさん。私たちはそう容易に宇宙空間へと出ることはできません。そういうことです。」
「…………なるほど。俺が思ってるよりこの星では金の価値が高いと。ちなみに、ここに転がってる量だと、どれくらいの価値になるんだ?」
「学校の借金を返して余裕でおつりが来ます。」
「え?」
コーストはぽかんとした表情になる。
正直使い道がそこまで多くないこの金属にそこまでの価値があるとは思ってもみなかった。
「……なら、これで返済するか。正直、その気になればいくらでも補充できる資源だし。」
「コーストさんがいいなら、それはありがたいですが……。」
「ん、ホシノ先輩はどう?」
「これがコーストさんにとっても貴重なものとかだったら断ってたけど……まあ、いいんじゃないかな?あ、あくまで借金の分だけね?それ以上はもらわないよ。」
「……私たちの今までの苦労はなんだったのよ。」
「ま、まあセリカちゃん、今までの経験も決して無駄にはなりませんよ、ははは……。」
〈第一章 アビドス廃校対策委員会編:完了〉
――アビドス砂漠
「クックックッ……コーストさんにはしてやられてしまいましたが、面白いものを見せてもらいましたので、ひとまずはお相子としておきましょう。」
誰もいない砂漠を一人歩くのは黒服。
コーストによって恐慌状態に陥っていたはずが、しぶとく正気を取り戻したようだ。
「それに、この機械……センチネルといいましたか。」
そう言って黒服が手に取るは破壊されたセンチネルの残骸。
走行の隙間からは黒く濁ったガラスの光が漏れ出ている。
「聞く限りはこの機械も天外に由来するもの……さて、いったいこれは私たちに何をもたらしてくれるのでしょうか。まさか、暁のホルスよりもよほど興味深い研究対象が得られるとは……ククッ、クックックッ……。」
センチネルの残骸を回収した黒服は、だれにも悟られぬままどこかへと歩き去っていった。
subnauticaです
今回はエピローグなのでちょっと短め。
そして、第一章、完!!
遂に書ききってやりました。達成感がありますね。
ここまで読んでくださった皆さん、高評価、お気に入り登録をしてくださった皆さん、本当にありがとうございます!
あ、もちろんですけどここでは終わりません。
閑章を挟んで二章の執筆を始める予定でいます。
ここまで読んで面白いと感じてくださった方は是非高評価、お気に入り登録していただければ幸いです。とてもやる気が出ます。
では、また次回お会いしましょう。
今後もアンケートはやったほうがいい?
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やってほしい
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自由に書いて