blue sky archive   作:subnautica

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小話集


1.5章 アビドスの日常
サブミッション アビドスの愉快な日々


1.ミレニアム・フ〇ルコン

 

アビドスの一件が片付き、先生がシャーレへと戻る少し前の話。

 

「お願いだ、コースト!君の宇宙船をもっとゆっくり見せてもらえないかい!」

 

先生は土下座してコーストに頼み倒していた。いきなりのことにコーストは少し引いている。

 

「見せるのは別に構わないが……何をそんなに必死になっているんだ?」

「だって、空を縦横無尽に飛び回る宇宙船だよ!カッコいいじゃないか!」

 

もとより特撮とかその辺の文化が大好きな先生。コーストが所有する宇宙船を目にしたその時から先生はだいぶ心を動かされていた。

今までは精神的にそんなに余裕がなかったから表立ってその趣味をあらわにすることはなかったが、すべて解決した今、先生は趣味の心を全開放していた。

 

「まあ、そういわれると悪い気はしないが……分かった。何機か出して見せてやろうじゃないか。」

「ほんとに!ありがとう!!」

 

先生はこぶしを突き上げ"ありがとう!"のジェスチャーをとる。

ちなみにだが、コースト自身宇宙船の見た目をほめられたことはかなり嬉しく思っている。

この世の宇宙船の見た目、性能は千差万別。好みのものを見つけ出す……要するに厳選を完遂することにはかなり時間をかけている。

コルベットに関しても、サルベージした船体パーツを用いて自らの手で一から設計している以上、愛着もひとしおである。

 

「じゃあ、まずはこいつだ。」

 

そう言ってコーストが呼び出したのは普段使用している外来種宇宙船〈オッカイ・オブ・ザ・ピラー〉

青をベースにして銀色のアクセントカラー、そして、球体のコックピットとカジキのように尖った船主、後背部のリアエンジンが特徴的である。

 

「おお!いかにも宇宙船って感じの前衛的なデザインだね!でも、なんか見たことあるような……?」

「そうか?先生に見せた記憶はないが……。」

「そうだよね。気のせいかな?」

 

ちなみに先生の頭に引っかかっているのはコーストが警察署の真ん前でこの船を呼び出したニュースが頭の片隅に残っているだけである。

先生がキヴォトスに来る前の話ではあるが、それなりに話題になったのでSNSにこのニュースの残渣が残っていた。

 

「お次はこれだ。」

 

次にコーストが呼び出すのは柴関ラーメン爆破事件の際にも呼び出された船、センチネル・インターセプター〈エーロン/δ〉

白い船体に黒のアクセントカラー、展開式の翼が特徴の船だ。

 

「これは、柴関ラーメンの時の……」

「これは先日戦ったセンチネルたちが乗り回している船と同タイプのものだな。」

「え……大丈夫なの、そんなものに乗って?」

「安心しろ。オーバーライドは済んでる。あいつら(センチネル)の意思は残ってないさ。」

 

ちなみに墜落したセンチネル船をハッキングして奪い取るには異星人のモノリスとのやり取りが必要になるが、トラベラー以外には対話ができないためセンチネル船を操ることができるのはセンチネルかトラベラーのみである。

 

「次が……これだ。」

 

その声とともに呼び出されるは見覚えのある円形の船体。

どこからどう見てもあの銀河最速のガラクタ――ミレニアム・フ〇ルコンである。

 

「え、な、なんで、ミレニアム・フ〇ルコンが!?」

「ん?この船のことを知っているのか?」

「知ってるも何も……もしかして、キミはルークなのかい?」

「いや、誰だよルーク。」

「え、じゃあ何でこの船を……。」

「俺の友人がこの船について熱く語っていてな……ほかの奴らも作っていたから俺も作ってみたんだ。逆に何で先生はこの船の存在を知っているんだ?」

「いや……この船、有名な映画に出てくる宇宙船にそっくりで……」

「何だって?」

 

二人はそろって首をかしげる。

なんで同じ形の宇宙船を何の接点もない者同士が知っているのか。

もしかしたら、この宇宙にも帝国とジェダイの戦いがどこかにある……のかもしれない。

 

 

 

 

 

 

2. 家庭菜園

 

コーストが校庭に作った自宅の庭先の栽培容器の世話をしているとノノミが話しかけてきた。

 

「おはようございます!今日も早いですね~。」

「早いというより、ここが家だからな。ノノミこそこんな朝早くに何しに来たんだ?」

「私はお掃除ですよ。すぐに砂ぼこりで汚くなってしまいますからね~。……あの壁ができてからは中の砂ぼこりはだいぶましになりましたが。」

 

ノノミは遠い目をして鉄壁に覆われた高校を見やる。

掃除が減って喜んでいるのか、変わり果てた自分の高校に思うところがあるのか……

 

「まあ、それはいいとして、コーストさんは何を育てているんですか?こんな砂漠で育つなんてとてもたくましい植物なんですね☆」

「いや、水栽培トレーは電力さえあればどんな環境でも植物を育てられるから砂漠かどうかはあまり関係ないな。」

「……しれっとすごいこと言ってますね。ホシノ先輩の気苦労が少しわかります……。」

「?」

 

コーストが、何を言っているんだ?といった風に首をかしげる。ノノミは少しだけイラっとした。

 

「……それで、これはなんていう植物なんでしょう?」

「ああ、これはスターブランブルといって本来温暖な環境の惑星で育つ植物だな。この光っている実はスターバルブといって工業製品に加工もできるが……ここのは見た目重視で置いてる感じだな。」

「へえ~、きれいな花ですね!こちらは何ですか?」

「こっちはフロストワート。極寒の惑星に自生する植物だな。結晶みたいな葉っぱがきれいだろう?」

「きれいなのはそうですが、極寒の惑星で育つ植物と温暖な惑星で育つ植物を隣において栽培しているんですね……。」

「まあ、そういう設備だからな。」

「そうですよね。ちなみにこの植物も何か使い道があったりするんですか?」

「ああ、この植物の葉っぱはフロストクリスタルと呼ばれていてな。加工してガラスにできるほか、製粉して小麦粉の代わりに使うことも可能だ。」

「そうですか……え、今なんて言いました!?」

 

ノノミは自分の耳を疑った。

 

「何だ?加工してガラスだったり、精製粉末として小麦粉の代わりに使えると言っただけだが……」

「何でガラスと小麦粉の原材料が一緒なんですか!おかしいでしょう!」

「何でといっても、別に食って問題があるわけでもないし、ノノミだってあのドーナツは食べたろう?あのドーナツにもフロストクリスタル製の生地を使ったが特に問題はなかっただろう?」

 

思い返すのは先生とホシノと食べたあのドーナツ。

確かに食べた後何か健康的に問題があったわけではない、むしろ頭がさえるような感覚がしてよかったが……*1

 

「今度からは何か食べ物をくれるときは何を使って作ったのか全部教えてください……。」

「?ああ、分かった。」

 

何がいけなかったかわかっていない様子のコーストにノノミはいろいろあきらめた。

 

「はあ……では、最後のこちらは何なんですか?」

「こいつはニップニップだな。薬用のハーブなんだが、このつぼみからゲックたちが好む匂いがするらしくてな。結構いい値段が付くんだ。」

「それ、本当に大丈夫なやつなんですか?」

「……まあ、大丈夫だろう。あ、お前たちはあまり近づくなよ?」

 

コーストは何でもないように言うが、このニップニップは銀河当局の定める規制品である。

なんとなく癖で育てていたが、アビドスの皆が歩き回る家の軒先で育てるのはさすがにまずい気がする。

ノノミたちに悪影響が出る前に後で捨てておくことを決心したコーストだった。

 

決してノノミに正体がばれた時が恐ろしいからではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

3. コーストのインベントリの中

 

コーストのインベントリに大量の金が入ってることが露わになった時のこと。

 

「借金はとりあえずいいとして、コーストさん、そのかばんの中、他にはどんなものが入ってるの?」

 

ホシノがそう尋ねる。

 

「そうだな……金属資源なら他にはこんな感じか?」

 

その声とともにジャラジャラと出てきたのはプラチナや銀といった貴金属たち。

その量に再びホシノたちは目をむいた。

 

「……コーストさんがその気になれば、キヴォトスで一番の大金持ちになれるかもね。」

「まさか宇宙とキヴォトスでこんなに価値基準が違うなんて思いもしなかったわ……。」

「あと……ほかにはこんなものもあるな。」

 

机の上にゴロゴロと出した金属塊たちをしまって新たに取り出したのは武装のアップグレードモジュールである。

 

「ん、これは……部品?」

「そいつらはアップグレードモジュールといって宇宙船だったりマルチツールに取り付けてその性能を底上げするものだな。」

「へえ、そんなものが……。」

 

興味深そうに見つめるホシノたちに対し、コーストは一つチップを差し出す。

 

「確証はないが……こいつらならもしかしたらお前たちの銃にも転用できるかもしれないな。」

 

コーストが取り出したのは"センチネルの武器のかけら"。

センチネルの残骸から取り出された異常なアップグレードモジュールである。

 

「ホシノ、何か使ってない予備の武器を持っていたりしないか?」

「予備の武器なら……これでいい?」

 

ホシノが背後から取り出したのは何の変哲もない一般的な拳銃である。

 

「ありがとう。……よし、これを、こう!」

「ちょ、ちょっとコーストさん!」

 

そう言ってコーストはセリカの制止を無視して拳銃に向かってセンチネルのアップグレードモジュールを突き刺す。

すると、突き刺さったかけらが溶けるように拳銃に対して絡みつくのが見えた。

 

〈テクノロジーをインストールしました〉

 

「よし。これで一応インストールできたはずだ。」

「ええ……それ、ホントに大丈夫なの?」

「俺が普段使っているマルチツールにも入れてるし、特段問題はないと思うぞ?」

 

コーストはそう言いながらアップグレードを終えた拳銃を窓の外に向かって発砲する。

違いははっきりとは分かりづらいが、多少弾速が上がったような気がする。

追加で二つのアップグレードをねじ込んで発砲すると目に見えて弾速と弾痕が強化されていた。

 

「とりあえずアップグレードが問題なく作用するのは分かったが……お前たちはどうする?」

「あ~……ちょっと考えさせて。」

 

強化は確かに魅力的ではあるが、得体が知れな過ぎてホシノたちは少しためらった。

 

話は戻って再びコーストのカバンの中身の話へ。

 

「ん……コーストさん、逆にコーストさんが持っている"高価なもの"って何?」

 

シロコが純粋な疑問を口にした。

 

「あ、シロコちゃんそれは……」

「ん~今持ってる中で単価が一番高いのはこれだな。」

 

そしてコーストの手のひらにポンと現れたのは銀河の技術の結晶にして禁忌の技術――ステイシスデバイスだ。

 

「これが一番高いの?」

「ああ。これ一個でかなりいい宇宙船が一機買えるぐらいの価値があるぞ。」

「ん、それはすごい。ちなみにこれは何なの?」

「ああ、これは半永久的に生命をつなぐことができるステイシスデバイスと呼ばれる装置だな。」

 

その言葉にシロコ含むアビドスの全員が固まる。

 

「コーストさん。それ、出さないでって言ったよね?」

「いやこれはシロコに聞かれたから取り出しただけで――「えい」ぐおっ!?」

〈スーツの損傷を検知〉

 

ホシノのスーツを貫通する強烈な衝撃のデコピンにコーストが悶える。

 

「やばい技術を持っているとは思っていたけど……まさかこんなものまで持っているなんてね……。」

「今までホシノ先輩がコーストさんからの技術漏洩を食い止めてくれていたんですね……。」

「ホシノ先輩、ナイスです!」

 

人知れずキヴォトスを危機から守っていた先輩に対し、後輩たちは心の中で称賛を送った。

そしてコーストは自身への理不尽な扱いを嘆いた。

 

*1
調査ボーナスアップ




subnauticaです

ミレニアムファルコンの話に関しては、少し前にノーマンズスカイの日本人コミュニティでスターウォーズブームが来たのと絡めて入れました。

こんな感じの閑話をいくつか挟んでから第二章に向かいます。
二章の内容はまだ完全に決め切ってないのでそれが決まるまではこんな感じですかね。

これからも変わらず応援してくださると幸いです。

では、また次回お会いしましょう。

今後もアンケートはやったほうがいい?

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