例の惑星が登場……
相対する敵艦が銃撃を開始する。
その数……およそ12機。
「うおおっ!」
コーストは左に旋回し銃撃を逃れる。
単なる海賊であればそこまで警戒はしないのだが、目の前の戦艦はなぜか見るからに装備が整っている。
不用意な被弾は避けるべきと判断した。
〈受信したメッセージ//敵船の周波数〉
『I’ve got the go-ahead from my superiors to shoot down any suspicious spacecraft! It’s a shame, but you’ve only got yourself to blame for ending up here!(不審な宇宙船は撃墜していいって上官からお墨付きはもらってるからな!残念だがこんなとこに来てしまった自分の運を恨むことだ!)』
周囲を飛び回る敵船から通信が届く。
コーストは翻訳することができなかったが、友好的な言葉でないことは確かだろう。
「やるしかないな。……ホシノ、これからの光景はお前には少し刺激が強いかもしれない。嫌なら、後ろの部屋に隠れていろ。」
「……いや、私も見届けるよ。」
「……そうか。」
その言葉を境に、コーストはここ数年見せなかった海賊狩りとしての顔を露わにする。
ターゲットロックを稼働し、敵機の背後に移動。フェーズビームで相手のエネルギーシールドを剥がし、宇宙船を宇宙の塵へと変えていく。
調子に乗っていた戦闘艦の集団はあっという間に瓦解を始めた。
その光景はコーストにとっては見慣れたものであったものの、黒い空に散る爆炎をホシノは少し暗い顔で見つめていた。
〈報告:敵の宇宙船を破壊しました〉
目に見える範囲の宇宙船の全滅が終わり、宇宙船のAIが戦闘の終了を知らせる。
「大丈夫か、ホシノ。」
「……うん、分かってたことだからね。」
ホシノは笑顔を見せるが、その顔はやはり暗かった。
その時、コーストは遠くに見える相手の主力艦と思しき巨大な船を捉えた。
「これ以上ここに留まるのはまずいか……近場の惑星に逃げ込むとしよう。」
そう言ってコーストはパルスジャンプを起動し、横に見える海に覆われた惑星に向かって航行を始めた。
パルスドライブ停止//弾道飛行を開始
■■惑星 ――楽園の土地?――
気候 湿度の高い
センチネル 不在
植物 生命レベル 高3
動物 生命レベル 高8
惑星評価はキヴォトスのあったあの星と同じく"楽園の土地?"
そしてこの惑星は過去に発見者がいたらしいが文字化けしていて読み取ることができない。
センチネルは不在となっているが、キヴォトスでもあんなことがあった以上、不必要な破壊はなるべく避けるべきだろう。
そして惑星そのものの環境だが……
「これは……またずいぶんと快適そうな環境の惑星だな。」
「うへ~いい天気だねぇ。」
二人が降り立ったのはだだっ広い海の中に浮かぶとある小さな島。
地表に降り立つまでに見つけた海のど真ん中に突き刺さった巨大な墜落船には驚いたが、それ以外は快適な海が多めの惑星といった感じだ。
それに、分析バイザーを起動すると水中に大量の生体反応が確認できた。
「ホシノ、海中から大量の生体反応が見える。魚も結構いるんじゃないか?」
「え、ホント!」
ホシノが満面の笑みを浮かべる。
「ああ。そういえば水着を持ってきたと言っていたが、ここなら環境防御も働かないしたぶん行けるんじゃないか?」
「おお~そういうことなら私、着替えてきちゃおうかな。あ、覗いちゃだめだよ~。」
そう言ってホシノは近場の岩陰にバッグをもって走っていった。
「思わぬ襲撃にはあったが……これは思いがけずゆっくりできそうかな。」
コーストは基地コンピューターを設置し、島を自分の基地として登録した。
その時、ホシノが岩陰から戻ってくる。
「うへへ、どうかな、私の水着?」
ホシノが身に着けているのはその白い肌に映える白の水着、そして上に青いパーカーを羽織っている。
「おお、なかなか可愛らしいじゃないか。」
コーストはそう言ってホシノの頭をなでる。
対応が完全に娘に対するそれなのだが、ホシノは満足げにそれを受け入れている。
「じゃあ、せっかくだし遊ぼうよ!」
そして二人は遊びモードに入って4546Bの海を存分に楽しむ。
とはいえ、二人ともそんなに動き回りたいタイプではないので、コーストが設置したベッドの上で寝ころんだり、海の中に入って多種多様な魚を眺めたりといった感じではあったが。
ホシノと海中を泳いでいる間に捕まえたピーパー*1やブーメランフィッシュ*2という魚(バイザーでスキャンした)の塩焼きをホシノに進めてみたりしたが、それはやんわりと拒否された。
そんなこんなで二人でゆったりしながら島の外周を歩いていると、明らかな異物がその目に映る。
「空から見たときに映っていたのはこれか……。」
「これは圧巻だねぇ。」
改めてスーツに着替えなおしたホシノが隣に並ぶ。
二人が見つめているのは島の端にある明らかに人工物の巨大な建造物。
コーストの分析バイザーには『異星人のモノリス』と表示されているが、どう考えてもサイズ感からして違う。
「ここはせっかくだし調べてみようか。」
「これはさすがに私も気になるね。」
二人は横に開いていた入り口からその塔の中に入っていく。
塔の機能は全体的に死んでいるようで、照明などは一切働いていなかった。
歩みを進めていくと展示品のように何かが飾られたガラスケースが目に入った。
「ん?なんだこれ?」
「なんだろう、ボール?」
ホシノがそんな感想を述べたその物体をスキャンしたところ、スキャナーには『惑星破壊爆弾』と表示された。
「え。」
「どしたのコーストさん?」
「いや、何でもない……。」
「?」
何でそんな危険物がポンと展示してあるんだ。
幸い機能はしていないようだが……まあ、わざわざ教えて余計な心配をかける必要もないだろう。
その後も先に進んでいくとどうやら施設の最深部と思しき場所へとたどり着く。
ライトで照らしてみると柱のような物に何やら前面にスイッチのような物がついていた。
「なんだろう、これ?」
ホシノが装置をペタペタと触っている。
「おい、ホシノ。あまり得体のしれないものに触るのは……」
カチッ
「あ。」
ホシノの間の抜けた声とともに設備全体に光が灯る。
それだけならばよかったのだが、コーストのスーツが異常を捉える。
〈警告:高エネルギー反応を検知〉
「!!言わんこっちゃない、こっちに隠れろ!」
コーストはビルダーを用いて合金で即席のシェルターを作成し、ホシノを引き込んだ。
――アルテラ所有大型調査船船内
『そういえば、さっき見かけた不審な船はどうなったって?』
『それが、向かわせた船は全機撃墜されたとのことで。』
『なんだって?あれだけ大口叩いてたっていうのに、こんなにあっさりやられたってのか?ったく、せめて給料分の仕事位はしてから死ねってんだ。』
この船の責任者が部下から受け取った報告をサンドイッチを片手にぼやいている。
『とはいえ、向かわせた戦闘艦12機を撃墜できるような奴がこの星系のどこかにいることは事実です。警戒するに越したことはないでしょう。』
『警戒ねえ……真っ向からアルテラにケンカ売るような奴がいるとは……まあ、いるだろうな。』
アルテラが巨大企業なのは事実だが相応に恨みを買っている企業なのもまた事実である。
襲撃者がいてもおかしくないと思える程度には。
『はあ、後で捜索の航空部隊でも出すか?……ったく、ただでさえ忙しいのに仕事を増やしやがって――ん?通信?』
責任者の男はイライラしながら観測班からの通信を受信する。
『なんだ?くだらない用なら減給するぞ?』
『いや、その、惑星から正体不明の高エネルギーが検知されてどうしたものかと思いまして……』
『それだけ言われてもわからん。いや、待て……確かオーロラ号も何かによって撃墜された形跡が――』
艦長がそこまで言った次の瞬間、視界に緑の光がはじける。
その船から、音が消えた。
――隔離執行施設内部
〈報告:高エネルギーの抑制を確認〉
塔の中のコーストとホシノは突如として検出された高エネルギー反応に警戒して即席のシェルターにこもっていた。
「もう、大丈夫か……ホシノ、もうちょっと警戒心を持ってくれないか?」
「まさかコーストさんにそんなことを言われる日が来るなんて……。」
コーストの言葉にホシノは項垂れた。
「にしてもいきなり電気がついたけど何なんだ?もう一回押したら消えないか?」
コーストがそう言ってもう一度スイッチを押すといきなり現れたエネルギーフィールドに腕を拘束される。
「おわっ!何だこれは!」
「ちょっと!コーストさんも気が抜けてるじゃん!」
勝手に動いた装置に驚いていると、装置から現れた触腕のような機械にコーストの腕が刺される。
一発刺したらその触腕は満足したのか機械の中に戻り、再び施設は眠りについた。
「大丈夫、コーストさん?」
「ああ。体には特に問題はない。しかし、一体何だったんだ……。」
気になることは多かったが、あまり長居するべきではないとは二人とも感じたので、とりあえず建物の外に出ることにした。
道中、コーストは通路の脇に緑色のキューブが置いてあるのが目に入った。
「なんだ、これ?……一応回収しておくか。」
知識欲が刺激されたコーストは緑色の物体……『イオンキューブ』をエクソスーツのインベントリへとしまった。
「いや~なんだかつかれたねぇ。」
「ああ、得るものはあったが、心労が大きすぎたな……。」
隔離執行施設を離れた二人は近くの砂浜に設置したソファに座って休憩していた。
既に4546Bの日は傾き、オレンジ色に染まった空と、キヴォトスでは見られない二つの月が顔を出している。
「なんか色々巻き込まれたけど、私は楽しかったよ!」
「そうか。そう言ってもらえると、ここまで連れてきたかいもあるというものだ。」
ソファに座ったホシノはヘルメットを外して、足をプラプラさせてリラックスしている。
コーストもそれに合わせ、珍しいことにヘルメットを外していた。
「ねえ、コーストさん。またこうして遊びに来たいな。つぎは、みんなも一緒に連れてさ。」
「それ位全然かまわないさ。何なら、ここに今連れてくることだって可能だぞ?」
「え?」
ホシノの瞳が驚きで丸くなる。
「キヴォトスの家にはテレポートモジュールが置いてあるからな。こっちにも同じものを置いて通電させれば向こうには一瞬で帰れる。」
「そんな便利なもの持ってたの!?」
「あれ、今まで話したことなかったか?」
「初耳だよ~!……うへ、やっぱり私、コーストさんについて知らないことばっかりだな。」
「なんだ、初めて会ったときにした話じゃ不満なのか?」
「……だって、記憶喪失だったことはシロコちゃんには話したんでしょ?」
「いや、それは先生と話しているところにシロコが割り込んできただけなんだが……まあいいや。なら、改めていろいろ話そうか。俺のことを話すんだ、ホシノのことも色々聞かせてくれよ?」
「うへ、私のことも知りたいの~?しょうがないなぁ。」
二人はしばらく、蛍光生物で僅かに光る夜の海を眺めながらいろいろな話をした。
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――――――――
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「ん……。あれ、私寝てた……?」
ホシノは目をこすりながら目を覚ました。
横を見ると寝息を立てているコーストの姿がある。
「……もしかして、コーストさんの寝顔見るのって初めてかも。」
ホシノがその顔に微笑みを浮かべてコーストの顔に手を添える。
「……ちょっとくらい、いいよね。」
ホシノがその影を一瞬コーストと重ねた。
――数分後、日差しを受けてコーストが目を覚ました。
「……いつの間に寝ていたか。ん?どうしたんだホシノ、そんなに顔を赤くして?」
「い、いや~なんでもないよ~あはは……。」
「?」
また数分後、二人は簡単に朝食を済ませ荷物をまとめていた。
「よし、荷物はまとめたか、ホシノ?」
「うん。問題ないよ。」
「それじゃ、帰るか。」
二人は目の前に設置されたテレポートモジュールをくぐり、キヴォトスにあるコーストの自室へとワープした。
「ただいま~、みんな~!」
「あ!ホシノ先輩が帰ってきました!」
「ん、お帰り。ホシノ先輩。」
「で、どうだったの先輩!」
「お帰りなさい先輩、コーストさん!」
帰ってきて対策委員会の部室に戻ると元気に出迎えてくれるアビドス組。
帰ってくるなり大盛り上がりである。
朝っぱらから元気なことだと思っていたら部室の時計は昼を指していた。
どうやら思っていたより少し長く滞在していたようだ。
「うへ、後でちゃんと話すからみんな落ち着いてよ。ちゃんと進展はあったからさ。」
そう言ってホシノはこちらを見て笑顔を見せる。
「ん?なんだホシノ?」
「いや~別に~?」
そのホシノの態度を見て後輩たちが再び盛り上がる。
アビドスは今日も平和だった。
subnauticaです
今回は割と好き勝手書きました。満足しています。
ちなみに想定した時系列は主人公がロケットで飛び去った後、アルテラが調査を送り込んできたぐらいの段階なのでカラー細菌は死滅してます。そこはご安心を。
subnautica好きなゲームなので今後また出すかも。
次回は……どうしようか。未定。
第二章も構想を固めなければ。
これからも応援よろしくお願いします。
それでは、また次回お会いしましょう。
今後もアンケートはやったほうがいい?
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やってほしい
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自由に書いて