blue sky archive   作:subnautica

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誤字、脱字報告をしてくださる方、いつも助かっております。

今回は柴関ラーメンの店舗建設と、最終決戦に参加した陣営へのお礼の二本立てです。


サブミッション 柴関ラーメン再建計画/助力の礼

 

ある日のこと、コーストは屋台として復活した柴関ラーメンの下へとやってきていた。

 

「二人とも元気そうだな。」

「おお、久しぶりだな!」

「あ!いらっしゃいコーストさん!」

 

屋台でラーメンの仕込みをしていた大将とユメが笑顔で迎えてくれる。

 

「柴関ラーメンを一つ頼めるか?」

「あいよ!……それにしても聞いたぜ?あんた、カイザーとの戦いで大立ち回りをしたって話じゃないか。俺たちと同じでヘイローがないってのによくやるじゃないか!」

「ふふん!コーストさんはすごいんですから!」

 

大将がどこから聞いたのかカイザーとの決戦について触れた。

そして、ユメは大将のコーストへの称賛をまるで自分のことかのように胸を張っている。

 

「いったい誰から聞いたんだ?だいぶ暴れまわったのは事実だが、あの戦いを直接知っている奴はそんなにいないと思うんだが……。」

「ああ、それは便利屋の嬢ちゃんたちから聞いたんだ。あれから何回かうちに来てくれてるんだが、あの赤髪の子がいつもすごいテンションで話してるもんでな。」

「あいつか……。」

 

頭に浮かぶのは何かとアウトローを強調するあの娘……大将に向かってあれやこれや自慢げにしゃべっている様子が目に浮かぶ。

 

「こうして今もアビドスで店を続けてられるのもあんたのおかげみたいなもんだ。もっと誇っていいと思うぞ。」

「そうか……その称賛は素直に受け取っておくとしよう。」

「ええ!このラーメンと一緒に受け取ってください!」

 

その声とともにユメは柴関ラーメンをコーストの前に置く。

ただ、注文したサイズよりも明らかにデカい。

 

「大将?これは……。」

「なに、英雄様へのちょっとしたサービスってやつさ。」

「俺もいくらでも食べられるってわけじゃないんだがな……ま、ここはありがたくいただくか。っとそうだ、今日はラーメンの他にも一つ用があってきたんだ。」

「ん?なんだい?」

「大将。こうして屋台でラーメンを出すのももちろんいいんだが……やっぱり、もう一度自分の店舗を作り直したくはないかい?」

 

コーストはラーメンを啜りつつそんな提案をする。

 

「そりゃ、屋台だとどうしたって砂埃なんかの影響を受けるし、いらないっていえば嘘になるが……難しいだろうな。時間だってかかるし、アビドスで新しく店舗建設の作業をしてくれる人もいないだろうしな。」

「なら、その二つを解消できるって言ったらどうだ?」

「……あんたがそこまで言うんだ。何か準備してるってことか?」

「ふふふ……大将、ちょっとお時間もらえるかな?」

 

コーストはその顔に笑みを浮かべてそう言った。

 

 

 

 

 

 

コーストがビッグサイズの柴関ラーメンを腹に流しこんだ後、コースト、大将、ユメの三名はアビドス駅にほど近い空き地の前に立っていた。

 

「えっと……ここで何をするってんだ?」

「何って、新店舗の建設をするに決まってるだろ?話の流れ的に。」

「いやまあそうなんだろうけど、さっき言ってた問題はどうするっていうんだい?」

「そうですよコーストさん。お店を建てるって言っても色々準備が――ってもしかして……。」

 

その時、ユメは思い出した。

コーストがアビドス高校来校初日に何をしたのか。

 

「簡単な話だ。全部俺一人でやればいい。」

 

その言葉とともにコーストはマルチツールを前方に向け、ビルダーを起動して木製の床を設置した。

 

「おお!あんた今のどうやったんだ!?」

「説明は難しいが……まあ、あんたの思い通りの店が作れるとだけ言っておこう。時間もかからん、人数もいらない。とても合理的だと思わないか?」

 

ヘルメットで顔は見えないが、自慢げな顔をしているであろうことは大将とユメにも読み取れた。

 

「そりゃ、とてもありがたいことだが、ホントに大丈夫なのか?あんたに何か負担があったりするんじゃ……。」

「あ、それなら大丈夫ですよ大将。始めてコーストさんがうちの高校に来た時も一晩で立派な家を作ってましたし。」

「そうか、なら、せっかくの厚意だ。受け取らないのは無礼ってもんだよな。」

「その意気だ、大将!さあ、どんな間取りにしたいか言ってくれ。全部応えてやろうじゃないか!」

「なら、ここは、こうして……」

「あ、大将!ここはこうしたら……」

 

コーストによるインスタント建築は大いに盛り上がり、日が落ちるころには何もなかった空き地には立派な店舗が建設されていた。

 

「おお、これは立派な店になったなあ。」

「……調子乗って二階建てにしたりテラスつけたりしちまったが、さすがにやりすぎたな……。」

「うーん、テラスはちょっと、砂埃とか大丈夫ですか?」

「あ、そこは安心していい。環境防御をつけてある。周囲の環境変化は抑制できるだろう。」

「……何ですか、それ?もしかしてエアコンもいらなかったり?」

 

ユメが恐ろしいものを見たというような目でこちらを見る。

割とありふれたテクノロジーだと思っていたが、こちらではそうでもないようだ。

 

「どうだ、大将?気に入ったか?」

「ああ、こんなに立派なもんだされて、文句なんか言えるはずもないさ。最高だぜ。」

 

大将はそう言ってうれしそうに笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また数日後――

柴関ラーメンに大所帯の客が訪れていた。

 

「やあ、大将。大人数だが、大丈夫か?」

「おう、いらっしゃい!予約してくれてたから問題ないぜ!」

「おお、今日は人が多いですね~。」

 

店に現れたのはコースト含むアビドス、そして便利屋68、トリニティからヒフミ、そして先生である。

先日の戦いの祝勝会という形でみんなで集まってラーメンでも食べようという話になった。

本当はゲヘナ風紀委員会も誘っていたのだが、さすがに忙しいからという理由で後日お礼をするという流れになった。

それでもかなりの人数ではあるが、新装開店した柴関ラーメンはかなり店舗面積が広いため、ほかに客がいても余裕をもって座ることができた。

全員が席につき、順々にラーメンを注文していく。

 

「トリニティの代表はヒフミになったんだな。」

「あはは……さすがにティーパーティーの方が直接来るというわけにもいきませんので、私がとりあえず来ることになりました。」

「まあ、それはそうだな。それと……便利屋。」

 

コーストの声にアルの肩がびくっと震える。

 

「な、何かしらコーストさん。」

「いや……お前たちとはいくらか確執があったが、今回の件は本当に助かった。感謝する。ここの料金は全部俺が持つつもりだ。好きに食べてくれ。」

 

コーストはアルに向かって頭を下げる。

 

「へ?ふ、ふふふ。社長として、受けた恩は返そうと思っただけよ。私たちも、あなたたちにはお世話になったしね。」

「アルちゃん、顔色がコロコロ変わって面白~い。」

「うるさいわよ、ムツキ!」

 

そんな感じであれこれ喋っているとラーメンが届いた。

食欲をそそるその香りに皆が目を輝かせる。

 

「じゃ、ここからは食べながら話すとしよう。」

 

そこから先は和気あいあいと会話をしながらラーメンを食べ進めた。

 

「そういえばあれから先生はどうしているんだ?」

「いや~アビドスにいた間に山のように仕事がたまっちゃってね……最近は書類の山の中で働いてるよ。」

「なんというか、大変なんだな……。」

「ははは……まあ、先生として、やるべきことはやらなきゃね。」

 

先生はせっかくの祝いの席だというのに暗い顔をしていた。

 

「先生ったら、何辛気臭い顔してるのよ。」

「あ、セリカ、それに皆も。あれから、特に困ったことはなかったかな?」

「ええ。借金の返済も終わったし、毎日楽しく過ごしてるわ。」

「そうか。それはよか……え?」

 

セリカの言葉にアビドスを除く全員が凍り付く。

 

「え、何よ、この空気。」

「あ~そういえば言ってなかったですね☆」

「私たちアビドスはカイザーからのすべての借金を返済したんですよ。」

 

その言葉にヒフミが嚙みついた。

 

「ちょっとおお!あれだけの借金をどうやってこんな短期間で返済したっていうんですか!銀行強盗ですか!また銀行強盗しちゃったんですか!」

「ちょっ、ヒフミ、落ち着いて……」

 

ヒフミ(ファウスト)シロコ(青覆面)の肩をつかんで揺する。

 

「でも、確かにあなたたちの借金って一朝一夕で返済できるような額じゃなかったわよね?いったいどうしたっていうの?」

 

アルもアビドスが抱えている借金があの場に落ちていたバッグがいくつか必要になるほど膨大なものというのは把握していた。

 

「あ~……なんて説明したものか……。」

「もう素直に言っちゃえば?あまり他に言いふらすタイプの子たちじゃないと思うし。」

「まあ、ホシノがそう言うんであれば……何で返済したかっていえば、これだな。」

 

コーストは手の上に金塊を出現させる。

 

「うぇえ!?そ、それってもしかしてききき、金!?」

「まさか、銀行の貸金庫から……。」

「いい加減強盗から離れろヒフミ。これは俺が別の星系で採取した資源だ。盗品でも何でもない。」

「別の星系?いったい何を……。」

「俺はこの星の外から来た人間だからな。」

 

再び部屋の空気が凍り付く。

 

「あれ、そこまで話しちゃうの。」

「逆にそこを言わないでどうやってこれの出所を説明する気なんだ。そもそも、すでにこいつらにはあの艦隊も見せてしまってるわけだし、今更だろう。」

「……え、何、つまりあなたは宇宙人だと、そう言ってるの?確かに、そう考えればあの技術力も納得できなくもないけど……。」

 

カヨコが目を見開いてコーストに問う。

 

「その通りだ。まあ、以前の「あなたは、何者なの?」という問いの答えでもあるな。それで、宇宙で手に入れた資源をいくつか売っぱらって金に換えた感じだ。」

「そう……なんだ。」

「その……アビドスの皆さんもそれを認めているんですか?」

 

ヒフミがアビドスメンバーを見回してそう言う。

 

「認めているというか、認めさせられたというか……。」

「実際に連れていかれたら信じるしかないですよね~。」

「あ、ちなみに私も知ってたよ。実際コーストに宇宙に連れてってもらったからね。」

「え、先生もですか!?」

「うん。気になるならみんなもつれて行ってもらったらいいんじゃないかな。その、コーストさんが良ければだけど……。」

「何、元々お礼のつもりの食事会だしな。それ位構わないさ。どうする、お前たち?」

「私は構いませんが……。」

 

ヒフミが便利屋へと目を向ける。

 

「どうする、みんな?」

「私は面白そうだし全然賛成かな~。」

「……先生も行ったことあるみたいだし、私も構わないよ。」

「わ、私はアル様の決定に従います……。」

「そう。なら決まりね。コーストさん、私たちもつれて行ってくれるかしら。」

「そうか。なら今から行くか。」

「え、いまから!?」

 

アルが驚いたような声を出した。

 

「ああ。別に遅らせる必要もないだろう。」

 

その後、一行は会計を済ませて町のはずれの空き地に集まった。

コーストがコルベットを呼び出す。

 

「じゃあ、乗り込んでくれ。」

「これ、前も見たけど、これが宇宙まで飛んでくの?」

 

ムツキが若干懐疑的な目を向ける。

 

「それはみてれば分かるさ。席についたらしっかり掴まっておけよ?」

 

コーストはそう言ってコックピットに乗り込み、エンジンを起動する。

コルベットは機首を上げてどんどん速度を上げていく。

 

「わ、どんどん世界が暗くなって……。」

「加速するから掴まっておけ。」

「へ?」

 

その瞬間、パルスジャンプが起動し、

 

「「「「「わあああああぁぁ!!!」」」」」

 

初めての感覚に便利屋とヒフミは叫び声をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、もしかして、あれが地球なのかしら。」

 

アルは子供のように窓に張り付いて外を見ている。

 

「はえ~これが宇宙……。」

「これは、さすがの私もびっくりだね……。」

「……まさか、生きている間に地球の外に出るだなんて思わなかったわ。」

「これが、私たちの星、ですか……。」

 

他のメンバーも初めての宇宙観光を楽しんでいるようだ。

 

「気に入ってもらえたようだな。」

「……コーストさん。これが普段、あなたが見ている光景なの?」

「まあ、そうだな。確かに、日常風景といっても差し支えないだろう。」

「……そうか。勝てないわけだね。」

 

カヨコはそう言って外の風景を眺めている。

 

「いや~おじさんたちも最初はあんな感じだったかな~。」

「そうですね~私だって最初はびっくりしましたよ。」

「ん。私もそう。」

「いきなり連れていかれたからね……。」

「そうでしたね~。」

 

アビドス組は昔を懐かしむかのようにヒフミや便利屋たちを見ていた。

 

「あまり喧伝するものでもないからな。ここで見たものはできるだけ内密に頼むぞ。」

「も、もちろんです。というか、行っても信じてもらえないですよ……。」

「ええ。安心しなさい。私の口は堅いわよ。」

「カイザーの情報は教えてくれたような記憶があるが?」

「あ、あれは仕方ないでしょう!?」

「ハハハ、冗談だよ。」

 

その後も少しの間地球を周回し、宇宙の遊覧を楽しんだ。

先生は仕事を放っぽって抜け出してきたシャーレに戻った後のユウカの顔を想像して微妙に顔が青いが、うれしそうな生徒の姿を見て笑顔を浮かべていた。

 




subnauticaです

今回はカイザーとの決戦の参加者に出自をばらす会でした。
これからも知っている人はちょっとずつ増えていくかも……

次回ですが、もう第2章に入っちゃおうかなと思っています。
お楽しみに。

これからも応援よろしくお願いします
それでは、また次回お会いしましょう。

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