なんで、今回コーストはあんまり出番がありません。
G.Bibleのパスワードをこじ開けるためヴェリタス開発の"鏡"を生徒会から奪還する作戦を立てたゲーム開発部、ヴェリタス、先生達。
モモイ、ミドリとともに廊下をかける先生の手にはライフル型のマルチツールが握られている。
何故マルチツールを先生が持っているのか?
話は数日前にさかのぼる……
――数日前、ミレニアム
デカグラマトンが先生にハッキングを仕掛けたその当日、ミレニアムからの帰りがてらコーストと先生は話し合っていた。
「コースト、続けてで悪いんだけどもう一つお願いを聞いてくれないかな?」
「まだあるのか?もうだいぶトラブルで腹いっぱいって感じなんだが……本当にトラブルに事欠かないな。」
「あはは……自分でもそう思うよ。でも、生徒の手助けをするのが先生だからね!」
「はあ……まあいい、話すだけ話してみろ。」
「うん。それなんだけどね……」
先生はゲーム開発部に関するいざこざの数々、そして現在、ゲーム開発部が遺跡から持ち帰ったデータファイルを開くためにセミナーが保管している装置を奪還する必要があるということを話した。
コーストは腕を組んでしばらく考え、先生に返答した。
「……済まないが、その願いには応えられないな。」
「……どうしてもだめかい?」
「こればっかりはな。先生はその超法規的な権限で何をしても許されるかもしれんが、俺はあくまで所属する組織としてはアビドスの人間になる。そんな奴が他校の中枢に襲撃でも仕掛けてみろ、一気に外交問題になるぞ。それも相手はキヴォトス有数の巨大校だ。せっかく持ち直してきたアビドスが今度こそ消えてしまう。」
「……そうか。ごめん。そこまで考えられてなかったよ。」
「というわけで、俺はその件に直接的な支援をすることはできない……が、何もしないというのも薄情ってものだな。――こいつを貸してやろう。」
そう言ってコーストが先生に手渡したのはライフル型マルチツール〈ジャンク オキサイド コンデンサ〉
突出した機能を持つわけではないが、バランス型のマルチツールである。
「そいつを使えばいくらか有利な立ち回りができるだろう。その作戦が終わるまでは貸し出してやろう。」
「う~ん、気持ちはとてもありがたいんだけど、生徒を私が傷つけるのはちょっと……。」
「……図々しい奴だな。分かったよ、殺傷性の武装は外しておいてやる。」
コーストはマルチツールのテクノロジースロットを弄り、武装モジュールを取り外した。
「これで直接ダメージを与えるタイプのモジュールは外れた。このマルチツールに今搭載してあるのは地形操作機、麻痺迫撃砲、グラビティーノコイル、パーソナルフォースフィールド、クローキング装置、あと釣り竿だな。」
「え、釣り竿?そんな機能もあるの?」
「ん?何かおかしいことがあるか?」
「いや、何でもないよ。あはは……。」
先生は宇宙に生きる人の感性を少し疑った。
「それ以上の手助けはできないが、まあ、うまく役立ててくれ。あ、終わったらちゃんと返してくれよ?」
「ありがとう。でもいいのかい?自分の技術を調べられるのをだいぶ嫌がっていたように思うんだけど、こんな風に私に渡しちゃって。」
「探られたらまずいのはスーツのテクノロジーのほうで、マルチツールの技術は別にみられたところで大した問題じゃない。この世界の文明レベルで解析できるかは知らんがな。」
「そっか。じゃあ、ありがたく使わせてもらうよ。」
「そうしてくれ。うまくいったら事の顛末も教えてくれよ。」
これが数日前のことであり、先生が今マルチツールを手にしている経緯である。
「先生、お姉ちゃん、ハレ先輩から連絡!アカネ先輩を閉じ込めるのに成功したって!」
「よし!指紋認証も正常に作動したみたいだね。……生徒会の役員も隔離できたはずだし、今このタワーの中を自由に動けるのは私たちだけ!」
「そうだね……じゃあ、堂々と行かせてもらいましょう。」
〈才羽モモイ、才羽ミドリ、先生、三名の承認が完了しました。〉
ガチャ……
「だ、誰!」
「うわっ!まだ生徒会の役員が残ってるじゃん!」
「どうしますか、先生!」
「突破する……しかないんだけど、ちょっと先に試したいことがあるんだけどいいかな?」
「え、構いませんが……。」
先生はそう言って臨戦体制をとる生徒会役員たちの前に出る。
「な、なんですか!いくら先生と言えど私たちは容赦しな――」
「ごめんね、皆!」
バシュッ!バシュッ!バシュッ!
「「「アババババババババ!!!」」」
先生は少し申し訳なさそうに、されど容赦なく麻痺迫撃砲を役員たちに撃ち込み、無力化した。
「え、何それ!エンジニア部の新作?」
「まあ、そんなところかな。とにかくこの麻痺はあまり長時間は続かないみたいだからここは急いで離れよう!」
「は、はい!」
ビリビリと震える役員を尻目に三人は歩みを進めていく。
「ふふ、最後のシャッターも解除!今やこの生徒会専用フロアは私の思うがまま~♪さて、もう少しで"鏡"がある差押え品保管庫に……」
「モモイ、伏せて!」
分かりやすく調子に乗っているモモイにハレから通信で警告が飛ぶ。
「え?」
モモイが首をかしげると今しがたまで頭があった場所を凄まじい速さで何かが貫いていき、
ドガアアアン!!
凄まじい音に思わず振り返ればそこには穴の開いた壁があった。
「い、今、頭のすぐそばをものすごい威力の弾丸が……。」
「対物狙撃用の49mm弾!?よかった、もう少しでお姉ちゃんの頭に穴が開いてさらに軽くなっちゃうところだったよ。」
「なんか酷いこと言ってる!?」
先生は隣で、自分が食らったらその程度で済むだろうかと内心震えながら考えていた。
「とりあえず、この辺りはもう射撃ポイントに入ってるってことだね。……C&Cの狙撃手、カリン先輩の。」
「ミドリ、先生、伏せて!また来るよ!」
その言葉とともに三人は伏せ、先生は念のためパーソナルフォースフィールドを展開しておく。
再び轟音が走り、近くの壁に立派な穴が開いた。
侵入者が言えた義理ではないのだろうが修繕費は大丈夫なのだろうか?
――対面ビル、屋上
「なるほど、筋は悪くない。小さくてすばしっこく、当てにくいな。……でも残念、パターンはもう把握した。次は、100%命中させる。」
ミレニアムのお掃除()メイド集団C&Cの狙撃手……角楯カリンはスコープを覗き込みながらそうつぶやく。
しかし、その背後から声がかかる。
「それはどうかな?」
「!?」
「私の計算結果は少し違う……君の弾丸があの子たちに当たる確率は、0%だ。」
「っ!誰だ!」
そんな口上とともに登場したのはあらゆる天候に対応するエンジニア部新作の椅子、雷ちゃん……と、その開発者、エンジニア部部長である白石ウタハだ。
「そうか……ゲーム開発部がどうしてミレニアムのセキュリティを突破して、こんな大それたことができたのかはなんとなく分かった。……ふん、私たちを本気で止めるなら、奇襲で来るべきだった。正面からやって倒せるほど、私たちC&Cは甘くない。それは計算違いだろう、ウタハ?」
「ふふ、それはどうかな?」
カリンがその言葉に警戒を強めると、空から風切り音がするのが聞こえた。
「この音は!?」
ドゴオオン!!
凄まじい爆音が屋上に響き渡る。
「これは、曲射砲!?」
「うちのヒビキがミレニアムタワーの反対側から撃っているのさ。さすがの君も、私たちの攻撃をさばきながらその狙撃銃でタワーの反対側の狙撃なんて、出来やしないだろう?」
「くっ!」
「もう一度言ってあげようか……計算通りだ。」
ウタハはカリンに対しこれ以上ないドヤ顔でそう言い放った。
――ミレニアムタワー内部
「狙撃が止んだ……。」
「ウタハ先輩とヒビキちゃんだよ!今のうちに急ごう!」
その時、校舎内から凄まじい破壊音が響き渡った。
「二人とも、これは急いで行ったほうがいいかもしれないね。」
「そうですね……。」
「うん!ダッシュで行くよ!」
三人は差押え品保管庫まで走り抜ける。
ちびっこ二人の走力に先生はバテかけていたが、何とかその扉の近くまでたどり着いた。
「差押え品保管庫はもう目の前だよ、もうすぐ――」
「お、やっと来たね!」
目的地付近にたどり着き、安堵の声を漏らそうとする三人に第三者の声がかかる。
「!?」
「遅かったねー。だいぶ待ってたよ?」
「ようこそ、ゲーム開発部!それに、先輩、だっけ?……違う違う先生だ!思い出した!ずっと会えるのを楽しみにしてたんだよ~?」
「あ、アスナ先輩!?どうしてここに……。」
「う~ん……なんとなく?ここにいればみんなに会えそうな、そんな予感がしたからね~。」
「あの~ここを通してくれたりって……。」
「ダメだよ!」
「そうですか……。」
先生は一縷の望みをかけて言ってみるが、当然その望みは断ち切られた。
「私、戦うのが好きなんだ~。だから、二人にはちょっと付き合ってもらうよ。あ、そういえばまだ自己紹介してなかったね。
C&C:コールサインゼロワン、アスナ!行くよ!!」
そう言ってアスナはキヴォトス人の身体能力を惜しみなく発揮し、凄まじい速さで接近してくる。
「モモイ、避けて!」
「のわああ!!」
モモイは済んでの所で避けたが、確実に余裕がない。
「ほらほら、避けてばっかりじゃなくて攻撃もしないと、私は倒せないよ~?」
モモイとミドリがアスナを相手に逃げ回っている間、先生は二人に指示を出しながら、じっと機会をうかがっていた。
そして、二人を追ってアスナが切り返し、一瞬動きを止めたその瞬間、先生はマルチツールをアスナに向ける。
「今だ!」
先生がマルチツールのスイッチを押せばアスナの体が浮かび上がり、一瞬にして先生のもとに引き寄せ、空中に固定した。
「わあ!なにこれ!おもしろ~い!」
先生が使用したのはグラビティーノコイル。その引力を発生させる機能を用いてアスナを拘束したのである。
「モモイ、ミドリ!今のうちにアスナを無力化して!」
「うん!よくわかんないけど……おらあああ!ふげっ」
「何してるのお姉ちゃん……。」
空中に拘束しているとは言え、手足は自由に動かせる。モモイはわざわざ物理で拘束しようと近づいてアスナの蹴りで吹っ飛ばされた。
ミドリは不甲斐ない姉を尻目に、手に持った銃でアスナの手を重点的に打ち抜きその手から銃を取り落とさせる。
その後、鼻の頭を赤くしたモモイとともに遠巻きにロープでぐるぐる巻きにした。
「あ~どうしよっかな~。このままじゃ動けないし。まさか先生が私を捕まえちゃうなんて思ってもみなかったよ。」
「先生として、ただ見ているわけにもいかないからね。」
アスナと先生が話していると、奥からコツコツと足音が響く。
停電の陰から現れたのはユウカだ。
その背にはアカネと大量のミレニアムのロボットも連れている。
「まさかアスナ先輩を止めるだなんて……。でも、タワーのロボもいるし、他のC&Cのメンバーもすぐここまで来てる。もうここまでよ。」
「げっ!ユウカ……。」
モモイがユウカの姿を見てうめき声を上げる。
「久しぶりね。とりあえず、ここまで状況を引っ搔き回してくれたことは素直に褒めてあげるわ。」
「あ、アスナ先輩!?まさか本当に……。」
「あ、アカネちゃーん!ごめん、捕まっちゃった!」
捕らえられたアスナの姿にアカネが驚きの声を上げる。
「でも、それはそれ、これはこれ……。ここまで綿密に計画を練った襲撃……さすがにやりすぎよ。猶予を与えたことと言い、少し甘すぎたのかしら。拘禁、停学……相応の処分は覚悟しておきなさい。」
「そ、そんな!」
「それじゃ、ミレニアムプライスに間に合わない!」
「アリスちゃんはすでに反省部屋に入ってもらってるわ。今は一人で寂しそうにしてるけど、あなたたちが来たら、きっと喜ぶんじゃないかしら。」
「ぐ……このままじゃ……。」
「お姉ちゃん……。」
「それに先生?先生にもこれまでのこと全部説明してもらいますからね!」
「あ、私も?」
「当り前でしょう!」
余りの絶望的状況にモモイが涙を流し始める。
「ごめん、ごめんね、先生……先生にはいろいろ手伝ってもらったのに、私たちの力不足で、私たちのせいで!」
「諦めないで。まだ、方法はあるはずだよ。」
「そうはいっても、どうしたら……。」
「ターゲットを確認…………魔力充電100%………………光よ!!」
「っ!!この音は!」
「お姉ちゃん、伏せて!」
ドガアアアアン!!!
保管庫の前に光があふれ、凄まじい轟音が鼓膜を揺らす。
気づいたときにはミレニアムの生徒会勢力は半数が撃沈していた。
ちなみに本来なら吹き飛ばされるはずのアスナは、先生がグラビティーノコイルで引き寄せていたため直撃を免れた。
「うぐ……廊下で見た時にも思ったけど、やっぱりすごい威力……。」
「カリン、状況を報告してください!今のビーム砲はどこから!?……カリン、カリン!!くっ、そういえばさっきからカリンの支援が止んで……。エンジニア部にやられましたか……。」
「モモイ、ミドリ、先生も!今です!」
三人の下にアリスが駆け寄ってくる。
「アリスちゃん!?」
「どうやってここに!?」
「アリス、差押え品保管庫に来るまでずっと考えてました。……"ファイナルファンタジア"、"ドラゴンテスト"、"トールズ・オブ・フェイト"、"竜騎伝統"、"英雄神話"、"アイズエターナル"、そして、"テイルズ・サガ・クロニクル"……どんなゲームであっても、主人公は決して仲間をあきらめませんでした。なので、アリスもそうします!試練は、ともに乗り越えなくては!!」
アリスはモモイとミドリに向かって胸を張ってそう告げた。
「アリスちゃん……。」
「そうだね……。このまま捕まればどうせすべて終わり……ゲーム開発部、行くよ!」
「うん!」
「……私も負けてられないね。行くよ、アロナ!!」
『はい!スーパーアロナちゃんの出番です!!』
三人は銃を構え先生はタブレットとマルチツールを構える。
三人の冒険が幕を開けた。
subnauticaです。
今回は初のコースト以外の視点での話となります。
とはいえ、先生が戦闘面で活躍するってのは正直全く想像できないので活躍は控えめですね。
対C&C戦は次回までとなる予定です。お楽しみに。
ここ数日この話を読んでくださる方が増えていてとてもうれしいです。
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やる気が増します。
では、また次回お会いしましょう。
ノーマンズスカイをやったことが
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ある
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ない