blue sky archive   作:subnautica

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先生視点のゲーム開発部編、後編です
ちょっと長め


33 先生視点:聖典の中身

 

アリス合流後のゲーム開発部は快進撃と言っていいほどだった。

もとよりアリスの100%エクスカリバーで負傷を追っていた生徒会のロボ軍とアカネでは、万全な状態で先生の指揮を受ける三人には勝てなかった。

そんなこんなでどうにかユウカとアカネたちを撒いた先生とゲーム開発部は差押え品保管庫へとたどり着いた。

 

「はあ……はあ……ここまでくればもう大丈夫かな……先生、ミドリ、アリス、大丈夫!?」

「アリスのHPは十分です!問題ありません!」

「私も、先生も大丈夫。」

「うん、私は問題ないよ。」

 

全員無事に逃げ込むことに成功したようだ。

 

「ふう……なら良かった。ところで、ここが差押え品保管室?なんかだいぶ滅茶苦茶だけど。」

「確かに、ガラスが割れて、棚も倒れてる……何があったの?」

「戦闘の余波かな?まあ、それはそれとして多分ユウカはアリスが出てきた時点ですでに鏡を持ってると思い込んでるだろうから私たちが部室のほうに逃げたと考えてるだろうね。まさか、こっちに来てるとは思ってないでしょ。とりあえず、"鏡"さえ持ち出してしまえばあとはヴェリタスが何とかしてくれるはず……!」

 

ゲーム開発部と先生で差押え品保管庫をごそごそとあさっていると、ミドリが近くの棚に"Optimus Mirror System"のラベルを発見した。

 

「見つけた!"鏡"、これさえあれば……。」

「よしっ!じゃあ、早速帰って……」

 

その時、アリスの人より鋭い音波探知が足音を捉えた。

 

「静かに……ミュートでお願いします。……何者かがこちらに接近しています。足音からして人数は一人……」

「一人?だったらこのまま制圧して早く帰らない?」

「待って、ハレ先輩からなんか連絡が来てる……」

 

『逃げて!いや隠れて!なんとしてもそこから――……』

 

「なんか焦ってるみたいだけどいったい何が……」

「接近対象を確認、ミレニアムの生徒名簿を検索……対象の特徴……身長146cm、ダブルSMG、メイド服の上から龍柄のスカジャン……」

「うぇ!ま、まずい!」

「隠れて!」

 

モモイとミドリが涙目で部屋の奥へと隠れようとする。

 

「え?どうしたの二人とも、そんなにヤバい人なの?」

「やばいなんてもんじゃない!その特徴に当てはまる人はただ一人……C&C最強の、ネル先輩だよ!」

 

 

 

 

 

 

コツコツと足音を立て、小柄な体にメイド服とスカジャンを纏った生徒が入ってきた。

 

「あーあー、もう滅茶苦茶だな、これ……。」

「(な、なんであの人がここに……!)」

「あん?今声がしたか?」

 

その言葉にモモイとミドリの体がびくびくと震える。

その姿はさながら小動物だ。

 

「ふ~ん……。気配がするなぁ、机の下か?」

「(ま、まずい!)」

 

足音がどんどん近づいてくる。

動けば確実にばれるし、そもそも動いて隠れられるような場所はもう他にはない。

 

「(も、もう駄目だぁ、おしまいだぁ!)」

「(ど、どうしましょう、先生!)」

「(だめです、今、のぞき込まれたら……!)」

「さて、何がいるのかなっと!」

 

ネルが銃を構えて机の下を覗き込む。

 

「(ああっ!終わった!)」

 

モモイは心の中で泣き叫び、絶望した。

 

「……ちっ、何もいねえか。勘が鈍ったか?」

「(え、どういうこと?)」

 

ネルは確実に自分たちのいる机を覗き込んだにもかかわらず、何もせずに戻っていった。

 

「あ、あの!ネル先輩、大変です!」

「あん?」

「(うぇ!?ユズ!?)」

 

と思えば外から突如としてユズの声が聞こえ、ネルは保管庫の外へと出て行った。

 

「ふう、危ないところだったね。」

 

先生はネルが十分に離れたのを見計らって手に持ったマルチツールのトリガーから手を放す。

すると先生たちを覆っていたクローキングが解けた。

 

「もしかして、さっき見つからなかったのって先生のおかげ?」

「私のおかげというかマルチツールのおかげだけどね……。」

「ア、アリス、緊張で死んでしまうかと思いました……。」

「まさかあの状況で生き延びれるなんて、ありがとう先生。」

「はは……気づかれなくてよかったよ。」

 

そこで先生はコーストの言葉を思い出す。

 

『いいか、先生。クローキング装置とパーソナルフォースフィールドは本来スーツのエネルギーを流用して発動するものだが、当然先生はスーツを持ってない。だからとりあえずフルで発動できるバッテリーを三つほど渡しておく。それを使い切ったらもう発動できないから使いどころは考えろよ。』

 

「(カリンの襲撃を防ぐのにパーソナルフォースフィールドでバッテリーを半分、そしてさっきのクローキング装置フル使用で一個……バッテリーにして残り一個半……考えて使わないとな。)」

 

残りのバッテリーを眺めながら先生はそんなことを考える。

そして、周囲を警戒しながら机の下から這い出てくると部屋の入り口付近でネルとの会話を終えてへたり込んでいるユズを発見した。

 

「ふぇぇ……、し、死んじゃうかと思った……。」

「ユズうぅぅーー!!」

「ありがとう、ユズちゃん、助けに来てくれて!」

「ち、力になれたなら良かった、えへへ。」

 

モモイとミドリから感謝の声を浴びせられたユズは嬉しそうににこにこしている。

 

「あ、そ、そんなことより、今アリスちゃんが持ってるのが……。」

「はいっ!これが、人類と世界を救う私たちの新たな武器……"鏡"です!」

 

アリスは手に持ったそれを自信ありげに掲げ、腰に手をついてふふんと笑った。

 

「や、やっと……!」

「お祝いは後!またネル先輩が戻ってきちゃったら一巻の終わりだから!今は早く戻ろっ!」

「うん!この先には戦闘ロボがまだいっぱいいるから気を付けて!私たちの目的は"鏡"じゃなくてG.Bibleだから、早くヴェリタスに行かなきゃ……!」

「そうだね。まだ任務は終わってない!」

「後方は私が守ります。先生、指示をお願いします!」

「ああ、ゲーム開発部、戦闘開始だよ!」

「「「「おーーーー!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲーム開発部ねぇ……知らねえ部活だが、ずいぶんやってくれたみたいだな……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘を終えて無事に戻ってきたゲーム開発部。

ダッシュしながらの戦闘指揮はインドア派の先生にはかなりの重労働であったが、代償は先生のふくらはぎだけに抑えられた。

生徒の望みのためならそれくらい安いものだろう。

 

さて、そこまでして確認したかった肝心のG.Bibleの中身のほうだが……

 

G.Bibleの世界へようこそ。

 

最高のゲームとは何か……この質問に対して

世界中で様々な答えが模索され続けてきました。

 

作品性、人気、売上、素晴らしいストーリーや爽快感、鳥肌の立つ演出など。

そういったものが最高のゲームの条件として挙げられることは多いですが、それらは全てあくまで「真理」の枝葉に過ぎません。

 

最高のゲームを作る秘訣、それはたった一つです。

そして、このG.Bibleにはその真理が秘められています。

 

最高のゲームを作るたった一つの真理、秘密の方法......

それを今こそお教えしましょう。

 

……

 

ゲームを愛しなさい!

 

……

……

……

 

 

「みんな~もうG.Bibleのほうは確認したのかな……って、みんなどうしたの?」

 

先生が労いの意味も込めて、マルチツールを受け取った時にコーストからもらったアノマラスドーナツをお土産にゲーム開発部の部室までやってくると、そこには死屍累々と言った感じで倒れ伏すゲーム開発部の面々がいた。

ちなみにアリスはその真ん中であわあわしている。

 

「あ、先生!助けてください!G.Bibleの文を読んだ瞬間に皆が倒れ伏してしまって……もしかしてG.Bibleは読んだら体力を削ってしまう呪いの書だったのでしょうか……。」

「あ~……もしかして、G.Bibleに書かれていたことが思っていたものとは違ったとかそんな感じかな?」

「ぅぅ……先生……これ見て……。」

 

どことなくしなしなになったモモイが指さす画面にはG.Bibleのテキストが表示されている。

そこには先ほどの文章が表示されていた。

 

「これは……まあ、そういう反応になっちゃう気持ちもわからなくもないけど、でも、これが真理って事じゃないかな。」

「そうかもしれないけどお……でも、あれだけ苦労したんだから何かいい感じの方法とかが書いててくれてもいじゃん!」

 

床でばたばた暴れるモモイに対し、アリスが口を開く。

 

「モモイ、ミドリ、ユズ、聞いてください……アリスはテイルズ・サガ・クロニクルをやるたびにいつも思います。あのゲームは、面白いです。……感じられるんです三人がどれだけゲームを愛しているかを。そんなたくさんの思いが込められたゲームの世界で旅をしていると、アリスは胸が高鳴ります!新しい仲間と一緒に冒険をするあの感覚は、夢を見るということがどういうことか……その感覚をアリスに教えてくれました。だから、待望のエンディングに近づくたびにこう思ってしまうんです。この夢が、覚めなければいいのに……と。」

「アリス……。」

「そうだよみんな!私もあのゲームをプレイしてみて……まあ、若干理不尽な感じがするのは否めないけど、それでも、皆がどれだけゲームを愛しているかっていうのはとてもよく伝わったんだ。」

「先生もそう思ってくれるの?」

「ああ。先生もああいうレトローゲーは結構好きだからね。……だから、皆はもう、最高のゲームを作るための条件は満たしているんだよ。」

 

先生はそう力強く告げる。

 

「うん、よし!……アリス、ミレニアムプライスの期限まで、あとどのくらい残ってる?」

「……お姉ちゃん!」

「はい!6日と4時間38分です!」

「それだけあれば十分!……さあ!ゲーム開発部一同!"テイルズ・サガ・クロニクル2"の開発、始めよう!!

「「「うん!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

――6日と4時間36分後

 

ゲーム開発部は限界を超えた修羅場を迎えていた。

 

「急かさないで!待って、あとこれ入力するだけだから!……これで、終わりい!」

 

タアン!とエンターキーを叩きつけ入力を終えるモモイ。

ミレニアムプライス登録締め切りまでは残り2分を切っていた。

 

「簡単にテストだけやって……エラーは出てないよモモイ!」

「アップロードと転送に15秒……アリス、残りは!」

「19秒です!」

「なら、いける!」

 

…………

転送完了//ミレニアムプライスへの参加登録が完了しました。

 

「ま、間に合ったぁぁぁ!!」

「ギリギリ……心臓止まるかと思った……。」

「あとは発表待つのみ、だね。」

「うん!みんなよく頑張ったよ!」

「ここまでこれたのも先生のおかげだよ。ありがとう、先生!」

 

ちなみに先生はゲーム開発の手伝いをできるようなスキルは持っていないため、ちょくちょくお菓子やジュースをもってきてモモイたちを応援していた。

 

「ただ、まだ登録をしただけで結果が出たわけじゃない。三日後以降もこの部室にいられるかは結果次第だからね。……まあ、三日って結構長いし気長に待つとしよ――」

 

ドゴオオオン!!

 

「うわああ!何!」

「遠距離攻撃を確認!部室正面から11時の方向!距離は約一キロです!」

「こんな攻撃ずっと食らってたら部室が壊れちゃうよ!」

「外に生徒会の人たちもいる……もしかして"鏡"の件の報復!?」

 

そんなことを言っている間にもどんどん砲撃が撃ち込まれてくる。

 

「落ち着いて外に逃げよう……というかこの建物崩れたら私はただじゃすまないし……。」

「そ、そうですね。急ぎこの場を離れましょう。」

「アリス、私とユズが前に立つから、後ろは任せたよ!」

「はい!アリスはみんなを守ります!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ、ここまでくれば大丈夫かな?」

 

大量に襲い掛かってくる生徒会ロボを何とか下しつつ、モモイたちは近くの旧校舎へと逃げ込んだ。

 

「ふ、太ももが……。」

 

運動不足の先生はふくらはぎに次いで太ももも逝った。無念。

 

「大丈夫ですか先生?」

「大丈夫だけど、できれば走りたくないかな……。」

「そうですか……でも、とりあえず結果が出るまでは逃げ回るしか――」

「逃げ切れるとでも思ったか?」

 

その言葉にその場の全員が一斉に振り返る。

瞬間、ミドリがサブマシンガンの連射を受けて吹き飛んだ。

 

「ミドリ!?」

「チビ共のやけに判断がいいと思ったら……ゲーム開発部のバックについていたのはあんただったんだな。先生……で合ってるか?」

 

銃を構えて廊下を進むのはミレニアム最強の称号を関するメイド……美甘ネルである。

 

「やあ、キミからしたら初めまして……かな。もしかしてこの前のリベンジに来たとか?」

「言い方が引っかかるが……まあ、初めましてだな。だが、ここに来たのはリベンジだなんてくだらない理由じゃねえ。……おい、そこのデコ出してるあんた。」

「ひう!?」

「あの時はあたしを騙してくれたな。あ?」

「ひっ!……す、すみません!」

 

ただでさえプレッシャーにネルの凄みはクリーンヒットしているようだ。

何なら今にも倒れそうである。

 

「だが、褒めてやるぜ。」

「え?」

「怯えた振りでブルブル震えながらこのあたしを騙すなんてな、やるじゃねえか。」

 

ネルはカラカラと笑いながらそう言った。

 

「(怯えてたのは多分演技じゃないような……。)」

「それで、そこのバカでかい武器を持ったお前……キョロキョロしてんじゃねえ!あんただよあんた!ほかにいねえだろうが!」

「え、アリスのことですか?」

「ああ、あんたには用がある……何でも、C&C相手にやらかしてくれたみたいじゃねえか。面貸せよ。」

 

ネルのそのセリフにアリスの頭にピコンと電球が光る。

 

「あ、このシチュエーションアリス知ってます!告白イベントですね。このチビメイド様はアリスに惚れていると……レアスチル獲得です!」

 

アリスのそのセリフにネルがキレた。

 

「ざっけんなこの野郎!!誰がチビメイドだ、ぶっ殺されてえのか!?……はあ、つくづくイラつく奴らだ。……まあ、いい、さっきも言ったが、あたしは別にリベンジがしたいとかそんな理由で来たわけじゃない。ただ、あたしらC&Cと正面からやり合って目標を達成したお前たちに興味がわいただけだ。というわけでお前たち、一戦付き合え。」

「ええ!なんで!」

「お互いを理解するためにはこれが一番早いだろう?……あたしを倒せたら、大人しく引き下がってやるさ。さあ、武器を構えろよ。」

「……分かりました。」

「お、やる気満々か。そう来なくっちゃ――」

「先手必勝です!光よ!!」

「おい、いきなりか!!」

 

ゴアアアアアア!!!

 

秘かにチャージを続けていたアリスのエクスカリバーが火を噴く。

 

「やったか……?」

「ちょっとアリスちゃん!なんでそう言うこと言っちゃうの!」

 

その時、煙の奥からマシンガンの弾が飛んでくる。

 

「確かに火力は高え……だが、溜めが長いし攻撃も直線的、そんなんじゃ当たらねえよ。」

「な、ならもう一度……」

「させると思うか?」

 

ネルが並外れた脚力で一気にアリスに接近、接近戦に持ち込む。

 

「そのデカブツ、確かに火力は強いがそのせいで近接では使えないだろ!だからこうやって懐に入り込んでしまえば何もできない!そんで、接近戦でこのあたしに勝てる奴なんか、このキヴォトスに、いや、存在しねえ!!」

「ぐ、おりゃ!」

 

アリスが盾にしていたエクスカリバーをぶん回し、ネルに叩きつけようとする。

ネルも見るからに重量のあるそれを振り回す怪力には驚いたが、小柄ゆえの機動力を生かして避けた。

 

「接近戦としては悪くないが……あたしには及ばねえよ!」

「仕方ないです……できればエクスカリバーだけで戦いたかったですが、相手に合わせて武器を変えるのもRPGの鉄則です!」

 

そう言ってアリスはいつの間に懐に隠していたマルチツールを引き抜き、グラビティーノコイルを起動。

その機動力ゆえに重力場で捕らえるのは難しいが、斥力で吹き飛ばすのならそう難しくはない。

 

ドンッ!!

 

「のわっ!何だそれは!」

「これでアリスのターンです!そしてダメ押しで"パラライズ"!」

 

そう言ってアリスはマルチツールのアタッチメントを変更、吹き飛ばされて足を止めたネルに麻痺迫撃砲で追撃する。

 

「ガッ!?体が、痺れ……!」

 

そう言いながらも体が少し動いている。さすがの肉体強度だが、それだけの隙を見せてしまってはアリスも見逃さない。

 

「魔力は充電させておきました!……光よ!!

「チッ!クソがっ!!」

 

ゴアアアアアア!!!

 

エクスカリバーの光がネルを呑み込んだ。

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ってことがあったんだよ。」

「……良く生き残ったな。」

 

いろいろ落ち着いた後、先生はコーストに銃を返すべくゲーム開発部にコーストを呼びつけていた。

お前がアビドスまでやってこいと言いかけた(言った)が、今日はミレニアムプライスの発表日で校舎を出歩いてる子は少ないはずだから……と説き伏せられ仕方なく来ることにしたのである。

なんだかんだ先生には甘くなってしまうコーストだった。

 

「にしても小さくて力が強い……ホシノとかヒナみたいなやつがミレニアムにもいたんだな。なんだ、各学園に一人はいるもんなのか?」

「う~ん……どうなんだろうね。もしかしてトリニティにもそんな子がいるのかな?」

 

残念ながらトリニティ最強はゴリラである。

 

「さて、そろそろ発表の時間かな。」

「だろうな。あいつらずっとそわそわしてるし。」

 

コーストが画面に張り付いているゲーム開発部の面々を眺めていると、ミレニアムプライスのランキング発表が流れてきた。

 

『第7位はエンジニア部ウタハさんの"光学迷彩下着セット"です!』

 

「……誰に需要があるんだ?」

「露出症の患者の方?」

「身に着けてようが見えてたら犯罪だろうが。」

「それはそう。」

 

その後も6位、5位、と発表が続くが、ゲーム開発部の名前は呼ばれない。

時間に比例してゲーム開発部たちの焦りも募っていく。

 

「もう、心臓が持たないよ……!」

「そろそろ呼ばれてっ!」

 

そして、ついにその時がやってくる。

 

『第一位は!新素材開発部……』

 

ダダダダダダッ!!

 

「だあああ!!もう駄目だ!今度こそ、本当に終わりだぁぁぁぁあ!!!!」

 

ディスプレイを弾丸で吹き飛ばしたモモイは真っ白になって部室に倒れこむ。

その姿にどう慰めを掛けようかと先生と二人で思案していると、ユウカがゲーム開発部の扉を開け放って入ってきた。

 

「モモイ、ミドリ、アリスちゃん、ユズ!」

「うわあ!もう部室を接収しに来るなんて、鬼、悪魔、ユウカ!!」

「そんなすぐには……!」

「ちょ、何でそこまで言われなくちゃならないのよ!私はただおめでとうって伝えに来ただけなのに!」

 

その言葉に全員が首をかしげる。どう考えてもおめでとうという空気ではなかったからだ。

 

「どういう……こと?」

「な、何よ……結果見てなかったの?」

「でも、私たち7位以内に入れなくて……。」

「何言ってるのよ……今も放送中なんだからちゃんと見なさい……って何でディスプレイがボロボロに……。」

「お姉ちゃんが銃を乱射して吹き飛ばして……。」

「何やってるのよ……ほら、見せてあげるからこっち来なさい。」

 

ユウカがスマホを立てておく。

そこにはミレニアムプライスの続きが映し出されていた。

 

『ミレニアムプライスはこれまて生徒達の才能と能力で作られた作品に対し、「実用性」。軸に据えて授賞を行ってきました。

これはより良い未来を求め、実現していくという趣旨に基づいています。

しかし今回の作品の中には、新しい角度から「実用性」を感じさせてくれたものがありました。

その「ゲーム」は前回は製作者サイドの各担当者が重要視する要素がバラバラであまりに酷かったことを記憶しています。』

 

「もしかして、このゲームって……!」

 

『故に、私たち審査員一同は検討の末、異例の選択をすることにしました。

今回は「特別賞」を設けます。

 

その授賞作品は......ゲーム開発部の「テイルズ・サガ・クロニクル2」です!!』

 

「え、そんな、嘘!」

「本当におめでとう!私もあの後プレイしてみたんだけど、手放しに面白いゲームといえるわけじゃないけどいいゲームを遊んだ後の独特な感じを味わえたわ。今、あなた達のTSC2はネット上でも大騒ぎよ!」

 

やったー!!あとからやってきたヴェリタスのメンバーや先生と騒ぐゲーム開発部たちをコーストはそばで見つめる。

今回の顛末は先生からの伝聞でしか知らないが、あの4人が精いっぱいの努力で切り開いた結果であることは間違いないだろう。

コーストは心の中で称賛の声を送った。

 

「あとで俺もプレイしてみるかね。」

 

コーストはそう言って最近買った携帯端末にTSC2をダウンロードする。

 

その後、TSC2が良かったので1はどんなものなのかとプレイしてみたコーストが地獄を見るのは語る必要のない物語である。

 




subnauticaです
とりあえずレトロチックロマンが完結ですかね。
このまま続けてパヴァーヌのほうに入ろうかと思っています。

それと、また今回から2~3週間ほど更新頻度が低下します。
ちゃんと戻ってくるので気長にお待ちください。
余裕ができればちゃんと更新します。

では、また次回お会いしましょう。

ノーマンズスカイをやったことが

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