33においてアリスの武器名がスーパーノヴァではなくエクスカリバーになってしまっていました。
アリスが勇者じゃなくて騎士王になっていた……。
誠にごめんなさい。
ミレニアムでの騒ぎから数日後のこと……
「そう言えば、今日は客人が来るぞ。」
コーストが同じ部屋にいたホシノたちにそう言う。
「客人?いったい誰なのさ?」
「ミレニアムの奴だ。ビナーに聞きたいことが有るらしくてな。」
その名を聞いたホシノは目を細める。
「……コーストさん、ビナーの名前を外に出したの?」
「正確には話したのは先生だ。だが、そいつらはあのビナーが所属していたらしいデカグラマトンについていろいろ知っていてな。いろいろ情報交換をしたほうがいいってことになったんだ。」
「なるほどね~。でも、うちに呼ぶんだったら事前に少し言ってもらえると嬉しいかな。」
「……すまない。」
コーストが配慮が足りなかったとばかりに謝る。
「いいよいいよ。で、いつ頃来るの?」
「ああ、それならもうすぐ――」
ピンポーン
来客を示す呼び鈴が鳴った。
――アビドス校門前
校門の前に止まるのはミレニアムの校章をサイドにつけた大きめのバン。
そのそばで車いすの少女、ヒマリはアビドスのその姿を見て目を見開いていた。
「な、なんですかこの軍事設備は……。本当にここがアビドス高校?」
ヒマリがそんな感想を抱いてしまうのも無理もなく、校舎を囲むように高くそびえたつ合金の壁、並び立つ監視塔……少なくとも学校とは思い難い見た目をしていた。
実際のところはただ単にコーストの建築欲が爆発しただけである。
「えっと……これが呼び鈴でいいのかしら?」
ヒマリが門の近くにあるスイッチを押す。
すると数秒後、眼前の自動扉が開いてコーストとアビドスの5人が出てきた。
「やあやあ、アビドスへようこそ!」
「え、ええ。私はミレニアム、特異現象捜査部部長の明星ヒマリです。あなたがアビドスの代表の方かしら?」
「そうだよ~。おじさんはアビドス廃校対策委員会委員長の小鳥遊ホシノ、よろしくね~。……ところで君たち、ビナーに用があるんだって?」
ホシノがふわふわした雰囲気を消して真面目な口調で聞く。
「お、おじさん?……コホン。ええ、私たち特異現象捜査部はそのビナーも含むデカグラマトンを追っています。よろしければ、ビナーと直接対峙したあなたたちからもお話を聞かせていただけますか?」
「うん。構わないよ。ただ、キミたちと、ビナーとの話し合い、それに私たちも参加させてくれないかな?」
ホシノがヒマリにそう問う。
「もちろん構いません。あまり人に知られるべきことではないですが、当事者である皆さんとなれば話は別ですからね。というより、こちらがお願いしている立場なのですから、コーストさんが問題ないのであれば私に異はありませんよ。」
「俺としてはもとよりそのつもりだったしな。もちろん構わない。」
「……そのつもりだったなら、一人で完結しないでちゃんと私たちにも教えてよ。」
ホシノからしらーとした視線が飛ぶ。コーストは目をそらした。
「コホン。じゃあ、校舎裏に来てくれ。ビナーを呼ぼう。」
コーストが歩き始める。
「ビナーを呼ぶ?この辺りに既にいるのですか?少なくともバンのセンサでは何もとらえていませんが……。」
「まあ、来たらわかるさ。」
コーストはヒマリにそう意味ありげに告げた。
しばらくしてコーストたちは校舎裏にある砂に沈んだ空き地にたどり着いた。(エイミは暑くて車の外に出てこれないのでバンと一緒に移動)
「この辺でいいか……よし。来い、ビナー。」
コーストが登録したコンパニオン一覧からビナーを選択すると、虚空から一瞬で視界を埋め尽くす巨体が現れる。
「うわあ!ど、どこから出てきたのですか!?」
ヒマリはビナー登場の衝撃に目を白黒させている。
『ぬっ!?私は砂漠の真ん中を進んでいたはず……。スーツの人間、これはどういうことだ?』
同時に呼び出されたビナーのほうも困惑したような声を出していた。
「あれ、ビナーって喋れないんじゃなかったっけ?」
セリカが純粋な疑問を口にしていた。
普段からコーストと接しているだけあってビナーがどこからともなく現れたこと自体はまったく気にしていないようだ。
「ああ、それに関してはこの前ポーロに頼んで発声装置を作ってもらったんだ。」
「ポーロ?誰それ?」
「ん、コーストさんの友人。私は前にあったことがある。」
シロコが代わりに答えた。
シロコは以前スペースアノマリーに赴いたことがあるのでポーロの存在についても知っている。
「それより!このビナーは一体どこから現れたのですか!?一瞬で目の前に現れたように見えるのですが!?」
放置されていたヒマリが我慢できないというように叫んだ。
「どうやってって……コンパニオンの転送機能だ。空間転移程度、今更騒ぐようなことでも……いや、ここでは一般化された技術ではなかったか……。」
「一般化も何も、まだほとんど手も触れられないような技術ですよ!……あなた、本当に何者なんですか?」
「まあ、今日の本題はそこではないだろう?せっかくビナーを呼んだんだ。聞きたいことがあるんだろう?」
説明するのが面倒くさかったコーストは話題をビナーのほうに投げる。
因みに、コーストたちが呼び鈴を鳴らした後一瞬で門を開けて出てくることができたのも、校門と部室の間に短距離テレポーターを配置しているためである。
『私もそのあたりの話は気になるのだが……まあ良い。そこの車いすの人間、何を聞きたいというのだ?』
ビナーがその頭をヒマリのほうへ向けてそう言う。
「露骨な話題そらし……いえ、今はこちらが優先です。ええ、第三の預言者、ビナー。私が聞きたいのは一つ、他のデカグラマトンの預言者の詳細です。」
『ほかのデカグラマトンの預言者、か……。』
「ええ、デカグラマトンの目的については分かっています。ですので、あと知るべきなのは敵の戦力。デカグラマトン本体が私たちに対し攻撃的な態度をとってきた以上、預言者たちともいずれ対立することになるでしょう。あなたはコーストさんの仲間となった以上あまり考えなくていいですが、現状他の預言者に関するデータが圧倒的に不足しています。あなたが知っていることは何かありますか?」
ヒマリの質問にビナーはしばし逡巡する。
『……私自身も知っている情報は限られている。それでも構わないか?』
「ええ、構いません。」
ヒマリの返答に頷くと、ビナーは自分の知っている預言者たちの情報を列挙し始めた。
第一の預言者 ケテル/KETHER
その異名は"最もきらびやかに輝く至高の王冠"
多脚の戦車のような見た目を持つ。
機体上部の換装によってさまざまな場面に対応する力を持つ
第二の預言者 コクマ―/CHOKMAH
その異名は"王国を守りし古代の守護者"
普段は戦艦に扮しているが戦闘時には獣の姿となる。
自然エネルギーに干渉することが可能。
第三の預言者……は今は除外でいいだろう。
第四の預言者 ケセド/CHESED
その異名は"慈悲深き苦痛をもって断罪する裁定者"
兵器の生産ラインを支配し、自ら作り出した兵器によって戦う。
第五の預言者 ゲブラ/GEBURAH
その異名は合理を超えた勇猛な仲裁者
水中において強い機動力を持ち、後背部には多数の武装を搭載している。
……
そこまで言ってビナーは口を詰まらせた。
「どうしたのですか?」
『……六番目以降の預言者の情報がメモリから欠落している。』
「え、それはどうして……。」
『先の戦いで私もかなりの損傷を負った。それも原因の一つだろう……。』
コーストとの戦いはかなり激しいもので、最終的に和解のような形にはなったもののお互いに深手を負った戦いであった。
加えてデカグラマトンから受けていた影響をコンパニオン化で強引に断ち切ったためにメモリにもいくらか負荷がかかってしまっていたのである。
「そうですか……それでは、分かっている限りでいいので、他の預言者が今いる場所などは分かったりしますか?」
『今もいるかはわからないが……以前いたらしい場所の座標は教えてやろう。』
ビナーはそう言って第一から第五の預言者がいると思しき場所を教えてくれた。
「エイミ、聞いていましたね。座標の場所の調査をお願いします。」
『任せて、部長。』
「頼みますよ……ビナー、情報の提供に感謝します。」
『そうか。私としてはもう特にデカグラマトンに対して思うところはないが……あいつらが現状どうなっているのかは私も気になるところだ。何か分かったのならばそこのスーツの人間を通じて私に教えてくれ。』
「分かりました。それはお約束しましょう。」
『用は以上か。では、さらばだ。』
ビナーはそう言うとその体を砂に潜らせてどこかへと去っていった。
「ふう……ま、まさかいきなり対面して話すことになるなんて、ここまで緊張したのは初めてです……。」
「大丈夫か、ヒマリ?なんだか顔色が悪いが……。」
「あなたのせいでしょう!?」
ヒマリが声を荒げた。
「まあまあ、落ち着いてよヒマリちゃん。コーストさんと一緒にいたらこんなのは日常茶飯事だから。なれないと大変だよ~。」
ホシノがヒマリをなだめるようにそう声をかけた。
最もコーストに振り回されているであろうホシノの言葉には強い説得力があった。
「はあ、まあ良いでしょう。とりあえず第五の預言者までの情報はかなり更新することができました。これでより効果的な調査を進めることができます。」
「そうか。役に立ったのであれば何よりだ。」
「ええ、近いうちにビナーが示した第一の預言者がいるであろう場所、ミレニアムの廃墟水没地区での調査をするつもりでいます。その折にはコーストさんも協力していただけますか?」
「ああ、もちろんだ。」
「ありがとうございます……あ、それと、アビドスの皆さんにもいくつか質問したいのですが、よろしいですか?」
ヒマリはそう言ってアビドスの皆のほうに近づいて戦闘中のビナーについていろいろ質問を始めた。
「しかし、ビナーの話を信じる限りでは今まで気づかなかっただけで割と近くにあいつらの仲間は潜んでいるんだな……。」
『うん。廃墟水没地区も立ち入り禁止ではあるけど都市部からはそう離れた場所でもない。……ミレニアムは思った以上に危険な爆弾を抱えていたみたい。』
コーストの言葉に未だ冷房の効いた番から出てくるつもりのないエイミが答えた。
「……ちなみに、一切顔を出さずにミレニアムに戻るつもりなのか?」
『当たり前でしょ。40度以上もある砂漠になんて私が出れるわけないじゃん。』
「そうかい……。」
色々話していたらヒマリの聞きたいことは聞き終わったらしく、お礼を言ってからバンに乗ってミレニアムへと帰っていった。
「ねえ、コーストさん。あのビナーみたいなやつがこのキヴォトスに10体もいるの?もし、そんなのが暴れだしたら……。」
「そんなことにならないようにこうして連携をとっているんだ。そう悲観的になることはない。」
コーストはそう口にするものの、やはり心の中では不安も大きかった。
現在のキヴォトスを大きく超えた古代の技術によって生み出されたAIの軍勢。
コーストはデカグラマトンへの警戒を強化しようと考えたが、別の古代の遺物による大問題が発生するとはこの時は思いもしていなかった。
――ミレニアム、セミナー執務室
「アビドスから帰ってきて早々に呼びつけるとは……この超天才清楚系病弱美少女をいたわろうという気はないのですか?電気もついてませんし、まるであなたの性格を表しているようですね、リオ?」
「万全を期しているだけよ。――この会談を外部に知られるわけにはいかないもの。」
ここに、ある一つの密談が始まろうとしていた。
subnauticaです。
お待たせしました!
用がひと段落したので、今回からまた投稿頻度を戻していきたいと思います。
今回は何というか説明回に近い感じになりましたね。
デカグラマトンはこの時点でどこまで絡めていいのか……。
さて、次回からはパヴァーヌのほうに入っていこうかと思います。
では、また次回お会いしましょう。
ノーマンズスカイをやったことが
-
ある
-
ない