blue sky archive   作:subnautica

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すみません、ちょっと投稿遅れました。


38 先生視点:ビッグシスター

「彼女は……?」

 

先生が部屋に入ってきた知らない顔にそう疑問を口にした。

 

「あの人は調月リオ……このミレニアムの生徒会長です。」

「……か、会長が何でここに……。」

 

先生の疑問に二人が答える。

しかし、その顔は今にも泣きだしそうになっていた。

アリスの瞳も不安で揺れていた。

 

「ええ、私はミレニアムサイエンススクールの中枢――セミナーを率いる者、そして、"千年難題"の解決を望み、星を追う者――本来であればシャーレの先生とは正式な挨拶の場を設けたかったのだけど……今日は別の用事があるので、また別の機会に。」

「真実とは、一体?」

 

リオの言葉に先生はそう返す。

リオがアリスに向かって語り掛けたあの言葉には確実に何か含みがあった。

 

「そう――"真実"、あなたたちは数日前のあの事件で一つの考えに達したのではなくて?――今まで友人だと思っていた彼女が見せた異なる姿、そしてそれがもたらした破壊と混乱。」

 

リオはあくまで淡々と言葉を連ねる。

その言葉には何も感情が込められていないように感じられた。

 

「それを目の当たりにして、あなたたちはこう思ったのではないかしら――"今まで私たちが友人だと思っていたのは、実はそうではないのかもしれない"と……そうでしょう、シャーレの先生?」

 

アリスが不安そうに先生を見つめる。

その顔には先ほどまで以上の恐怖が宿っていた。

 

「リオ、キミは一体何を……。」

「単刀直入に言えば、あなたたちの後ろにいる少女……少女の外見を備えた"それ"は普通の生徒ではないわ。――未知から侵略してくる不可解な軍隊(Divi:Sion)の指揮官であり、"名もなき神"を信仰する無名の司祭が崇拝したオーパーツであり、古の民が残した遺産、その名も――"名もなき神々の少女AL-1S"」

 

リオは一息にそう語るが、そうして語られた言葉の数々は聞き覚えのない言葉ばかりであった。

 

「あ、アリスには……理解できません……。」

「そうですよ!勝手に脳内の独自設定を喋らないでください!……よくお姉ちゃんがそうやって話してきたから分かるんです。勝手にアリスに変な設定を付与しないで。」

「み、ミドリ……。」

 

ミドリはアリスをかばうようにリオの前に出てそう言い放った。

ミドリの行動にユズは後ろで震えている。

 

「――ごめんなさい。私の配慮が足りなかったわね……もっと理解しやすいよう、あなたたちの好きな"ゲーム"で例えましょう――そう、つまりアリス、あなたは……」

 

そしてリオは、アリスにとって決定的となる一言を口にした。

 

「この世界を滅ぼすために生まれた"魔王"なのよ。」

 

リオのその言葉にアリスの目が見開かれた。

 

「え……」

「アリスが……"魔王"?」

「またそんな設定を……どうしてそんなことを言うんですか!!いったい何を企んで……!」

 

ミドリがリオに対して怒りの声を上げる。

 

「別に、企んでなどいないわ。というより、あなたたちも見たのでしょう?不可解な軍隊(Divi:Sion)とアリスが接触した結果、何が起きたのかを。」

 

先生とゲーム開発部の脳裏に、アリスとともに攻撃を仕掛けてきたあの不可解な機械がよぎる。

 

「……あの機械のことだね?」

「ええ……本来はああなるはずではなかったの。C&CとAMASを通じて全機体を追跡できたと思っていたのだけど……まさか監視網をかいくぐった個体がいたなんて。これに関しては完全に私のミスによるもの。謝罪をここに。」

 

リオが謝罪の姿勢を見せたことでみんなが驚きの顔を見せた。

 

「ただ、それもあって私の建てた仮説は立証されたわ。」

「仮説……?」

「そう、あなたたちが廃墟から持ち出したそれはミレニアム、ひいてはキヴォトス全体を破滅に導きかねない悪夢……そしてアリスの存在が廃墟から奴らを引き付けているということが立証された。」

 

先生はコーストにアリスを調べてもらった時の言葉を思い出す。

コーストも彼女の体は戦闘用に作られたものだろうと話していた。

そして、現在のキヴォトスの持つ技術をはるかに逸脱したものであろうということも。

先生はそうではないと信じたい気持ちに反してリオの仮説が真実なのではないかという考えが頭を占め始めていた。

 

「この脅威を解決する方法はただ一つよ、アリス。」

「解決、する方法……?」

「そう。――アリス、あなたが消えること。この世界に、あなたは存在してはいけない。」

「っ――ふざけないでっ!」

「お、落ち着いてミドリ!」

 

リオの言葉にミドリが掴みかかるように立ち上がったが、ユズに抑えられた。

 

「そ……そんな、アリスはただ、勇者に……みんなと一緒に、ゲームを……クエストをしたかっただけなのに……。」

「残念ながら、それは叶わないわ。」

 

リオはアリスに歩み寄る。

 

「私はあまりゲームに詳しくはないけれど、辞書的な知識なら持ち合わせているの。だから、貴方に一つ質問するわね……あなたは自分のことを勇者と呼んでいるけれど"勇者"とは、友人に剣を向けるような存在かしら?

 

 

 

むしろ、あなたのやったことは悪役(魔王)ではなくて?」

 

 

 

「……!」

「っ!アリスちゃん、聞かなくていい!」

 

憔悴しきったアリスをミドリが庇う。

しかし、アリスの心はもう限界だった。

 

「リオ、やめて。」

「やめる?何を?事実から目を背けるのは思いやりではないわ、先生。それはただの現実逃避。負うべき責任の放棄は極めて非合理的な行動よ。」

「……これは、合理、非合理の話じゃないよ。」

「いいえ、これはキヴォトス全体の安全にかかわる問題。感情論で片づけていい問題ではないわ……ミレニアムで生じた問題は、外に影響が出ないうちにミレニアムの中で適切に処理する。私にはその責任があるの。」

「あの……では、アリスはどうすれば……。」

 

アリスが掠れるような声でリオに問う。

 

「聞いての通り、すべての原因はアリス、あなたがここにいること。ならば、あとは簡単でしょう?爆弾は、安全な場所で解体すればいいだけだもの。」

「爆弾を……解体……?」

「ああ、分かりづらかったかしら…………あなたのヘイローを破壊すれば解決する、ということよ。」

 

リオの一言にその場の全員の思考が止まった。

それは、このキヴォトスにおいて禁忌に等しい行為であったからだ。

 

「な……いま、なんて……。」

「ああ、でもあなたの頭のそれは本当にヘイローなのかしら?生徒でもないあなたが、どうしてヘイローを持っているのかはわからないけれど……機械でしかないあなたがヘイローを持っているのは、あの狂気に包まれたAIと同じ。だとすれば、なおさら放っておくわけにはいかないわ。」

 

リオの言葉で先生が頭に浮かべたのは先日遭遇した暴走するAI――デカグラマトン。

もしかして、リオはアリスがデカグラマトンと同等の存在だというのか。

 

「……リオ、それ以上の発言は、私も看過できない。それに、私も先生としてすべての生徒を守る責任があるんだよ。」

「その責任があるのなら、なおさら私の案に賛成するべきだと思うのだけれど……ただ、私の言動を不快に感じたというのなら、謝罪するわ。昔から私を嫌う人は多かったし、私自身にも問題はあるのでしょうから。でも、理解されなくても構わないわ。私は私のやり方でみんなを守る。――さあ、あなたの出番よ、美甘ネル。」

 

リオから出された名前に全員に戦慄が走る。

目の前にいるのはミレニアムを束ねるセミナーの最高権力者だ。

C&Cを自由に動かせるのも、当然といえよう。

而して、リオのいる背後の扉からネルが現れた。

 

「……。」

「ネル……先輩……。」

 

ゲーム開発部の顔に絶望が浮かぶ。

C&C最高戦力の力は直々にやり合ったゲーム開発部自身がよく理解していた。

 

「ネル……。」

「あまり悪く思わないで頂戴。もともとC&Cはセミナー、正確には私直属のエージェントなの。彼女は、ただ私の命令に従っているだけ。ネル相手では、ゲーム開発部と先生だけでは太刀打ちできないでしょう。例え、外部に助けを求めてもこの部室周辺は私のAMASが封鎖している……救援が間に合うことはないわ。」

 

リオの宣言と同時に扉から大量のガードロボが登場し、こちらを包囲した。

 

「ネル先輩……。」

「さあ、ネル、あなたの職責を果たしなさい。」

 

リオの命を受けたネルはゆっくりと両手のサブマシンガンを上げ……その銃口をリオへとむけた。

 

「やってられるかっ!!」

 

ガガガガがガガガ!!

 

ネルはリオに向けて連射するも、リオはAMASを盾にしてその銃撃を防ぎ切った。

 

「ネル、一体どういうつもり?」

「……今までも気に入らねえ依頼内容は多かった。だがよぉ、今度は何も知らねえ同じ学園の生徒を誘拐しろってか?そんなことやてられっか!C&Cは犯罪集団じゃねえんだぞ!!もう、てめえに付き合う義理はねえ、リオ!」

 

ネルはリオに向かって勢いよく啖呵を切る。

 

「ネル先輩……!」

「ネル……ここで裏切るつもり?」

「はん!てめえの指示が気に入らねえだけだ!」

「そう……やっぱりあなたはそういう態度をとるのね。C&C全員でなく、貴方だけを呼び出しておいて正解だったわ。」

「……てめえ、それは一体どういう意味だ――」

「トキ――あなたの出番よ。」

 

リオが呼び掛けたその瞬間、薄暗い部室の中、ネルの背後に人影が現れた。

 

「ネル、危ない!」

「あぁ?」

 

瞬間、ネルの至近距離で爆発が生じた。

 

ドゴオオン!!

 

「ケホッケホッ……誰だてめえは!」 

 

部室外に吹き飛ばされたネルを追うように人影が扉から出てくる。

 

「初めまして、先輩……そして、先生。C&C所属、コールサインゼロフォー。ご挨拶申し上げます」

 

C&Cを名乗るメイド服の少女はそう言って軽くカーテシーを決める。

 

「五番目の……C&C?」

 

ミドリが驚愕の声を上げた。

C&Cは00~03の四人体制だったはずだ。五人目がいるなど、聞いたこともなかった。

 

「背後から奇襲たあ……舐めた真似してくれんじゃねえか、覚悟はできてんだろうなあ!!」

 

しかし、頭に血が上ったネルは何も聞こえておらず、怒りのままトキとAMASとの戦闘を始める。

 

「あ、待ってネル!」

「オラオラァ!」

 

さすがC&Cの最高戦力というべきか、怒りの中にあっても戦闘の感は鈍っておらず、その身体能力を生かしてリオが連れてきたAMASを徹底的に破壊し始めた。

 

「こんな雑魚どもじゃ足止めにもなんねえぞ!」

「ええ、そうでしょうね……トキ、やりなさい。」

「承知しました。――"モードⅡ"移行準備、完了。」

 

メイド服の少女――トキはリオの言葉に短くそう答えると服の一部をパージした。

そして、服を換装したトキは驚異的な機動力で廊下を駆けまわる。

 

「い、一瞬で消えちゃった……。」

「ネル!後ろだ!」

「ちっ、どこに行きやが……がっ!?」

 

トキは一瞬でネルの後ろに回り込み、銃撃を食らわせる。

ネルも負けじとサブマシンガンで掃射を行うが、そのことごとくを回避されて、ついには後頭部にきつい一撃を食らいダウンしてしまった。

 

「く、クソがっ!!」

「暴れないでください。変に暴れると腕が曲がってはいけない方向に曲がってしまいますよ。」

「そ、そんな、ネル先輩が……。」

 

唯一の希望であったネルも捕らえられ、さらには周囲をAMASで完全に包囲されている状態。

ゲーム開発部は完全に"詰み"だった。

ゲーム開発部の二人は銃を片手にアリスの前に立つも、二人に対しリオは淡々と告げる。

 

「やめなさい。あなたたちにこの包囲網を突破できるだけの戦力がないことは分かっているわ。私の目的はあくまでアリスだけ……無関係な子を気づつけたくはないの。」

「無関係なんかじゃない!アリスはゲーム開発部の一員で……私たちの友達なんだから!」

「その子は生徒じゃないわ。ましてや生命体ですらない。ただ、キヴォトスを破滅に向かわせる"兵器"なのよ。」

「違う!アリスちゃんは兵器なんかじゃない!!だって、アリスちゃんは勇者の武器を……光の剣"スーパーノヴァ"を持っているんだから!!」

「そう……なら、これでどうかしら?」

 

そう言うとリオは立てかけられたアリスのスーパーノヴァノヴァへと近づき、その電源を落とした。

 

「あ、アリスの光の剣が……スーパーノヴァが……ゆうしゃの、あかし、が……。」

 

アリスは電源の落とされたスーパーノヴァノヴァを見つめ小さくそうつぶやく。

アリスの瞳の光も今にも消えてしまいそうであった。

 

「全部……アリスがいるからですか……?」

 

アリスは自らの手で怪我をさせてしまったモモイのことを思い出す。

そして、目を覚ました時の心配とともに若干の恐れを含んでいたミドリとユズの瞳も。

 

「…………全部、アリスが勇者じゃないから…………。」

 

するとアリスは合点が行ったように立ち上がり。リオの下へと歩いていく。

 

「そう……ですね。」

「アリス?……駄目だっ、アリス!!」

「アリスちゃん!戻って!!」

「……アリスが消えれば、全部解決するんですよね?」

「あ……アリス、ちゃん!」

「おい、チビてめえ、何する気だ!」

 

アリスはリオの前へとたどり着く。

 

「……ええ。あなたが消えれば、すべて解決するわ。」

「アリス!君がこんなことをする必要は……!」

「いいえ、大丈夫です……アリスは先生を、皆を傷つけたくありません。……アリスは生命体ではありません、アリスはミレニアムの生徒でもありません、アリスは、勇者でもないですから……いなくなっても、大丈夫なんです。」

「そんな、アリスちゃん!」

「先生、ミドリ、ユズ、ネル先輩……今までありがとうございました。今までアリスは、とても幸せでした。」

 

アリスはそれだけ言って笑みを浮かべ、リオと大量のAMASとともに部室を後にした。

 

「あ、あ、アリスちゃんが……連れていかれちゃった……このままだと……。」

「せ、先生、アリスちゃんを取り戻さないと!ヘイローを壊すって、このままだとアリスちゃんが、殺されちゃう!」

 

二人が先生に縋り付く。

 

「分かっているよ、二人とも。……頼ってばかりで申し訳ないけれど、また彼に頼るしかなさそうだね。」

 

そう言って先生はシッテムの箱の通信機能を呼び出した。

 

 

 

 

 

――アビドス高校

 

「あれ、コーストさんまたどっか出るの?」

 

コーストがコルベットの脇で荷物整理をしているとホシノがそう聞いてきた。

 

「ああ、お前は眠ってて聞いてなかったかもしれんがこの前砂漠にビナーと話に来ていた子がいたろう?あいつが今まで行方不明になっていたんだが、あいつの後輩がいるかもしれない場所を突き止めたってことで救出に行く感じだ。」

「うへ~、そんなことがあったんだ。私は助けに行かなくて大丈夫かな?」

「ああ、今回戦闘は最小限に収めるつもりだからな。今回はアビドスで待っていてくれ。」

「そう……必要になったらすぐに呼んでね?すぐに駆け付けるから。」

「はは、そんなことにならないように気を付けるさ。」

 

〈受信したメッセージ//登録名:先生の周波数〉

 

そんなことを話しているとエクソスーツに着信が入った。

相手は先生である。

 

「先生か、ちょうど協力を頼みたいことが――」

『コースト、助けてくれ!』

「……またトラブルに巻き込まれたのか?すまないがこちらとしても急ぎの用が――」

『このままだと、アリスのヘイローが壊されてしまうんだ!』

「……なんだって?」

 

穏やかではない先生の発言にコーストが顔色を変える。

そして短く現状についていくつか話し合って通話を切った。

 

「先生はなんだって?なんか、深刻そうだったけど……。」

「……ホシノ、すまないが早速お前たちの手を借りなければいけなくなったみたいだ……構わないか?」

 

コーストがホシノを見つめてそう告げると、ホシノは不敵な笑みを浮かべる。

 

「もちろん!私たちの力、見せつけてあげるよ!」

 

こうして、アリス奪還作戦にコーストも参加することとなったのだった。

 




subnauticaです

投稿間隔がちょっと開いてしまいました。
次話も少し開くと思うので許してください。

さて本編のほうもやっとコーストが出せました。
次回あたりからちゃんと暴れさせる予定です。お楽しみに。

そう言えば随分前からやってるノマスカやってるかアンケートですが、結果は半々といった感じですね。個人的にはやってる人のほうが少なくなるかな~と思ってましたが、題材が題材なんでやってる人が引っかかるのは当たり前だよなとかってに自己完結しました。
ともあれ、面白いゲームなのでやってない方は是非やってみてください。
過去にプレイして辞めた方も頻繁に行われるアップデートで大分変化してるので楽しめるかと思います。

では、また次回お会いしましょう。

ノーマンズスカイをやったことが

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