アビ・エシュフを纏ったトキが一気に距離を詰めてくる。
コーストたちは散開して接近から逃れようとするが、離れれば両手の重機関銃が捕捉してくる。
そのうえ横からAMASが攻撃を挟んできて戦場はカオスな様相を呈していた。
「オラオラァ!」
C&Cのメンバーと共にネルがトキに接近し、得意の近接格闘で銃撃を食らわせようとする。
しかし……
「一切傷を負っている様子がないな……」
「そうだね……」
数多の攻撃を食らわせてもアビ・エシュフの装甲には一切の傷が見られなかった。
アビドスの面々も火力支援を行っているが、ダメージを与えられているようには見えない。
コーストもパルススピッターで弾幕を張っているが、当たっているようにも、延焼のダメージを負っているようにも見えない、つまりは
「攻撃をすべて回避、ないし撃墜している……?」
『そうですね。ちーちゃんの調べによるとエリドゥのすべての電力と演算機能があの機体に集中しているようです。これだけの力があれば未来を予知し、確定することすら可能でしょう。』
「……思ったよりやばい機能を搭載しているな。」
未来さえ予測しきるほどの演算機能……アトラスであればそのあたりは自由にいじれるのだろうが、そのような技術はコーストであっても初耳だった。
『唯一の変数である先生――あなたの指揮能力を奪って、この争いに終止符を打つわ。やりなさい、トキ。』
「イエス、マム。」
「……どうする先生、このままじゃジリ貧だぞ。」
「……そうだ、ネル、コースト、戦う場所を変えよう。屋上に向かって!」
何やら思案していた先生だが、いい案を思いついたようだ。
「ハア!?……わぁーったよ。あんたを信じる!」
「策があるんだな。……なら、しっかり掴まっておけ!」
コーストは先生を肩に担ぎ、二水素をジェットパックに直接送り込む。
〈ジェットパックの電力サージを確認〉
「飛ぶぞ、先生!」
「え、ちょ、うわあああ!!」
『この状況で逃げるなんて……トキ、追いなさい!』
コーストはビルの側面をジェットパックで飛び上がる。
その横ではネルがビルの壁面を駆け上っていた。
先生は突然の空の旅行に悲鳴を上げている。
「お前がネルか……生身でビルの壁面を駆け上るとは……うちのホシノに負けず劣らずの化け物だな。」
「そりゃお褒めにあずかり光栄なこった……っと、後ろからくるぞ!」
トキがビルの内部をぶち抜きながらコーストたちを追いかけて登ってきており、背後から重機関銃で追撃してきた。
「い、生きた心地がしない……。」
「ぐっ!こっちには弾が一発当たったら死ぬ貧弱なのがいるってのを忘れてるのか!?」
「グズグズ言ってねえで、そろそろ屋上だぞ!」
その声に視線を上に向けると屋上が見える。
コーストたち三人が上に登りきった数瞬後、トキも屋上まで上り詰めてきた。
『寄りにもよって屋上を選ぶなんて……。狭い場所ならトキともまともに戦える、とでも思ったのかしら。』
「ふふ、狙いはそこじゃないよ――二人とも、いまだよ!」
トキに向かって二人が銃撃を始める。
「そんなことをしても無駄です!アビ・エシュフが全て……」
「それは地上での話だろう?」
コーストがジオロジーキャノンを発射してトキの足元を爆破する。
キヴォトスのデータベースに存在しない武器であるマルチツールにはアビ・エシュフでも対応に時間がかかり、爆風をまともに受けてしまった。
バランスを崩して地面に落ちていくトキをネルとコーストが追う。
「おいおい、まさか空まで飛べるとは言わねえよな!」
「空中なら陸戦用のその機体は自由が利かないだろう!」
ネルが両手のツイン・ドラゴンを、コーストはジオロジーキャノンでトキを追い詰める。
「っ!被弾、ダメージ、軽微!……重力に対する演算補正開始、エリドゥの補正がある以上、空中でも問題ありません!」
トキは二人を同時に相手取っているにもかかわらず、正確に銃撃を続ける。
「ぐっ!空中でも当てられるとかマジでチートじゃねえか!ふざけんな!」
コーストは悪態をつくネルを横目にタイミングをうかがっていた。
今、アビ・エシュフは確かに落下に対応してこちらに対して正確な狙撃を可能にしている。
しかし、その代償かこちらの攻撃に対する防護は弱まり、装甲は固いもののこちらの攻撃が通るようになっていた。
そしてこちらには、当たりさえすれば効果を発揮する武器がある。
落下の終わり、トキがこちらの注意を一瞬外し、ネルに銃口を向ける。
「一斉掃射!」
「……今だ!」
「っ何を!?」
コーストはそのタイミングを見計らって麻痺迫撃砲を放つ。
トキが気づいた時にはもう遅く、トキは麻痺をもろに食らって受け身も取れないまま地面にたたきつけられた。
「かはっ!?」
「今までさんざんぶっ放してくれた分……お返しだ!!」
ズガンズガンズガン!!!
コーストは武装をスキャターブラスターに入れ替え、至近距離で全弾を打ち尽くした。
「舐めないで、ください!」
「がァ!?」
〈シールドダウン//システムが重大な危機に陥っています〉
しかし、アビ・エシュフの機能を止めきるには足りず、コーストはトキに殴り飛ばされてしまう。
落下を相殺しきれなかった分と合わせて追加でダメージをもらったことで、ついにコーストのスーツのシールドが切れてしまった。
「これで、終わりです。」
起き上がったトキがコーストに重機関銃の銃口を向ける。
砲火のトリガーを押そうとしたとき、横から襲撃が入った。
「コーストさんに、手を出すなぁあ!!」
横から殴り掛かったのはホシノ、コーストが殴り飛ばされた姿を見て怒りが爆発している。
後ろからはアヤネとシロコがドローンで、セリカとノノミは後方から銃撃で支援していた。
「これ以上、コーストさんには手を出させませんよ!」
「ん、タコ殴りにする。」
「アビ、なんだか知らないけど、私たちがぶち壊してやるわ!」
『私たちの力、見せてあげます!』
コーストの集中攻撃で回避システムが一時的にマヒしているトキは対処にかなり手間取っていた。
『アビドス高校……廃校しかけの高校だった気がするのだけど、こんなにも手練れが集まっていたなんて……』
リオもここまでの苦戦を強いられるとは思っておらず、苦い声を出していた。
「……ホシノ先輩、このままだと火力が足りない。倒しきる前にこっちが弾切れになる。」
「そうだねぇ……ここまで硬いと、おじさんもやり辛いよ。」
しかし、ホシノたちが優勢というわけでもなく、アビ・エシュフの固い装甲と機動力の前には為す術がなかった。
そんなホシノたちを後方でネルとともに手当てを受けるコーストは眺めていた。
「ヒマリ、アビ・エシュフにハッキングをかけることはできないのか?」
『……さっきから試してはいるのですが、どうもアビ・エシュフだけはネットワークの管理が特殊なようでして……外部から介入するには時間がかかります。』
「そうか……。」
コーストが歯がゆい思いをしながら戦場を眺めていると、スーツのAIから再び通知が届く。
〈報告:アトラススーツシステムを通じた戦闘支援が可能です。実行しますか?Y/N〉
再びのスーツからの通知。
その提案自体は嬉しいものであったが、これにはさすがにコーストは違和感を覚えた。
「……エクソスーツのAIは自律型ではなかったはずだ。いったいどうなっている……?」
コーストが目の前に浮かぶ選択肢を胡乱な目で見つめていると、ビルから降りてきていた先生がエクソスーツのバックパックを指さす。
「コースト、それ……。」
「ん?どうした、先生?」
「コーストさんの背中の機械に、ヘイローが……。」
「何だって!?」
背中についている以上、コースト自身は見ることはできないがバックパックには深紅のヘイローが浮かんでいた。
その形状は言うなれば4つの三角が組み合わさった形状……異星人の遺跡に刻まれる16の象形文字、そのうちのアトラスを示すものだった。
「AIに、ヘイロー……おい、お前、何者だ?」
コーストは得体のしれないものに変貌したエクソスーツに問いかける。
〈……あなたに危害を加えるものではないとだけ言っておきます
「……デカグラマトンでは、ないんだな?」
コーストが最も危惧していたことを聞く。
〈あのような下等なAIに従うことなどありえません〉
随分と自我のこもった返答が帰ってきた。
「……そ、そうか。コホン、いいだろう。その支援とやら、受け入れよう。ただ、あとですべて説明してもらうぞ!」
〈ユーザーの承認を確認:戦闘補助及び神秘によるエクソスーツ増強を開始します〉
その声とともに得体のしれない力がスーツ全体を巡るのを感じる。
〈ジェットパックの電力サージを確認
スプリントの増強を確認
環境防御・シールドの強化
生命維持タンク増強
効果時間5:00〉
「確かにだいぶ体が軽いような感覚がある……それに、あれを使えば……。」
コーストは強化された項目を確認した後、戦場へと駆け出していく。
トキと戦いを続けるアビドスはすでに限界が近かった。
アビ・エシュフの未来予知はすでに復活している。
ゆえにもう足止めを行うのが精いっぱいであり、ダメージを与えることができていない。
加えて言うと長期戦で弾丸の底が近く、ゲーム開発部とC&Cの援助があってもきつい状態だった。
「うう……どうしたら……。」
絶望的な強さを持つトキを前にどうしたらと考えていたその時、
「わ!?」
目の前にいたトキが急に空中に飛び上がる。
いや、どちらかというと引き寄せられたような動きだった。
「空の世界へようこそ、トキ。」
「っ!あなたは!」
引き寄せられた先にいたのはジェットパックで飛び上がるコースト。
その右手にはグラビティーノコイルを展開したマルチツールが握られている。
アビ・エシュフの巨大な装備は、グラビティーノコイルの格好の的になる。
そして空中に引き寄せたということは、その瞬間アビ・エシュフは空中にあり、回避機能を一時的に打ち消せるということだ。
「オラァ!」
「ぐっ!」
引き寄せたトキの体にコーストは打撃を加える。
神秘によって一時的に強化されたコーストの肉体は、トキの体に少ないながらも確かにダメージを与えた。
トキを地面にたたき落としたコーストは地面に降り立つ。
「……あいつの攻略法はなんとなく分かった。お前たち、まだやれるか?」
コーストは背後の皆に向かってそう聞いた。
「誰に向かって聞いてんだ?」
「うへ~おじさんたちも、まだいけるよ~。」
ネルとホシノがそう答えた。
まだまだやる気は十分の様だ。
「そうか……やることは単純だ。アイツを空中にかちあげてタコ殴りにする。行くぞ!」
「勝った気に、ならないでください!」
トキが両手に持った重機関銃を一斉掃射する。
〈シールドに神秘を集中します〉
コーストはそれをシールドで防ぎながらトキに向かって近づく。
そして再びグラビティーノコイルをトキに向けた。
トキはまた引き寄せられるのかと身構えたが、今度は逆で、空中に吹き飛ばした。
「ぐうっ!何なのですか、あの装備は……。」
「よそ見してる暇あんのか?」
近くの声に振り向くとそこにはネルの姿があった。
とっさに防御の姿勢をとるも、その裏からはホシノが迫っている。
「後ろがお留守だよ~。」
ガガガガガガガガ!!
キヴォトス最強格二人の神秘のこもった一撃を食らい、トキは再び地面に叩きつけられる。
が、その直前にコーストによって引き寄せられ、再び空中へと打ち上げられた。
以降はそれの繰り返しであり、アビ・エシュフを一度も地面につけることなくネルとホシノで空中でひたすら攻撃を続けた。
度重なる急制動によって回避機能もエリドゥの補正も十全に働かず、トキはなすすべなく一方的に攻撃を受ける形になる。
リオはどうにか助けようとエリドゥ中の防衛戦力を集中させようとしたが、そちらはヒマリたちが既に対処しており、すべてハッキングされて機能停止にされていた。
そして数分後……アビ・エシュフは度重なる損傷についに耐え切れず破損した。
後から分かったことだが、トキはアビ・エシュフの破損前からすでに気を失っており、途中からはただのタコ殴りになっていたようだ。
「あ~……少しやりすぎたか?」
「ま、まあ、仕方ないよ~。」
ボロボロになったトキの姿を見て、二人は少し申し訳なさそうな顔をしている。
「お疲れ様、二人とも、それにコーストも。」
「礼を言うにはまだ早い。まだアイツは取り返せてないんだからな。」
コーストが目の前のタワー、その頂上に目を向ける。
「……そうだね。いつリオがアリスのヘイローを壊してしまうかわからない。悠長にしている暇はないね。」
一行は中央タワーを上り始める。
囚われの勇者を助けるために。
subnauticaです
前回から新しいアンケートを始めました。
当たり前ですがブルアカをやったことがある人のほうが多いですね。
ノマスカからきてくれた人は何人くらいいるんでしょうか?
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では、また次回お会いしましょう。
ブルーアーカイブをやったことが
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