昼下がりのアビドスにマズルフラッシュと爆音が響く。
アリウスによる一斉攻撃だ。
「おい、此処には五人しか生徒がいないんだろ?なんでこんなに立派な校舎なんだよ!」
「文句言ってないで手を動かせ!奴らのうち一人でも捕えればこちらの作戦は成功だ!」
そう、アリウス生徒たちの目の前に広がるのは長大な合金の壁。
コーストによって要塞へと生まれ変わったアビドス校舎はそう簡単に攻め入る事は出来ない。
一方アビドス組の方と言えば……
「ん……数が多すぎる。いくら撃ってもきりがない」
「銃弾にはまだ余裕がありますけど……こうも多いとさすがに……」
『皆さん!校舎の裏側にも敵が近づいています!このままだと対処が追い付きません!』
「嘘でしょ!?」
「うへ~……コーストさんに連絡はしたけど、これは本格的ににまずいかもねぇ」
アビドスの方も余裕はなかった。すぐに攻め入られることはないとはいえ、彼我の人数差が多すぎる。
壁も集中攻撃を食らい続ければいずれは崩れてしまうだろう。
加えて今回の襲撃はカイザーの時のようなオートマタではなくヘイローを持つ生徒集団だ。それもそこらのヘルメット団のようなただの武装集団ではなく、訓練を受けて規格化された兵である。
「いったいどうしたら……そもそもなんで私たちを襲って……」
困惑の中戦っていると、遠くから甲高い音が響いてきた。そして、
ドゴオオオオオオン!!!
アビドスを襲う兵のど真ん中に魚雷が撃ち込まれた。
そして一拍置いて空を宇宙船がフェーズビームで地上を一掃しながら突き抜けていく。
「ん!あの船は!」
「コーストさん!来てくれたんですね!」
シロコとノノミが声を上げる。
〈……期待してもらって申し訳ないのですが、ここに来たのは私だけです〉
しかし、帰ってきたのはそんな機械音声だけであった。
「その声は……テラモンさん?」
〈はい。現在エデン条約調印式の会場でも襲撃が発生しており、
「会場でも襲撃ですか!?」
「そんな、コーストさんは大丈夫なの!?」
〈ええ、現状は特に問題はありませんが、事態の収拾には時間がかかることでしょう。……しかし、こいつらの制服、調印式の襲撃者と同じですね〉
テラモンは宇宙船のカメラ越しに襲撃者の姿を確認する。
その制服についている校章は現在調印式でも襲撃を行っている集団についているものと一致していた。
「エデン条約の調印式とアビドスを同じ集団が同時に襲撃しているんですか!?それってつまり……」
〈ええ、
「へえ……コーストさんをねぇ」
そんなことを言いながらいつの間にか姿を消していたホシノが出てきた。
その体にはコーストからもらったエクソスーツを身に纏い、ユメの大楯であるIron horusと自身の銃であるEye of horusを持ち出していた。
「ねえテラモンちゃん、コーストさんにもスーツ越しに神秘を与えて身体能力を上げてたでしょ。あれ、おじさんにもできる?」
〈……送信元のあなたの神秘の情報が分かれば確かに私の神秘を
「心配してくれてる感じ?大丈夫だよ~こんな烏合の衆に負けたりしないって。……すぐに方をつけるからさ」
ヘルメットの奥の目を据わらせ、ホシノがテラモンに尋ねた。
〈……そうですか。その発言を信じるとしましょう〉
その言葉と共に上空の宇宙船からヘイローが消え、ホシノのエクソスーツバックパックに移動する。
数秒後に、自らの神秘が高まっていることを感じた。
『ホシノ先輩……本当に大丈夫ですか?』
アヤネが心配の声をかけた。
「大丈夫だよ。……五分で沈める」
〈
ホシノは壁がへこむほどの脚力で踏み込み、敵陣地のど真ん中へと突っ込んだ。そのヘイローはいつにもまして煌煌と輝いている。
突っ込んだ場所には衝撃でクレーターができ、周囲のアリウス兵は吹き飛ばされる。
ホシノは思った以上の自分の力に少し驚いていた。
「……すごいね。これなら本当にすぐ終わりそうだ」
〈あなたの体の負担も考えると長くは維持できません。早期決着を推奨します〉
「任せて!」
そう言うや否や地面を踏み込んで飛び出し、アリウス兵を盾でぶん殴ってショットガンで吹き飛ばす。
ショットガンの弾はヒナのマシンガンのようにエネルギー弾みたいな見た目になっていた。
アリウス兵もどうにか動きを止めようとはするが、ヘイローを二つ背負ったキヴォトス最強の神秘には誰も手を付けることができない。
攻撃するごとに人が舞い上がるその姿はさながら嵐の様だ。
「わあ~……すごいですね、ホシノ先輩」
「ん。ホシノ先輩は最強」
「そう言えば素の身体能力でもビナーの頭をぶん殴ってかちあげてたわよね……」
『と、とりあえず残った兵のほうを処理していきましょうか……』
残った皆もホシノの暴れっぷりを見て開いた口が塞がらないといった様子である。
気づけばアリウスでまともに動けそうなものはすでに半分近くになっていた。
「おい!戦車でも何でもいい!ありったけの火力を使って奴を沈めろ!」
アリウスが焦ったように戦車や対空砲の照準をホシノへとむける。
しかし、
バゴオオン!!
一斉に放たれた弾は殴り返されるかエクソスーツのシールドに阻まれダメージを与えることはなかった。
砲撃をしのいだホシノは戦車へと急接近して砲塔を握りつぶすか神秘を込めた弾丸で吹き飛ばすかして無力化する。
遂には蹴り飛ばされた戦車で残った兵も吹き飛ばされてしまった。
「じゃ、キミも大人しくしててね~」
「は、はは、化け物が――」
ドゴッ!
最後は指揮官と思しき生徒の顔を盾で思いっきりぶん殴ってアビドスでの攻防戦は終了した。
〈稼働限界//供給停止〉
「ん~ちょうど五分くらいかな?」
倒れ伏すアリウス兵たちを眺めながらホシノはそんなことをつぶやく。
「あんまり心配はいらなそうですけど……大丈夫でしたか?」
塀の上から降りてノノミたちが門から出てきた。
「うん。おじさんは大丈夫だよ。……とりあえずは、こいつらをどうするかだねぇ」
ホシノが意識を失ったアリウスの指揮官を銃口で小突きながら言う。
『取り敢えずこの人たちからはいろいろ聞きださないといけませんね』
「そうね、知ってることを全部吐いてもらわないと」
「ん、尋問する」
「お仕置きの時間ですね☆」
数分後、怒りで手加減を忘れたアビドスによってアリウスは情報を吐くまで痛めつけられることになった。
一方通功の古聖堂、コーストは地上にいるアリウス生徒と謎の敵性存在に対して機銃掃射を繰り返していた。
「テラモン、先生の居場所は分かるか?」
〈……申し訳ありません。先生が普段所持している"シッテムの箱"の反応がロストしており、スキャンではどの生体反応が先生の物かを判別することは出来ません。〉
「そうか……」
コーストは周辺を巡回しながら先生を探すも、煙と瓦礫で捜索が難航していた。
「先生は生身の人間だ……あの爆発で無事でいられるかは怪しい。早く見つけ出さなくては……」
焦りつつ探索を続けているとスキャンを続けるテラモンから連絡が入る。
〈前方でゲヘナ風紀委員長とアリウス生徒の交戦を確認。近くに先生とみられる人影も確認できます〉
「本当か!ナビゲーションを頼む!」
コーストは高度を下げ、スラスターを全開にして先生の元へと向かった。
コーストの向かう先ではヒナが一人でアリウスの兵と激戦を繰り広げていた。
元々先生は正義実現委員会とシスターフッドのメンバーと行動を共にしていたが、彼女たちに足止めを任せてヒナが先生を安全圏まで護送することになったのだ。
しかし、ヒナ自身が最初の爆発に巻き込まれて満身創痍、加えて長時間の戦闘が祟って限界が近づいていた。
「くっ……」
「ヒナっ!」
アリウス兵との戦闘の末、ヒナが瓦礫の上に倒れこむ。
「ゲヘナの風紀委員長、やっと倒れた」
「や、やっとですか……痛かったですよねぇ。よくあの傷でここまで……」
「トリニティとゲヘナの主要人物はあらかた片付いたが……今もあのコーストとかいうやつによる部隊壊滅の報告が相次いでいる。……シャーレの先生、貴様だけでも処理しなくてはな」
黒いキャップを被った少女――錠前サオリが銃を片手に先生のもとに近づいてくる。
「君たちが、アリウススクワッド?」
「……」
先生の質問にアリウススクワッドは目を見開くが、どこか合点の言ったような表情になった。
「……ああ、そうだ。私たちが"アリウススクワッド"。ようやく会えた……と言いたいところだが私たちにも時間がない。手早く済まそう」
そう言ってサオリは銃口を先生へとむける。
「(銃口が……)」
「シャーレの先生……貴様は作戦遂行の重大な障害の一つだと彼女も言っていたからな。」
「……っ!待って!」
「……まだ動けたのか、空崎ヒナ!」
ヒナの声にサオリの銃口が一瞬ぶれる。
そしてその時、何かが高速で近づいてくるような音が聞こえた。
「この音は……まさか!」
ガガガガガガガ!!
瞬間、インフラナイフアクセルの機銃掃射が先生の前に立つアリウススクワッド達を吹き飛ばす。
そして上空をコルベットが通り過ぎるとともに巨大な影が降りてきた。
最近何かと出番の多いミノタウロスである。
『大丈夫か、先生!』
「コースト、来てくれたんだね!」
『ああ、ここは俺がどうにかする。風紀委員長!お前は先生を安全場所へ運んでくれ!』
「っ!ええ。セナ、こっち!」
ヒナの声に、近くまで来ていたのか救急医学部の救急車が走ってくる。
「先生、委員長、手を!」
「ありがとう、セナ……コースト、ごめん。後は任せたよ!」
『ああ、任された。』
救急車は一瞬で二人をピックアップして走り去っていく。
「逃がすと思うか!」
『追わせると思っているのか!』
救急車に向けて銃撃を加えようとするアリウススクワッド達を火炎放射器とコルベットの銃撃で牽制する。
今のコーストは神秘を扱うことは出来ないが、それでも武装そのものが持つ破壊力は健在だ。
「……逃がしたか。だが、もう一人の排除目標、コースト……まさか自分からきてくれるとはな」
『ほう……アビドスへの襲撃と言い、やはり俺も攻撃の対象に入っていたわけか。』
「ああそうだ。今も我々の兵がお前の仲間の生徒たちを捕縛するために動いている。まさか、たった五人の生徒で数百人のアリウスの兵に勝てるとは思っていないだろう?仲間を失いたくなければ大人しくしていることだ」
サオリはコーストに向かって高圧的にそう告げる。
「……なるほど。アビドスのアイツらを俺の人質にするためにこのタイミングで襲撃をかけたのか。発想は悪くないが……詰めと火力が足りていないな。テラモン、アビドスの現状はどうだ?」
〈現在個体名小鳥遊ホシノによってアビドスを襲撃したアリウスの全兵力は制圧され、尋問が行われています〉
「報告ご苦労。さて、お前の言う人質は存在しないようだが……ん?待て、お前の口ぶりだとホシノが一人で制圧したように聞こえるんだが……」
〈はい。単騎で殴り込みをかけ、相手戦力を殲滅しました〉
「……そうか」
正確にはテラモンの神秘供給あってこその物だが、それを端折ったテラモンの説明にコーストは少し引いた。
「……まあ、それはそれとして。どうする、アリウス?」
「……通信に反応がない。まさか本当に?」
サオリは圧倒的な数の差をひっくり返されたことが信じられないようだ。
「……サオリ、落ち着いて。ここまで来たらもうやるしかない」
「や、やっぱりやるんですかぁ……」
「……」
「……そうだな。交渉できるものは何もない。それなら――」
アリウススクワッド、そして背後に構えるユスティナ・センチネルたちが一斉に銃を構える。
「ここで始末する!」
『やれるものならやってみるがいい!』
アリウススクワッドとコーストの直接対決が始まった。
subnauticaです
今回はアビドスでの戦闘とアリウススクワッドとの邂逅ですね。
正直1章2章と比べて話の展開のさせ方が結構難しい……
次回はコーストvsアリウススクワッドになります。
では、また次回お会いしましょう。
先に書いてほしいイベントは
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桜花爛漫
-
アビドスリゾート
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4546B