「さあユスティナ・センチネル、私たち"エデン条約機構"を助け、"鎮圧対象"を制圧しろ!」
サオリのその言葉に背後に控えていたユスティナ・センチネルたちが前に出てくる。
そしてセンチネルたちの張る赤いシールドを前面に貼ってその背後から銃撃を始めた。
『チッ!その辺はセンチネルの技術を使うわけか。鬱陶しいことこの上ない!』
コーストを乗せたミノタウロスは飛び上がり、シールドの裏に向かって叩きつけを行う。
しかし、戒律の守護者としての肉体も所持している彼女たちの動きは素早く、その攻撃は避けられる。
彼女たちの厄介なところはセンチネルたちの武装を用いながらもその耐久力と力はユスティナの物をしっかりと受け継いでいるところだ。
通常のセンチネルであれば撃破できる火力では倒れず、空は飛べないものの速度は倍以上になっている。
そして、叩きつけで動きが止まったところに外部からの攻撃が降り注ぐ。
『ロケットランチャー!?センチネルではない……お前か!』
降り注ぐロケット弾の雨をマインレーザーで誘爆させつつ、コーストはミノタウロスの前面ハッチを開けて発射元……近隣の建築物の上にいる戒野ミサキのほうへとジオロジーキャノンを放つ。
ミサキは咄嗟に避けたが、ジオロジーキャノンの爆破範囲は思った以上に大きい。逃げるより先に足場を崩されたミサキは屋根から落下した。
コーストはハッチを閉めて追撃をかけようとしたが、周りのユスティナ・センチネルとアリウススクワッドがそれを許さない。
ガァン!!
『ぐっ……この衝撃、狙撃銃か。バランスがいいことだ』
コーストが火炎放射器で牽制して後ろに下がろうとしたところ、ユスティナ・センチネルたちの奥に見慣れたオレンジ色の三角頭が見えた。
『(あいつもいるのか!)』
コーストは咄嗟にミノタウロスキャノンでどこかへと信号を送信して仲間を召喚しようとする三角頭……テトラヘッドを撃ち抜く。
しかし、衝撃で召喚は中断できたものの、倒れてはいない。
元のセンチネルであれば召喚を行うテトラヘッドや修復ドローンは耐久が低めであるがこいつらにはそんなことは関係ないようだ。
そして、そんなことをしている間にも敵の攻撃は苛烈になっていく。
宇宙船を呼ぶにしても、相手がアリウススクワッドだけならばよかったが、センチネルの要素もあるユスティナ・センチネルを宇宙船で大々的に攻撃すればインターセプターが出張ってくる可能性もある。
コーストは自分が今割と危機的状況にあることを悟った。
『こうなれば……やれるだけやってやる!』
コーストはミノタウロスにユスティナ・センチネルのヘイトを向けさせて飛び出し、ジェットパックで直接厄介なユスティナ・センチネルたちを叩くことにした。
もちろんコックピットから出れば直接攻撃のリスクも増えるが、機械型コンパニオンを呼び出して自分を射線から外した。
そして、まずは最も厄介なテトラヘッドに取りつき、その顔面にマルチツールの銃口を突き付ける。
「この距離で連射なら、耐えられないだろ!」
ズガンズガンズガン!!
至近距離でスキャターブラスターを放ち、テトラヘッドの頭を完全に破壊する。
するとその体は崩れるようにして消えて行った。
〈横から攻撃が来ます〉
テラモンの言葉にコーストが前に飛ぶと、その背後を狙撃銃の弾が抜けていく。
「うぅ~、外しましたぁ」
そんなことを言うのはアリウススクワッドの狙撃手……槌永ヒヨリだ。
「テラモン、近くの生体反応をマークしてくれ。どうせ近くにはほとんど人間はいない。敵の居場所が掴めるはずだ」
〈了解しました〉
バイザーは直接視界に写っていなければ対象を識別することは出来ないが、間に遮蔽物があってもそこに生体反応があるかは識別できる。
この場合は周囲に半分センチネルとして映るユスティナ・センチネルとアリウススクワッドしかいないからこそ使えるものだ。
コーストのバイザーに近くのビルを走る生体反応が赤い点として映る。おそらくあれが狙撃手だろう。
ジェットパックを使ってその反応の近くの窓を突き破る。
「うわぁ!」
「そろそろ大人しくしてもらおうか!」
コーストは目の前のヒヨリにボルトキャスターを放つ。
が、
「うわぁぁぁん!!助けて下さぁい!」
ヒヨリは叫びながら廊下をゴロゴロと転がって銃弾を回避する。
適当に転がってるように見えて跳弾した弾までも完全に避け切っている。
「ちょこまかと……」
コーストが転がるヒヨリに狙いをつけていると側面の別の窓が割れる。
サオリだ。
ガガガガガガガ!!
サオリは突っ込んでくるや否やアサルトライフルをコーストに乱射してくる。
コーストはそれをパーソナルフォースフィールドでガードし、銃撃が止んだところを狙って廊下にプラズマランチャーをばらまく。
変動性プラズマはインベントリに腐るほどあるから弾切れの心配はない。
「これは……!離れるぞ、ヒヨリ!」
「な、なんですかぁ!」
コーストが屋内を離れてすぐサオリも飛び出すが、ヒヨリは廊下に寝転がったままだったため反応が遅れ……
ドゴオオオオオオン!!
大量のプラズマランチャーの連鎖爆破に巻き込まれることになった。
「貴様……よくも!」
「お前たち自身がまいた種だ。そんな目を向けられる謂れはないな」
コーストとサオリが互いに銃口を向けて向かい合う。
サオリの目は怒りに満ち溢れていたが、それはコーストも同じことだ。
一触即発の空気の中で互いに機を狙っていたその瞬間、サオリに向かってコーストとは全く別の方向から銃撃が飛んで来た。
サオリはコーストに神経を集中させていたため一瞬反応が遅れたが、さすが特殊部隊の人間というべきか被弾を最小限に抑えてその場から飛びのく。
一方、その銃撃にはコーストも全く心当たりがなかったので周囲を警戒したところ、こちらに近づいてくる人影が見える。
その人影はどちらにとっても見覚えがあるものだった。
「……ここでお前が出てくるのか」
「お前は確か……アズサ、だったか?」
やってきたのはアズサ。会場に向かうミサイルの軌跡を見て急いでこちらに向かって来ていたのだ。
「……何故おまえがここにいる。補習授業部のお前は今回の件とは無関係だろう」
「……いや、無関係ではない。私もかつてはサオリたちの仲間だったからな」
「何だと?」
アズサのいきなりの告白にコーストは困惑の表情を見せる。だとすれば、なぜ先ほどはサオリを襲ったのか。
「サオリ……どうして、どうして!」
アズサはサオリに向き直り、怒りのままに声を荒げる。
「どうだアズサ。言ったとおりだったろう。トリニティにも、シャーレにもお前の居場所はない」
「先生やコーストさんは関係ないだろう!」
「私たちのような"人殺し"を受け入れてくれるような場所はどこにもない……先生は逃がしてしまったが、いずれ儚く消える運命にある。そこのコーストとやらも同じだ。……お前もよく知っているはずだ。すべては無駄だと。なのに、どうしてそこまで足掻くんだ、白洲アズサ」
サオリのどこか諭すような口調はかえってアズサの怒りを煽る。
「サオリ……サオリぃぃ!」
「まだ甘い夢に浸っているのか……なら何度でもその夢から覚まさせてやる!」
「お前たちの因縁は知らんが……夢に沈むのはお前だ!」
突っ込んでいくアズサを援護するようにコーストが背後からパルススピッターを放つ。
アズサとコーストの二人を一人で相手するのはさすがにきつい様で被弾が増えているが、それでも致命打になり得るような攻撃は与えられてない。
元々近接戦ではサオリのほうに分があるのだ。コーストの支援でギリギリ釣り合っている感じである。
〈警告:kt*$#cの増援です〉
バイザーを確認すればコーストたちを囲むようにユスティナ・センチネルの反応が出ている。
加えて、
「……リーダー!」
その声に顔を向けると、転落から復活したミサキが再びロケットランチャーを構えていた。
「……人数は増えたはずなのに全く優位性が上がってないな」
ロケットランチャーをジェットパックで回避しつつそんなことをつぶやいていると、再び見覚えのない攻撃がその場を襲った。
「っ!?」
サオリの顔が驚きに染まる中、アズサはその爆炎に紛れて姿をくらまし、煙の中から射撃を行う。
「……リーダー、ティーパーティー傘下の砲撃部隊みたい。反対には風紀委員も確認できる。あいつらに加えて相手をし続けるのは厳しいかもしれない」
「……」
「そうだな。取り敢えずユスティナ・センチネルの確保は上手くいった。一度戻って体勢を立て直そう。……ヒヨリはどこだ?」
サオリたちは辺りを見回すもどこにもヒヨリの姿は見当たらない。
「お探しなのはこいつか?」
サオリがコーストの声に振り返ると、そこにはミノタウロスに抱えられたヒヨリの姿があった。
プラズマランチャーのダメージが抜けきっていないのかいまだにぐったりしている。
「お前達、最初人質がどうとか言っていたな?どうだ、こいつはお前たちに対する人質になり得るかな?」
「貴様ぁ!!」
サオリが捕らえられたヒヨリを見て怒りの声を上げる。
「お前達がやろうとしていたのはこういうことだ!!さあ、どうする、大人しく投降するか?」
ヒヨリを見つめるサオリの目が揺れ動いている。
サオリは本質的には仲間思いだ。そう簡単に見捨てられるような性格をしていない。
ドゴオオオオオオン!!
しかし、砲撃の音が判断を焦らせる。
「……リーダー、ここで捕まるのはまずい。アツコが捕まったと分かったら、マダムに何をされるか……」
「……………………撤退だ」
サオリは逡巡しながらもヒヨリを置いて去る決断をした。
砲撃を避けつつ、土煙の中を逃げて行く。
「待て、サオリ!」
アズサとコーストもその後を追おうとしたが、ユスティナ・センチネルたちがそれを阻むように立ちふさがり、あっという間に姿をくらましてしまった。
「……誘いには乗らなかったか。」
コーストは苛立ちを感じながらサオリたちの消えたほうを見つめる。
「まあ、こいつがいればいずれは取り戻しに来るだろうな」
「……あの、コーストさん」
横を見るとアズサが申し訳なさそうな顔で立っている。
「……話は後で聞こう。取り敢えずは急いでここを離れるぞ」
「……わかった」
ゲヘナとトリニティの砲撃が絶えず降り注ぐ中、二人は捕らえたヒヨリを抱えてその場を離れた。
「……うぅ……あれ、私は何を……」
暗がりの中、ヒヨリは目を覚ます。
同時に、体が拘束されていることにも気づいた。
「……こ、これは!?」
「ようやく目を覚ましたか」
医療ポッドの蓋が開き、コーストのヘルメットがヒヨリの目に映った。
「さて、知っていることを吐けるだけはいて貰――」
「うわあぁぁぁん!!私はおしまいなんですね!?捕虜として拷問にかけられて、情報を吐かなかったら殺されてしまうんですね!?どうせ最後なら、何か甘いものをくれてから殺してくださぁい!」
「うるせえ!」
さして広くはないコルベットの中にヒヨリの微妙に図々しい悲鳴が響き渡り、コーストとアズサは思わず耳を抑える。
ヒヨリから話を聞き出すのはコーストの耳鳴りが収まってからになりそうだ。
subnauticaです
今回はアリウス戦でした。
捕えたヒヨリは何か話してくれるのか……
では、また次回お会いしましょう。
先に書いてほしいイベントは
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桜花爛漫
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アビドスリゾート
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