今回は何が来るのか……
「先手は打った。降下するぞ!」
「分かった!」
二人を乗せたコルベットは地上付近を航行し、着弾地点の傍でハッチから降下した。
しかし、降下してすぐにどこからともなくロケットランチャーが飛んでくる。
「テラモン!」
〈了解です、
しかし、飛んで来たロケットランチャーはテラモン操るミノタウロスのマインレーザーとミノタウロスキャノンですべて撃ち落とされた。
「まあ、さすがにあの程度では落ちないよな。だが、すでに首元にまで手はかかっている……今度こそとっ捕まえてやるぞアリウススクワッド」
そう言うとコーストはバイザーに映る生体反応に向かってジオロジーキャノンを撃ち出す。
破壊された瓦礫の裏にはサオリの姿があった。
姿を見られたことを悟ったサオリは一直線にこちらへと向かってくる。
「コースト……ヒヨリを、返せ!!」
「やれるものならやってみるがいい!」
ちなみにであるが、現在ヒヨリはコルベットの一室に大量のお菓子と共に監禁中である。
本人は
「えへへ……こんなに贅沢しちゃっていいんですかね……でも、ここを出たらまた辛く苦しい人生が待ってるわけですし、少しくらい……」
とか言って監禁生活を誰よりもエンジョイしている。
この光景をサオリに見せたらなんというだろうか。
そんなこととは露知らず、サオリがキヴォトス人の身体能力を生かして高速でこちらに銃撃を行うが、コーストはそれをジェットパックを利用した立体的な軌道で回避し、ついでにパルススピッターで跳弾するエネルギー弾をバラまいていく。
サオリは身を捩って弾幕を回避したが、そのコーストの動きに違和感を抱いた。
「お前……前回と比べて格段に動きが速い、いや、それ以前にどうしてお前からヘイローを感じる!」
そう、アビドスの戦いはとっくに終わっている。つまり、テラモンの本体はすでにコーストのエクソスーツに戻ってきているのだ。
「そうだ。今の俺は相応の身体能力を有している。お前達にも引けを取らないほどにな!」
追加で放たれるパルススピッター。
瓦礫の山で戦っているということもあり、弾は繰り返し跳ね返ってサオリの行動範囲を制限していく。
「ぐっ……舐めるな!」
サオリは多少の被弾を覚悟で銃弾の雨をかいくぐり、銃撃を浴びせながらコーストの元へと駆け寄っていく。
そんなサオリにコーストはジェットパックで後退して改めてサオリに銃口を向ける。
サオリは銃口を見て避けるように動こうとしたが、コーストはすでにマルチツールの武装を変更していた。
ズガンズガンズガン!
「カハッ!?」
コーストが打ち出したのはスキャターブラスター……散弾銃である。
散らばる弾丸は避けたサオリの胴体をしっかり捉え、初手の魚雷で傷ついた体に追い打ちをかけた。
「ぐうっ……こんな、こんなことが……!」
サオリは一度行動を立て直そうと瓦礫の山に紛れる。
しかし、生体反応を感知できるコーストには通用せず、隠れた場所をピンポイントで狙撃されていく。
傷ついた体は限界を迎え、もうまともに動けなくなってしまった。
「ハア……ハア……」
「……もうまともに戦えやしないだろう。大人しく諦めたらどうだ?いやというなら好きなだけ弾丸を叩きこんでやるが……」
「ふざけるなっ!お前だけは……絶対に……!」
その時、アズサからコーストに通信が入った。
『コーストさんこっちも終わった』
「……早かったな。アズサ」
『私だって元アリウススクワッドだ。サオリはともかく、後方支援のミサキと一対一なら負けない』
「そうか。……とのことだが、本当にまだやるのか?」
「……」
サオリは黙ったまま何もしゃべらない。
「まあ、なんとなくその態度の理由は分かる。お前は、"アイツ"を逃がすことに成功したと思い込んでいるんだろう?」
「……!まさかっ」
「……テラモン、そいつを連れてこい」
コーストの呼びかけに答え、ミノタウロスがジェットパックでこちらに飛んで来た。
その手にはマスクで顔を覆った少女……秤アツコが握られていた。
「貴様ぁっ!!」
サオリが憤怒の表情を見せる。
「全体的に見通しが甘かったな、アリウス共。お前たちの姫はこちらの掌だ。大人しく――」
「それは許しません」
〈警告:kt*$#cが戦闘部隊を配備しました//抑制レベル4:重大〉
エクソスーツに突如として警報が鳴り響く。
ガガガガガガガ!!
「ぐっ!いきなりなんだ!?」
咄嗟にパーソナルフォースフィールドを構えて銃撃の飛んで来た方向を見やればそこにいるのは今までも見かけた大量のユスティナ・センチネル、そして、アンブロジウスに機械の多脚が生えた個体……アンブロジウス・クアッドや、大型の機械装甲を纏った聖女……パルバラ・ハードフレームの姿が見える。
「あれは……クアッドとハードフレームか!?」
「パルバラ、ロイヤルブラッドを奪取しなさい」
「その声……マダム!?」
姿の見えない声が命じると、パルバラ・ハードフレームがアツコを抱えたミノタウロスに襲い掛かる。
〈ぐっ……これは完全に力負けしていますね……〉
ミノタウロスとセンチネルハードフレームのスペックはほぼ同等である。その上にかつての最強の聖女の神秘が上乗せされたことでミノタウロスのパワーは完全にパルバラ・ハードフレームに負けてしまっていた。
結果、ミノタウロスは吹き飛ばされ、あえなくアツコの身柄を奪われてしまう。
〈……申し訳ありません、
「いや、あれは仕方ないだろう。さすがにこれまでの数が投入されるのは予想外だ……それにしてもアズサ、もしかしてあれが……」
「ああ……声を聴く限り間違いない。今回の元凶、マダムだ」
アズサがそうつぶやいた時、ユスティナ・センチネルたちの攻撃が止み、先頭に出てきたドローンからホログラムが映し出される。
そこに映し出されたのは頭部に大量の目をつけているドレスを纏った人間……否、人間のような何かであった。
「ええ、その通りです。初めまして、コーストさん。天外からの来訪者よ……私はベアトリーチェと申します。既にご存じかもしれませんが、"ゲマトリア"の一員です。通信越しでのあいさつとなることをお許しください」
「……なるほど、そこまで知っているのか。まあ、特段驚くようなことでもないがな」
コーストは天外という言葉が出たことに一瞬驚いたが、あの黒服の同僚というのであればさほど驚くことではないと考えた。
「ええ、黒服からはあなたのことは良く聞き及んでおります」
「ああ、俺も今しがたお前の悪評を聞かせてもらったばかりだ。俺の仲間に手を出した代償は高くつくぞ」
「これはこれは……初対面だというのにずいぶんと嫌われてしまっていますね。最初はあなたもこちら側のほうに近いのではと思っていましたが……やはりあなたは排除するほかありませんね」
「お前たちに近い?それはまたずいぶんなヘイトスピーチだな。子供を支配して王様気取りのお前と一緒にしないでもらいたいものだ」
コーストは苛立ちと共にそう吐き捨てる。
「……最後に忠告しておこう。センチネルからは手を引け。お前たちが支配しきれるような代物じゃない」
「ふん、いまさらそんな戯言に耳を貸す気はありません……ユスティナ・センチネル、始末してください」
ベアトリーチェの言葉にコーストとアズサを包囲するユスティナ・センチネルが一斉に銃を構える。
「……どうするんだコーストさん、さすがに数の差が大きすぎる。何か策でもあるのか?」
「……ああは言ったが、さすがにこの数を相手するのは無理がある。ここは逃げるぞ」
「え?」
コーストはそう言うとアズサを引き寄せて担ぎ、ジェットパックで近くの廃墟へと飛び込む。
「ふん、そんなもので逃げ切れると思っているのですか。……瓦礫もろとも破壊してしまいなさい!」
ベアトリーチェの命令と共に、膨大な量のユスティナ・センチネルが一斉放火を始めた。
「コーストさん、ここはどこだ?」
「どこかと言われれば、地下だな」
地上の瓦礫が一斉放火でさらに細かく砕かれている間、二人は地形操作機で地下に潜り、逃亡を進めていた。
「瓦礫に入った直後に地下に潜ったからあいつ等にも多分ばれてないだろう。ベアトリーチェもマルチツールの詳しい仕様は知らないだろうしな」
「……何でこのビームが当たっただけでこんなにあっさり土砂が消えるんだ?」
アズサが最もな疑問を口にする。
「……まあ、説明すると難しいからそれはまた今度な。とりあえず今は撤退に専念するぞ」
その後も二人は地形操作機でトンネルを掘り進め、撤退することに成功した。
「いない……?あの状況から逃げ延びたというのですか?……まあ、この星の人間ではないのですから、何を持っていても不思議ではありませんか」
ベアトリーチェはそうつぶやくとドローンをアリウススクワッドのほうへと向かわせた。
「それにしても……随分と情けないことですね。メンバーの一人を奪われ、果てにはロイヤルブラッドまで奪われるところだった。特殊部隊の名が聞いて呆れますよ」
サオリたちに対し、ベアトリーチェは毒を吐く。
「ぐっ……」
「はあ……まあ、いいです。貴方たちに最後のチャンスを上げましょう。例の"戦術兵器"の調整があらかた終わりました。あれを使って、コーストと先生を今度こそ処分しなさい。できなければ……分かっていますね?」
「分かり、ました……」
サオリの返答に満足したのか、ベアトリーチェはホログラムを消し、ユスティナ・センチネルたちも引き上げていった。
「……リーダー、どうするの」
「……どうするも何も、やるしかないだろう。私たちにはもう、選択肢がないんだ……ああ、やはりすべては、虚しいものだ……」
横で意識を失っているアツコを見つめ、サオリはそうつぶやいた。
一方その頃、トリニティ地下牢にて――
「ミカ様、こちらへ」
「お待たせしましたミカ様、もう自由です!」
かつてのパテル分派の長――聖園ミカが幽閉されている地下牢に、ティーパーティーの主戦派の生徒が集まっていた。
ミカを囲んで捲し立てるように現在の状況を語る。
「ふーん……なるほどね?つまり…………みんな私のファンってところかな?やー、仕方ないなあ、サインでもしてあげよっか?」
「な、何をおっしゃっているのですか?現在のトリニティは……」
「そんなことは分かってるって。で、皆は何?もしかして、ゲヘナに宣戦布告しようとか考えてたり?」
「はい、その通りです!今こそ、ゲヘナを消し去るチャンスかと!」
「……あはっ」
その言葉に、ミカの目から笑顔が消える。
「そうだね。確かに私はゲヘナが大っ嫌いだよ。……でも、だから何なの?どうしてわざわざ命令を欲しがって私の所まで来たわけ?」
「そ、それはどういう……」
「だって言ってたじゃん。ほかの派閥を抑えたって。もう宣戦布告なんて手続きいらないでしょ?今すぐゲヘナに殴り掛かればいいのに、自分たちの身代わりに命令してくれだなんて……面白いこと言うね?でも、いまそう言う気分じゃないから、帰ってくれないかな?」
「き、気分って……」
「今がどれだけ重要なタイミングか、分かっておられるのですか!」
周囲の生徒が声を荒げる。
「だから~、そんなに戦いたいなら宣戦布告なんてしないで勝手に戦えばいいじゃん。私はいまそう言う気分じゃないの。分かったら帰ってくれない?」
ミカのその言葉に周囲の生徒の目が怒りに変わった。
「この、言わせておけば!」
「世間知らずのお嬢様が!わざわざ牢から出してあげようっていうのに調子に乗って……!」
場の空気は完全にヒートアップし、一斉にミカに対するリンチが始まる。
「ああ、もう…………痛いなあ」
ミカがその暴力に逆らわずにいると、地下牢に一人の生徒が入ってきた。
「な、何してんの!」
補習授業部のコハルだ。
「何だお前は!」
「い、いじめはダメ!どうしてこんな大人数で寄ってたかって……!こんなの、私が許さないんだから!」
コハルは足が震えていたが、それでも気丈に言い返した。
「邪魔をするんじゃないわよ!!」
「今が緊急事態だって分からないの!?」
「で、でも……」
「どけっ!」
主戦派の生徒が怒鳴り武器まで構え始めた。
「い、嫌っ!」
コハルと周りの生徒が一触即発の空気になり始めたその時……地下牢の壁から、何やら異音が聞こえ始めた。
何かを削り取るような音と、人の話し声のような物が……
「コーストさん、割と進んだし、そろそろ逃げ切れたんじゃないか?」
「そうだな。もう少し進んだら上に向かって掘り始めるか」
「今度は何なのよ……」
主戦派の生徒たちが異音の正体を探ろうと壁の近くに寄っていく。
「……急に止まってどうしたんだ、コーストさん?」
「いや、地形操作機で掘り進めなくなってな。これは……壁か?」
「どうする?」
「少し下がってくれ、ジオロジーキャノンで吹き飛ばす」
ドゴオオオオオオン!!
「「「きゃああああ!!」」」
突然の爆発に壁際の生徒がまとめて吹き飛ばされた。
それも突然の衝撃に気を失っているようだ。
「ふう、どこかの地下シェルターか?とにかく身を隠すには最適……ミカ?お前何やってるんだこんなところで」
「それはこっちのセリフなんだけど!?」
「あれ、コハル?なんでこんなところにいるんだ?」
「アズサ!?それはこっちのセリフよ!っていうか今までどこ行ってたの!?」
先ほどまでとは打って変わって軽い空気が地下牢に流れ始めた。
「えっと……これはどういう状況なのかな?」
入口に目を向けるとそこには何も知らない先生がおり、場の空気はよりカオスになっていくのだった。
subnauticaです
あまねくヘイトの終着点、ベアトリーチェの登場でございます。
ちゃんといい感じに料理していきますのでこの先もお楽しみに。
あと、もう一人評価していただけると評価バーのマス目が一つ増えるので、ぜひこの作品の評価をしていただけたら幸いです。
では、また次回お会いしましょう。
先に書いてほしいイベントは
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桜花爛漫
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アビドスリゾート
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