機動探訪記ガンダム・ジェネレーション   作:キャノン娘

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第17話 希望のガンダム

 それは、まさに怪物と言う形容にふさわしい機体であった。

 体格こそ隣にあるサイコガンダムMk-Ⅱよりも小さいものの、他のモビルスーツと比べれば一回りも二回りも勝っている。大きく張り出した肩のアーマー、バランスを取るためなのか異常に発達した下半身のシルエットは要塞そのものである。

 これまた大型化したファンネルは以前に比べてより破壊力を増し、ビームライフルとシールドで身を固めつつもスカートアーマーの隠し腕からビームサーベルで攻撃可能。

 背後は一面バーニアの集合体であり、この巨大な体躯に並のモビルスーツよりもはるかに高い機動性を持たせるまでに至らせていた。

 ナイチンゲールと言う可愛らしい名をつけられた怪物を見上げて、クレアはうらやましそうにつぶやいた。

「もうできちゃったんだね。いいなぁ~」

「……あげないわよ」

 レイチェルはこれが以前のクレアの愛機だった事は十分承知のうえだが、それでも手放す気にはなれなかった。少なくともこの時代が無事に過ぎ去るまでは。

 反対に、クレアのZプラスC型は名前だけ聞いてみると強くなっていそうだが、実は機体性能は低下していた。ビームスマートガンは格好いいが、性能はそれほどでもない。これではうらやましがるのも無理はない。

 その横では、カチュアが純白の機体を見上げて良からぬ笑顔を浮かべていた。ジ・オにファンネルを搭載した仮想実験機、タイタニアである。これが実際に開発され、実戦に投入されたと言う記録はない。こうした机上の記録にのみ残された機体の全貌を明らかにするのも彼らの任務の一環であった。そして、おおむねこの手の機体は性能が高い。

 ユリウスは初めてのサイコミュの調整をしながら作戦のバランスを考えていた。サイコガンダムMk-Ⅱは破壊力のぶんエネルギー消費が大きい。少し戦うとすぐ補給が必要になり、かなり長時間帰って来ない。それよりはタイタニアの方が弾数が多い分だけ戦力として当てになる。カチュアにファンネルで援護してもらって、自分は中間距離でビームライフルとインコムで攻撃する。

「白兵戦はミンミにやってもらいますか……」

 全周囲モニターを点けると、隣にフルアーマー百式改の姿が見える。メガバズーカランチャーこそなくなったものの、装甲を中心にさらに強力になった。

「……それにしても」

 まだわめいているクレアをコックピットから見下ろしつつ、ユリウスは溜息をついた。

「どうしてリーダー機が一番弱いんでしょうか……」

 ユリウスの疑問はもっともだが、それでも彼の機体もガンダムMk-Ⅳである。優秀な機体であることは間違いないのだ。

 そうしている時に、ショウがとぼとぼと歩いてきた。つい先日まで親しんできた青い機体は、もうそこに立っていることはなかった。

「トルネードガンダム……やっぱり、駄目だったんですか……」

「うーん……部品取りになら使えるかなぁ。あれを修理するんだったら新しいのを買ってきた方が早いよ」

 ケイの返事は予想していたつもりだったが、ショウはやはり心を重くした。他のパイロットたちは次から次へと機体を乗り換え、また上位機種を開発してきたのだが、ショウは長期間同じ機体で戦ってきたのだ。モビルスーツの操縦どころか、存在さえ知らなかったショウがいきなり実戦に飛び込むことができたのも、トルネードガンダムがショウの意思を感じて動いてくれる機体だったからこそである。

「でも、代わりに新しい機体ができてるよ」

 ケイが指差した方向には、また別のガンダムがあった。今までのものとはどこか違う。一言で言えば無骨である。格好良さとは無縁のデザインだったが、そのぶん力強さがあった。

「これが……僕の新しい機体?」

「そう。プロトタイプ・ダブルゼータガンダム。開発でどんどん強くなっていくよ」

 突然、ショウはがしっと背後から抱きしめられた。女性の柔らかい胸の感触が後頭部に押し付けられる。

「ショウく~ん、とってもいい話があるんだけどな~」

 ニュータイプ能力で察知する必要もないほどよく知っている猫撫で声がした。

「クレア、あんたZプラスでもいいじゃん」

 ショウが断る前にケイが話に割って入ってきた。

「見てよこのラインナップ!どー見ても私のが一番弱いぞ!」

「いいじゃない。その分守ってもらえるよ、ねっ」

 ケイはショウと頭の高さを合わせるように足を曲げて微笑みかけた。同時にショウの視界に、クレアよりも二周りか三周りは発達したふくらみが大きく映りこみ、ショウは赤面して息を飲んだ。

「こいつ、どこ見てるのよ」

 ぽかっとクレアに頭を叩かれる。カチュアからも冷たい視線がかけられていた。

 クレアさん自分から抱きついてきたのに、とショウは涙目になる。

 なんでこの艦って、こういう災難が多いんだろう……。

 ショウがそう考えた時、ブリッジから召集がかけられた。

「なんで今ごろ?もう出撃じゃないの?」

 ブリッジに集まってみると、スクリーンの地図ではアーガマとの位置はずいぶん離れてしまっている。そしてその近くに、味方ではない艦を示す信号があった。

 疑問を挟む前に、マークが説明を始めた。

「見ての通り、アーガマは単独で先行している。アクシズとの交渉が始まっているころだろう」

「アクシズ……?」

「ああ、ショウはまだ知らないんだったな。

 アクシズとはジオン軍の残党だ。今はもうア・バオア・クーから七年が過ぎているはずだが……彼らは変わっていない。何もかも、だ……」

「そんな……ザビ家は倒したんですよ?」

「ドズル・ザビの娘、ミネバを担ぎ出している者たちがいる。ちょうどおまえと同じ年くらいの子供だ」

「え……?」

 ショウには想像がつかなかった。学校で隣の席に座っているくらいの女の子が軍隊の総帥としてジオンの兵士たちに囲まれているなど、漫画か冗談にしか思えなかった。

「彼らは本気だよ。だから、クワトロ大尉が交渉に当たっても恐らく失敗するだろう」

「ジオンの兵力はどれくらいなんですか?」

「兵力を温存する事を優先しているらしい。あちらはアーガマに任せよう。

 それよりも、こちらだ」

 マークは地図の領域を移動させて、ガチャベースの周囲を拡大した。二手に分かれた敵軍が基地を包囲しているのが分かる。

「ティターンズの艦隊が展開している。こちらはサラミス改級が三隻。そしてこちらは、ドゴス・ギアだ」

「ドゴス・ギア……シロッコが、あ!うう……!」

 ショウは頭を押さえてうずくまった。その脳裏に、今ではないいつかの情景が映っていた。

「どうした、ショウ!」

「な……なにか……見えたんです……」

「見えた?何を見たんだ?」

「Zガンダムとシロッコ……前に、カチュアちゃんが乗ってた黄色のモビルスーツが戦ってる……」

「……。それで、どうなった……?」

「ううん……ちょっと、見えただけです……。終わりまではっきり見えたわけじゃ……」

「そうか。その事はしばらく忘れるんだ。戦闘に集中できなければいけないぞ」

「は、はいっ!」

 パイロットたちがモビルスーツデッキに戻って行ったあと、エリスはショウの能力に不安さえ抱いていた。

「ショウ君は敏感すぎるわ……。起こってもいない事を、こうも……」

「ああ……。あのまま、これから起きる事全てを飲み込んでいってくれれば……」

「壊れてしまうかも知れないわよ?カミーユ・ビダンのように……」

 マークは黙って、ショウが新しい機体に乗り込む所を見つめていた。それは歴史を超えた機体である。それが活躍する時代が来れば、この悲劇を終わらせることができる。若く、明るく、希望に満ちたガンダム……それをショウに托したのは、偶然ではなかったのかもしれない。

 

 ドゴス・ギアと直接ぶつかる前に、彼らを待ちうけたのは三機のハンブラビだった。

「ゼェェェタぁーっ!こいつを食らいやがれ!」

 ヤザンは先頭にいたウェーブライダーに似た機体に、ワイヤーを鞭のように飛ばして襲いかかる。三方向からの攻撃を簡単にかわすと、クレアはZプラスをモビルスーツ形態に戻して一気に斬り合いに持ち込んだ。

「これであの武器は使えまい!」

「女だと?いつものZじゃねえのか!」

「私だってZガンダムのほうがいいんだけどねぇ……」

 ハンブラビをパワーで圧倒して弾き飛ばす。そこにショウのプロトタイプZZが斬りかかった。抜き放ったハイパービームサーベルはトルネードガンダムのものよりも数段長く、そして太い。機体の持つ力にショウ自身が驚くほどだった。

「これなら……行けぇっ!」

「くっ……なんだこの新型はっ!」

 並のビームサーベルで受け切れないことを一瞬で悟り、ヤザンはハンブラビを全力で走らせた。その一瞬の判断がヤザンを救った。一撃で装甲を両断され、ハンブラビは下半身を失っていたのである。

 背筋に冷たいものが流れる。死と隣合わせの緊張感は、ヤザンという男に取って快感のはずだった。

 だがそれ以上にヤザンは、この新型に得体の知れないものを感じていた。妙にこの新型とは相性が悪い気がしてならない。理不尽な運命が待ちうけている、そんな悪い予感を感じさせるフォルムであった。

 こいつと関わりあいたくない。恐怖や畏怖とは違う、不気味な嫌悪感がヤザンを襲った。

「ダンケル、ラムサス!引くぞッ!」

 ハンブラビ隊の統制は今までの敵とは格段に違う。不利を悟った次の瞬間には射程の外にいる手際を見せていた。レイチェルもあえてファンネルは使わなかった。

「ショウ、自信持っていいよ!」

「あっ……はい!」

 目の前にシロッコが迫っている。しかしショウの中にあるのは恐怖ではなかった。

 

 モビルスーツの数は四対十二。うち一つはサイコガンダムMk-Ⅱで、これは保険のようなものである。

「これより、白兵突撃を敢行します!」

「了解!」

 ミンミからの通信が届き、重武装の百式改が飛び出していく。

「さて……僕がサイコミュをどれだけ扱えるのか……」

 もう少し楽な戦場で試すことにして、今はビームライフルで戦った方がいいだろうか。一瞬迷った間に、後ろから何かが追い抜いて行った。そして敵陣で次々に爆発が起こる。

「……えっ?」

 カチュアの放ったファンネルである。ミンミが斬りつけたガルバルディβにすかさず追い打ちをかけて、確実に撃墜スコアを伸ばしていく。

「ち、ちょっとカチュアちゃん……」

「全部私がやっちゃうよ!どこに逃げたってお見通しなんだから!」

 カチュアはユリウスの制止を聞こうともしなかった。モビルスーツの操縦技術はシスにかなわないが、ニュータイプの能力では引けは取らない。今までモビルスーツに比較的不自由だったカチュアは、思い切り力を発揮できるのが嬉しかったのだ。

「ほらほら、こんどはそっちだよ~★」

 ミンミが次の相手に向かう前に、遠くのハイザックを狙い撃ちにする。どこから来るのかも分からない攻撃に翻弄され、シールドでの防御もままならずにハイザックは一瞬で閃光と化していく。

「さすがであります!これは負けてはいられないでありますね!」

 ミンミはモビルスーツを失った敵艦にミサイルを連射した。すかさずファンネルも一斉攻撃をかける。あっけないほど簡単にサラミス改は轟沈した。

 もはや残ったハイザックなど相手にならなかった。フルアーマー百式改は矢面に立って戦っているが、その装甲は敵の攻撃をほとんど受け付けていない。よしんば外部装甲が破損したとしても、中の百式改は全く無傷なのだ。タイタニアは最初の位置から動いてさえいない。動いているのはファンネルだけだが、それを見切ってカチュア自身に攻撃を仕掛けられる者などいなかった。

 そして、まだサイコガンダムMk-Ⅱが後ろに待機しているのである。

 ユリウスは止めるかどうか、とっさに判断がつかなかった。カチュアとミンミは敵の大半を撃破しているのだ。自分にやる事がなくなったという理由で止めていいものではない。

「二人のエネルギーが尽きるまでにどれだけ減らせるかが問題ですね……」

 頭の中にデータを思い出しながら、ユリウスは戦況の見極めを優先した。

 戦艦がひとつ、ふたつと炎上していく。残された敵モビルスーツは二機のハイザックだけだ。

「シス、クレア中尉の部隊の援護に行ってください。ここは僕がいれば大丈夫です」

「了解……」

 サイコガンダムは去り、暴れるだけ暴れた二人も帰艦した。

 二対一である。ハイザックも戦意を取り戻したのか、この時でなければ勝てないと判断したのか、ガンダムMk-Ⅳに突進した。

 そこにユリウスはインコムを射出する。

「こんなもの……僕の頭脳にかかればオモチャみたいなものさ!」

 あらぬ方向から攻撃を受け、再度ハイザックたちは混乱する。そしてもう一機にビームライフルが叩きこまれる。

「見ろ……ニュータイプじゃなくてもこのくらい!」

 ビームサーベルで敵を斬り倒し、アルビオンの攻撃でサラミス改が沈んでいくのを見届けるとユリウスは息を吐いた。

「それでも……カチュアちゃんにはかなわないかなぁ……」

 砕け散った敵の残骸を眺めて、ユリウスは肩をすくめた。

 

 ドゴス・ギアのモビルスーツ隊が一気に出撃し、ショウたちの前に壁を作る。

「いい!作戦を決めるよ!

 とりあえず撃ちまくって弾がなくなったら帰る!分かった!?」

「……分かりましたけど……」

 ショウはいつもツッコミを入れているユリウスの気分が痛いほどに分かった。

 だが、敵の数は多い。普通に戦ってもドゴス・ギアを相手にするためのエネルギーは残らないだろう。戦闘で傷ついた機体でシロッコと戦うのは危険すぎる。一度艦に戻って、呼吸を整えてから出た方がいい。そのころにはユリウスたちも合流しているかもしれない。

 それだけの判断を一瞬で終わらせてクレア流に要約すると、先ほどの台詞になるのである。……しかしそれをいきなり理解しろと言うのは、ニュータイプであっても難しい。

「……まったく、もう!」

 ハイパービームサーベルを振るうと、敵は手ごたえを感じないほどあっさりと砕かれていく。だが、やはりそれだけ消費は早い。三機を落とした所で機体のエネルギーはなくなっていた。

「早いなぁ……もっとやれそうなのに……」

 向きを変えて帰艦の体勢に移ると、サイコガンダムMk-Ⅱがやってくるのが見える。

「シスちゃん?」

「安心して……私が守るわ……」

 Zプラスとナイチンゲールも、サイコガンダムMk-Ⅱに後を任せて撤退した。

 艦に戻るとタイタニアやフルアーマー百式改の姿も見える。

「ねえ、みんな何機落としたぁ?」

 カチュアは元気よく仲間に呼びかけた。

「五機かな。レイチェルは?」

「ないわよ」

「えっ?」

「だって、撃墜スコアは全部あなたがもってっちゃったじゃない」

「あ……あれ、そうだっけ?」

「聞いて聞いて!戦艦が一つにモビルスーツが六つだよぉ!」

「うわぁ、凄いなぁ」

 いいなぁファンネル持ちは、などとクレアがぼやくのを聞くと、ますますカチュアは嬉しがった。

「あの戦艦だって、私がやっつけちゃうんだから!」

「先に行っちゃダメだよ。みんなで一気にやるんだから」

「はーい、分かってまーす★」

 元気が良すぎるカチュアにショウは少し不安になったが、それでも今は自信の方が大きくなっていた。

 このガンダムのパワーなら勝てそうな気がする。戦力の裏付けや計算ではなく、そういう気持ちにさせる何かがあった。

 

「アクシズ艦隊、撤退して行きます!」

 マリアからの報告を受けたマークは、戦闘の様子を確認する。

「アーガマの様子はどうか?」

「ほとんど傷ついてはいない様子です」

「ガチャベースへの帰還経路でドゴス・ギアを挟み撃ちにするように伝えろ!

 モビルスーツ隊、補給急げ!」

 アルビオン自身も前に出て、ドゴス・ギアと対決する体勢に移る。その前方では、ドゴス・ギアとサイコガンダムMk-Ⅱが対峙していた。

 一瞬でモビルスーツ隊を失ってしまい、挟撃を試みたサラミス改も撃破されてしまった。この時点でシロッコは撤退を決意していたが、目の前にある機体は怪物である。しかしそれは一機しかない。このサイコガンダムMk-Ⅱさえ倒してしまえば、無事に撤退できると考えた。

「照準修正!ターゲット一時方向!……撃て!」

 大型メガ粒子砲が唸りをあげて、四角に折りたたまれた巨体に直撃する。Iフィールドの防御を貫いて強烈なビームが叩きこまれるが、さすがに致命傷になるわけではない。そして反撃に、全身に装備されたメガ粒子砲が一斉に光の束を吹き上げる。ドゴス・ギアは少しずつ後退し、その装甲も傷ついていく。

「……ッ!だがこの程度ならダメージの内に入らん!」

 シロッコはまだ持ちこたえるつもりでいた。だが、アルビオンから新手のモビルスーツが次々と出撃するのを見てその意思も潰えた。

「早すぎる……まだ補給も完全ではないだろうに。……一撃でドゴス・ギアを落とすつもりか!」

 ナイチンゲールとタイタニアのファンネルが退路を絶つように背後に回り、百式改のミサイルが前方から迫る。その全てを回避するのは、さすがのシロッコにも不可能だった。そこに残ったモビルスーツが突撃をかける。

「対空砲!よく狙って撃て!捉えられんような動きではない!」

 だが、迫ってくるのはニュータイプたちである。ただの対空砲火で止められる相手ではない。

「これで終わりにするか、続けるか!シロッコ!」

「貴様では落ちんよ、ドゴス・ギアは!」

「来てるのは私一人じゃないぞっ!」

「……!全速後退しろっ!」

 Zプラスは囮だ。その後ろから、プロトタイプZZが突っ込んできている。

 半ば手遅れだとシロッコは悟った。だがブリッジを狙ったハイパービームサーベルの軌道は大きく外れ、モビルスーツ発着用の甲板に向かっていった。

 ブリッジが大きく揺れ、ドゴス・ギアに警報が鳴り響く。

「被害は!報告急げっ!」

「大破……切断されました!モビルスーツの発進できません!」

「切断だと!?ただのモビルスーツにかッ!

 ……おのれ!この私をここまで追い詰めるとは……!」

「どうします!?」

「チャンスは我々に回ってきているのだよ!

 ここで強行する事ではないのだ……宙域から一時撤退する!」

 ドゴス・ギアは後退姿勢を整え、一気に遠ざかっていく。戦艦の速度に追いついていけるモビルスーツはない。

 

 シロッコを討ち果たす事はできなかったが、ショウは暗雲が晴れたような思いだった。

「やったんだ……。僕が、シロッコを……」

 帰艦して、モビルスーツから降りて、ショウは改めてこの機体の頼もしさを実感した。このガンダムは、宇宙を覆う嫌な空気を一気に吹き飛ばしてくれるような……そんな希望を抱かせるのだ。

「ダブルゼータかぁ……。頼むよ、次も……」

 その時代が来るのも、もう遠くはない。

 しかしその助けを借りて越えなければならない戦いは、まだ残されているのも確かなのだった。

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