寝取り男に転生した俺は完璧なスパダリを目指す 作:Nenene
「くっくっく、ここが戦いの舞台か……」
俺は思わず含み笑いを浮かべた。
校門の先に続く桜咲く道。
その先にある高等学校の校舎こそが、角田博也という男、その人生のすべてを賭ける事となる舞台である。
これからこの学校で繰り広げられる事となる戦いを思うと胸が震えた。
一体俺は過酷な戦いを勝ち進む事が出来るだろうか?
……いや、弱気になってはいけない。
なぜなら俺は――寝取り男なのだからっっっっ!!!!
俺はとあるエロゲの世界に転生した。
転生する前に女神っぽい人から教えてもらったから間違いない。
ただ残念かな、そのタイトルを聞いても俺はピンとこなかった。
「大切な美少女達は、みんな最低なあいつに堕とされた……」というタイトルだけを聞かされてもプレイした事なんてなかったので内容がまるで分からなかった。
いや、内容は分からないけどジャンルは分かった。
このゲーム、寝取られエロゲだ!!!!
そんな訳で俺は寝取られエロゲの寝取り役の方に転生した訳だった。
……ちなみに割と当たり枠の転生だった。
と言うのも俺の生まれた家はかなり裕福で、もっと言ってしまえば俺はとある会社の社長の息子だった。
だから相応の勉強は必要だったが、しかし不思議な事にそれらはまるで苦にはならなかった。
更に言うと運動能力も人並み外れていて、体力は勿論の事、どんな動作でも一度見れば大抵は再現できるようになっていた。
どうやらこの肉体はかなりハイスペックようだった。
至れり尽くせりで本当に恵まれた転生だなと思うが、しかし自分の役割を考えるとそれもある意味当たり前なのかなとも思った。
俺に与えられた寝取り男の使命。
それを全うするためには、相応の能力が必要になってくる。
何せ相手はたくさんの美少女を虜にした、いわば主人公なのだ。
そんな主人公と戦うのだから、それだけの才能は必要だって事だろう。
だから、俺は努力した。
完璧な寝取り男になるべく、努力をした。
何を言っているんだこいつと思わるかもしれないけど、役割を与えられた以上はそれを成し遂げなければと思ったからである。
「ふっ、その努力の日々も今日で終わりだ……」
俺は呟く。
長い、長い戦いの日々だった。
毎日毎日体を鍛えるために完璧に管理された食事を取り、ジョギングや筋トレなどを欠かさなかった。
勉強だって並行して行ってきた。
肉体が優れていたって馬鹿だったらそれが原因で振り返ってもらえないかもしれないと思ったからである。
そして当然、対人能力を磨く事も忘れなかった。
俺の目的は美少女を堕とす事。
それが出来なければ話にならない。
「俺の物語が、これから始まる――」
「あ、博也っ」
「博也くーん!」
と、背後から呼び声が聞こえる。
振り返ると中学からの親友の二人、佐藤優斗とその幼馴染の高村真美がこちらに走り寄ってくるのが見えた。
「早いな、博也」
「流石だね博也くん、張り切っているね」
「ふっ。これから輝かしい高校生活が始まるんだ、張り切らない方が難しいだろっ」
胸を張って答える俺に対し、二人はまるで眩しいものを見るような目をする。
「さ、流石だね博也くん……そんな博也くんだから、私」
「……応援するからな、真美」
「……うん」
何やらぼそぼそと話しているが、上手く聞きとれなかった。
全く、仲間外れとは寂しいな、友達だろ二人とも!
まあ親しき中にも礼儀ありというし、本気で尋ねるつもりはないけれども!!
「じゃあ、早速行こうか二人とも!」
「ああ!」
「うん!」
俺達の輝かしい青春。
あと、俺の寝取りエロゲ生活が、今、始まる……!!!!
そう言えば、俺が寝取るべきヒロインって誰なんだろうな!!!!