そして、原作からの二人目の救済キャラも本格登場。
転移の個性を使って、目的地である保須総合病院へと辿り着くと、私たちは急いで中に入ってロビー窓口まで行くことに。
「あ…あの! ここに運び込まれたっていうインゲニウムの…飯田天晴の弟なのですが! 兄の病室の場所を教えて貰えませんか!」
「あ…お待ちしておりました。もし弟さんが来たら、病室にご案内して欲しいと先生から言付かっております」
「そ…そうですか…」
流石だな。
ちゃんと飯田君が来るってことを想定してたのか。
「私達も一緒に良いかな?」
「クロウさん。お久し振りです。勿論です。さ…どうぞ、こちらです」
この反応…私たちが来ることも想定してた感じ?
いや…違うな。
恐らくは、あの『兄貴』が病院側に伝えていたに違いない。
顔に似合わず、細かな気遣いが出来るから侮れないんだよな。
「あの…クロウさんは、こちらの病院とは何か関係が…?」
「あぁ…別にそこまで大したことじゃないさ。ただ、何でも屋をしていく上で、色んな所に可能な限りパイプを作ってるってだけ。この病院も、その一つなんだよ。な、被身子」
「そうですね。ここだけじゃなく、色んな病院の人達と知り合いになってますよね」
「成る程…」
警察だけじゃない、こういった医療関係の相手ともパイプを作っておいて損することは無い。
いざという時、こういった人達ほどに頼りになる人間もそういないからな。
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インゲニウムさんが運び込まれた病室のある廊下まで案内されると、部屋の番号だけを教えられて看護婦さんは仕事に戻った。
そこからは別に看護婦に引き継がれて、私たちは病室まで案内されることに。
「あの…兄の容体は…」
「あと少し遅かったら本当に危なかったです。でも、クロウさんのお兄さんがギリギリの所で駆けつけてくれて、しかも応急処置までしてくれたお陰で最悪の事態だけは避けることが出来ました」
マジか…あの兄貴…応急処置なんてことまでしてたのかよ。
つーか、いつの間にそんな技術を身に着けてたんだ?
「クロウさん…お兄さんがおられたのですか?」
「ん? あー…まぁな…」
この顔で妹キャラってのも変かもだけどな。
少なくとも、私は妹として誰かに可愛がられるような女じゃないだろ。
「お…来たか。火n…クロウ。それに被身子も」
病室の前まで行くと、壁に背中を預けながら立っている兄貴…荼毘の姿が。
相変わらず、火傷の跡が怖い顔をしていますこと。
「よっ。マグ姉から全部聞いたよ。兄貴がインゲニウムさんを助けてくれたんだって?」
「偶然だったけどな。でも、だからと言って放置も出来ないしな。やれるだけのことはやったさ」
「おぉ~…流石は荼毘さん。器用ですねぇ~」
マグ姉は…流石にいないか。
あの人はあの人で色々と忙しいしな。
ああして連絡をしてくれただけでも凄く嬉しかった。
「あ…アナタがクロウさんのお兄さんですか! 兄を助けていただいて、本当にありがとうございます!!」
「兄って…お前、インゲニウムの弟か」
「はい! 飯田天哉と申します!」
「おぉ…一応、病院だから静かにしろな」
飯田君がすんごい腰を曲げて兄貴にお礼を言ってる…。
気持ちは分かるが、少しは声のボリュームを下げな?
(因みに、この子な…あの焦凍のクラスメイトだよ)
(…マジで?)
(マジ。更に付け加えれば、今日の体育祭の最終種目のトーナメントバトルの準決勝で焦凍とバトって負けてる)
(そいつは…俺達的には、なんとも複雑だな…)
(だよな…)
小声でひそひそと兄貴に追加情報を与えることに。
流石の兄貴も、実の弟に負けた少年を目の前にすると気まずいみたいだ。
「それで…兄は…」
「インゲニウムなら、少し前に目が覚めた。で、親御さんたちと少し話をしてた。その親御さん達は今、休憩も兼ねて売店に飲み物を買いに行ってる」
「そうでしたか…中に入っても…?」
「構わない。医者からも許可は貰ってる。ただし、ちゃんと備え付けのマスクはしろよ」
「分かりました」
病室の入り口の所にあるマスクをつけると、飯田君は神妙な面持ちで病室へと入っていった。
「クロウはどうする?」
「…私も行くよ。色々と聞きたいことがあるし」
「クロウちゃんが行くなら、私も行きます」
「…そっか」
つーわけで、私と被身子もマスクを着けて病室内へ。
なんか兄貴もマスクを着けてたんだけど…まさか着いてくる気?
いや…別にいいんだけどさ。
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病室に入ると、飯田君が安心したような、心配しているような、そんな複雑な表情を浮かべていた。
「に…兄さん…」
「あはは…ごめんな…天哉…。お前みたいな優秀な弟が折角、俺なんかに憧れてくれてんのに…カッコ悪い姿を見せちまってるな…」
「いいんだ…いいんだ兄さん…! 兄さんが無事なら…俺は…俺は…!」
ベッドの上では色んなチューブを体に繋げたインゲニウム…天晴さんが全身包帯グルグル巻き状態で苦笑いを浮かべていた。
明らかに重症状態なのに意外と元気そうに見えるのは、普段から鍛えていたお陰なのか。
それとも、兄貴の応急処置が良かったせいなのか。
「や…天晴さん。今回は災難だったな」
「お邪魔してます」
「クロウ…それに被身子ちゃんも…。来てくれたのか…」
「当たり前だっつーの。アンタには昔から世話になりっぱなしの…恩人みたいなもんだ。そんな相手が大怪我して入院したって聞かされたら…そりゃ見舞いの一つぐらいするだろ…」
「そっか…はは…そうだったな…。クロウは…そんな女の子だったな…」
「女の子言うなし…」
ベットの上から動けないくせに口だけは一丁前だな。
これ、意外と早く復帰とか出来るんじゃないのか?
「なんだ。思ったよりも口が聞けるじゃないか」
「荼毘か…君には本当に世話になった…。もし君がいなかったら、俺は間違いなくヒーロー稼業を引退しなくちゃいけなかった…」
「そうか。俺が、あの場にいたのは本当に偶然だ。つまり、お前は運が良かったんだよ。良かったな。日頃の行いが良くて」
「全くだ…。『運も実力のうち』とはよく言ったもんだが、それをこんな形で実感するとは思わなかった」
なんか…割とこの二人って仲が良くないか?
この短い間に何があった?
「でもさ…実際問題、マジで安心はしたよ。アンタほどのヒーローが倒されて入院したって聞かされた時は本気で耳を疑ったからな」
「情けない限りさ…。別に油断をしたつもりは無かった。なんたって、相手はあのヒーロー殺し…ステインだったからな」
ステイン相手に油断をしろって言う方が普通は無理だけどな。
んなことしてたら、次の瞬間にはバラバラ死体に早変わりだ。
「かつて…クロウが命懸けで戦って勝利し、捕まえて刑務所送りにした凶悪
「気にする必要はないよ。あいつと戦って生きてるだけでも儲けもんだろ。それに、さっきの話から察するに、治療さえ終えればまたヒーローに復帰できるんだろ?」
「まぁね。流石に時間は掛かるが、ちゃんと治療とリハビリを頑張れば必ず復帰出来ると言われたよ」
「それはなにより。アンタが引退しちまったら、ウチの売り上げが半減しちまうしな」
「そうか…それは深刻だな。じゃあ、俺も頑張って一刻も早く戻らないとな」
流石はインゲニウム…これ程の怪我を負っても目だけは死んでない。
そうでなくちゃ…な。
「クロウ…君はこのままステインを追うんだろう?」
「当然だ。あいつを一度捕まえたのは私だ。なら、この手でもう一回、刑務所送りにしてやる。今度は、あの『沖縄第弐刑務所』以上に厳重な場所にな」
「そう言うと思った。君が一度決めたことは絶対に曲げないのは知ってるからね。ここで止めるだけ無駄か…」
「よくご存じで」
この人とも本当に長い付き合いになるからな…。
お互いに思ってることはお見通し…か。
「…奴は…ステインは未だに考えを改めていない。オールマイトと…クロウに強い執着をしている。恐らく、娑婆に出た奴は間違いなく君を狙ってくるだろう。雄英にいるオールマイトよりは遥かに狙いやすいだろうから」
「だろうな。それはこっちも承知の上さ。寧ろ、望むところだと言わせて貰う」
私の存在自体が囮になるのなら、喜んで囮でも何でもやってやるよ。
ステインとの因縁…今度こそ決着をつけてやる…!
「それじゃあ、私たちはそろそろ行くよ。後は家族水入らずで話してくれ」
「失礼します」
「じゃあな。あんまし俺の可愛い妹を心配させんじゃねぇぞ」
「あぁ…被身子ちゃんも、荼毘も、今日は本当にありがとう。このお礼はいつか必ずするよ」
おいこら、そこのクソ兄貴。
去り際にしれっと何を言っとんじゃ。
だーれが可愛い妹だコラ。
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・・・・
・・・
・・
・
クロウ達が去ってから、インゲニウムこと天晴は大きな溜息を吐きながら天井を見上げた。
「はぁ…クロウにかっこ悪い所を見せちまったなぁ…」
「兄さんは…クロウさんとは長い付き合いなのか?」
「ん? そうだなぁ…あの子が何でも屋を始めた頃からだから…もう6年ぐらいになるのか」
「6年も…?」
自分の全く知らない兄の交友関係に驚きを隠せない。
しかも、その相手がクラスメイト達の大恩人なのだから。
「そうだ。天哉、そこの棚の一番上の中にある物を取ってくれるか?」
「これか…?」
言われるがままに病室に備え付けの棚の一番上を開けると、そこには高級そうな感じのする小さな箱が。
「兄さん? これは一体…?」
「…まだ、母さんたちには内緒だぞ?」
そう言いながら小箱を受け取り、その蓋を開けると、中に入っていたのは…。
「ゆ…指輪…?」
眩く輝くダイヤモンドが填められた指輪だった。
どう考えても、専門店で購入したと思われる代物。
「ま…まさか…兄さん!? クロウさんの事を…!?」
「…まぁな。あの子が成人したら正式に告白しようと思ってたんだが…この有り様じゃぁな…。一応、この指輪な…お約束通りに『給料三ヶ月分』をつぎ込んでんだぞ?」
「なんと…!?」
まさか、この状況で兄の恋バナを聞かされるとは。
流石の飯田も、これにはテンパってしまった。
(た…確かにワイルドな見た目に反して非常に真面目な方だし、その実力も折り紙付き…! 先生達からの信頼も厚いようだし…あれ?)
目をグルグルさせながら頭をフル回転させていると、クロウが割と義姉として理想的なのではないかという結論に達する。
「取り敢えず、今はこの体を治すことに専念だな。この指輪を渡すのは、その後だ」
「そ…そうだな、兄さん! 僕も全力で応援するよ!」
「そうか? じゃあ、母さんたちに説明する時の援護を頼むな」
「あぁ! 任せてくれ!!」
本人の知らない所で話が進んでいくクロウ。
これを聞いた時、彼女はどんな反応をするのやら。
その性格に反して、着実に逆ハーレムを形成中のクロウ。
現在のカップリング候補。
相澤先生。
ホークス。
インゲニウム(new!)
そして、救済キャラ二人目は荼毘でした。
彼がどんな経緯でクロウと再会し、その傍にいるようになったのかは、どこかで書くかもしれません。