「赤ガヴの居場所は分かったか?」
「いえ、まだ」
シータの問いに、エージェントが答える。
「残念ねぇ。早く会いたいのに」
「誰に会いたいんだい?」
「「...!ニエルブ兄さん!」」
そこへやってきて質問を投げかけたのはニエルブであった。
「誰って...新しい優秀なバイトだよ。なあ、ジープ」
「えっ...ええ、シータ。最近グラニュートハンターがよく暴れてるから...」
「へぇ~、前よりも活動が活発化しているのかな?」
「ニエルブ兄さんはなんでこっちに?」
「改造したバイトくんたちの不定期健診だったんだけど...色々試してみようかな。じゃ。」
ニエルブがそう言って扉に手をかけると、その扉は大量の扉がある空間に繋がり、ニエルブはそこへ姿を消した。
「「はあ...」」
「まだバレてないよな?」
「まだ私たちだけで遊びたいものね」
「あの二人も赤ガヴには気づいたかな...?まだディルには気づいてないみたいだけど...ディルは見つからないように徹底していたから、無理もないか」
ニエルブは扉の間で一人呟くのだった。
「...どうも」
「やあやあ。辛木田くんだったかな?よく来たね」
俺は今、仮面ライダーと思わしきモンスター?と接触したときに出会った、自称グラニュート研究家の酸賀さんの研究室へと赴いていた。
棚には生き物の標本であろうものがずらりと並んでいる。
「うわっ...」
「ここが俺の研究室だ。ああ、座りたかったら好きなとこ座って」
「それより酸賀さん。モンスターのこと教えてくれるって...」
「えーっと...君はどこまで知ってるんだっけ?」
「正直、全然...モンスターは人間を襲ってるってことくらいしか...」
俺はまだモンスターを見ただけ。
そのモンスターの概要については何も知らない。
「オーケー。一から教えてあげよう。」
その言葉と共に、酸賀さんは語り始めた。
「君がモンスターと呼んでいるのは、異世界の知的生命体、グラニュートという種族。腹部にも口があるのが特徴だ」
そう言って酸賀さんは先ほどの仮面ライダーとモンスター...グラニュートが戦闘している場面の画像を見せてくる。
確かに、よく見ればどちらにも腹部に口があった。
「こちらの世界にくる方法は不明だが、目的は分かっている。人間を攫って、お菓子のスパイスにするためだ」
「はあ...?お菓子?」
俺は思わず素っ頓狂な声を上げる。
それもそうだ。だってモンスターがお菓子のために人間を攫っていると言うのだから。
「中毒性の高い食べ物でね。やつらは闇菓子と呼んでいる。先日君も見ただろう?小さい板のようにされた人間を」
「...!」
「あれは君が分かるように言うと...フリーズドライみたいな技術でね。生きた人間を小さく圧縮することで、取り扱いを楽にしてるんだろうなぁ...俺が思うに、この世で起きている失踪事件の何割かはグラニュートによる人間狩りだ」
グラニュートの目的が人間をお菓子の材料にするためってことは...
「じゃあ...俺の母ちゃんも...グラニュートに...食われて...」
「君の母親も失踪を?」
「俺は見た。あの時...攫われる瞬間を」
「ほう...圧縮されずに...ということは...人間圧縮技術は比較的最近のものと考えてよさそうだな。何年前?」
酸賀さんは興味本位で俺に聞いたのだろう。
でも俺は、その現実を飲み込むのに精一杯で、その質問に答えることすらも出来なかった。
「...ちなみに最近の俺は、グラニュートを退治する方法を研究している」
「えっ?」
「そんな時に現れたのが、先日の紫色のやつ」
「仮面ライダー?」
「イエース。茶色いほうはともかく、紫色の仮面ライダーはこんなものを使っていたね」
酸賀さんは棚の中から二つの容器を取り出す。
その中には仮面ライダーが使っていた小さなお供的なやつが入っていた。
「...そういえば、茶色い方のこと、都市伝説って言ってたけど、何か知ってるのか?」
「うーん、といっても、俺もあまり詳しくはないんだけどね。紫の仮面ライダーが現れるよりももっと前からグラニュートを退治しているってことくらいしか知らない。彼は中々痕跡を残さなかったからねぇ...」
「それが今になって姿を現し始めた...」
「ビンゴ。紫の仮面ライダーとは関連があるとみてよさそうだ」
茶色い仮面ライダーはずっと前から、影ながら俺たちを守ってたってことなのか?
俺がグラニュートを目撃するよりも、前から...
「彼らが何者なのかまだ分からないが、これがあれば彼らのようにグラニュートを退治出来るのかもしれない。俺や...君でも」
俺はその酸賀さんの言葉に、思わず息を吞んだ。
「ねぇ、俺に合わせたい人って誰なの?守兄さん」
「まあまあ、着いたら分かるさ」
俺はショウマを現在の住居に案内していた。
無論、デンテおじさんに合わせるためだ。
ショウマが人間界に来てしばらく経った。
デンテおじさんに合わせるのは少し落ち着いてからにしようと決めていた。
強いて不安があるとすれば...
(デンテおじさんが闇菓子の創始者ってことか...)
故意ではなかったとはいえ、デンテおじさんは人間を素材にして闇菓子の製法を編み出した張本人だ。
それをショウマが知ればどう思うか...
そう思っていると、やがて洞窟に辿り着いた。
「着いたぞ、ここだ」
「ここって...洞窟?本当にここにいるの?」
「おう。ただいま、デンテおじさん。連れてきたよ」
「おかえり!おお、ショウマ!本当にショウマなんじゃな!?」
「グ、グラニュート...?」
「あれ、ショウマ覚えてないのか?デンテおじさんだよ」
「そうじゃ!幼いお前さんのガヴを改造してやったじゃろう?」
「覚えてない...」
まあ接点はなかったし、ガヴを改造したのもかなり幼いころだったから記憶が曖昧なのかもしれない。
「わしはデンテ・ストマック。お前の父さんの、父さんの...弟じゃ」
「や、ややこしい...」
「ディルから聞いておったが...手術、成功しとったんじゃな。ディルから色々と話は聞いておる」
「...ガヴを改造したってどういうこと?」
ショウマはそんな疑問を投げかける。
「父さんがデンテおじさんに頼み込んだんだ。ショウマのガヴを改造して欲しいって」
「父さんが...?」
「お前さんのガヴはわしらと違って眷属を生む力が備わっとらんかった。まあ、人間が母親じゃからな」
「母さんが悪いみたいに言うな!闇菓子にするために攫われてきただけなんだぞ」
「デンテおじさん...言葉には気をつけてって言ったのに...」
「お、おう。すまんかった...でもまあ、ブーシュはブーシュなりにお前さんたちを可愛がっとった」
「...なんだよ、それ。俺たちは...母さんはずっと父さんのこと憎んでたよ。勝手に人間攫って、勝手に母さんを見初めて...!そのくせ、俺たちのことほとんど屋敷に閉じ込めっぱなしで!」
可愛がっていた...その言葉にショウマは声を荒げる。
確かに、あの扱いをされておきながら、愛情があったなんて思えるはずもない。
「ショウマ...」
「それはお前さんたちを守るためじゃ。ランゴたちが良く思っとらんかったし、うっかり幸せにしてスパイスにされちゃいかんと...!」
「だからわざと不幸にしたってこと!?そんなの...全部父さんの勝手だ!」
そう言うとショウマはデンテおじさんを突き飛ばして走り去ってしまった。
「ショウマっ!」
「ああっ...!おい!...すまん、色々と間違えたみたいじゃな」
「うーん、ここにいる誰が悪いってわけでもないんだけど...とりあえず追いかけてみる」
そう言って俺は洞窟を出て走り出した。
デンテおじさんの言葉に声を荒げて思わず洞窟を飛び出してきてしまった。
そしたら目の前に困ってる親子がいた。
助けてあげたいけど、この子を幸せにしたら、グラニュートに狙われるかもしれない。
そう思うと、少し躊躇ってしまう。
でも子供の泣き顔が見てられなくて、結局助けてしまった。
「ありがとう、お兄ちゃん!」
「うん」
そうだ、悪いのは闇菓子のために人間を攫うグラニュートの方だ。
狙われるかもしれないから困ってる人を見過ごすなんて俺には出来ない。
「守ってあげなきゃな。力があるならなおさらだ」
俺は手のひらに乗っている眷属に向かって話しかける。
この前初めて食べた、マシュマロの子と、辛い味のポテトチップスの子だ。
「守兄さんやデンテおじさんに悪いことしたな...今からでも戻って...」
そう呟いたとき、グミの眷属の子が焦った様子でこちらに走ってきた。
「えっ?ヒトプレスの集積所!?分かった。君、守兄さんに伝えてくれる?」
俺は眷属の内の一匹にお願いした後、眷属と共にその場所に向かって走り出した。
「どこ行ったんだショウマ...」
ショウマを追いかけてみたはいいものの、完全に見失った。
「もしかしてはぴぱれに戻ったのか?ん、あれは...」
辺りを見回していると、ショウマの眷属がこちらに向かって走ってきていた。
何やらジェスチャーで伝えようとしているが...
「うーん、この子の言葉分からないんだよな...」
俺はショウマの眷属と会話することはできない。
眷属は懸命に何かを伝えようとしている。
「何かあったんだな。とにかく案内してくれ!」
眷属はその言葉を聞くと、案内するように俺を先導して走っていった。
「ジープ様に届けてこよう」
俺は窓の外側からその光景を見ていた。
仮面ライダーのお供的なやつを見かけて追いかけてみたら、偶然、グラニュートが人間を運ぼうとしている現場を目撃してしまった。
(どこ持ってくんだ?お菓子にされたら...多分助けらんねえぞ!)
そう思った俺は、思わずその辺の小石を投げ込んでしまった。
「誰だ?」
「何してんだ俺...これっぽっち時間稼いだところで意味なんか...」
「何をしている?」
「っ!」
(やべぇ、見つかった!)
黒服の二人組は俺を見つけた瞬間、即座に襲い掛かってくる。
そのうちの一人が懐から銃を取り出し、銃撃を放つ。
「ハアッ!」
しかし、その銃弾は紫の仮面ライダーによって防がれた。
「赤ガヴか...」
「ちょうどいい。始末しよう」
「仮面ライダー...」
(写真を...いや、それよりも...!)
俺は先ほどの部屋に入り、スーツケースを開ける。
その中には圧縮された人間が大量に入っていた。
「おいおい...大丈夫か!?これ...生きてるよな...?そうだ、仮面ライダーがやってたみたいに、この赤い奴を千切れば...!」
そう思った俺は素手で取ろうとしたのだが...
「と、取れねえ...!」
中々頑丈で、ビクともしなかった。
救助に苦戦していると、窓の外から声をかけられた。
「おい、無理すんな!割れると死んじゃうから!」
「えっ?マジか!?」
来た...茶色い仮面ライダーだ。
「俺がやるからみんなを並べてくれ」
「お、おう...」
俺は仮面ライダーに言われるがままに圧縮された人間を並べていき、仮面ライダーは次々に人々をもとの姿に戻していった。
「うわあ!バケモノ!」
しかし、助けられた人たちは絶叫し、一目散に逃げようとする。
その光景を見て俺は思わず叫んだ。
「ちょっとみんな落ち着けって!こいつはバケモノじゃない!バケモノからみんなを助けた...仮面ライダーだ!なっ!」
「...ありがとう。俺は仲間を助けに行く。早くここから逃げるんだ。いいな?」
仮面ライダーはそう言うと、窓を乗り越え、走り去っていった。
俺はヒトプレスにされた人たちを助けた後、ショウマの元へ向かっていた。
まさかまた絆斗がいるとは思わなかったが...
そう思っていると、一発の銃弾によって進路を阻まれる。
「見つけたぞ、グラニュートハンター・ヴァルプ」
「何度も何度も私たちの邪魔をしやがって...」
「シータ、ジープ...」
俺を阻んだのは、弟と妹だった。
まさかここで見つかってしまうとは...変身前の姿を見られてないだけマシか。
「「今日をお前の命日にしてやる!」」
その言葉と同時に二人はミミックキーを引き抜き、グラニュートとしての姿を露わにする。
そしてジープが俺の元まで接近、シータが援護射撃を行う。
「ハアッ!」
「くっ...!」
俺は何とか射撃をヴァルプスラッシャーで弾きながらジープの対応をする。
「守ってばかりだな!」
「そんなものか、ヴァルプ!」
やはり二人が揃ったときの連携力は唯一無二だ。
昔からずっと二人の連携を見てきたから分かる。
でも逆に言えば、連携を崩してしまえば...
(ここだな...)
「ハッ!」
「がっ!?」
「ジープ!よくもジープをっ!」
一瞬できた隙を使ってジープの態勢を崩し、こちらに向かってきたシータを斬りつける。
「シータ!」
「こいつ、強い...本当に人間か?」
「俺はこれから先もお前らを妨害し続ける。どうする?ここで闇菓子の事業から手を引けば、俺はこれ以上何もしない」
俺は二人に向かって警告する。
俺だって、出来ることなら兄妹とは争いたくない。
ここで手を引いてくれるならいいんだけど...
「誰が...手を引くもんか!」
「お前を倒して、もっとストマック社に貢献するんだ!」
二人はそう言うと同時に武器を構え、エネルギーを溜め始める。
「そうか...やっぱりそうだよな」
<バレットモード!>
<セット・ワッフル!>
俺はその答えを確認し、ヴァルプスラッシャーにアイテムをセットする。
銃口にエネルギーが溜まっていき、俺たちは同時のタイミングでそれを放つ。
<ワッフル・バレット!>
「「ハアッ!」」
「フッ!」
そのエネルギー体は衝突し、俺と二人の間で爆ぜた。
「ぐっ...!」
「ちっ!」
「今の内にショウマの元へ...!」
このまま二人と戦う意味も特にないため、俺はその煙に姿を隠し、その場から撤退するのであった。
チャッピーの力を使ってヴァルプのイメージ図を生成してもらいました。
【挿絵表示】
最近の生成AIってすげえ...
ショウマがはぴぱれを離れないってことは仲村夫妻にも出会わないってことなんすよねぇ...
ヴァルプが闘ってる間はショウマが本編通りにヒリヒリチップスを使ってエージェントを撃破しています。