転生先はストマック家でした   作:白豆男爵

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ちょい難産でした
なので(?)普段より短いです。


6.狙われたアーティスト

「くそっ、赤ガヴのやつ、まさか集積所まで潰すとは...」

「本気で私たちに楯突くつもりなのね」

「はあ、こんなとき、ディル兄さんがいてくれたら...」

「私たちを助けてくれたのかなぁ...?」

 

時は遡り、ガヴとヴァルプが集積所から人々を助け出した直後、グラニュート界のストマック社にて、シータとジープは会話していた。

するとそこへ一人の男が現れる。

 

「シータ、ジープ」

「「ランゴ兄さん...!」」

「質のいい人間の仕入れを増やせと言ったはずだが、変わらないな。どうなってる?ただでさえグラニュートハンターの影響で仕入れ状況が悪いんだ。改善が見られないのなら、以前のように俺が自分のエージェントにやらせる」

「クビってこと?」

「そんな!俺たち家族だぞ!」

「俺にはストマック社を変える使命がある。爺さんが開発した闇菓子を使って、グラニュート社会を支配する。そのためには、取り締まられる前に富裕層を闇菓子の虜にする必要がある。たとえ家族でも、使えない奴は足手まといだ。ディルのようにな」

「「...!」」

「あいつは実に使えない奴だった。闇菓子の業務を全く手伝わず、あまつさえこの会社を抜けるために人間界へと姿を消した、ストマック社の恥だ。ディルの存在はストマック社の信用に関わる。だからこそ、あいつの存在はバイトでさえも知ることはない。二度とあいつがいたら、などと口にするな」

「「...はい、ランゴ兄さん」」

 

ランゴは隠す気のない苛立ちを見せながら、その部屋を去っていった。

 


 

俺たちは現在、はぴぱれの仕事中だ。

なにやら、幸果さんの大叔母である雅子さんのお手伝いさんが里帰りで、代わりの人を探していたらしく、はぴぱれに依頼してくれたらしい。

 

「雅子ちゃん、この広い家に一人暮らしだもん。大変だよね」

「実は今、一人じゃないのよ。若いアーティストさん二人にお部屋を貸してるの」

「うわあ、すごい!」

 

そうして案内された部屋にはまさにアトリエのようであった。

同じ部屋のはずなのに、仕切り板で区切られた双方の空間は、異なる芸術が飾られており、全く別の空間が広がっていた。

 

「彼女は立彫珠希ちゃん。彼は絵川末継くん。二人とも無名だけど、私はとっても見どころがあると思ってるのよ」

「うわっ!それってもしかしてパトロンってやつ?すっごー!」

「パトロンって?」

「芸術家の活動を支援する人たちのことだな」

「へぇー...」

「さあウマショー、マモルン、働くよ!」

「「はい!」」

 

そして俺たちは仕事にとりかかった...のだが、初めての家事で張り切ったショウマ...いや、張り切りすぎたショウマは置物を壊してしまったり、庭の掃除中に木の根っ子を引き抜いてしまったり、悪意はないのだろうが、やる気が空回りしてしまっていた。

 

「幸果さんも守兄さんもすごいね。なんでもできるし」

「まあね。こう見えていろいろ勉強してんだから」

「ショウマも勉強すればちゃんとできるようになるさ」

「よし、次は明後日だ。今度は俺も頑張ろう!」

「あ~...ウマショー、次は留守番でいいや」

「えっ!?」

「いや、さすがに家事はもうちょい仕込んでからじゃないと厳しかったかな~って。明後日は..事務所の掃除でもお願いしようかな。じゃあお疲れ!」

「あっ...」

 

幸果さんはそう言い残して帰宅した。

役に立てていないと思ったのか、ショウマは見るからに落ち込んでいる。

 

「ショウマ、なんで幸果さんは事務所の掃除を任せたと思う?」

「何でって...そっか、掃除の練習だ」

「ああ。ちゃんと家事出来るようになって、幸果さんをびっくりさせてやろう」

「...!うん!」

 

俺の言葉に、ショウマは再び元気を取り戻した。

 


 

「ただいま~」

「お帰り、ディル。今日は凄い発明品を作ったんじゃ!今度ショウマにも渡しておいてくれ!」

 

そう言ってデンテおじさんは赤い端末のようなものを見せてくる。

 

「これって...スマホ?」

「そうじゃ!人間との連絡にも使えるが、イチオシは、ショウマの眷属をここにはめると...」

「おお、なんか映った!」

「こいつの見たものがここに映るというすんばらしい機能がついておるのじゃ!...うん?中々の戦いぶりじゃのう」

「あっ、これ、俺でもショウマでもないんだ。ヴァレンてやつらしいんだけど...」

「そうなのか?うーん、知らないのぉ」

「やっぱそうだよね...」

 

デンテおじさん以外にも、変身できるように何者かを改造した研究者がいるのか?

思い当たるとしたらニエルブ兄さんだけど...さすがの兄さんでも、敵に塩を送るようなことはしないはず。

 

「お前は一体何者なんだ...?ヴァレン...」

 


 

それから二日後、ショウマをはぴぱれに残し、俺と幸果さんは引き続き家事に取り組んでいた。

 

「えっ!?珠希ちゃんがパリに!?」

「そうなの、今朝早くに。一昨日、あなたたちが帰った後にギャラリー岩清水っていう所の美術商の方がいらしてね...フットワークの軽い子だから、まあとにかく一度行ってくるって」

「へぇー、何があるか分からないものですね」

「すごーい!よかったねぇ」

 

そうして珠希さんについて話していると、俺のポケットに入っているスマホの着信音が鳴った。

電話をかけてきた相手はショウマだった。

俺は二人に断って、少し離れたところで電話に出る。

 

「もしもし、ショウマ?どうした?」

『大変だよ、兄さん!ゴチゾウから聞いたんだけど、珠希さんがヒトプレスに!』

「珠希さんが!?」

『うん、ギャラリー岩清水ってところ!』

 

さっき雅子さんから聞いた話の流れ的に、美術商を装ってヒトプレスにってところか...

 

「くそっ、俺も今から向かう。ショウマは先に向かっててくれ!」

『分かった!』

 

俺はそう言って電話を切る。

さて、問題はどう幸果さんを納得させるかだけど...

 

「あっ、マモルン。なんかあった?」

「はい、ショウマからで...」

「ウマショーから?もしかして、なんかトラブル?」

「えーっと...」

 

正直、ショウマが問題を起こしたという体でここを抜け出すのが手っ取り早いが、そのためにショウマの株を下げたくはない。

はてさて、どうしたものか...

 

「いいよ、行ってきな」

「えっ?」

「何があったのか分かんないけど、ウマショーが心配なんでしょ?後は一人でも大丈夫だからさ!」

「...!ありがとうございます!」

 

俺はその幸果さんの優しい言葉を背に受けて走り出した。

 


 

俺は記事に載っていたアーティストの行方不明事件について調べるため、ギャラリー岩清水という場所に訪れたのだが、その場所は、まるで強盗が入ったのかと思えるほどに悲惨な状況になっていた。

よく床を見渡してみると、一つのパスポートらしきものが落ちていた。

 

「タテホリタマキ...」

 

するとそこへ、一人の女性がやってきた。

 

「ここにバイトくんがいるって聞いてきたんだけど...あんたがバイトくん?」

「いや...俺、フリーでライターやってる者なんすけど、あなたはここの関係者...」

「なれなれしい」

「うわっ!?」

 

俺が話しかけると、その女性は突然俺を蹴り飛ばしてきた。

 

「あら、人間だったのね」

「お前、まさかグラニュート?」

「私たちのこと知ってるの?」

「そうか、人間に化けれんのか。どうりで目撃情報が少ねえわけだ」

<チョコ!SET チョコ!SET チョコ!>

 

どうやって化けてんのかはともかく、今は...

 

「グラニュートは、俺がぶっ倒す!変身!」

<チョコドン・パキパキ!>

 


 

俺は全速力で走り、ショウマの言っていたギャラリー岩清水という場所に着いたのだが...

 

「あれはヴァレンと...グロッタ姉さん!?」

 

ショウマの姿は見えない。

別の場所に移動したのか?いや、それよりも...

 

<ワッフル・オン!>

「今はヴァレンを援護しないと!変身!」

<ワッフル・ヴァルプシステム!>

 

俺は物陰に隠れて変身し、ヴァレンの下へ駆け出す。

 

「歯ァ食いしばれ!」

「くっ!」

 

俺は姉さんの大鎌の斬撃を間一髪で受け止める。

さすがグロッタ姉さんの攻撃!重いっ!

 

「ヴァルプ!?」

「あら、散々私たちの邪魔をしてくれたヴァルプじゃない。最初はあいつと遊んであげようと思ってたけど、ちょうどいいわ。あんたと一度戦ってみたかったのよ!」

「そりゃどうもっ!」

 

俺の剣と姉さんの大型が再び交差し、俺がやや押し負ける形で引き下がる。

正直、今の俺達じゃ勝ち目はない。

ならば取るべき行動は一つ!

 

「退くぞ、ヴァレン!」

「尻尾巻いて逃げるのか!?」

「こいつはそこらのグラニュートとは桁が違う!少なくとも今は勝てない!」

「...分かった!」

「あら、そう簡単に逃がすと思う?」

<バレットモード!>

<セット・マシュマロ!>

 

俺はマシュマロのゴチゾウを銃にセット。

ヴァレンも必殺技の構えに入る。

 

<マシュマロ・バレット!>

<チョコドン!>

「「ハァっ!」」

 

俺が地面に向けて撃った弾からマシュマロが膨張し、ヴァレンのチョコの弾がそれを弾けさせる。

次の瞬間、大量のチョコがグロッタ姉さんの視界を埋め尽くした。

 

「ちっ!」

「今の内に!」

「おう!」

 

俺たちは視界を奪った隙にその場から離脱するのだった。

 

「へぇ、思ったよりもやるじゃない...」

 


 

「さっきは助かった。ありがとな」

「一応センパイ?だからな。じゃあこれで」

 

ヴァルプはそう言うと、どこかに向かって駆け出していった。

ヴァルプは、あの強いグラニュートについて知っているようだった。

 

「あいつ、どこまで知ってるんだ?もしかして、俺にまだ隠している情報が...?」

 

まあ、こっちはぽっと出の正体不明の仮面ライダーだ。

信頼がないのも当然だろう。

もっと色んな情報を話してもらうには...

 

「地道に信頼を積み重ねるしかない、か」

 

俺は変身を解除しながら、一人その場所で呟いた。




ニエルブがいくつの頃からあの研究優先のマッド思考に至ったのかわからんので、ディルと一緒に研究してた頃はまだマイルドな思考だった、という体で行かせていただきます。
あと、ディルが絡まない原作の描写は、重要な場面(作者の主観)以外は基本カットしていきます。原作ベースな分、文量がすごいことになっちゃうので。
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