転生先はストマック家でした   作:白豆男爵

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お待たせしました、ちゃんと失踪してないので安心してください。
何も言わずにフェードアウトすることはない...と思うので更新されてないときは話が詰まってるんだなと思っていただけると。

それでは本編どぞ


7.トリプルチョコレイト

「グロッタから聞いた。ヴァルプの他にも、仕入れの邪魔をしているやつがいるらしいな。」

「違う!俺たちだって知らなかったんだ!」

「そうなの!赤ガヴにあんな力があるなんて...」

「...赤ガヴだと?」

「私が見たのは赤ガヴじゃないんだけど...」

「「えっ...?あっ...!」」

 

それもそう、グロッタが戦ったのはヴァルプとヴァレンであり、ガヴではない。

その双子は、知らなかったとはいえ自分らで墓穴を掘ってしまった。

当然、ランゴがそれを見過ごすはずもない。

 

「シータ、ジープ。お前たちは赤ガヴを見つけたのに、俺に黙っていた。そういうことだな?」

「「はい...」」

「そしてみすみす人間の仕入れ数を減らした。そういうことだな?」

「「はい...」」

 

そして、そんな失態を犯した弟妹を許すほど、ランゴは甘くなかった。

 

「今日この場を持ってお前たちはクビだ」

「「待って兄さん!」」

「今後仕入れのマネジメントは俺のエージェントが引き継ぐ。ニエルブ」

「何?」

「赤ガヴを含めた邪魔者対策に、仕入れアルバイトの改造を強化しろ。予算はつける」

 

その言葉と共に、ランゴは会議室を去る。

 

「かわいそうに。でも安心して?会社はクビでも、あんたたちは可愛い妹と弟だから」

 

グロッタはグロッタなりに慰めたつもりなのだろうが、二人の心に残ったのは惨めさのみであった。

 


 

あの後ショウマと合流し、珠希さんを連れて帰ると、奥からペンキを被った幸果さんが出てきた。

 

「あら幸果ちゃんどうしたの?その恰好!」

「ペンキ塗れじゃないですか!」

「うちのことはあと!それより珠希ちゃん、何あったの?」

「え、えーっと、なんかバケモノに襲われたらしくて...」

 

ショウマが内容をぼかしながら説明すると、珠希さんも何が何だか理解できていないのか、雅子さんに泣き付いた。

珠希さんのこともあってか、その日はひとまず仕事を終えてはぴぱれに帰還した。

 

「ああ~さっぱり!一生取れないかと思った」

「ねえ幸果さん...」

「てかさあ、珠希ちゃん襲ったバケモノ、絶対りっつん襲ったのと一緒だと思うんだよね」

 

幸果さんはショウマの呼びかけを遮るように話を続ける。

そんな幸果さんを見てられなくて、思わず俺は声を上げてしまった。

 

「幸果さん!」

「っ!」

「幸果さんは何があったんですか?本当にミスってペンキを被っただけなんですか...?」

「...きっと疲れてたんだよ。今日は早く帰って寝ようかな。じゃあね二人とも、また明日」

 

そう言うと幸果さんは足早に帰宅してしまった。

あんな幸果さんは初めて見た。

焦ってるというか、落ち込んでるというか...笑顔を取り繕っている感じだった。

隣を見ると、ショウマも心配そうな顔をしていた。

 

「やっぱり何かあったんだよな」

「うん...」

 

しばらく沈黙が流れる。

幸果さんはいつも誰かを助ける側だ。

だからこそ、自分のことになると無理をしてしまう。

 

「...追うか?」

 

俺がそう言うと、ショウマは少し驚いたようにこちらを見る。

 

「いいのかな」

「確かに、よくはないかもしれない。でもな」

 

俺は苦笑する。

 

「困ってる人を放っておけないのは、幸果さんから教わったことだろ」

「...うん!」

 

そうして俺たちが幸果さんを追いかけると、公園のベンチで一人座っている幸果さんを見つけた。

 

「幸果さん」

「マモルン、ウマショー!?なんで...」

「だって、心配だから...今日の幸果さん、どこか悲しそうだった」

「無理に話せとは言いません。でも俺たちじゃ、頼りないですか?」

「二人とも...」

 

幸果さんは静かに話し始めた。

末継さんを励まそうとしたら、ペンキをかけられてしまったこと。

でも幸果さんは自分が無神経だったと、キレかけたけどすぐに引っ込めたと言った。

 

「子供の時からやりがちなんだよね。元気出してほしくて励ますんだけど、『幸果はいいよね』、『幸果にはうちらの気持ち分かんないよ』って言われるの。だから、『ああ、またやっちゃったんだ』って...」

「幸果さん...」

「多分うち、苦労とかあんまりしてないんだよね。だからきっと、うちには人の気持ちとか分かんないんだよ」

「...そんなわけないだろ」

 

俺はその言葉を聞いて、思わず呟いた。

言いたいことが自然と喉の奥から溢れてきた。

 

「えっ...?」

「人の気持ちが分からない人がそんな顔するわけないだろ!そんな悩みを抱えるわけないだろ!」

「っ!?」

「幸果さんは俺のことも、ショウマのことも面倒見てくれた!幸果さんは何でも屋の仕事で、今まで色んな人を幸せにしてきた!前にも言ったけど、もっと自信持て!自分を卑下するな!」

 

はぁ、はぁ、と息を切らしながら言いたいことをぶちまけた。

そこまで言ってから、自分が敬語を忘れていたことに気付く。

 

「......すみません」

 

俺は思わず幸果さんから視線を逸らした。

 

「マモルン...」

「俺も!俺は幸果さんに元気もらったし、おいしいものノートも、すごく嬉しかった!それに、守兄さん以外で俺にこんなに優しくしてくれたの、幸果さんが初めてだから」

「ウマショー...」

 

幸果さんは少しだけ涙ぐみながら笑った。

 

「二人とも、ありがと」

 

その笑顔は今日初めて見る、いつもの幸果さんの笑顔だった。

わだかまりが溶けたのを感じて、俺たちは3人で笑い合った。

 


 

後日、ショウマも含めて雅子さんの家に3度目の訪問をしに来たのだが、家の門の前に見知った人物が立っていた。

 

「あれ?ハンティーじゃん!」

「辛木田さんってハンティーっていうんだ」

「言わねえよ!こいつだけだ」

「何してるんだ?こんなところで」

「実は、アーティストの失踪事件追っててな、珠希さんていう人に話聞きに来たんだけど...っ!シーッ!」

 

遠くに何かを見つけたのか、絆斗は俺たちを茂みの近くに押し込んだ。

 

「ちょっ、絆斗...!」

「いいから、今は頼む!」

 

すると、外国人のような風貌の人がやってきて、雅子さんの家のインターホンを押した。

 

「今日は末継さんのアトリエを見に来ました」

「どうぞ、お入りください」

「グラッツェ」

 

その人は雅子さんに案内され、家の中に入っていく。

 

「今度は末継さんにスカウトか?」

「えっ、末継さんにもスカウト来たんだ。やったー!」

 

珠希さんの件もあったため、少し不安が残る。

やがてさりげなく俺たちと一緒に家に上がった絆斗が話を切り出した。

もしかしたらあの人がバケモノかもしれないと。

 

「えっ⁉あのスカウトがバケモノ?末継さん狙いの!?」

「かもしれないって話だ。確証はねえ」

「珠希さんも襲われたし、可能性としてはあると思うけど...」

「ねえ、何か確かめる方法とかないわけ?」

「(酸賀から聞いた話だと確か...)バケモノの腹には口があるって噂だけど...」

「っ!?」

(最近の絆斗、やけに詳しいな。グラニュートの特徴まで知ってるなんて、まるで実際に...いや、考えすぎか)

 

俺は一瞬よぎった思考を振り払う。

絆斗は曲がりなりにもライターだし、これくらい調べ上げられるだろう。

 

「?どうした、守」

「い、いや?妙に詳しいなあと思ってな...」

「まあ、ちょっとしたツテでな」

「うーん、でもいきなり脱がせるの変じゃない?だってバケモノじゃなかったらうちらヤバい人だよ?」

「確かめる方法...あっ、そうだ...」

 

ショウマはキッチンにおいてあるティーセットを見つめながら、何か思いついたような顔をして呟いた。

 

「何か思いついたのか?」

「うん、やってみる」

 

そしてショウマが会話している画商に向かってお茶を運んでいく。

 

「いいですね。実に素晴らしい」

「ありがとうございます」

「失礼します!お飲み物どうぞです...あっ!」

 

ショウマはつまずいた...ように見せてわざと画商に向かってお茶をこぼす。

さらにショウマが、「今拭きます!」と服をめくると、そこには当然のようにガヴ器官があった。

 

(やっぱりグラニュートだったか)

「ワー、バケモノ」

「ちっ、バレたら意味ねえな!」

 

そのグラニュートはミミックキーを引き抜き、本性をあらわにする。

グラニュートは俺たちを振り払って逃走を図った。

 

「待ちやがれ!」

「待ちなよハンティ、危ないって!」

「幸果さんたちはここに!俺とショウマで絆斗追いかけますから!」

 

そして何かと理由をつけて俺とショウマはグラニュートを追いかける。

ショウマは走りながら俺に話しかけてきた。

 

「兄さん、あいつこの前倒したはずのグラニュートと同じだった!」

「なるほど...何かからくりがあるかもしれないな」

 

ショウマと情報を共有しながら走り続ける。

すると角を曲がった瞬間、銃声が鳴り響いた。

追いついたと思ったら、そこにはグラニュートと戦っているヴァレンの姿があった。

 

「あれはヴァレン...ショウマ、俺たちも」

「うん!」

<グミ!EAT グミ!EAT グミ!>

<ワッフル・オン!>

 

俺たちは物陰に隠れ、変身しようとしたのだが...

 

「おおっ...ちょっ」

「あっぶね...」

 

いつもフヨフヨ浮いてるグミとワッフルが物陰から飛び出しそうになったので思わずかき集める。

そして俺たちは静かに変身した。

 

「「変身...」」

<ポッピングミ・ジューシー!>

<ワッフル・ヴァルプシステム!>

「ん?アンタらも来たのか」

「気をつけろ。そいつは一度俺が倒したグラニュートだ」

「グ、グラニュートハンターが3人も...!?」

 

俺たちは各々の武器を構え、グラニュートに向ける。

 

「観念しろ」

「もうこれ以上襲わせない!」

「ここで終わりだ」

 

三人が肩を並べるのはこれが初めてだった。

そして俺たちはグラニュートに接近し、戦闘を開始した。

 


 

「ハハハハハッ...全部...全部...全部ウソだったんだ...」

「末継くん...」

 

末継さんは絶望したようにそう呟く。

何か言葉をかけようとしたけど、ペンキをかけられたあの瞬間が頭をよぎる。

 

「全部...誰も俺の絵なんか!」

 

すると末継さんは自暴自棄になって自分のアトリエを荒らし始める。

末継さんはやがて刃物で自分の絵を引き裂こうとした。

 

『人の気持ちが分からない人がそんな顔するわけないだろ!』

『もっと自信持て!自分を卑下するな!』

 

その瞬間、マモルンがくれたあの言葉が勇気をくれた気がした。

 

「やめろ末継!ボコられんのはあんたの絵じゃない!あいつだよ!」

 

私の言葉を聞くと、末継さんは何かがこと切れたように涙を流し始めた。

その様子を見て私は、近くにあったペンキ入りのバケツをもって走り出していた。

 


 

<チョコダン・パキパキ!>

<バレットモード!>

「はっ!」

「グッ...!」

 

俺とショウマはグラニュートが飛ばしてくる小魚を躱しながら銃弾を浴びせる。

そしてそこへヴァレンが必殺技を叩き込んだ。

 

<チョコドン!>

「くらえ!」

「マンマミーア!」

 

その攻撃を受け、グラニュートは爆散した...はずだった。

 

「今度は倒した...?」

「残念だったな!ハアッ!」

「うわっ!?」

「ちっ...」

 

今倒したはずのグラニュートが別の場所から姿を現し、攻撃してくる。

俺たちはその攻撃を諸にくらってしまった。

 

「何!?」

「教えてやろう。俺は不死身なんだよ!」

「不死身...?」

 

確かにグラニュートは特殊能力を持つ生き物だ。

だが不死身なんてそんな無敵な能力が存在するわけがない。

必ず何かからくりがあるはず...!

 

<チョコダン・フィニッシュ!>

<ワッフル・バレット!>

 

しかしいくら倒せどそいつは別の物陰から姿を現してくる。

 

(考えろ...絶対に何か仕掛けがある...不死身に見せられかける何かが...!)

「おいそこのモンスター!」

 

すると俺の思考を遮るように聞き覚えのある声がした。

俺たちは一斉にその声のした方向を振り返る。

 

(幸果さん!?)

 

そして幸果さんは手に持っていたバケツの中のペンキをグラニュートに向かってぶちまけた。

うっそぉ...?

 

「人のこと喜ばせて騙しやがって...ふざけんじゃねえ!地獄へ落ちろ!」

「てめぇ、何しやがる!」

 

そのグラニュートは逆上し、幸果さんに向かって小魚を飛ばす。

 

「っ!?」

「まずい!」

 

俺は咄嗟に飛び出し、手元にあるもう一つのワッフル型アイテムを取り出す。

デンテおじさんがゴチゾウを参考に作った新しい試作品だ。

 

<ショコラ・オン!>

 

俺がベルトにアイテムを装填し、レバーを倒すと、ヴァルプの装甲にチョコレートがコーティングされていき、複眼が琥珀色に輝く。

心なしか、体が少し硬くなったような気がした。

 

<ショコラ・ヴァルプシステム!>

 

俺は幸果さんを庇うように前に出て、その攻撃を全て受け止める。

 

「な、何だと!?」

「あ、ありがとう...」

「ここは危険だ、早く下がれ」

 

俺は幸果さんにここを退くように促す。

 

「兄さん、その姿は!?」

「新しい試作品だ。それよりもあいつは...」

 

その間にヴァレンがまたグラニュートに向かって必殺技を放ち、爆発が起きた。

 

<チョコドン!>

「今度こそ...」

「ハッハッハッ!」

 

しかし爆炎の中からそのグラニュートは姿を現す。

 

「だから、俺は不死身なんだよ!」

「あいつ、もうきれいじゃん!ガチむかつく!」

「きれい...?」

 

俺はその言葉に引っ掛かりを覚える。

よく見ると、さっきかかったペンキがきれいさっぱりなくなっていた。

俺たちの攻撃を受け止めて生きていたならペンキはついたままのはず...そうか!

俺は自分の仮説を確かめるため、周囲を探索する。

俺が探索している間にもヴァレンとショウマは戦っている。

 

(早く見つけないと...!)

 

そう思いながら奔走していると、物陰から何かが動く気配がした。

俺が覗き込んだ先には――

 

「見つけた」

 

グラニュートが新たな分身を生み出していた。

 

「はっ!」

「ああっ...!?」

 

俺はそのグラニュートに向かって銃撃を放ち、ショウマとヴァレンの元まで退かせる。

 

「こいつが本物だ」

「じゃあ俺たちが何度も倒したのは...」

「こいつが作った分身だったってことか!」

「ば、バレちまった...!」

 

そのグラニュートは、本体が見つかった瞬間さっきまでの威勢が嘘のように慌てふためく。

 

「やっと見つけた!」

「今度こそ逃がさねえぞ!」

「お前が踏みにじってきた人たちの想い、その分まで喰らえ...!」

<CHARGE ME!CHARGE ME!>

<セット・ショコラ!>

 

俺たちはその本物を前に、各々が必殺技の構えに入る。

 

<チョコドン・バースト!>

<ショコラ・バレット!>

<チョコドン!>

「「「ハアーッ!」」」

「ぐわーっ!?」

 

三者三様のチョコの銃弾が発射される。

俺たちの銃撃を一斉に喰らい、そのグラニュートは爆散した。

その後、俺は静かに隣にいる二人の肩に手を置く。

 

「さて、二人とも。後は分かるな...?」

「うん、ヴァルプ」

「え、な、なんだ...?」

 

忘れてはいけない、今この場には幸果さんがいることを。

そして俺たちの正体は秘密、ならばやることは一つだ。

 

「「逃げるっ!」」

「お、おい置いてくなってセンパイ!」

「あっ!ちょっと待って!逃げんなって~!」

 

俺たちは幸果さんを尻目に退散。

途中でヴァレンと別れ、何事もなかったかのように雅子さんの家に帰還するのだった。

 


 

「いろいろありがとうね」

「こちらこそ、ありがとうございました!またはぴぱれをよろしくお願いします!」

「幸果さん!」

 

俺たちが別れの挨拶をしていると、家の奥から末継さんがやってきた。

 

「この前は、ごめん」

「ああ...いや、あれはこっちが悪くて...」

「...僕のために怒ってくれてありがとう」

 

末継さんはそう言いながら幸果さんに一つの絵画を差し出す。

幸果さんはその言葉を聞くと嬉しそうに笑顔を浮かべた。

やっぱり、幸果さんには笑顔が一番だ。

そのいつもの笑顔が戻ったことが、何より嬉しかった。




・仮面ライダーヴァルプ・ショコラカスタム
SPEC
身長:195.0cm
体重:75.2kg
パンチ力:1.2t
キック力:1.6t
ジャンプ力:2.8m(ひと跳び)
走力:8.0秒(100m)
<Point>
デンテが作成した新しいワッフル型アイテムで変身するヴァルプのフォームチェンジ。
ショコラ味のワッフルを参考にされており、コーティングされたチョコレートによって高い防御力を誇る。
堅い装甲の分パンチ力やキック力が向上しているが、その代わりに移動能力が低下している。

タイトルをトリプルチョコレイトにするために生まれたショコラカスタム君です。
じゃあ初期フォームのワッフルは何味なんだって?
多分プレーン味とかそんな感じです。
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