ウツキには不穏も理不尽と絶望を叩き付けろ…
それが私の祖母のお隣さんの従兄弟の先祖の分家の曾孫に討たれた人(誰だよ)の遺言です、知らんけど
あと何故か一部意味わからんくらい筆が乗って楽しかった
俺が連れて来られた場所は、トリニティ校舎のテラスに続く扉の前だった
俺を連れてきた生徒が扉を3回ノックするとすると、中から「どうぞ」と声が聞こえた
そして扉が開かれると、夕暮れに照らされた花園とテラス席に座る一人の少女が目に入った
ふと、目が合う
普通、このような美少女と目が合えばドキッとするだろう
…確かに、俺はドキッとしたさ
あまりの嫌悪感を覚えさせる、その瞳に
「どうぞ、そちらの席に座って下さい」
何事もなかったかのように席へと導く彼女に何とも言えぬ感覚を覚えながら、俺は導かれるまま席に腰を下ろす
そして、目の前に一杯の紅茶が音を立てて置かれた
白を基調とした、青い模様入りの高級そうなティーカップ
俺は一口、口に含んだ
…普段紅茶を飲まないからかよくわからなかったが、間違いなく良質な茶葉を使っているのだろう
「…毒も薬も入っていませんよ。まぁ、気休めにもならないでしょうけど」
俺がすぐには飲み込まない様子を見た少女は小さく笑みを浮かべ、自身の紅茶を一口飲んでからそう言った
俺はその様子に、口に含まれていた紅茶で喉を潤してから小さくため息を吐く
俺はカップをソーサーに置き、目の前の少女と向き合う
「さて、と…まずは自己紹介からかな?」
|俺は軽く名前と所属だけを伝える《ミレニアムサイエンススクール1年生、居待ウツキだ》
そして、目の前の少女は一つ咳払いをしてから
「初めまして。トリニティ総合学園3年生、ティーパーティーの現ホスト『桐藤ナギサ』と申します。以後お見知りおきを」
互いの自己紹介が終わり、沈黙が流れる
夕日に照らされ、お互いの表情に影がかかって見える
ふと前を見た時…また桐藤と目が合う
そして再び、背筋を冷たいモノが昇っていく
その感覚が嫌で、逃げるように目を小さく逸らした
ナギサはティーカップを静かに置き、一つ息を吐いてから続ける
「早速ですが、本題に移らせてもらってもよろしいでしょうか?」
「…はい」
本題…俺をわざわざ読んできた理由…
さて、と…
まっっっっっっっっったくもって心当たりが無いんですが!?
え、俺何かしましたっけ!?俺が問題起こすのって大体ミレニアムか
ゲヘナだよね!?(そもそも起こすな定期)
トリニティでは
ひぃん…お茶会怖ぇよ…
そうこの男、内心クソビビっているのである!
ナギサの目に嫌悪感を感じたのも、確かに事実だ
だがそれ以上に!こいつの!ノミが同情するレベルのハートは!ずっと!呼ばれてから!ビビり散らかしているのである!
もしこれを表に出してみろ…完全に不審者に成り下がるぞ?
誰かコイツに移植してやれよ…ラー○゛ャンハートを(モノ○゛ロスハートでも可)
……まぁ、これで清涼剤は十分でしょ
ほら、重いばっかだとアレじゃん?ね?
ほな現場戻ろっか〜
「…『補習授業部の臨時講師』?」
ナギサの口から出た言葉は、俺を混乱させるのに十二分だった
補習授業部…つまり阿慈谷達に勉強を教えろってことだよな…?
…えっ俺が?マジで?何で?
「あの…俺そんなに頭良くない…というか悪い方なんですが…?」
「問題ありません」
「問題ないんだ…」
少し場が和んだ気がした…
それはそれとして、再び桐藤の眼を見る
…やっぱり、嫌いな眼だ
見ているだけで苛立ち、嫌悪感を抱かせる…濁った眼
『何かを隠している』
それは良く分かる…だが、何かまでは分からない
俺はもう一度ティーカップを持ち上げ、水面を見つめる
水面には、映る
鏡の様に映し、波で歪ませる
俺には紅茶の水面が、酷く濁っているように見えた
俺は、もう冷えてしまった紅茶を胃に流し込んだ
外は、もう暗い闇に染め上げられていた
二人を照らす夕陽は沈み…ただ月明かりが、雲に遮られて隠れていた
ティーカップを置き立ち上がると桐藤も同じ様に立ち上がり、指先一つの指示で控えていた生徒に扉を開けさせた
「もう暗いですし、護衛でも必要でしたら「要らない」…そうですか。では、また」
桐藤の言葉を背に、俺は扉の先へと歩を進める
…臨時講師…ねぇ…
「わざわざ俺に頼むあたり…絶対裏あるよなぁ…」
確実に面倒事に巻き込まれた事を実感し、俺は本日何度目かも分からない溜め息を吐いた
…ん、待てよ?『臨時講師』って最近聞いた気が…
…いや、もし盗聴なら俺が気付けない訳ないし…俺が何度音瀬先輩に仕掛けられたと思ってんだ
…ま、警戒だけでもしておくか
「…よろしかったのですか?ナギサ様」
ウツキさんの背中が夜闇に溶けていった後、部下の生徒が少し不安げに問いかけてきた
『よろしかった』とは、恐らく彼に『監視役』をつけられなかった事だろう
「はい…寧ろ、無理を言って監視役をつけ信用を失う方が愚策でしょうから」
例え監視役をつけられたとしても、警戒されてしまえば素を引き出すことは出来ないでしょう
何より、彼は強いコネクションを持つと聞いていますので…万が一敵に回ってしまえば…
…最悪の事態として、想定しておかなければなりませんね…
ナギサは再び先に腰を下ろし、ティーカップを持ち上げる
中の紅茶をゆっくりと3度揺らしてから、一息に飲み干す
冷え切った紅茶が、頭をクリアにしてくれる
ティーカップを置き、体重を背もたれに預ける
深い溜め息は、月明かりに飲まれて消えていった
ではまた次回お会いしましょう!
バーイ!