私の妻が人外過ぎて地球がヤバイ   作:ちゅーに菌

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宵闇

切嗣はとある海の近い場所のコンテナの上で銃を構えながら、スコープで騎士王と槍兵の戦闘開始の様子を眺めていた。

 

「まあ…一度ぐらいは自分の手駒を見極めておくのもいいだろう。お手並み拝見だ」

 

切嗣はポツリと独り言を呟く。

 

「かわいい、騎士王さん」

 

「お前のキャラでその冗談は無いわ」

 

「は……?」

 

突然、聞き覚えのある声で隣から独り言の返事が返ってきた事により、切嗣はスコープから目を離し、隣に目を向けた。

 

「よう、盟友」

 

隣には花嫁のようなサーヴァントを後ろでしゃがませ、同じくしゃがんだ体勢でニヤニヤと笑みを浮かべながら切嗣を見ている、最後に会った時と一切変わらぬ姿の蘆屋神羅がその場にいた。

 

「うおっ!?」

 

切嗣は反射的に手にしていた銃を彼の顔に向け、引き金を引いた。その距離は30cmほどしかない。

 

次の瞬間に弾は発砲され、直後に何かに当たるような固い音が辺りに響く。

 

銃口からと、彼の顔周辺から煙が上がり、寒空へと消えていった。

 

次第に切嗣の表情は落ち着いて行き、最後には呆れたように少し笑うと銃を下げた。

 

「挨拶代わりの起源弾でもないただの弾丸とは……まあ、私たちの関係はそれぐらい血生臭くて丁度いいのかも知れんな」

 

目の前の男は銃撃されたにも関わらず、いつもの調子で話を進める。

 

そして、彼は口を開き、ペロリと舌を出した。

 

「なあ、切嗣?」

 

彼の舌の上にはついさっき、放った銃弾が乗っていた。彼は弾を避けも、反らしもしていない。単純に取れるタイミンングを見計らい、歯で止めたのだった。

一応、起源弾を使っている銃の種類は知っている上で、あの距離で彼は起源弾かどうかを確認する暇すらあったらしい。

「相変わらずだな……」

 

「私を変えたのは亡き母だけ、私を変えるのは私を殺した者だけだ」

 

切嗣は随分久し振りにこの独特だが、神さえも変えられないと思うほど頑固な意思から出た台詞を聞いたな、と懐かしんでいた。

 

舞弥の安否を問う声に切嗣は大丈夫だと返答すると彼との会話に戻った。

 

「それで? 僕を殺すのか?」

 

「私は簡単に殺せる相手を殺す時にはムダな話をしない事を知っているだろう?」

 

「そうだったな…」

 

彼はしゃがんだまま切嗣へ、人差し指を一本向けた。

 

「安心しろ。この聖杯戦争で私はマスターを殺す気も狙うも気ない。魔術師殺しは執行者だけで沢山だ。それにしても無粋な輩が随分、多いな」

 

「何だと?」

 

「さっき、チラッと見たが、クレーンの上に一体、橋のアーチの上に一体と一人、最後に遠くに一体」

 

「………………」

 

呆れるほどの視力である。当たり前だが、辛うじてスコープ越しで見えるクレーンの上以外は切嗣ではわかるハズもない。

 

「そう言えば結局、どんな英霊を召喚したんだ? まあ、あの金髪さんが私の魔術礼装の英霊には見えないし、ロビンフッドでも無さそうだ。とするとあのジジイは結局、アーサー王にしたわけだな」

 

「御名答だ……そっちならどれ程良かった事か…」

 

「ところでそれならその私の魔術礼装の片割れは何処へ行ったのだ?」

 

「ああ……スマンがあの"短銃"を使わないとアハト翁に決定されてから住所不明のため、時計塔に届けてしまったよ。届けて暫くしてから君が既に執行者を辞めていたことを知ったんだ」

 

「マジかよ……ん? お前のサーヴァント、腕をやられたようだな」

 

「なに…?」

 

切嗣がセイバーに意識を戻し、スコープを覗くと確かにセイバーの手が負傷しているようだ。

 

アイリスフィールが治療しようとするが一向に治る気配がない。

 

「宝具か…?」

 

「見たところ黄色い方の槍で傷をつけると治癒不能の呪いでも掛かるんじゃないか? まあ、ここに来たのはただの挨拶だよ。行くぞフランちゃん」

 

「……ヤァァ……」

 

そう言うと彼は足元に置いていた切嗣が知る通りの魔術礼装を肩に担ぎ、立ち上がった。

 

花嫁のようなサーヴァントも立ち上がり、セイバーとランサーが戦闘を繰り広げている場所へと向かうため、一歩足を出し、足を止める。

 

彼は切嗣に顔を向けずに口を開いた。

 

「切嗣、冬木は私の庭だ」

 

そう言うと神羅は人差し指で上を指した。

 

「それと、今日の夜の天気予報は確認したか? 月ひとつない曇り空だそうだぞ」

 

「何が言いたい…?」

 

「いや、それだけだ」

 

神羅らはコンテナの上から飛び降りると次の瞬間にはその場から消えていた。

 

「…………? 一体何を…」

 

切嗣がそう呟いた十数秒後、セイバーとランサーが戦闘を繰り広げている場所に輝かしい光の大樹が出現した。

 

それは切嗣が一瞬怯む程、目を覆いたくなるような激しい光の大樹である。

 

「なに……光の樹…いや、あれは雷が大樹のように形を成しているのか…」

 

その根元を見ればさっきまで切嗣の隣にいた神羅と、その横で彼のサーヴァントが地に戦槌を突き立て、雷を放出している。

 

大樹の枝先全てが空に飛び、無数の雷の豪雨となり、セイバーとランサーを追尾しながら降り注いだ。

 

一帯を覆うほどの閃光が走り、周辺が真昼の太陽のように輝いている。

 

十数秒後、光が収まり、その場には幾らかダメージを受けてはいるが殆ど無傷と、言っても良いような状態のセイバーとランサーが立っている。

 

セイバーとランサーは互いに勝負に水を差すなと言わんばかりの表情で、彼とそのサーヴァントを見つめている。

 

「無傷か…」

 

そう呟き、何かがおかしい事に切嗣は気付いた。

 

「待てよ…アイツが宝具を外すような愚行をやるか…? 月ひとつない曇り? アイツの庭? 雷……稲光り……!? まさか……」

 

何かに気が付いた切嗣は何もかもかなぐり捨て、騎士王に念話を繋いだ。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

「発動、"磔刑の雷樹(ブラステッド・ツリー)"」

 

男の呟きが、騎士王らの耳に入り、手を負傷している騎士王とディルムッドはそちらを向くと、雷光で形成された大樹が空高く聳え立っていた。

 

その根元にいるのは騎士王とアイリスフィールの知るあの男と、そのサーヴァントだ。

 

数十の雷の拡散追尾弾である磔刑の雷樹(ブラステッド・ツリー)は扇状に拡がりながら豪雨のように騎士王とディルムッドへと降り注いだ。

 

辺りが稲光りによる閃光と爆音に包まれ、暫くするとほぼ無傷の騎士王とディルムッドが姿を現す。

 

「ほぼ全て避けられるとは……いやはや、素晴らしい。で? フランちゃんはどちらを擂り潰したしたいかね?」

 

騎士王が見ると、あの男の肩には至るところに呪詛が刻まれ、先端にマスケット銃の銃剣のようなものが取り付けられた"火縄銃"を担いでいるようだ。恐らくあれが彼の魔術礼装なのだろう。

 

「………………」

 

あの男のサーヴァントは戦槌で騎士王を指した。

 

「クククッ……そうか、まあ、野郎よりは手負いの少女の方が楽しめるだろうな。なら私はあっちの槍兵を頂こう」

 

騎士王は乱入者たちに対して身構えた。

 

その直後…。

 

『アイリを連れてそこから全力で離れろ騎士王!』

 

「!? 今更何を…!」

 

これまで一度も意図的に彼女と会話をせず、無視を決め込み、接触すらしなかった自身のマスターが念話を掛けてきたのである。

 

『黙って聞け! ソイツは……その男は…』

 

目の前の男は懐から、自転車の持ち手をもぎ取ったかのような形状で、スイッチの付いた機械を取り出した。

 

「さあ、ショーを始めようか……」

 

男がスイッチを押した次の瞬間、辺りから凄まじい速度で街灯や、人工の光が消えて行き、数秒も経たないうちに辺りは闇に包れ、月が出ていない事も重なり、完全な闇に閉ざされてしまった。

 

 

 

『正面から堂々と闇討ちをやる気だ!』

 

 

 

「なにッ…!?」

 

さっきまで激しい雷光を直視していた事が災いし、現在の騎士王の視界は完全に黒一色に統一されている。

 

「うあっ……!?」

 

騎士王の背後で、か細い女性の声が響き。人が倒れ伏せるような音が聞こえるのと同じタイミングで、騎士王はそちらに顔を向けて声を上げた。

 

「アイリスフィ……」

 

騎士王の次の言葉は闇の中にも関わらず、顔面を的確に凄まじい鈍器のようなもので殴打された事で強制的に閉ざされた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「フハハハハ!」

 

冬木が闇に包まれて尚、金の鎧を纏う男がその男はまるでこの闇の中でも昼のように、見えているような素振りで、繰り広げられる死闘を上から見下しながら眺めていた。

 

見世物(ショー)か、笑わせる。確かに地べたを這いずり回る雑種にしては上等よな」

 

「だったらあなたも地べたを這いずり回ってみればいかがかしら? 時臣の悪趣味なサーヴァントさん」

 

次の瞬間、金の鎧を纏う男は頭から蹴り落とされ、倉庫の天井を貫きコンクリートの地面に激突した。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

「停電か?」

 

元時計塔の魔術師であるウェイバー・ベルベットはポツリと呟いた。

 

「残念だねぇ、これから良いところだったのに。それにしても中々やるじゃないかあの主人(マスター)。堂々と闇討ちなんて悪党そのものだ」

 

「マスターがこの停電を引き起こしたのか!?」

 

見渡せば冬木市のほぼ全域の人工的な光が完全に消え失せていた。月も出ていない今宵は完全な暗黒だ。

 

市内の電気施設に大規模な同時攻撃でも行ったというのだろうか。

 

「ああ、"火縄銃"を担いだ男だったよ」

 

「"火縄銃"……ま、まさかその火縄銃に銃剣が付いてたりとか…?」

 

「御名答、知り合いかい?」

 

ウェイバーの顔はみるみるうちに真っ青に染まって行った。

 

「陸酔いとはだらしないねぇ」

 

「ち、違う! さ、最悪だ……バレた…時計塔から持ち出したのがバレたんだ!? アイツが……ボ、ワタシを殺しに来た!?」

 

「アイツぅ?」

 

「お前を喚んだときに使った触媒は元最強の執行者が使ってた魔術礼装で…ぐぇ!?」

 

突如、ウェイバーが首根っこを掴まれ、その場から飛び退けられた。橋のアーチの上という最悪の立地で投げられた事でウェイバーの心臓は破裂せんばかりに高鳴る。

 

「な!? 何を…!?」

 

「少し黙ってな」

 

するとさっきまでウェイバーらが居たであろう場所から声が聞こえてきた。

 

「あら? この闇の中でよく逃げたわね。褒めてあげるわ」

 

それは若い女性の声だ。良く目を凝らせば槍を持つ女性のようなシルエットが浮き上がってくる。

 

「はん、これでも船乗りなんでね。夜目が利くのさ」

 

「私も夜目はとっても利くわ。竜の娘ですもの」

 

「さ、サーヴァントがいるのか!?」

 

そこまでウェイバーが言った直後、遠くの場所で建造物が派手に倒壊する音と、爆発音にも似た音が響いた。

 

「やり過ぎよメルト」

 

その音に対し、目の前にいるであろう。サーヴァントが反応した。その声には若干の呆れが含まれる。

 

「どうやらさっきのあの男、相当な策士みたいだね。月のない夜に街を停電させ、夜目の利くサーヴァントでサーヴァントを同時攻撃。くぅー、痺れるねぇ」

 

「そ、それどころじゃ…ふぐっ!?」

 

「舌噛むよ。引っ込めてな」

 

また、ウェイバーは首根っこを掴まれると、今度は長めの浮遊感覚と、落下感覚が身体を襲い、直後に衝撃を受けた。

 

恐らく、流石に立地が悪過ぎたため、サーヴァントがウェイバーを連れ、橋に降り立ったのだろう。

 

「とりあえず、これで当面の目標は決まったじゃないかい。喜びなウェイバー」

 

「な、なんだよ!?」

 

「あの男から"アタシの銃"のもう片方を取り戻すに決まってるじゃないか」

 

「なッ!?」

 

「ごちゃごちゃ煩いわね。アンタらはここで死ぬのよ」

 

直ぐに敵のサーヴァントも降り、槍のようなものを何度も振り回す音が聞こえ、それに対し、ウェイバーのサーヴァントは一挺の拳銃を向ける。

 

「派手にブチ撒けなさい」

 

次の瞬間、闇の中で二体のサーヴァントが激突した。

 

 

 




神羅さんの作戦(月のない曇り限定)
閃光見せる→街を真っ暗にする→神羅(目が良い)、エリザちゃん(竜だから見える)、フランちゃん(機械だから見える)、メルトちゃん(神様だから見える)による周辺サーヴァントへの闇討ち

もう、ここまで原作壊してたらイスカンダルいらね。


ウェイバー君のサーヴァントのステータス
筋力C 耐久B 敏捷A
魔力D 幸運EX 宝具A+

ワカメの時は魔力供給が乏しい為、十全の力を出せてはいないそうなので少し、上げてみました。まあ、あの人の強さ基準は財宝ですけど。
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