第四次聖杯戦争の無理ゲー化が進みます。
多分、第四次でこれ以上キャラは増えないので安心してください。
神羅とメルトリリスの対決が終わった少し後。
クレーンの上にひとつの人型の影が膝を立てて座っている。
暫くするとその背後にもうひとつの影が出現し、その直後に一体の巨大な影が宙に浮きながら現れた。
膝を立てて座っているのはさっきまでクレーンの上で神羅とメルトリリスの戦いを見ていた女性。その容姿は眼帯に黒を基調としたボディコンスーツを纏った姿の紫髪の女性だ。
「うふふ……ふふふ…あッはっはッはっはっは!」
だが、更に異様なのは紫髪の女性の後ろに出現し、一人で笑い続ける女性だろう。
その女性は金髪に赤い目、網のようなボンテージをシスター服の上に着けたような改造服を着た姿をしており、背中に背負っている身の丈程もある白と黒の身の十字架が特徴的だった。身長は紫髪の女性より、少しだけ小さい程度だろう。
「神様がまるで相手に成りませんわね……やっはり強い!! 父様は!! べらぼうに強い!! 存外に強い!! 神の居ないこの時代に父様は最強ですわ!!」
『ああ、そうだ"アルティメル"!
大声だが、流暢に話すのは最後に現れた"身体の両端に頭のついている巨大なワイバーンのような竜"だった。
正確に言えば全身が岩のような鱗に覆われ、翼の生えた蜥蜴のような身体に、蜥蜴で言う所の頭と尻尾の先の位置に竜が首の付いる。その体躯は優に30mを超していた。
この現代の時代にどういうわけか本物のドラゴンがこの場にいるのだ。
『よって親は最強だ! そうだね母さん!』
「私に振らないで下さい、"アンフィスバエナ"」
アンフィスバエナという竜に母さんと呼ばれている紫髪の女性は溜め息混じりにそう呟いた。
「やはりこの時代に神は不用。必要なのは父様のようなより強き人間と、母様のような真祖ですわ。だというのになぜ魔術協会は父様の言った通りの執行者の組織を作らない? なぜ聖堂教会は母様を崇めようとしない?」
「あの…アルティメル。私も一応はその…神なのですが…」
「ライダーさんのような信者も居ない中途半端なのは別に良いんですわ。現に
「くっ……事実ですけど…」
『母さんの美貌は人間には理解出来ないんだよ!』
「…………それ全くフォローになってません…」
どうせ…私は……とぶつぶつ呟きながら落ち込んでいる様子のライダー。ちなみにアンフィスバエナの声は双頭から同時に出ているようだが一人称が違うようだ。頭部の頭が俺、尻尾の頭が私である。
「全く……聖杯戦争なんて面白い行事があるのに何で父様も母様も教えてくれなかったのでしょうか? 水臭いですわ」
「………………」
ライダーは元英霊とドラゴンを連れて、この冬木を無茶苦茶にするからだろうと言う言葉をグッと呑み込んだ。
「まあ、良いですわ。冬木の聖杯戦争に厳密な参加資格はありませんもの。適当なマスターを探し出し、令呪を奪えばそれで万事OK。なんてルーズな企画なんでしょうか…少しは第二母様のSE.RE.PH.を見習って……ん?」
彼女は何か閃いたような表情になるとパチンと指を鳴らした。
「このまま、冬木の教会や教会の管理施設に適当に襲撃を掛けて、大きな問題にしてサーヴァント七騎全てを相手取るのも楽しそうですわねー」
『それは良いアイデアだなアルティメル! 暴れるのは母さんと居る次に好きだぞ!』
「…………はぁ…」
ライダーは溜め息を吐いた。
サーヴァント七騎を相手取る。正気かと言いたくなるが、アルティメル、アンフィスバエナ、そして彼女自身の三体なら相手取れてしまうから反論出来ないのだ。最もアルティメルの父親は静観するであろうから、実質六騎が相手。一体で二騎の計算だ。
まあ、アルティメルかアンフィスバエナが三騎を相手にするであろうから彼女は一騎相手になるだろう。こんな難題でもアルティメルがしたいと言うのなら従うのが従者の勤め……いや、惚れた弱味というどころか。
「仕事をクビになる恐れは?」
「ありませんわ。聖堂教会とて、とても優秀な代行者を三体も同時に失いたくは無いでしょう。埋葬機関は言うなれば教会の必要悪の更に悪。どんなに嫌おうとも彼らは冬木ぐらい丸々差し出すしかありませんわ。ちなみに埋葬機関の代行者を歴史上最も多く葬ったのは何を隠そう私の父様で……」
「あの、その話。SE.RE.PH.で50回以上、聞きました」
「そうでしたか? まあ、良いでしょう」
そう言うと彼女はクレーンから離れ、空を地面のように歩いた。それにより、背中の十字架が揺れる。
そして、ライダーとアンフィスバエナの全身が見える位置で足を止めると振り返り、言葉を吐いた。
「埋葬機関No.2"鮮血"の"メデューサ"」
「はい」
メドゥーサ。ギリシャ神話に名高いゴルゴン三姉妹の末妹で、その名は"支配する女"を意味する。
「埋葬機関No.3"双頭"の"アンフィスバエナ"」
『ハイよ。お嬢様』
アンフィスバエナ。ギリシア神話によれば、ペルセウスが首を斬り落として殺したメデューサの首を片手にリビア砂漠を渡り歩いた時、彼女の生首から零れ落ちた血液からアンフィスバエナは生まれたと伝わる"双頭の竜"だ。
二体の点呼が終わると、彼女は恭しくお辞儀をしてから言葉を続けた。
「そして、埋葬機関No.4"執行代行者"の"シスター・ヘル"。まあ、私のは仮名ですけど」
彼女は沿岸沿いにある施設を確認すると、背中の巨大な十字架を片手に取り、中心部分ある髑髏の装飾をあしらったトリガーに指を掛けた。
その白と黒の十字架は、十字架で言う短い頭部の方が施設へと向けられている。
「
その刹那、十字架の頭部が光り、ロケット弾のようなものが施設へ向けて打ち出され、次の瞬間には施設があった場所に数百m級の爆発の光と、火柱が上がった。
◆◇◆◇◆◇
「ちょ!? 何よこの音!?」
居間に私、ジェノバ、姫子さん、エリザちゃん、フランちゃん、メルトちゃんが勢揃いして夜食を取っていた時。
突然、石油施設でも吹き飛んだかのような大規模な爆発音が遠くで聞こえ、それに主にエリザちゃんが動揺していた。
石油施設が吹き飛んだような大規模な爆発音をなぜ、知っているのかは秘密である。
「この音……
とするとやはり、あのクレーンの上に居たのは彼女で間違い無かろう。攻撃対象から外して正解だったな。
『ええ、そのロケットランチャーの方の爆発音ですね』
「私があ奴に進呈した品よな」
『他の世界から永遠に借りてきたのは私ですし、改造したのも私とシンラさんですけどね』
「それを言うな。私とて母の顔をしてやりたい折りもある」
「つまり、母さん達と父さんは何を知っているのかしら?」
メルトちゃんが聞いていた事に私は答えた。だが、そのタイミングが姫子さんと同時だったらしい。
『
「こ、こ、こ……アナタ達子供いたの!?」
「いや、私は一言も子供がいないと言ったことは無いぞ?」
「………………そう言えばそうね…」
エリザちゃんはポカンとした表情になってからそいい呟いた。
「ふむ、エリザよ。日本にはこんな
姫子さんは私にもたれ掛かるとゆったりとした口調で呟いた。
「"ヤればデキるは魔法の言葉"とな」
それ諺じゃない姫子さん。とある校歌の悪意ある解釈の一文字違いだ。
「で、デキ……」
エリザちゃんは沸騰したアニメの薬缶のようになり、頭から湯気が上がっていた。
どうでも良いがアニメレベルに薬缶を真っ赤に染めるまで熱するって正気の沙汰じゃないよな。
…………あれ? エリザちゃんって6人子供産んでたような……気のせいか。きっと、産む前のエリザちゃんなんだろう……ん? それならブラッドバスとかしたいとか言い出すのはおかしいような……。
…………………おのれ聖杯くん…これも精神攻撃なのか。
「ふふっ…大変であった。悪阻はいつ襲って来るか見当も付かず、腹が大きくなってからは身重でろくに動けん、陣痛と出産は痛かった」
「………………」
さも、過酷だったが今が幸せだと言わんばかりの顔をする姫子さん。
なんかそれ、私の記憶と違うような……。
悪阻……そんなこと関係無しに餃子を食べまくったりしても特に何も変化が無いどころか、私は姫子さんと数年一緒にいるがトイレを利用した姿を一度も目にしたことがない。
身重……姫子さんはそもそも移動の時は常に3cmほど地面から浮いているから何も関係無いのでは……。
陣痛……姫子さんは普通にご飯をパクパク食べて御代わりしている途中に突然、"ぬ? これが破水か?"とか言って畳み濡らしてたような……。
出産……病院で一応要望通り、手をずっと握っていたが、汗ひとつ掻かずにシイタケみたいな目をずっとしていたのを覚えているぞ。
「そんな中、無事に産まれた娘はすくすくと成長し、6歳になった今では元気に埋葬機関で代行者をしておる。名はアルティメル・ブリュンスタッド」
『まあ、アルティメルちゃんの本名や正体や両親を知るものはこの世界に数人……いや、数体しか居ませんがね。ただの異様に強い代行者集団程度に認識されていますよ』
今でも姫子さんは普通に母乳が出るのに、一年で成人女性程まで成長したがな。
何でも姫子さんは母乳が出せるようにしたまでは良いが、止め方がわからないのでそのままにしているとかなんとか。まあ、母乳の原料は血液なわけだから吸血鬼にとっては何かと大変なのだろう。
そう言えばたまに酪農家からでも直接仕入れたのか、ラベルなどのないチーズや、ヨーグルトや、牛乳が冷蔵庫に並んでいる事がありそれを食べている時に後ろで姫子さんが。
"背徳感…"
などと呟いている事がよくあるのだが……まさかな…………いや、これは後、10年程考えないでおこう。そして10年たったらまだ10年程は考えないでおこうと思おう。これが暴かれたところで誰も幸せには成れない……きっと、たぶん、メイビー。
私はそんな姫子さんが大好きです。勿論、一番はジェノバです。でもジェノバが許容してくれるどころか自分から私のドストライクな娘を連れてくるから仕方ないんです。
『人が成体と言えるのは生き物としては少々遅過ぎますからね。真祖はそもそも成体のまま産まれたりしますから寧ろ遅い方でしょう』
「わかってはいる。頭でわかってはいるが、もう少し子供との時間を楽しみたかったものだ」
「それで
『手配番号AC-05-8492こと私の友達のマジカルアンバーと言う名の魔法少女と旅行していた時に見付けた最強の個人兵装の改造品です』
「はい……?」
メルトちゃんが抱えていた
それを何故か手伝っていたフランちゃんの手も止まる。
この二人意外にも仲は良いらしい。
ああ、マジカルアンバーさんね。たまに家に来るな。
「真だメルト。あの生命体は私すら理解不能よ」
そのマジカルアンバーに魔法少女に成れると言われ、目にシイタケを浮かべながら空想具現化で衣装を変え、ノリノリでなろうとしていた真祖の王様が何か言ってますが多めに見てあげて下さい。
ちなみにマジカルアンバーさんとは生身で大気圏突入したり、ナチュラルに世界を越えたりする謎の自称魔法少女である。ちなみに趣味は資本主義とニーチェだそうな。
『正確には全ての銃がこの星の銃器とは初速も威力もケタが違う世界での最強の個人兵装です。それを神羅さんと私で改造して、姫子さんがプレゼントしたのが概念武装、
姫子さんがどうだと言いたげな表情を浮かべている。そっとしておこう。
『一発で戦車を貫き穿ち、一秒に数百発の超火力連射の機関砲と、半径数百mを吹き飛ばせる焼夷ロケット弾扱うロケットランチャーを搭載した聖葬砲典を鼻で笑う十字架のような何かですね』
「おかしいな。アイツらを呼んだ覚えは無いのだが……」
『アンフィスバエナがアルティメルちゃんに漏らしたのでしょう。あの竜、九官鳥みたいな奴ですからね』
「……ウー……?」
フランちゃんがどうするの?と声を掛けてきた。
「放っておけ、アイツにはアイツなりの考えがあるのだろう。例えば教会施設を襲撃して討伐対象になり、七騎相手を取るとかな」
「正気なの? 死ぬわよ?」
復活したエリザちゃんがそんなことを言う。だが、それが出来てしまうのだ我が娘+αは。
『埋葬機関の現役代行者軍団を舐めてはいけませんよ。No.2"鮮血"のメデューサ、No.3"双頭"のアンフィスバエナ、No.4"執行代行者"のシスター・ヘルもといアルティメル・ブリュンスタッドの三体編成のパーティーです。年功序列で並んでいますがその実力は4>3>2で、一体、一体がサーヴァント数騎分の力があります。あ、No.2は一騎分です』
「竜の親にも関わらず使えぬ女神擬きよ」
おい、さらっとメデューサさんをディスるのは止めるんだ。メデューサさんだって頑張ってるさ。ただ、半人半真祖と、現在でも家紋に残るような竜を押し込めるのは少々、荷が重過ぎるだけで。
「まあ、なんだ」
私は卓を囲んでいる全員と一度、目を合わせてから呟いた。
「明日の事は明日考えよう」
まあ、もう今日だがなと付け加えて言うと、そこにいた全員はそれに賛同し、この話は終了した。
いつからクレーンの上にアサシンがいると錯覚していた?
シスター・ヘルはライダーの中の人だと言う突っ込みは無しです。
この世界のライダーさんはムーンセルのある世界のライダーさんなので一応別人になりますね。
パニッシャーはトライガンのあれです。神羅家の誕生日プレゼントには丁度いいでしょう。
アンフィスバエナ……LOV3……トランス……うっ、頭が…。
アルティメルちゃん、ライダー、アンフィスバエナの概要とステータスや、スキルなどは神羅一家設定に載せていますので見たい方はどうぞ。
ちなみにマジカルアンバーさんはアーネンベルベ見る限り、琥珀さんとは別人のようですよね。タイころだと最後は同一人物っぽいのに。