私の妻が人外過ぎて地球がヤバイ   作:ちゅーに菌

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聖杯戦争の裏

 

「なによそれ? 見せなさいよ」

 

私、ジェノバ、フランちゃん、メルトちゃんと起きてきた姫子さんと、エリザちゃんで朝食を取った少し後、卓袱台の上に靴を購入した時に入れてある靴箱程のサイズの木箱と、それより二回り程大きな木箱を置いたところエリザちゃんが声を掛けてきた。

 

「別に面白いモノではないぞ?」

 

まあ、かのエリザベート=バートリーならば面白ろがるかも知れないが状態が状態だけにそこまででもないだろう。

 

私は小さな木箱の蓋を開けた。

 

エリザちゃんは蓋を開けるまでは目が輝いていたが、開けてからはポカンとした表情に変る。

 

「……なによこの干物? 人魚のミイラ?」

 

「いや、そんな大層なモノではない。見ての通り、ただの障害者として産まれた赤子のミイラだな。両手、両足、それから両目も無い奇形児だよ。ちなみに生殖能力の無い両性具有の子だ」

 

木箱の中で干からびた芋虫のようになっているのはそんな赤子のミイラである。親に棄てられて死んだという条件も必要な天然物のため、入手するのに中々苦労した。

 

「呪術師ってこんなのもまで魔術に使うの……?」

 

「使う奴も居ないことはないかもしれないが私は専門外だな。どちらかと言えば黒魔術の方が使うだろう」

 

「ふーん……ならこっちは?」

 

私の話の途中で興味を無くし、大きな木箱の蓋を開けているエリザちゃんはそう呟いた。

 

「これは…」

 

「"遮光器土偶"ね!」

 

どこからともなく現れたメルトちゃんに私と、エリザちゃんの視線が集中する。

 

「遮光器土偶は縄文時代につくられた土偶の一タイプで、一般に"土偶"といえばこの型のものが連想されるほど有名な型ね。目にあたる部分がイヌイットが雪中行動する際に着用する遮光器のような形をしていることからこの名称がつけられたらしいわ。遮光器土偶は主に東北地方から出土し、縄文時代晩期のものが多いわね。その特徴は上述の遮光器のような目に加え、大きな臀部、乳房、太ももと女性をかたどっていることね。胴部には紋様が施され、朱などで着色された痕跡があるものが多く。大型のものは中が空洞になっているわ。これは焼く際にひび割れをしないようにするためだと考えられているわね。まあ、この辺りは後世で考えられた事だから実際と違う可能性があるけど。完全な状態で発見されることは稀で足や腕など体の一部が欠損していたり、切断された状態で発見されることが多いのよ。でもそれは多産や豊穣を祈願するための儀式において土偶の体の一部を切断したのではないかと考えられているわ。そしてこれは聖杯の知識から読み取る限り……"世界で始めて作られた遮光器土偶"ね! それも欠損無しで保存状態も最高の完品よ! 日本はこんなに昔からフィギュア職人の素質を持っていたと言う確かな証明ね!」

 

「お…おう……」

 

目にシイタケを輝かせながらそんなことを言うメルトちゃんに顔を引き吊らせる私とエリザちゃん。

 

「え、えーと……つまりなによこれ…?」

 

「サーヴァント召喚用の触媒だ」

 

「へ? 触媒…?」

 

「そう、理論上は神霊が喚べる触媒。私はそんな無駄なものを収集するのが大好きなのだよ。ちなみにこの土偶とミイラで喚べるのは……いや、ご想像にお任せしたい」

 

「ふーん……まあ、いいわ」

 

エリザちゃんは完全に興味を失ったのかそのままスタスタと何処かへ歩いて行ってしまった。まあ、彼女には無縁のモノだろう。

 

「………………」

 

それとは真逆でメルトちゃんの方は土偶にそーっと手を伸ばしている。仕方ない…。

 

「!!」

 

とりあえず土偶はメルトちゃんに抱かせて置こう。暫く静かにしているハズだ。

 

『ああ、今日やるんですか?』

 

するとエリザちゃんと入れ換わるように後ろからジェノバが声を掛けて来た。

 

「それはそうだろう。こんな面白そうなモノが喚べるチャンスなんて今を逃せば自然に訪れるのは60年後。私は長生きはしているが気はそんなに長い方ではない」

 

というか今回の聖杯戦争では本来、私は対岸の火事に徹し。秘密裏にアレの召喚を行うと決めていたのだ。そして召喚後も聖杯戦争には関わらせず、存在を誰にも悟られることなく終える予定だった。

 

まあ、エリザちゃんの事と、切嗣が聖杯戦争に参加することを先日まで忘れていた事等があり路線変更せざる負えなかったわけだが、これだけは問題なく執り行おう。

 

私が喚びたいのはムーンセルチャンネルで、一度だけ映った事のある凄まじくレアな英霊…うん見た時は英霊である。ただ、私なら兎も角、普通の参加者からすれば最悪レベルのハズレの英霊、所謂ハズレアと言う奴だ。

 

とは言え、そんな英霊をマトモに運用されているところを見てみたくなったわけだ。要するにこれもただの自己満足と、好奇心である。

 

「それより、本当にしても大丈夫なのか? バーサーカーが既に八騎目で出ているわけだしな」

 

『問題ありません。大聖杯には七騎のサーヴァントが一勢力に統一されてしまった場合を想定し、七騎のサーヴァントに対抗するために追加で七騎のサーヴァントを召喚する予備システムが組み込まれていますからね。少しだけ大聖杯を弄れば余裕ですよ。まあ、そんなことをすれば普通なら霊脈が無事では済みませんが、シンラさんが喚びたいのは英霊としての価値は全て三次のアヴェンジャー以下の英霊ですから霊脈への負担なんてあって無いようなモノですよ。守衛の方はそこまでではありませんが大した事はありません。というか最悪の場合、霊脈が枯れても私か姫子さんが再生させるので何も問題は無いですよ』

 

「そうか……ところで、なんだそのスライムは?」

 

私はジェノバが最初から胸で抱いているムニュムニュ動きながらもじっとしている赤い物体を見つめた。私とに見られたせいかそれは畏縮し、少し小さくなったように見える。

 

『この前、SR388と呼ばれる星に一緒に旅行に行ったことがあったじゃないですか』

 

「ああ」

 

あったなそんなこと。確かオレンジ色のパワードスーツを着た女性にジェノバがその星の原生生物だが、メトロイドとか言う名前の生き物モノだかに間違われてジェノバ VS オレンジさんのガチバトルに発展したんだ。ジェノバが若干苦戦しているところを見た数少ない機会だった。

 

『その時に地中深くから見付け、冷凍して持ってきた"X"という生き物を私の使い魔にするためにさっき私の"コレクションルーム"から解凍したんですよ。だから早く大きくなって欲しいですね。名前は"エアリス"ちゃんです』

 

そう言ってジェノバはぷるぷる小刻みに震えている腕の中のエアリスちゃんを撫でた。スライムか……何を食べるのだろうか?

 

ちなみにコレクションルームとはこの家の地下室であり、ジェノバが主に星の外から持ってくる生き物や、物体が冷凍保存されているこの家屈指の魔境である。この星の生き物は姫子さん以外立ち寄らない方がいい。まあ、市場で競り落としたマグロの保存にも使っているのはご愛敬だ。

 

『名前に特に深い意味はありませんよ。殖えないように仕付けてはいますが……もしも二匹に殖えてしまった時には"ミネルヴァ"ちゃんと言う名前をつけましょう』

 

「お、おう……」

 

ジェノバはそうは言ってにこやかな笑みを浮かべているが目は全くと言っていいほど笑っていない。というかそれ殖えるのか。

 

『後、シンラさんの使い魔が燕だけと言うのも味気無いなーと思ったのでもう一匹だけ解凍しておきました』

 

するとジェノバの足下に全身を白い羽毛で覆われ、ウサギとヒヨコを組み合わせたような外見の生き物が現れた。2足歩行でポテポテ歩いているなんだかよくわからないそれは私の前まで来ると、頭を撫でて欲しいとばかりにふさふさした尻尾を振りながら頭を向けてくる。あらやだ可愛い。

 

『同じく捕獲したリドリーの幼体です。おっきくなったら頭が良くて強い使い魔になりますよ』

 

「このふさふさがか?」

 

『そのふさふさがです』

 

あ、ホントだ。歯が肉食獣のようだ。

 

まあ、取り敢えず保留と言う事でコイツはジェノバに返しておこう。なんだが成長させたらダメなような気がする…。

 

『ところでシンラさん』

 

「はい?」

 

『このエアリスちゃんには取り込んだモノに完全に擬態する能力がありましてね。早速、それをお見せしましょう』

 

ジェノバはどこからともなく銀色の液体が並々と注がれた瓶を取り出し、卓袱台に置いた。私のエンチャントをしてある卓袱台が悲鳴を上げているがまだ頑張れるだろう。

 

『じゃーん、"月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)"です』

 

「ヴォールメン・ハイドラグラム……? 海外のビールみたいな名前だな」

 

『ランサーのマスターである"ケイネス・エルメロイ・アーチボルト"の魔術礼装ですよー』

 

ああ、あのスゴく爆破したくなるところに魔術工房を構え、聖杯戦争を魔術師の決闘か何かと勘違いしている阿呆ロードの魔術礼装か……。

 

「ん? 何故に今それがここに…?」

 

『それは勿論、シンラさんが寝ていた時にメルトちゃんをフロントに突っ込ませてランサーと戦わせ、その隙に空からホテルの屋上へとエリザちゃんを投げて投下することで魔術工房をスルーしつつ月霊髄液 だけを回収させました。えっへん』

 

私の寝ている間にそんな事があったとは……まあ、お邪魔するとは言ったし? 私のサーヴァントは入ったからこれで有言実行になるか…?

 

『勿論、ちょっと乱暴はしましたけどケイネスも婚約者も魔術工房もランサーも五体満足で無事ですよ。ちなみにエリザちゃんは月海原学園の制服で釣りました』

 

チョロいですねー。と言いながらコロコロと笑うジェノバ。

 

まあ、ルール再設定で本格的な襲撃が掛けられなくなってしまったからこれぐらいで十分か。

 

そしてジェノバは水銀たっぷりの瓶の上にエアリスちゃんを掲げると……。

 

『ていっ』

 

漬け物でも浸けるかのようにエアリスちゃんを瓶の中に押し込み、蓋をしてしまった。

 

『これでよし、帰ってきた頃には多分、良い塩梅になっていると思います』

 

「そ、そうか…」

 

私は瓶の中のエアリスちゃんに強く生きろと念じながら、ミイラが入った木箱に蓋をすると立ち上がると、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、円蔵山がその内部に擁する大空洞に敷設された魔法陣の中心に私とジェノバは居た。

 

このほぼ真上に私の娘以下略がいるわけだな。

 

「さて…この神域の魔法陣に愚かにも書き足すと言う事をしたわけだが……」

 

『何か困ったことでも?』

 

「本当にこれで大丈夫なのかね? 君を疑うわけではないがなんと言うかこう…簡単過ぎるような気が…」

 

『問題ありません。エリザちゃんのような反英雄が喚べる時点で聖杯は狂ってますよ。別に神霊が喚べるように改造したわけでもありませんしね。神霊を神ではない側面から喚ぶのはこの聖杯でも出来る事とですし、シンラさんが最も喚びたいのは一応、英霊ではありませんか? それに大変なのは召喚してからです』

 

「まあ、そうか」

 

『でも問題ならありますね。令呪がありませんから令呪無しでの召喚となりますね。まあ、エリザちゃんの令呪を転用できない事もありませんが……』

 

「ああ、それは問題ない」

 

私は三冊の小さい本を取り出した。そこにそれぞれの表紙に輝くのは三画残った令呪である。

 

「へ?」

 

「60年前のエーデルフェルト姉妹を無力化してから奪った令呪と、私の美人さんの令呪だ」

 

『…………シンラさんどれだけ魔術師の貴族が嫌いなんですか…?』

 

まあ、真っ先に二人をぶちのめしてサーヴァントを潰し、片方だけ殺した上で何かの為に令呪を奪う程度だな。

 

今回も聖杯戦争と言う大義名分があるため、真っ先に殺りたい所だったが、覚悟故だか、良いところを見せたいだけか、婚約者まで連れてきていると言うことでそれなりに評価しているのだ。まあ、使い魔で見る限り、本人が聖杯戦争を履き違えているのはいただけないが。

 

「確かに魔術は世代を越え、年代を経る度に強くなるのは真実だ。だが、名家だロードだ言っても結局は家柄と言う虎の威を借る狐に過ぎない。引き籠って研究をする? 大いに結構。教鞭を振るい自尊心を満たす? それも大変結構だ。要は時計塔に引き籠っていろクソ共と言うことだ」

 

『そうですか……なるほど通りで私が持ってきた令呪を本に移すのが手慣れてたわけですね』

 

「ああ、やるか」

 

私はエーデルフェルトの妹の方の令呪を手に移してから赤子のミイラ魔法陣の中心に置いた。ちなみに土偶は家でメルトちゃんが抱いているか撫でていることだろう。

 

私はジェノバから渡された恐ろしいほど長い詠唱呪文を、高速詠唱で加速させて唱え終えると魔法陣が輝きを帯び、赤子のミイラを白いエーテルの光が囲んだ。

 

エーテルが晴れるとそこにはミイラではなく、産まれ立てのような小さな赤子が息を立てていた。

 

「成功か」

 

『はい、確かにそれが目的の英霊です』

 

「ほう」

 

私は赤子に近付き、その子を抱え上げた。

 

相変わらず、両目は無く、手足も無い。更には股間にあるべきものがどちらも存在しないため、どちらの性別かも区別が付かない始末である。

 

私は自らの指先を歯で裂くとその赤子の口に加えさせた。赤子はか細い力で私の指を吸い、血を飲んでいる。

 

母乳は血液から出来ているため、血を飲ませる事も緊急時には有効なのだ。まあ、今回の場合、仕方無くそうしているだけだが。

 

私は赤子が好きなだけ飲むまでステータスでも確認する事にした。

 

 

クラス:イノセンス

真名:"__"

マスター:蘆屋神羅

属性:未決定・未決定

性別:決定不能

ステーテス:

筋力- 耐久- 敏捷-

魔力- 幸運- 宝具EX

保有スキル:

純真者:EX

自己保存:EX

 

 

ふむ……まあ、見た目通りではあるが名前まで削れているとはこれは酷いな。

 

戦闘力は"無"。等しいとかではなく完全な無である。そしてクラスはエクストラクラス"純真者(イノセンス)"。

 

さらに酷いことにコイツの宝具はEXではあるが、それは魔力消費量の観点から見ただけで攻撃性能は無し。防御能力も無い。さらに見ての通り宝具を発動出来る思考も芽生えていないため、令呪三画を持って強制的に発動させなければならないと言う有り様だ。

 

正直、英霊として喚べたとして誰が喚べようか?

 

『鏡を見たら如何ですか?』

 

「ふふっ、そうだな」

 

笑い声を漏らしながら私が大聖杯の中心まで赤子を抱いて移動するのと、赤子が血を飲み終えるのはほぼ同時だった。

 

「さて……令呪を三画用いて命ずる」

 

令呪が輝きを帯び、赤子が私の手から離れ、宙に浮くと赤子を囲うように白く輝く糸が覆い始めた。

 

それを見届けた私は赤子からそっと離れ、ジェノバの隣へと戻った。

 

「宝具"片輪の繭"を発動せよ」

 

私の手から令呪が消え、発動した瞬間から私の魔力が赤子へ向けて枯れんばかりに吸い出される。そしてそれに応じて既に糸により見えなくなった赤子を包む糸の量が増えていった。

 

『大丈夫ですか?』

 

「大事ない」

 

理論上、人間の身体にある魔術回路は生命力を魔力に変換する路なわけだから魔力を永遠に増産出来ない事もない。ただ、そんなことをすれば直ぐに魔術回路が焼き切れ、永遠に魔術を行使出来なくなるどころかほぼ即死級のダメージを受けるだけだ。

 

まあ、人間の場合はそうだ。ならば私にとってはそうではない。

 

全身の魔術回路が悲鳴を上げようと、焼き切れようと私は死なない。私の生命力を超越した死ぬのが下手なこの身体がそれを許さないのだ。ただ、体内で再生と破壊を永遠と繰り返し続けるだけである。

 

少しばかり、身体を粉砕機にでも放り込まれたような感覚がするがまあ、気にする程でもない。

 

そんなことを考えている間に糸は赤子だけではなく、大聖杯をも包み、更にはこの広い空間の地面、壁、天井に根を張るように拡がった。

 

そこまで来て漸く、大聖杯の中心にある巨大な繭を周りの糸が支えるような状態で糸の精製が終了した。

 

繭の中では赤子の鼓動に反応するように糸と繭が小さく上下しており、まるでこの空間自体がひとつの生命体のような錯覚を覚える程だ。

 

『後は羽化させるために七日七晩の間、魔力を送り続けながらこの"片輪の繭"の中心のあの子を護るだけですね』

 

「ああ、その守衛の話なんだが……」

 

『メルトちゃんか姫子さんを使いますか?』

 

「いや、当てがある。これはとっておきだったのだがな」

 

『はい?』

 

首を傾げるジェノバの足下にある二冊の本の内、美人さんの方を手に取る。

 

「ひとつ美人さんについて黙っていた事がある」

 

『何でしょうか?』

 

「彼女はまだ座には帰っていない」

 

『と、言いますと?』

 

私はニヤリと笑みを浮かべると、懐から拳に収まる程の蓋の無い小瓶を取り出した。

 

その中には淡い光を放つ球体が入っており、球体は静かに揺れるばかりだ。

 

『なるほど……』

 

それを見てジェノバは理解したのか私に感心したような素振りを見せた。

 

「お察しの通り、これが美人さんだよ。消える間際に私が掴み取り、それから60年間ずっと肌身離さずに持っていたんだ」

 

まあ、霊に触れる私の能力の応用と言ったところか。そこまで誇るような事でもない。

 

私は小瓶を握りしめて割ると、60年振りに外に美人さんの魂が出る。魂は私の掌にただ止まっているようだ。

 

それを見た私は懐かしい気分を味わうと共に、彼女が私から離れなかった事に素直に嬉しく思う私がいる。

 

「令呪を三画持って命ずる……」

 

次の瞬間、本の令呪が全て輝き、莫大な魔力が掌の魂に流れ込んだ。

 

「アサシンよ。"聖杯戦争に復帰せよ"」

 

魂だけだった彼女は再び形を成し、代わりに掌には彼女の手の感触がある。

 

目の前にはいつか見た黒いローブ姿の彼女が立っており、私と彼女は手を繋いでいた。

 

彼女は私にぎこちない笑みを浮かべながらその唇から言葉を吐く。

 

「貴方様の……アサシンは確かにここに……」

 

それは彼女なりの最大の洒落だろう。全く可愛らしい限りだ。

 

私の手は彼女の方からギュッと握られているため、手は繋いだままジェノバに向いた。

 

「私の美人さんだ」

 

「アサシン……」

 

そっぽを向きながら彼女は訂正してきた。恐らく顔は赤くなっているのだろう。

 

『………………』

 

ジェノバは口を開けたまま固まっている。何気に物凄くレアなシーンだ。

 

ジェノバは顔を伏せ、ゆっくりと動き出すと私の両肩に手を触れる。

 

ああ……そうだな…痛いぐらいで済めば幸せだろうな……。

 

『一体……』

 

ジェノバはくわっとした顔つきで私を揺さぶった。

 

『どうやって彼女にフラグを建てたんですか!?』

 

ええ…?……そっち?

 

 

 

 




数分間で一人により令呪を六画も使用するブルジョア回でした。



クラス:純真者(イノセンス)
真名:"__"
マスター:蘆屋神羅
属性:未決定・未決定
性別:決定不能
ステータス:
筋力- 耐久- 敏捷-
魔力- 幸運- 宝具EX
保有スキル:
純真者:EX
自己保存:EX

宝具:
片輪の繭:RankEX
まず、この宝具の解放すら理性のないイノセンスでは出来ないため、霊脈の上で令呪三画を使用し、真名解放する必要がある。真名解放された場合、イノセンスの全てのスキルを潰し、霊脈の上に置かれたイノセンスを中心に繭を形成する。その繭は周囲の空気中、霊脈、周囲にある物、マスターなどの補給経路からゆっくりと魔力を吸い上げ、七日七晩の時間を掛けてこの世界に適した身体を構築し、羽化する。ただし、繭の状態で一度でも中核のイノセンスに攻撃を受けると片輪の繭は停止し、溜めていた魔力も羽化の状態も初期化され、潰れたスキルは元に戻る。こうなれば再び発動するのに更に三画の令呪と、七日七晩の時間が必要となる。羽化後の能力やスキルは七日七晩に費やした魔力の総量によって再設定される。

スキル説明:
純真者:EX
森羅万象において一切の悪性を持たない純真な者の証。しかし、EXまで来ると生まれたての赤子よりも遥かに純真な為に一切の理性や思考すら持ち合わせない。実際には赤子と言うよりも真っ白のキャンパスに近く、マスターと接する事により、徐々にランクが落ちていく。

自己保存:EX
自身は全く戦闘力がない代わりに、マスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができる。ここまでランクが高いとイノセンス自体がこの次元から外れた場所に存在し、ここに居るように見えるにも関わらず、マスター以外は触れる事すら叶わない。無論、新たにパスを繋ぐのも不可能。

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