私の妻が人外過ぎて地球がヤバイ   作:ちゅーに菌

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メアリーちゃん欲しい……。


星の怪物と美人さん

 

古い夢を見た、まだアイリと会う前にアイツに師事していた頃の夢。

 

アイツを師だと思っていたのはこちらだけで、アイツは僕の事を友人として見ていたようだが、僕からすればどちらでも良いことだ。

 

確かその時アイツは……酒が入っていたせいか、いつもよりも上機嫌で、自分の目的について珍しく語っていたんだ。

 

 

 

『"私だけの永遠"と言ったろう?』

 

「ああ、そうだな」

 

『それで初めの頃はな。ORTに求婚するつもりだったのだ』

 

「……!? ゲホゲホッ! ごほっ!…………正気か?」

 

『勿論、大真面目だ。とは言えそもそもORTは文明を吸収する気も文化を得る気も皆無だ。だが、何よりも高い擬態能力を持っている。と、言うことは今風に言うと人外娘に成れたわけだな。ちなみにORTなんだが、こちらから敵意を持って近付かなければ特に何もしてこなかったかったぞ』

 

「アホか……」

 

『ORTに死という概念などあるわけもない。つまりは完璧な"永遠"だ。だが、初めてORTと対面したときに確信したよ。コイツは超高等生物だが、中身の方は赤ん坊より真っ白なキャンパスだとな。それならば後はORTに少しづつ自身の感情と言うものを気付かせ、コミュニケーションを取れる用に計らい。次に文明と言うものに気付かせ、社会性にある程度触れさせる。そして最後に押し倒す! そう言う算段だったな。ビバ源氏物語』

 

「……だったらなぜ、止めたんだ? 失敗したのか?」

 

『いや、それ以上のモノを発見したからだよ』

 

「なに…?」

 

『まあ、ただの仮説だがね。そもそも神秘漏れとはなぜ起こったと思う?』

 

「神秘漏れの理由だと?」

 

『いきなり話が変わるが例えばそう。明日他の宇宙生物にこの星を侵略されるかもしれないではないな』

 

「突然なんだ…そんなバカな話…」

 

『ORT』

 

「それは……」

 

『無いとは言えないだろう? あんな生き物が星の外にはいるのだ。ORTより少しばかり狂暴な地球外生命体がこの星に来ないとなぜ決めつけられる? 寧ろ、明日にでもこの星自体が滅ぶとすればソレに殺られるのが最も濃厚だろう』

 

「それが神秘漏れの起源と何の関係がある?」

 

『そもそも神秘が漏れるということ自体が可笑しいのだ。魔力(マナ)とは元を辿れば星の力だ。だが、星の寿命は軽く見積もっても相当ある。太陽に地球が飲み込まれるぐらいまでと考えても50億年程はあるさ。星は私たちが考える以上に強大で、広大な生物だよ』

 

「なぜそれで神秘漏れがおかしいと?」

 

『このペースで神秘が漏れ続けば数万年程度でこの星の表面的な神秘は空になってしまう。だが……星にとってそれに何のメリットがある? 既に神々や、幻獣種の殆どは磁石で引き寄せられるかのように裏側へと追いやられ、今ここに残るのは精々、真祖程度。それで外からの侵略をどうやって防げようか? どう考えても個々で権能を振るえた神々や、単純に力のあった幻獣種に頼った方が現実的だ。何百年も前に狂った土地神や、魔獣被れの神獣を相手にしたからこそわかるが、それですら現代兵器でも爪の先程のダメージも与えられないような連中だ。だが、星は現在進行形で神秘を漏らしている。まるで己の首を絞め続けるように』

 

「………………それで?」

 

『真祖は確かに種族として完成はしているが、そもそもは星とタイプ・ムーンの合作の失敗作だ。だが、それならば逆にこうとも取れないか? 優良な種から逃がしていると』

 

「失敗作か……」

 

『そしてもうひとつだ。タイプ・アースはどこへ消えた? 星とタイプ・ムーンが創造しようとして失敗したらしいが、そもそもタイプ・マーキュリーや、タイプ・ムーンが居るのならば最も生命の溢れるこの星に居ない方が可笑しいとは感じないか?』

 

「つまり何が言いたい?」

 

『そう、焦るな。私はその2つからこう考えた。未来に星を滅ぼす存在、或いは過去に神秘漏れを引き起こさせた存在。そして全ての神々や、幻獣種を遥かに凌駕する力を持ったタイプ・アースを消滅させた存在。それがこの星の何処かで眠っている。更にそれは近い将来に再び姿を表すだろう。そしてソイツは最早、地球の手には負えない』

 

「なッ…!?」

 

『私は10世紀の間、ソレをずっと探している。まあ、世迷い言のような狂想だ。居ない確率の方が遥かに高いだろうさ』

 

「………………仮に見付けたとしてどうする?」

 

『勿論、私のモノにする。成功すれば円満じゃないか。私には真に求める伴侶が出来て、死ぬ覚悟で神秘漏れを起こしていた星はそんな必要はもう無くなる。更に言えば侵略者に対するタイプ・アース以上の戦力が出来上がるのだからな』

 

「失敗すれば…?」

 

『地球ごとあぼーんだ』

 

「…………なぜそういつもいつも極端なんだお前は…」

 

『世界の果てすら妄想するしか無かった時代から私の人生は始まり、未知が無くなった現代にて漸く全ての大陸、全ての秘境、全ての霊地を見終えた。そしてそのどこにもソレは居なかった』

 

「ならソイツは存在しなかったということか?」

 

『いいや、あとひとつだけ足を踏み入れていない場所がある。と、言うよりも最後にそこに行くと最初から決めていたのだがな。この世界の何処よりも生命に溢れ、全ての情報が零れ、最も神秘的な場所だ』

 

「いったいそこは…?」

 

『それは君にも教えられないな。だがまあ、強いて言えば……"約束の地"だよ。私にとってのね。居なければ居ないで真祖かORTでも妻に取ることにするよ』

 

 

 

 

そうか……アイツが妻に取ろうと考えていたのはアイリに言ったように真祖じゃない。もっとずっとおぞましい……。

 

 

 

『むふー。残念ですが、シンラさんの仮説は概ね合っていますけど、少しだけ違いますね。確かに太古の昔に地球を食べに来たのも私ですし、タイプ・アースを食べたのも私です。でも、最後の一撃で外への壁に大穴を空けて神秘漏れを引き起こさせたのも私です』

 

 

 

え……?

 

 

 

『あー、すいません。その記憶暫く封印させて貰いますね。聖杯戦争終了後ぐらいまで』

 

 

 

突如、夢の中が宇宙空間にでも出たような場所に切り替わり、目の前で蒼い体色をした女性の形をした何かがこちらに微笑んでいた。

 

 

 

 

『どうも、衛宮切嗣さん。私は"ジェノバ"と申します。目が醒めれば全て忘れているでしょうが以後お見知りおきを』

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

中華料理店"奉山"。冬木の知る人ぞ知る御食事処である。

 

その建物の中にある最も人が入れる団体客用の部屋の円卓に、数人のマスターが集結していた。

 

そして最後に部屋の入り口から最も近い下座の席に座っているのが、聖杯戦争に首を突っ込んだ埋葬機関らの対策会という名目でこの夕食会を開催した蘆屋神羅である。

 

時計塔でゼルレッチに次ぐ生ける伝説の魔術師。最も多くの代行者と死徒を殺した執行者。時計塔で呪術は学問と認められないにも関わらず、世界最強の呪術師として"黄"の称号を持つ者。古代インド武術を頂点まで極めた男。執行者幹部養成所初代所長。如何に絶望的な戦場、場所、敵での仕事も完遂して帰ってくることから畏怖を込めてつけられた称号が"死下手"。歴史上、半世紀単位で時計塔に戻らない事も珍しくないので、現在でも彼が戻った時のために幾つかの幹部の椅子は常に空席であり、永久欠番。実年齢は三桁後半。そもそも魔術刻印自体は未だ一代目のために稀に昔から他人に分けており、彼の魔術刻印がベースのロードや、2個目の魔術刻印として継承されていたりする。実は呪術より強化の方が遥かに得意で、最も困難とされる他者への強化も容易にこなせる。隠れ辛党。時計塔の食堂での口癖は"またマッシュポテトか…"。その割りに好物はマッシュポテト。犬派か猫派で言えば鳥派。巨乳派。等々その数々の伝説を上げればキリがない。

 

その中でひとつ特に眉唾なものがある。

 

それは時計塔で講師として大学教授のような講義と指導を行い、親身な態度で生徒に接していたと言うことだ。

 

探求していた目的が目的だった為に呪術、錬金術、強化、転換、支配、ルーン魔術、黒魔術、死霊魔術、蝶魔術、修験道、魔眼、結界、元素変換等々かなり手広く手を出し、それぞれ専門の講師を遥かに越えるほどの知識と、魔術師が数代で出せるような成果を出しながらもそれを軽く公開する魔術師。端から見ればただのバカ……いや、頭のいいバカだろう。

 

生憎、この中に彼が講師をしていた時代に時計塔に居た魔術師は居なかった為にそんな噂を鵜呑みにする者は無かった。

 

今夜までは。

 

 

 

「君らは妖怪と言うものを知っているか? まあ、少し行き過ぎた例えだが……主な妖怪とは言うなればガイアとアラヤの中間の精霊種だ。無論、例外はある。大妖怪等と呼ばれる連中は土地神や、どこか遠い場所から追われた神だったり、誰もが知るような神の転生体だったりし、広く畏れられているモノだ。だが、ソイツらは極一部の例外だから省く。アラヤとは霊長の抑止力、或いは世界の抑止力だが、この場合は"人類の無意識下の集合体"と言うことだけに注目すればいい。そして本来の精霊種とは星の触覚。自然霊。ガイアの抑止力の一つ等と言われるものだ。規模の小さいものは"妖精"と呼ばれ、相当に神秘の濃い場所か、その手の知覚に優れた者以外は基本的に人間には知覚できず、人間に知覚できるまで規模が大きくなると、"精霊"と呼ばれるようになる。だが、人間の空想が生み出してしまう事もあるため、全てが抑止力というわけではない。これが重要だ。そう、星の触覚と呼ばれるモノが人の無意識の意思により不完全に完全な命を得たモノを妖怪と呼ぶのだ。元来妖怪とは人の恐れるモノだ。畏れと言う感情そのものが妖怪を造るのだからな。人が本能的に恐れる自然とはなんだと思う? 火? 雷? 洪水? それもあるが全ての人間が必ずしも恐れるのはそう……"闇"だ。別に闇とは単に暗黒を差す言葉ではない。人間にとっての闇……すなわち人間の理解の及ばない超自然的怪異の事だ。例えば山彦や、鎌鼬。原理さえわかれば何て事はないが、昔はそう言った事は全て妖怪の仕業だと思われた。その結果、人間から本当に山彦や、鎌鼬と言った妖怪が生まれたのだ。だが、昔に比べて今は人間の理解の及ばない事は減った。魔術協会で第6魔法までしか正式に認定されていない事からも明らかだろう。要するに何もかもが科学で証明できる世の中になってしまったと言うことだ。確かに妖怪は腐っても精霊種であり、普通の人間では足元にすら及ばない程強大だ。だが所詮、人の自然を恐れる無意識の意思から生まれる不完全な命でしかない。人が無意識下に自然を恐れなければ新たに生まれようがないのだ。実はな…………妖怪は無茶苦茶美人が多いのだよ。明治時代ぐらいまでは見掛けたのだが、残念なことに今はめっきり見掛けなくなってしまったがな…。向日葵の畑に住む花妖怪や、茨木童子や、私の武術を教えた中国妖怪にまた会いたいものだ…………妖怪は本当に良いぞ。一度、抱いてみると、人間など抱く気すら起きなくなるからな! 照れ隠しで上半身を吹き飛ばされかけたりする事もあったが、それはそれで愛嬌だろう」

 

約30分程ずっとこの調子で喋り続けているのある。壇上に上げられた小、中、高の教育機関の学校長並かそれ以上の独壇場だ。

 

この男、単に話すのが大好きなのだろう。秘匿して悶々とするぐらいならその魔術など使えなくなっても構わないから誰かに話してしまうようなタイプ。あるいは呪術だけ極めれば他の魔術に興味はあるが、執着はないのかどちらかだ。

 

魔術師の才能、天性の肉体、確固たる地位など、どれかひとつでも常人からおぞましい程に逸脱したモノを全て兼ね備えながらも、魔術師として絶望的に向いていない性格をしているとはなんたる皮肉だろうか。

 

「それか…モガ……」

 

「ナァァ……」

 

いい加減にしろと言う意味を込めてか、彼の左隣に座っている花嫁のような衣装を着て、額から角のようなものが生えた女性が蓮華を取り、マグマのように赤々色付き、目に染みる程の立ち上る湯気を放っている麻婆豆腐を救い上げると口へ放り込んだ。

 

ちなみにここにいるのは蘆屋神羅の使い魔のTUBAMEの足に括り付けられた手紙を受け取ったマスターらである。

 

その手紙の内容はこうだ。

 

 

《※一斉送信。今晩の6時から中華料理店奉山で、柳桐寺への攻撃の作戦会議を行う。サーヴァントの同伴は自由だが、マスターは来なきゃ、死刑だぞミ☆ By蘆屋神羅》

 

 

これにより、この卓を囲んでいるサーヴァント以外の人間は、最後の一文がいつもの冗談だと理解した衛宮切嗣の代わりのアイリスフィールと、バーサーカーのマスターを除いた残り4人のマスターと、そもそも彼に協力を仰いだ言峰璃正が座っていた。

 

「ふむ……そろそろ本題を始めようか。ああ、安心してくれ。ここは店側に出資ついでに頼み込んで私が増築したVIPルームだ。上からグランドスラムを落とそうとも外部に音さえ漏れる事はないし、部屋は原型を止めているだろう。中身は保証しないがな」

 

そう言うと彼はこの円卓に座っている者を見回す。

 

マスターたちと言峰璃正を除き、霊体化せずに円卓に座って食事に手を付けているサーヴァントは、喫茶店で聞いた話では元から霊体化出来ないらしいセイバーと、ロングコートを着た赤髪の女性だけのようだ。

 

彼は黄金のサーヴァントと、アサシンが霊体すら見当たらない事を認識してから目線を赤髪の女性サーヴァントの前で止まる。そして、顔を伏せてやや引きつった笑みを浮かべるとポツリ言葉が漏れた。

 

「………………ドラコちゃん若ぇ…」

 

「…ウゥ……?」

 

蚊の鳴くような呟きを唯一捉えたフランが反応したが、その言葉だけでは真意が読み取れないために直ぐに食事にもどった。

 

「入ってくれ」

 

彼が入室を促すと、彼の真後ろにあるドアが開かれ、新しい人物が部屋に現れる。

 

その人物は、黒い長髪を2本のお下げに纏め、チャイナドレスを身に纏い、肩に燕のような使い魔を乗せたサーヴァントだった。

 

「……ア……アサシン………」

 

言峰璃正はその人物を見た瞬間、驚愕に目を見開き、思わず口の端しから言葉が漏れ出す。目に見えて狼狽する璃正にマスターらの視線が集中する。さらに璃正から言葉が続く。

 

「第三次聖杯戦争において…神羅殿と共に"太陽の騎士"を真正面から打ち破ったアサシンだ……」

 

その発言に部屋にいる者全員が反応し、中でも特にアイリスフィールの隣に座っているサーヴァントが動揺していたように映った。

 

「へぇ…」

 

その直後、呟きと共に一発の轟音が響き渡り、無風の空間に激しい風が吹き荒れたが、彼の指先に光が灯ると、風は円卓を避けるように逸れる。

 

音の発生源を見ればアサシンがいた場所が激しい爆炎に包まれ、赤く染め上げられていた。

 

「太陽の騎士を落とした女ねぇ…」

 

そう呟くのは舟こぎをしながら酒を煽っている赤髪の女性サーヴァント。

 

彼女の背後の空間が歪み、そこから煙を上げる一門の大砲が顔を覗かせている。彼女が何をしたかなど考えなくとも明らかだろう。

 

「な、な、な、な…………何をしてやがりますかこの馬ッ鹿はあああ!!」

 

「悪いね手が滑ったよ。部下の不祥事の尻拭いは上司の役目だろ? 残念だけど数少ないアタシの沽券に関わるんだ。それにほーら」

 

顔を真っ青にして自身のサーヴァントに噛み付くマスターを特に気にした様子もなく、赤髪の女性の視線の先には大砲の弾を片手で受け止めているアサシンがいた。

「…断想体温(ザバーニーヤ)…」

 

アサシンの拳が開かれ、握り潰された大砲の弾の破片が静かに床に散乱する。

 

「悔しいけどアタシよりも、上等なサーヴァントだねぇ。太陽を落としただけはあるって事だ」

 

そうは言うが、その表情は寧ろ喜びに満ちているようにすら見えた。

 

「…………」

 

彼は勿論のこと、アサシンは特に気にした様子もなく、廊下に置いてあったらしい機材を運び入れ、部屋の壁に設置を始めた。

 

「セッティングに少し掛かるので私のアサシンについて話そうか。彼女は美人さん。19代目ハサン候補の最終選考まで残ったが、落選したハサンですらない無銘の暗殺者だ」

 

それを横目に眺めながら彼は口を開く。

 

「ちなみにどうやって60年前のサーヴァントがこの場に居るのかと言えば、60年前に現界した聖杯を破壊した時に彼女の魂をこの世に繋ぎ止め、今回の聖杯が起動した事で聖杯戦争の復帰に令呪3画を使用した。ステータスは宝具も開示しておいたので、好きに見ると良い」

 

それが強者の余裕なのか、慢心なのかは不明だが、さらりと、とんでもない事を呟いた彼の甘美な言葉に誘われるままにマスターらは、彼のアサシンのステータスを回覧する事にした。理由はどうあれ、実質的な前回優勝者のサーヴァントに皆興味があるのだろう。

 

 

クラス:アサシン

真名:―

属性:秩序・善

マスター:蘆屋神羅

ステータス:

筋力B 耐久C 敏捷A+

魔力B 幸運C 宝具A+

スキル:

気配遮断:×(A-)

狂信:A+++(A)

カラリパヤット:A++

中国武術:A++

圏境:C

変化:A

縮地:B

呪術:B

宝具:

幻想血統(ザバーニーヤ):RankE~A++

肉体を自在に変質させ、過去に紡がれし18人の"山の翁"の御業を再現する能力。

実際は肉体改造なども行われていたが、英霊化にあたり肉体を変質させる形となっている。当初、本人は"先達には及ばない"と考えていたが、初代ハサンに暗殺者として雇われ、実質的に山の翁の暗殺集団としての基盤を造り上げた蘆屋神羅に事細かに評価され、彼の掲げた改善点や妥協点等を聖杯戦争期間の大部分を修業に費やした事で、遂には全てが日常生活に支障の出るような一部を除き、オリジナルと同等の力を持つ業か、勝っている業になる程に宝具自体が成長した。

 

 

見なければ良かった。これほどまでに当てはまる事はそうないだろう。

 

万能。この言葉が当てはまるサーヴァントが何れ程居ようか? その上、接近戦に持ち込まれればほぼ勝ち目は無いだろう。それは交戦すること自体が敗北条件のような、異様なまでに殺しと戦闘に特化したサーヴァントだった。

 

「見ての通りなのだがな」

 

更に宝具と、スキルの説明欄に目を疑うような異様な文章が並んでいる事に絶句しているマスターらを知ってか知らずか、彼は更に言葉を続けた。

 

「家の美人さんは、私が武術や技能を教えて修得させればスキルとして機能するようだぞ」

 

死後、人間というカテゴリーから除外され、精霊の域にまで昇格した英霊という別次元の存在に業を教授するという離れ業をやってのけるこの男にその場の殆どの人間は顔を引きつらせた。

 

 

 




他のマスターが見ていたステータス。

クラス:アサシン
真名:―(そろそろ彼が付けてくれるんじゃないかと密に期待してる)
属性:秩序・善
マスター:蘆屋神羅
ステータス(本来):
筋力C 耐久D 敏捷A
魔力C 幸運D 宝具B+
ステータス(現在):
筋力B 耐久C 敏捷A+
魔力B 幸運C 宝具A+
スキル:
気配遮断:×(A-)
狂信:A+++(A)
カラリパヤット:A++
中国武術:A++
圏境:C
変化:A
縮地:B
呪術:B
宝具:
幻想血統(ザバーニーヤ):RankE~A++
肉体を自在に変質させ、過去に紡がれし18人の"山の翁"の御業を再現する能力。
実際は肉体改造なども行われていたが、英霊化にあたり肉体を変質させる形となっている。当初、本人は"先達には及ばない"と考えていたが、初代ハサンに暗殺者として雇われ、実質的に山の翁の暗殺集団としての基盤を造り上げた蘆屋神羅に事細かに評価され、彼の掲げた改善点や妥協点等を聖杯戦争期間の大部分を修業に費やした事で、遂には全てが日常生活に支障の出るような一部を除き、オリジナルと同等の力を持つ業か、勝っている業になる程に宝具自体が成長した。

スキル説明:
気配遮断:×(A-)
才能はあるが、元から暗殺者よりも"戦士"としての側面が強いせいか暗殺を行わず、真っ向からの奇襲や捨て身覚悟の白兵戦を主として戦う事を主体としていた。そのため、元から暗殺者としては決して高い値では無かった。が、自分の戦闘方法が彼とあまりにも酷似していた為に、何よりも己の業によって葬る事を誉れと感じ、遂にはスキルを捨てる暴挙に出る。

狂信:A+++(A)
特定の何かを周囲の理解を超えるほどに信仰することで、通常ではありえぬ精神力を身につける。トラウマなどもすぐに克服し、精神操作系の魔術などに強い耐性を得る。彼女を召喚したマスターが、自身の信仰の要と言っても過言ではない存在だった為にスキルが半ば暴走している。それによって本来、スキルとはサーヴァントが持つ生前の固有の能力を概念化したものであり、召喚後に新たに増やすには自己改造や同化など、ろくでもない外法が必要なのだが、彼女はただ純粋な信仰心から来る向上心のみでそれをやってのける。要するに蘆屋神羅から業を教授された場合にのみ、それを数百%程の修得率でスキルへと昇華する事が可能なチートスキルと化している。また、更に難易度は跳ね上がるが、宝具でも同様の事が可能らしい。

カラリパヤット:A++
古代インド式の武術。才覚のみに頼らない、合理的な思想に基づく武術の始祖。攻めより守りに長けている。このランクでは一握りの達人の域。

中国武術:A++
中華の合理。宇宙と一体となることを目的とした武術をどれだけ極めたかを表す。修得の難易度が最高レベルのスキルで、他のスキルと違ってAランクでようやく"修得した"と言えるレベル。A++は達人の域。ちなみに彼が彼女に教えた中国武術はとある少し昔の友人の八極拳と、劈掛掌らしい。

圏境:C
現在修得中。気を用いて周囲の状況を感知し、また、自らの存在を隠蔽する技法。極めれば天地と合一し、姿を自然に透け込ませることが可能になるのだが、性格的に向いていないらしく、修得が難航している。

変化:A
現在修得中。修験道の基本にして極みのひとつ。肉体を全く別の存在へと変える。元々、かなりの適性があるらしく、既に全く別の生物に完全に成り代わる程度の事は容易。彼はこの能力で幾つもの姿と偽名を作ってきたらしい。

縮地:B
現在修得中。瞬時に相手との間合いを詰める技術。多くの武術、武道が追い求める歩法の極み。単純な素早さではなく、歩法、体捌き、呼吸、死角など幾多の現象が絡み合って完成する。これのお陰で気配遮断が必要無いと彼女は結論付けた。ちなみに師である彼と同じ、最上級であるAランクともなると、もはや次元跳躍であり、技術を超え仙術の範疇となるらしい。

呪術:B
現在修得中。古来からアジア、中東、南米などに伝わっている魔道。彼女に魔術回路があるらしく、主に肉体強化や呪殺を教えている。ちなみに彼女に与えられた魔術刻印は、 南光坊天海という大僧正のモノ。

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