私の妻が人外過ぎて地球がヤバイ   作:ちゅーに菌

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どうもちゅーに菌or病魔です。

年越しはずっと有野課長見てました。いや、今もみてます。


プレゼント

「カメェェェェ!」

 

朝食後、姫子さんはその昔に姫子さんへの誕生日プレゼントという名目で、無理矢理購入することになったファミコンボックスで居間のブラウン管テレビを占拠していた。

 

あんぐり開いた口から出た妙な悲鳴から察するにヒゲの配管工のゲームでもやっているのだろう。

 

私はそれはそっとしておくことに決め、店を開けることにした。

 

私の店は何て事はない骨董品店だ。

 

と言っても義父の趣味でやっていた店で歳だった義父の死後、私が継いだというだけの話。

 

まあ、ネットで安値で落札したものを適当に並べたり、ジェノバと姫子さんが持ってくるモノだとか作ったモノを店先に並べたりと店としては普通である。

 

最近ネット販売サイトを作った事でそれなりに売れるようにはなったが、依然としてこの店には1日1~2人程度来れば良い方だ。

 

30分が過ぎ、1時間と過ぎ、2時間ほど時間が過ぎたところで徐々に目蓋が開かなくなってくる。

 

そして、半分寝たような私をジェノバが昼食に呼びに来てそれに誘われるように従い昼食を取る。

 

私はこれではイカンとこちらにも付けてあるブラウン管テレビの電源を付けた。

 

ジェノバが追加したムーンセルチャンネルと言う謎の放送局の番組がやっているようだ。

 

今の対戦は…スパルタクス VS 李書文かー。

 

そのまま、良くわからないが英霊 VS 英霊による凄まじい激戦をずっと見ていた。

 

このチャンネルかなり面白く、正直いつまで見ていても飽きないぐらいである。

 

午後も客は来ず、ふとテレビから目を離して外を眺めると夕陽が外を照らしている。

 

メディア VS ジークフリートというどう考えても結末が見えている試合になってしまったので、テレビを消し、ぽつりと呟いた。

 

「コンビニでも行くか…」

 

我ながらダメな1日を過ごすダメ人間である。魔術師とはここまで暇で良いのだろうか? まあ、俺はなんちゃって魔術師だから別に関係ないと言えば無いのだが。そもそも呪術師だしな。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

コンビニでジャンプの立ち読みを終え、姫子さんがマンガ雑誌で読んでいたマンガの単行本を発見したので、購入してから帰路へと着いた。

 

辺りには既に闇に包まれ、子供も家に帰るような時刻だ。

 

夜風に当たりながらゆっくりと歩いているとそれなりの近さの場所から聞き覚えのあるサイレンが聞こえて来る。

 

店番以外にすることもないため、そちらへと足を進めた。

 

直ぐに到着すると一軒の家に人だかりが出来ていた。

 

その家は私の家の近所で確か子供もいる普通の家庭だ。小火騒ぎかと思ったがパトカーしか止まっていない辺り、最悪の事態が頭を過る。

 

野次馬に声を掛け、その状況を聞いた。

 

どうやら少年一人を除いた一家全員の惨殺死体と、片腕のもがれ、腹に穴の開いた正体不明の青年の死体が転がっていたらしい。少年は行方不明だとか。

 

現場は見れないがかなり惨いことになっているのだろう。

 

知り合いと言う程知りもしないが、時々目にすることぐらいはあった家族だ。その少年が行方不明…。

 

懐からジェノバから貰った黄色い珠を取り出した。

 

星の力を凝縮したマテリアという物体である。これは"みやぶる"というモノらしい。

 

効果は……まあ、使った方が早いか。

 

私の魔術回路を開き、それを発動した。

 

すると私の視界の色が白黒の世界に変化した。犬の視界とはこんなものなのだろう。

 

そのまま、玄関周辺を見ると家の中からドス黒い霧のようなものが立ち上っている。

 

「うわ…」

 

思わず声を上げてしまった。このマテリアは手早く言えば魔術を行使した場合に飛び散る魔力の残りカスや、普通には見ることのできない霊体や魔力生物などを見れるようにするためのものだ。

 

使っている間、視界は白と黒の2色に染まり、魔力などは行使した場所で魔術を行使した相手の元素により色が付き、見えるようになると言うわけである。

 

本来は魔術的なトラップなどを回避するのに使うのが正しい使い方なそうな。

 

ジェノバは…"この星のマテリアですから効果が違うんですね"などと言っていたがなんのことだかはイマイチわからない。

 

そのドス黒い魔力が他に無いか辺りを見回すと、路地の門辺りにどす黒い霧のようなものが立ち込めていた。

 

「うわぁ…」

 

急に家に帰りたい衝動に駆られた。

 

と言うのも単純にこのマテリアでみれるのは幽霊か魔力の残りカスだ。

 

つまり残りカスである。残りカスですら悪霊のような形をしているのだ。その上、生半可な悪霊より遥かにドス黒い。少なくとも私の範疇に無い化け物があそこにいたのだろう。

 

とすれば取れる行動は…。

 

「帰ろう」

 

だが、少年が最後に見た時に浮かべていた幸せそうな笑顔が地味に後ろ髪を引いたが、触らぬ神になんとやらだ。

 

生憎、私はヒーローほど魔術的にも強くなければ英雄ほど確固たる意志があるわけでもない。私の代からのおニューの魔術刻印しかないフリーの呪術師なのである。

 

死徒殺しも、魔術師殺しも真っ平だ。昔の相方には悪いがな。

 

頭の中を空っぽにし、それ以上考えないことにしにながらマテリアを切った。

 

ふと見上げた夜空の星々はいつもより少し眩しく見えた。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「帰ったぞー」

 

ガラリと店の引き戸を開け、店主()が帰ってきました。我ながら最低である。

 

すると簡素なファミコン音以外にスタスタとこちらに近付いて来る音がする。

 

『お帰りなさい、あなた』

 

そうだ。家に帰れば笑顔で迎えてくれる愛しい私の妻…。

 

「ああ、ただい…」

 

その時、私の妻が両手に抱えているモノを見て言葉を失った。

 

『あなたにプレゼントがあるんですよ』

 

そう言ってジェノバはそれを笑顔で差し出してきた。

 

『はい、どうぞ』

 

それは…。

 

 

 

肘下辺りから切り落とされ、"令呪"が刻まれた20代程の肌艶の腕だった。

 

 

 

蛇足だが、翌日のニュースによれば死んだ青年はここ数年、世間を騒がせているシリアルキラーで、行方不明の少年は何者かによって交番に届けられていたらしい。

 

 

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