私の妻が人外過ぎて地球がヤバイ   作:ちゅーに菌

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メルトリリス……対都市宝具……冬木大災害……うっ…頭が…。

え? ランスロット? 勿論、カットしましたよ。だって……どう考えても勝ち目無いですもの…。


グッドスマイル 後

蟲蔵の隅に鎖で全身を巻かれてたバーサーカーと、そのマスターが放り投げられた。だが、それ以前に2人の時間も停止しているのか不自然な程ピクリとも動いていない。

 

「ここに置いておくぞ」

 

『遅いです。なに37分も掛けてるんですか』

 

「月のセイバーのランスロットの方が遥かに悠然で指が踊るようだった。まあ、それでもそれなりに興が乗ったがな、笑って許せ」

 

『全く…本気なら10秒内で片が付くでしょうに…』

 

ジェノバはぶつぶつ言いながらも蟲蔵の蟲をどこからか持って来た箒で粗方、隅に寄せると床に魔方陣のような何かを書き始めた。

 

『ああ、そこのバーサーカーのマスターは起こしても良いですよ。邪魔になりませんし』

 

「そうか」

 

姫子が手を振るうと鎖が解け、バーサーカーのマスターは息を吹き返したように動き出した。とは言え、彼の身体は既に限界に近く、到底動けるようなものでは無いだろう。

 

が、それには目もくれず、わくわくと言った様子でジェノバがすることを眺めているようだ。

 

「おや? 随分、懐かしい術式を書いているな。バーサーカーを奪うだけでは無かったのか?」

 

『その予定でしたが、予定変更です。そこの幼女を良く見てください』

 

「ん?」

 

姫子が蟲蔵にいる少女を眺めた。すると合点が行ったのか柏手を打った。

 

「ああ、架空元素【虚】か。これも久しく見ていなかったぞ」

 

そう言いながら姫子はその少女を抱えたところでバーサーカーのマスターから声が上がる。

 

「さ、桜ちゃんに……何を……」

 

絞り出されたようなか細い声たが、まだ話せる事に姫子は少しだけ感心したような表情を浮かべた。

 

『"神降ろしの陣(ゴッドフォール)"です』

 

ジェノバは雁夜に対し、振り向きもせずに書きながらそう呟いた。

 

「神降ろしだと…」

 

『ええ、勿論、聖杯から完全な神霊をこの場に降霊させるためのものです』

 

「そんなバカな…」

 

聖杯から神霊が呼べればそもそも聖杯などは必要がない。だが、あれは明らかに確信をもって呼ぶ気だろう。

 

『桜パス』

 

「ほら」

 

雁夜の目の前で桜が姫子からジェノバへ投げ渡されたが、彼は何が出来るわけでもなく、ただ見ていることしかできなかった。

 

ジェノバは少しだけ桜から血を抜くと、それでまた魔法陣を書き始めた。

 

『貧困な発想ですねぇ、私は冬木の聖杯で呼ぶなんて一言も言っていませんよ? 何せ使う聖杯がこの聖杯戦争のちんまい聖杯とは格が違いますもの。とある平行世界の月にある全長三千キロメートルに及ぶフォトニック純結晶体で構成された聖杯です』

 

「マスターが創造したものだろう?」

 

『まあ、あの聖杯は元々は私が過去の平行世界に跳び、この世界の"朱い月のブリュンスタッド"をサーヴァントとして召喚するためだけに月そのものを1000年と少しの時間と、太陽系の外の素材で改造した少し大きめの聖杯でした。そうでなければあの大きさは必要ありませんしね。日曜大工の賜物ですよ。勿論、そこの姫子さんが私のサーヴァント兼、弟子兼、家政婦と言ったところです』

 

ジェノバは雁夜に見えるように手の甲を向ける。そこには既に1つの令呪が刻まれているようだ。

 

『本来の目的はもう達成されたのですが思ったより融通が効くので、その他にも色々と使っているんですよ。あそこで茶番の聖杯戦争を行わせる事で家のテレビのチャンネルが増えるとか、パソコン代わりになるとかですね。なぜかあの世界では私の労働の結晶の聖杯をとある財閥が所有者だと主張し、非常にイラッと来ますが、ハーウェイトイチシステムは気に入っているのでまあ、多目に見ています』

 

雁夜にはあまりにもスケールの大きすぎる話だろう。だが、明らかに嘘を言っているようではない。姫子と呼ばれているサーヴァントと戦った彼だから無意識にそれが真実なのだと感じていた。

 

『これからすることをあなたにも解りやすく説明すると……架空元素【虚】は"ありえるが、物質界にないもの"に纏わる属性です。それを利用し、ムーンセルの電子の海から神霊を何体か直接ダウンロードして、この間桐 桜という少女にアップロードします。最後に私の細胞を掛け合わせ再構築して終わりです。これにより、神霊のサーヴァントの中でも最上級のハイ・サーヴァントの製作が可能です。加える神霊により、大凡のスキルは決まるのでバーサーカーを吸収できるようなスキルが狙える神霊を選びますよ』

 

「な…!?」

 

「コンビニのように平行世界を使う辺り、マスターは怪異そのものよな」

 

『寧ろ光栄な事でしょう。ヒトの身で神に至れるなんて中々出来ない体験ですしね。仏陀やキリストに並ぶ快挙です。まあ…』

 

ジェノバは三日月のように口の端を歪めると、雁夜の全てを嘲笑するような笑みを浮かべた。

 

『本人の人格がどうなるかの保障は出来ませんがね。さあ、お喋りは終わりです。ムーンセルからの神降ろしの陣の術式は完成しました。あなたはそこで見ていなさい。神霊(メニュー)はアルテミス、レヴィアタン、サラスヴァティーの3体に決まりです。キャパ的にそれ以上は無理でしょう……ああ、その前に。えいっ』

 

ジェノバはなんの躊躇もなく、桜の胸を素手で貫き、胸の中を掻き回すように何かを探し、暫く経ってから赤く染まった手を引き抜いた。

 

「さ…サクラァァァァ!!? こぶ!?……」

 

悲痛な叫び声を上げた雁夜だったが、突如として巨大な衝撃を受け、壁に衝突した。

 

『これぐらいでごちゃごちゃ言わないでください。時を動かさなければ世界は死んだとは認識しませんよ。殺してからハイ・サーヴァントにした方が霊体化出来て便利ですが、あなたは姫子さんにそれなりに善戦していたようですし、それぐらいは認めて上げましょう』

 

ジェノバは手に持っている桜の小さな心臓と、刻印蟲とは形の違う蟲を野球ボールか何かのように何度か跳ねさせた後、蟲は適当に放り投げ、心臓は姫子へと投げた。

 

姫子は少し嬉しそうに桜の心臓に舌を這わせ、数秒後には平らげてしまった。

 

そして、ジェノバはそっと魔法陣の中心に桜を置くと、"魔晄ジュース"と書かれた謎の缶飲料を取り出し、桜の心臓のあった場所に中身を全て掛けた。

 

『さ? これで後戻りは出来ません。精々、祈りなさい。もう、あなたにはそれしか出来ないのですから……ん?』

 

どうやら雁夜はさっきジェノバが放った微風程の魔術により、気絶してしまったようだ。

 

「私は館に戻り、神羅と交わるとする。よいか?」

 

『どうぞ、お好きに』

 

そう言うと姫子はその場から光のように消えていった。

 

それを見届け、やれやれと大袈裟に肩を竦めたジェノバが魔法陣に手を翳すと、それに答えるように魔法陣が輝きを始め、サーヴァント召喚の比ではない、濁流のようなエーテルの波が噴き出す。

 

濃淡の違う三色の青いエーテルの光は徐々にそれらが混ざり合い、絡み合い、溶け合い、凝縮され、最後には大人程の大きさのアイスブルーの完全な球体だけがその場に残った。

 

ジェノバはそれに近付き、手を触れてから満足が行ったような笑みを浮かべ、何か呟いた次の瞬間、球体が水風船が弾けるように球体が崩壊し、中心で浮いている瞼を閉じた少女の姿が露になった。

 

長く、空中で二股に別れた髪には"赤い"リボン。

 

無駄の無い小さな体には袖が余るぶかぶかなロングコート。

 

そして、下半身は足に付けた剣のように鋭い具足。

 

一応、股間には貞操帯のような下着を付けている。

 

その全身から溢れる最上級の神秘と、周囲に舞う濃厚なエーテルの光は紛れもなく、サーヴァントだという事が理解できた。

 

彼女は宙から地に降り立ち、ゆっくりと瞼を開く。

 

『おはようございます。桜』

 

「"メルトリリス"よ。"母さん"」

 

桜と呼ばれた少女はジェノバに対し、自身の名前を訂正した。

 

『そうですか、ならメルトリリス。気分はどうですか?』

 

「最高よ。全てが順調で爽快だわ。そこの蛆虫を除けば…ね」

 

メルトリリスは時を止めている間桐 臓硯をゴミを見るような目で一瞥してから、そう言う。

 

『まあ、それは後で片付けるとして…』

 

ジェノバはメルトリリスのステータスを開いた。

 

 

真名:メルトリリス

クラス:ー

属性:不明

マスター:ジェノバ

ステータス:

筋力E 耐久E 敏捷C

魔力E 幸運E 宝具EX

保有スキル:

加虐体質:A

複合神性:EX

メルトウィルス:EX

騎乗:B

ソルジャー:A

宝具:

弁財天五弦琵琶(サラスヴァティー・メルトアウト)Rank:EX

 

 

『やはり、スキルは持って来れてもステータスは最低になりますか。まあ…』

 

ジェノバは雁夜のバーサーカー……ランスロットを見つめる。時が止まったまま全身を鎖に巻かれた黒い騎士だ。

 

『その為に生かしていたんですものね。やりなさいメルトリリス。あなたの"オールドレイン"でゆっくりと余すこと無く溶かしなさい。月と違って七騎しかいませんからね。欠片も無駄には出来ませんよ。私も少しだけ力を貸しましょう』

 

「はい、母さん」

 

メルトリリスの具足の膝部分についた刺を膝蹴りと、ジェノバの長く伸びた翼の尖端がランスロットに刺し込まれた。

 

 

 

 

 

数時間経過し、最早ランスロットという英霊の姿はどこにも無かった。

 

『ほうほう…』

 

 

真名:メルトリリス

クラス:バーサーカー

属性:不明

マスター:ジェノバ

ステータス:

筋力C 耐久B 敏捷A+++

魔力A 幸運A 宝具EX

保有スキル:

狂化:×

加虐体質:A

複合神性:EX

メルトウィルス:EX

騎乗:B

ソルジャー:A

対魔力:B

精霊の加護:A

無窮の武練:A+

宝具:

弁財天五弦琵琶(サラスヴァティー・メルトアウト)Rank:EX

騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)Rank:A++

己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)Rank:B

無毀なる湖光(アロンダイト)Rank:×

 

 

『かなりステータスも伸び、スキルも追加されましたが……やはり、無毀なる湖光(アロンダイト)が硬いだけの棒になりましたね』

 

真の剣とは、剣が人を選ぶものだという。メルトリリスには無毀なる湖光(アロンダイト)を扱う資格は無いと言うことだろう。

 

神そのものから形造られたチートスキルをもってして、他者の生前の行動や、信念から生まれた宝具やスキルを完全に取り込めても、真の剣だけは騙しようがないようだ。恐らく、この剣は相当な理由が無い限りランスロット以外に振られる事を良しとしないだろう。

 

まあ、家のインテリアぐらいにはなるだろうとジェノバは思考を閉じた。

 

「力が漲るよう……たまらないわ…」

 

『そりゃ、湖の騎士の全てを取り込めましたからね。それと霊体化出来ないあなたにとっては、己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)を取れたのは幸運でした』

己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)は自らのステータスと姿を隠蔽する能力と、変装も可能とする能力を持つ。

 

始めから死んでいないため、霊体化出来ないメルトリリスにとっては最高の宝具だろう。遠坂家との私怨も去ることながら…………なんというかその……外に出れば一発で捕まるような容姿をしているからだ。

 

「? まるで私の容姿に問題があるような言い方ね」

 

『問題しか無いと思われますが?』

 

「これは露出しているのではないの。貞淑に―――隠しているのよ!」

 

メルトリリスは、母さんなのにそれぐらい察してくれないのかしら? とでも言いたげな顔である。

 

『………………そうですか…。それなら構いませんが…』

 

ジェノバは自分も最近まで全裸に全く抵抗が無かったため、一昔前の自分を見ているような気分になり苦い表情をした。

 

『まあ、とりあえずランスロットの取り込みに朝まで掛かってしまったのでそろそろ家に帰りましょう。私の夫etcが待っています』

 

臓硯はまあ、気が向いたら処理すれば良いだろう。ジェノバは臓硯と刻印蟲などを彼女だけが知る場所へと転送した。

 

「ということは私の父さんになるのね?」

 

そう言う彼女の声はどこか不安を含んでいるようにジェノバは感じ取った。恐らく、メルトリリス自身も気づいていないような小さな感情の揺れだろう。

 

ジェノバは顔を緩めるとメルトリリスの顔に手を触れた。

 

『シンラさんは滅多な事では怒りませんし、手も上げませんからいいお父さんになってくれますよ。後、A~A+++ランクのサーヴァント並みに強いです』

 

「そう、それは楽しみね」

 

そう、素っ気なく言うメルトリリスの表情はどこか嬉しげに見えた。

 

『それで……』

 

ジェノバは蟲蔵に最後に残った雁夜という、最早死に行くだけの半端者の魔術師を一瞥した。

 

バーサーカーという英霊そのものを全てメルトリリスに取り込ませたために、彼の手にあった令呪はジェノバのもう片方の手の甲に渡っており、この魔術師の価値はジェノバにとっては刻印蟲と同程度になっていた。

 

『あれの処理はメルトリリスに任せましょう。放っておいても、もう長くありません』

 

「そう、さようなら……」

 

メルトリリスは雁夜へ近付くと脚を振り上げ、心の底からの嘲笑を浮かべた。

 

「"雁夜おじさん"」

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

『その後、朝帰りをした結果。メルトちゃんが突如、フランちゃんにルパンダイブの上位互換を仕掛けたわけです』

 

「な、なるほど……」

 

少し顔を引き吊らせながらジェノバの話を聞き終えた私は、しがみ付いているフランちゃんと、それを声を荒げながら狙っている畳を傷つけないか心配になる具足をしている幼女を眺める。

 

ステータスも確認したが流石はジェノバのサーヴァントと言ったところだ。私とエリザちゃんが襲い掛かっても勝てないかも知れないな。

 

あ、目が会った。

 

「………………」

 

「………………」

 

メルトちゃんの行動が止まり、私に冷徹な目線を向けている。

 

だが、笑顔の師匠や、ガチギレジェノバに比べれば稚児もいいところだな。

 

面白いのでそのまま、笑顔で見つめていると先にメルトちゃんが折れたようで、目線を反らした。

 

「まあ、いいわ……及第点ね。今日はもう寝るわ」

 

メルトちゃんはさっきまでの変態チックな様子はどこへやら、ジェノバに連れられて静かに与えられた部屋へと向かって行った。

 

私はふと、時計を確認する。後、1~2時間で正午と言ったところか。

 

「フランちゃん、そろそろ私たちも活動を始めるか」

 

「……ヤァァ……」

 

フランちゃんはまだ、私にしがみつきながらコクりと頭を傾ける。

 

私は倉庫に30個ぐらいあった、認識妨害系の魔術礼装の2つをフランちゃんに装備させ、私の魔術礼装を弓道の弓等を収納するバックに入れると外へと向かうことにした。

 

 

 

あ、ちなみにエリザちゃんはスヤスヤ寝ていたので置いて来たぞ。

 

 

 

 

 




ムーンセルはジェノバさんが日曜大工で造りました。ジェノバさんの魔術礼装みたいなものだからこう言う事に使っても仕方ないね(白目)!

というか本当にこっちの世界線でメルトちゃんを出そうとすると桜ちゃんを原料にして、冬木の比ではない願望器であるムーンセルの力を全面的に使って生み出すしかない気がします。要するに冬木のちんまい聖杯くんを取るために月の超巨大聖杯を使うという根底から間違った究極の無駄ですね。だがそれがいい。


スキル説明
ソルジャー:A
ジェノバ細胞や魔晄ジュースを使うことにより、サーヴァントなら高確率でつけられるスキル。自身の戦闘の際に最も重要な能力値を常に2段階上昇させる(例:メルトリリスの場合は敏捷)。ただし、失敗するとかなり大変な事になる上にジェノバと誓約を結んだ形となるため、ジェノバ以外が付けようとするのは余りにリスクが高い。
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