試作「勝てよ涙」   作:ゼワのお絵かき

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テスト投稿です。
一回ハーメルン使ってみたかったので、試作品を乗せます。


001「The_Underdog's_Howl」 軋む午後の廊下にて

試作「勝てよ涙」

 001「The_Underdog's_Howl」

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「また一人でスカウトに行くのか?」

「ボス…… お疲れ様です」

 

 軋む午後の廊下。

 ボスに声をかけられ、曇戸天多(クモリド・アマタ)は堅苦しい一礼をする。もはや威圧感すら覚える動きだが、ボスはそんなアマタを茶化さず、当然のことのように受け取っていた。ボスはそのまま腕を組み、アマタを見下すように口を開く。

 

「異界プルガトリウムが最近大人しいからといって危険がないわけじゃないんだぞ。自分の立場を分かっているのか」

「申し訳ありません」

「アマタ、お前なぁ……」

 

 アマタの謝罪は形だけで、ボスの静止が無駄であることは分かりきっていた。

 

 

 ――この世界に発生した異常現象【異界プルガトリウム】

 あらゆる物体を連れ去る異界の存在は、かつて【神隠し】として語られる程度の認知度だった。しかし何がきっかけなのか、突如として異界の門が全国各地で現れ、人口の三分の一を連れ去る異常現象が起こる。今現在プルガトリウムは鳴りを潜めているが、いつまた同じことが起こるか分からない。アマタたちは人々をプルガトリウムの脅威から守るために発足されたチーム……通称【口火隊】のメンバーだ。

 

 

「籠城中の白旗……遠野真昼(トオノ・マヒル)を見捨てたって、それが彼女の選択なら……」

「そんなの、正義の味方がすることではないでしょう?」

「……まぁ、一般人を外に出せないのはお前の不始末だわな」

 

 ボスはスマホのロックを外し、遠野真昼のプロフィールを表示する。遠野真昼は以前、アマタが担当した事件の要救助者だった。遠野真昼は偶然居合わせたもう一人の女性、夕凪チカコ(ユウナギ・チカコ)と一緒にプルガトリウムに巻き込まれている。夕凪チカコはアマタたちの手で無事救助されたが、遠野真昼はプルガトリウムに残った。二人の間に何かしらのトラブルがあったのは把握しているが、夕凪チカコは知らぬ存ぜぬで詳細を語っていない。

 

「勇気の目の持ち主、か……」

 

 【勇気の目】は自身と目を合わせた相手に勇気を与える能力だ。正確には勇気だけでなく、身体能力の向上も確認されている。この能力は他人だけでなく、自身が鏡などで目を合わせた場合も適応されるようだ。調査の結果、遠野真昼はこの能力を使ってプルガトリウムに巻き込まれた要救助者を助けてまわっているらしい。別件で【白旗の人に助けられた】と証言をした生存者が確認されている。話によると、遠野真昼は大きな白旗を武器に戦っているようだ。そこに目をつけたのがアマタである。アマタは遠野真昼を自分のバディとしてスカウトしようと交渉を続けていた。

 

()()()()()使()()()とでも言えば、納得していただけますか」

「俺が納得しなくても勝手に行くんだろ?」

「はい、申し訳ありません」

「謝罪の意味分かってんのか……現在、【プルガトリウムの鍵】はお前しか使えない。お前が死ねばプルガトリウムは開閉ができなくなる。また鍵の能力者が現れる可能性はあるが、そんなの理想論だ」

 

 アマタは【プルガトリウムの鍵】という能力の持ち主である。これはプルガトリウムの門を閉じるだけでなく、開くことも出来る代物だ。たったそれだけの能力だが、他に使える存在が確認できていない今、アマタの存在は重要視せざるを得ない。曇戸天多の死亡はプルガトリウムに連れ去られた人々を永遠に閉じ込めることを意味する。

 

「お前は死ぬことなど許されない。逃亡は重大な裏切り行為であるぞ」

 

 ボスの鋭い目線を見ても、アマタは怯まない。

 アマタは「失礼します」と頭を下げ、ボスに背中を向けた。

 

「俺は許可していない」

「分かってますよ。でも、僕の鍵は僕の意思さえあればいつでも使える。……どんな拘束も無意味だった」

「くそ、実験するんじゃなかったな」

 

 ボスはアマタの能力がどこまで活かせるのか、その実験結果を思い出していた。結論として分かったことは【どんな拘束でも意味をなさず、いつだって鍵の使用は可能】ということだ。つまり、ここでボスがアマタを取り押さえたとしても、アマタは鍵を使ってプルガトリウムに行ける。ボスの意思に関係なく、アマタはいつでも逃亡が可能というわけだ。それでもアマタが口火隊そのものから逃げ出さないのは……人を見捨てることは、正義の味方がすることではないから。

 

「いつもいつも、ご迷惑をおかけしますね」

「ちっ、」

 

 アマタが空中に両手をかざす。

 ヒタリと、冷たい扉の感触がした。

 

 ガコンッ!!

 

「いいか! 何度も同じことを言わせるな!!」

「!」

 

 アマタの命令違反を止められず、いつものように諦めたボスは噛みつくように言葉を続けた。

 

「お前は一人相手に手間取りすぎなんだよ!! さっさと首根っこ掴んで、意地でも帰ってこい!!」

「……」

 

 非情に振る舞うボスだが、その根底には人命を最優先する厳格さがある。

 アマタにだって、それが分からないわけがなかった。

 アマタは振り返って、ボスの善性に応える。

 

「了解!」

 

 

 ――プルガトリウムの扉が開かれる。

 

 

 

「……この判断が、吉と出るか凶と出るかだな」




「漫画にしてみたいな~」と文字ネームみたいなものを作ったら普通にssになりました。
漫画にするんだったら地の文の説明描写が多いし、もう少し会話で匂わせるなり、やり方があったな~と反省。このままssで完成させるか悩みます。普通に背景描きたくない。なにより漫画がかけるほど絵も上手くない。それでもかいたやつしか上手くならない、無情。
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