試作「勝てよ涙」   作:ゼワのお絵かき

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<前回のあらすじ>
二人で映画を見た。
嫌なところを突かれる。


001「The_Underdog's_Howl」 戦闘開始、プルガトリウムにて

「もういっか……」

「真昼?」

 

 立ち上がった真昼をアマタは見上げる。

 真昼の目が、チラチラと光を反射しているのが見えた。

 

「……いいんですね」

「うん」

 

 真昼の決心がついたようだ。いや、もしかしたら……映画を見る前にアマタについていくと決めていたのかもしれない。真昼は白旗を回収し、アマタのスマホを手渡そうとする。アマタはそれを受け取ろうとして、

 

「……アマタ?」

 

 突風、次にアマタが視界から消える。

 違う、()()()()()()()()()()()()()

 

「アマタ!!」

 

 真昼が状況を把握した一瞬で、戦況が変動する。

 割れたスマホ、転がる白旗、広がる血溜まり、その中にいるアマタ。そして、今にもアマタに掴みかかろうとするプルガトリウムの在来種。タイヤの姿をしている在来種は、ギュルギュルと回転速度を上げてアマタに突進を試みている。――動けるのは真昼ただ一人だ。

 

「ま、……って」

 

 状況を把握しても、真昼は震える左腕を抑えるのに必死だった。

 怯えている場合じゃない。頭で分かっているのに身にしみた恐怖が簡単に飲み込んでくる。

 

「終わったこと……!! あれは終わったことだろ!!」

 

 ……かつて交通事故に巻き込まれ、押しつぶされた左腕の感触がフラッシュバックする。震えを貶された日も、救われたときのことも、その救いを台無しにしてしまった罪悪感でさえ、容易に。

 

「朝日ちゃん……」

 

 何度だって、もう一度救ってほしかった。でも叶わない。

 朝日ちゃんは、夕凪チカコはいってしまった。

 

 

『負け犬』

 

 

 その声は、一体誰のものだったんだろう。

 貴方だったら、どれほど。

 

 

 

 

「……真昼」

「!」

 

 アマタのかすれた声がした。

 目線がかち合う。……導線が見える。

 割れたスマホの位置と、転がった先の白旗、手を伸ばせば届く距離!!

 

「勝ちましょうよ、真昼」

「――うぅっ!!!!」

 

 這うように進んだ真昼が割れたスマホを覗き込む。左腕が使えないからなんだ。足はまだ動く!! 勇気の目、自分の目をみた相手を強化する能力。その対象には真昼自身も含まれる!

 

「勝て、勝て……!!」

 

 しかしボロボロと溢れる涙が行く手を阻む。

 身体も震えるせいで、なかなか目線が合わない。

 

「勝てよ……」

 

 それでも祈り続けるしかなかった。

 人生が終わった先でも、またやりきれるんできるんだって。

 転んでも立ち上がれる瞬間が来るんだと、お約束の結末を信じてみたかった!!

 

 

 

 

 

「勝てよ、涙!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 映画のセリフが真昼の脳内でこだまする。

 

救世主願望(メサイア・コンプレックス)って知ってる?』

 

 誰もがそういう一側面を持っているんじゃないかと思った。

 たぶん、そこで伸びてるアマタが諦めず手を伸ばし続けたのも、きっと。

 

『貴方は他人を利用しないと自分を守れないの』

 

 今更の話だとも思った。

 たとえそうだったとしても、そこから先の話をするって段階に入っているんじゃなかったのか。

 

「この勇気が……!! 救世主願望(メサコン)だろうが知ったこっちゃねぇ!!」

 

 覚悟がひとつあればいい。

 負け犬の遠吠えが響く。

 

「ここで踏み出す一歩は、絶対に正しい!!」

 

 

 

 

 

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試作「勝てよ涙」

 第一話「The_Underdog's_Howl」

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――絶対助けると決めた。

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