エクスデス先生スレに投稿するやつ   作:eriza7170

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IFスオウの設定

# スオウ

## ――憎しみの魔女から、無名の旅人へ――

### ブルーアーカイブ × FINAL FANTASY XIV 二次創作IF設定資料・完全版

 

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# 第一章:基本設定

 

**名前:スオウ**

 

**異名:**

- 憎しみの魔女

- 無への帰依者

- ゼロムスの徒

- 大罪を刻まれた者

- 偽りの世界の異端者

- 善悪未定の魔女

- まだ何者でもない者

 

**種族:** 元の種族・出自を維持しつつ、現在は既存の生命分類だけでは完全に説明できない存在。

 

**現在の立場:** アリスと共に旅をする魔女。かつてはゼロムスの威光のもとに全てを滅ぼそうとした敵対者。

 

**属性:** 闇、炎、虚無、憎悪。加えて、七つの大罪に由来する複合的な精神・魔力属性。

 

**現在の状態:** 憎しみを失ってはいない。しかし、憎しみ以外の感情を自分の中に認める可能性が生まれている。

 

**物語上の分類:** 救済された英雄ではない。改心した聖人でもない。破滅を望んでいた者が、破滅以外の可能性を知るために歩き始めた、未完成の存在。

 

**物語上の役割:** マイナスからゼロへと戻る者。

 

彼女は、世界を救うために生まれ変わったのではない。

 

世界を許すと決めたわけでもない。

 

自分が過去に行ったことを、すべて正しかったことにするつもりもない。

 

ただ、世界を滅ぼすことだけを人生の結論にしてしまった自分が、その結論以外にも道があると知ってしまった。

 

それが現在のスオウである。

 

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# 第二章:存在の本質

 

## 1.憎しみだけで構成されていた存在

 

かつてのスオウは、自分自身を憎しみによって定義していた。

 

彼女にとって憎しみは、単なる感情ではなかった。

 

怒りや悲しみの延長でもなければ、一時的な復讐心でもない。

 

それは、彼女が世界を認識するための尺度であり、行動を決定するための規則であり、未来を選択するための唯一の指針だった。

 

何かを見れば、憎む理由を探す。

 

何かを知れば、それを破壊する意味を見いだす。

 

何かを手に入れれば、それをより大きな破壊のために利用する。

 

そして、何もかもが憎むべきものだと判断したとき、彼女は世界そのものを否定するに至った。

 

彼女の人生には、明確な終点が存在していた。

 

全てを破壊する。

 

世界に残された一切の可能性を消し去る。

 

ゼロムスの威光のもとに、キヴォトスを、第三世界を、そしてその先にある全てを無へと帰す。

 

それが達成されれば、自分の役目も終わる。

 

その先に何があるのか。

 

何もないのなら、自分はどうするのか。

 

そのような疑問は、そもそも彼女の思考の中に存在していなかった。

 

彼女は、未来を生きようとしていたのではない。

 

過去から生まれた憎しみを、未来の終わりまで運ぼうとしていたのだ。

 

そのためなら、自分自身が生命体でなくなっても構わなかった。

 

モンスターでなくてもいい。

 

神でなくてもいい。

 

既存のあらゆる存在から外れた、破壊だけを遂行する何かになればいい。

 

彼女にとって、自分が何者であるかは重要ではなかった。

 

重要なのは、自分が何を破壊できるかという一点だけだった。

 

## 2.ロアヒカセンとの邂逅

 

そのスオウに、ロアヒカセンは問いかけた。

 

「その先だ」

 

全てを破壊した、その先。

 

憎むべきものが何も残らなくなった、その先。

 

その問いは、スオウにとって攻撃よりも厄介だった。

 

なぜなら、彼女はその問いに答えを持っていなかったからだ。

 

彼女の計画は、破壊の過程については徹底していた。

 

何を滅ぼすのか。

 

どのような力を用いるのか。

 

いかにして抵抗を排除するのか。

 

そうしたことには考えを巡らせていた。

 

しかし、破壊が終わった後のことだけは、考えていなかった。

 

いや、正確には、考える必要がないと思っていた。

 

破壊こそが目的であり、その達成をもって自分の存在理由も消滅するのなら、その先を考える必要などない。

 

ロアヒカセンは、その結論を否定しなかった。

 

代わりに、彼女の人生を構成する前提そのものを揺さぶった。

 

憎しみだけが人間性ではない。

 

憎しみだけで一生を終えるのは、つまらない。

 

どうせなら、他の大罪も全て味わった方がいい。

 

それは、崇高な救済の言葉ではなかった。

 

慈悲深い神による赦しでもなかった。

 

あまりにも勝手で、あまりにも傲慢で、あまりにもロアヒカセンらしい価値観の押しつけだった。

 

しかし、そこには一つの重要な意味があった。

 

**スオウが憎しみを持ち続けること自体は、否定されなかったのである。**

 

憎むなとは言われなかった。

 

許せとも言われなかった。

 

過去を忘れろとも、善人になれとも言われなかった。

 

ただ、憎しみ以外にも世界があると突きつけられた。

 

スオウがその意味を理解できたわけではない。

 

それでも、彼女の中に存在していた絶対的な結論に、初めて亀裂が入った。

 

## 3.偽物だからこそ与えられた可能性

 

ロアヒカセンは、本物の光の戦士でも、本物の闇の戦士でもない。

 

光と闇、善と悪、秩序と混沌。

 

相反する概念を抱えながら、そのいずれにも完全には属さない存在である。

 

そして、彼はスオウにとっても、既存の価値観に収まらない存在だった。

 

本物の英雄ならば、彼女を討伐しようとするかもしれない。

 

本物の神ならば、彼女の行いを裁くかもしれない。

 

本物の闇ならば、彼女の憎しみを肯定するかもしれない。

 

だが、ロアヒカセンは、そのどれにも完全には当てはまらない。

 

彼は彼女を倒せる。

 

彼女を否定することもできる。

 

しかし、彼はその代わりに、彼女の中へ新しい可能性を押し込むことを選んだ。

 

偽物だからこそ、既存の救済の形式に従う必要がなかった。

 

偽物だからこそ、正義の名のもとに彼女を裁く必要もなかった。

 

偽物だからこそ、彼女を完成された何者かに作り変えるのではなく、未完成のまま次の物語へ放り込むことができた。

 

このIFルートにおいて、ロアヒカセンはスオウを完成させていない。

 

彼女の問題を解決していない。

 

彼女の心を癒やしきったわけでもない。

 

彼が行ったのは、彼女が自分自身で選ぶ機会すら持たなかった未来を、強引に発生させることだった。

 

スオウは、まだ何者でもない。

 

だからこそ、これから何者にでもなれる可能性を得たのである。

 

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# 第三章:最終的な外見

 

## 1.基本シルエット

 

スオウの最終的な外見は、アルカディアでの戦いを経て得た、魔女の姿を基本とする。

 

黒を基調とした魔女装束。

 

闇の魔力を感じさせる意匠。

 

見る者に、人ならざるものの気配を感じさせる存在感。

 

それらは以前と同じく彼女の身体を包んでいるが、その意味は変化している。

 

かつてのスオウの外見が、世界を拒絶し、あらゆるものを破壊するための存在であることを示していたのだとすれば、現在の彼女の姿は、まだ行き先の定まらない旅人のそれである。

 

魔女であることに変わりはない。

 

闇を扱うことにも変わりはない。

 

憎しみの魔女という異名も、消えたわけではない。

 

しかし、以前のように、その全てが破滅だけを指し示しているわけではなくなった。

 

黒い衣装は、もはや世界を終わらせるためだけの戦装束ではない。

 

旅先で歩き、戦い、食事をし、時には休み、他者と関わるための衣服にもなった。

 

本人は、その変化を認めたがらないだろう。

 

「私は別に、冒険者になったつもりはない」

 

そう言い張るに違いない。

 

しかし、実際にはアリスと共に旅をしている。

 

その矛盾こそが、現在のスオウを象徴している。

 

## 2.魔女の衣装

 

衣装の中心色は黒。

 

ただし、全身を単一の黒で塗りつぶしたような姿ではなく、光の当たり方によって異なる表情を見せる、複雑な黒を持つ。

 

布地の表面は、場所によって鈍い光沢を帯びる。

 

それは金属のような冷たさではなく、夜空の奥に沈む色に近い。

 

装飾には、かつての闇の魔力を思わせる意匠が残されている。

 

その姿は、見る者によって印象が異なる。

 

恐ろしい魔女。

 

妖しい魔術師。

 

危険な敵。

 

あるいは、どこか孤独を感じさせる旅人。

 

いずれも間違いではない。

 

スオウ自身が、まだ自分を一つの言葉で定義できないからだ。

 

彼女は自分の衣装を、特別な象徴だとは考えていない。

 

ただ、目覚めたときに着ていた。

 

自分の姿に馴染んでいた。

 

だから、そのまま着ている。

 

しかし、旅を続けるにつれて、その衣装には少しずつ新しい意味が加わっていく。

 

旅先で受け取った小さな装飾品。

 

アリスが勝手に選んだ、本人の趣味とは到底思えないアクセサリー。

 

何かの記念に渡された、実用性の乏しい品物。

 

そうしたものを身につけるかどうかは、その都度のスオウの判断による。

 

本人は、気まぐれでつけているだけだと主張するだろう。

 

しかし、彼女がそれらを捨てずに持ち続けるのなら、それは彼女なりの変化である。

 

かつての彼女は、目的に必要のないものを切り捨てていた。

 

今の彼女は、必要かどうか分からないものを、手元に残すことがある。

 

その小さな違いは、彼女自身が思っている以上に大きい。

 

## 3.顔つきと眼差し

 

スオウの眼差しには、依然として憎悪が残っている。

 

それは、簡単に消えるものではない。

 

彼女が見てきたもの。

 

彼女が選んできたもの。

 

彼女が自分の人生に与えてきた意味。

 

そうしたものが、一度の敗北や一度の会話で消滅するはずがない。

 

しかし、その眼差しには、かつて存在しなかったものも加わっている。

 

疑問である。

 

以前のスオウは、世界を見たときに、そこに何を破壊すべきかを探していた。

 

現在のスオウは、それに加えて、何が起きているのかを知ろうとすることがある。

 

見知らぬ町。

 

奇妙な生物。

 

理解不能な文化。

 

常識から外れた人物。

 

アリスが興味を示したもの。

 

それらを前にしたとき、彼女は不機嫌そうに眉をひそめる。

 

「……何だ、これは」

 

そして、必要もないのに観察を続ける。

 

興味があるとは認めない。

 

面白いとも言わない。

 

ただ、分からないから見ているのだと主張する。

 

しかし、分からないものを即座に破壊しなくなったという一点だけでも、彼女は以前とは異なる存在になっている。

 

彼女の表情に、笑顔が増えるかどうかは分からない。

 

それでも、困惑、呆れ、苛立ち、驚き、好奇心といった、憎しみ以外の感情が表情に現れる機会は、確実に増えていく。

 

本人にとっては、あまり歓迎できない変化だろう。

 

## 4.闇の炎

 

スオウを象徴する力は、今なお闇の炎である。

 

彼女の憎しみと深く結びついた、破壊的な魔力。

 

かつては、全てを焼き尽くすための力だった。

 

しかし、現在の彼女にとって、闇の炎は必ずしも破壊だけを意味しない。

 

敵を退けるために使うこともできる。

 

道を塞ぐ障害を取り除くために使うこともできる。

 

仲間を守るために使うこともできる。

 

そして、どうしても許せない相手に対して、怒りを叩きつけるために使うこともある。

 

重要なのは、炎そのものが善なる力に変化したわけではないという点である。

 

闇の炎は、依然として危険な力だ。

 

扱いを誤れば、周囲を巻き込み、破壊を広げる。

 

スオウ自身も、その危険性を理解している。

 

それでも、彼女は炎を捨てない。

 

自分の憎しみを否定するために、憎しみから生まれた力まで否定する必要はないと、少しずつ理解していくからだ。

 

彼女は、自分の力を善悪のどちらかに分類することを好まない。

 

「これは私の力だ。それ以上でも、それ以下でもない」

 

そう言い放つだろう。

 

かつての彼女ならば、その言葉の先に破滅しか存在しなかった。

 

今の彼女には、その力をどこへ向けるのかという選択が残されている。

 

その選択を間違える可能性も、当然ある。

 

だが、選択できることそのものが、かつてのスオウには存在しなかった可能性なのだ。

 

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# 第四章:精神構造の変化

 

## 1.憎しみは消えていない

 

最も重要な設定である。

 

最終的なスオウは、憎しみを克服した存在ではない。

 

彼女は、自分が憎しんできたものを全て許したわけではない。

 

過去を振り返って、あれは間違いだったと簡単に結論づけられるわけでもない。

 

憎しみが生まれた理由があるのなら、その理由が彼女の中から消え去ることはない。

 

彼女が今後、どのような経験をしたとしても、過去に抱いた憎しみが完全に消滅する保証はない。

 

むしろ、何かのきっかけで再び強烈な憎悪に支配される可能性もある。

 

彼女は、憎しみを感じる自分を完全に制御できるようになったわけではない。

 

ただし、以前とは決定的に違う点がある。

 

**憎しみが生まれたからといって、必ずしも破壊しなければならないわけではない。**

 

かつてのスオウは、憎しみを感じた時点で、行動の結論がほとんど決まっていた。

 

憎む。

 

滅ぼす。

 

そのために必要な力を得る。

 

そして、全てを無へ帰す。

 

現在のスオウは、憎しみを感じても、その先の行動が一つに定まらない。

 

怒りを覚えた。

 

では、どうするのか。

 

許すのか。

 

許さないのか。

 

戦うのか。

 

立ち去るのか。

 

アリスに相談するのか。

 

それとも、ひとまず何もせずに様子を見るのか。

 

彼女は、そうした選択肢を知り始めている。

 

全てを正しく選べるわけではない。

 

自分の憎しみを持て余すこともある。

 

それでも、以前のように一つの感情が人生の全てを決定することはなくなりつつある。

 

## 2.七つの大罪が意味するもの

 

ロアヒカセンによってスオウに刻まれたものは、単なる七種類の能力ではない。

 

それぞれが、彼女の中に新しい可能性を発生させるための契機となる。

 

ただし、七つの大罪は、善良な感情の集合体ではない。

 

憤怒も嫉妬も傲慢も怠惰も強欲も暴食も色欲も、それぞれが暴走すれば人を傷つけ、破滅へと導く。

 

ロアヒカセンがスオウに与えたのは、正しい生き方の模範ではない。

 

もっと厄介なものだ。

 

人間の持つ矛盾と欲望を、彼女自身にも経験させるための可能性である。

 

### 憤怒――怒りを破壊以外に向ける可能性

 

スオウにとって、怒りはかつて憎しみの燃料だった。

 

怒れば、破壊する。

 

怒れば、滅ぼす。

 

怒れば、その対象を世界から消すことこそが正しいと考えていた。

 

しかし、憤怒の大罪は、彼女に別の問いを突きつける。

 

怒ることと、全てを壊すことは同じなのか。

 

不正に怒ること。

 

理不尽に怒ること。

 

他者が傷つけられたことに怒ること。

 

そして、自分が大切にし始めた何かを踏みにじられたことに怒ること。

 

怒りの理由は一つではない。

 

その怒りをどこへ向けるかも、一つではない。

 

スオウは、怒りを感じたからといって、必ずしも世界全体を敵に回す必要がないと学んでいく。

 

ただし、怒りっぽい性格が消えるわけではない。

 

アリスの突飛な行動に怒鳴ることもある。

 

理不尽な相手に容赦なく怒りを叩きつけることもある。

 

そして、時には怒りに任せて失敗することもある。

 

それでも、怒りがあること自体を、彼女は以前ほど恐れなくなる。

 

### 嫉妬――自分にないものを知る可能性

 

嫉妬とは、他者が持っているものを自分も欲しいと感じることでもある。

 

かつてのスオウは、他者が持つものを憎むことがあったとしても、それを自分の人生へ取り込もうとする発想を持たなかった。

 

自分にないものは、世界が与えなかったもの。

 

自分が得られなかったものは、憎むべきもの。

 

そのように考えることはできても、それを欲しがる自分自身を認める必要はなかった。

 

しかし、嫉妬は彼女に、自分の内側にある願望を見せつける。

 

他者が笑っている。

 

他者が誰かに愛されている。

 

他者が安心して眠っている。

 

他者が明日を楽しみにしている。

 

そうした光景を見て、彼女が不快に感じたとする。

 

それは、単にその相手を憎んでいるからなのか。

 

それとも、自分もまた、そうしたものを欲しがっているからなのか。

 

この疑問は、彼女にとって非常に不愉快なものだ。

 

なぜなら、自分が何かを欲しがっていると認めることは、自分がまだ何かを望める存在だと認めることだからだ。

 

スオウは、嫉妬をきっかけに、自分が何を持っていないと感じているのかを知っていく。

 

そして、他者が持つものを破壊する以外にも、それに近づく道があることを学んでいく。

 

### 傲慢――自分の価値を認める可能性

 

スオウは、自分自身を特別な存在にしようとしていた。

 

生命体でも、モンスターでも、神でもない何か。

 

既存の存在を超越した、破壊そのものを遂行する存在。

 

しかし、その願望には、奇妙な矛盾があった。

 

彼女は、自分が何者であるかを捨てようとしていたのに、同時に、何者にも劣らない絶対的な存在になろうとしていたのである。

 

傲慢の大罪は、その矛盾を照らし出す。

 

自分は強い。

 

自分は特別だ。

 

自分には、自分にしかできないことがある。

 

そうした感覚は、必ずしも破滅へ向かうものではない。

 

自分の力を認めることと、他者を見下すことは同じではない。

 

自分の意志を貫くことと、他者の意志を踏みにじることも同じではない。

 

スオウは、自分が特別な存在にならなくても、自分自身であることには意味があると学んでいく。

 

とはいえ、傲慢さがなくなるわけではない。

 

彼女は自分の能力を低く評価されれば不機嫌になるだろうし、無謀な挑戦を仕掛けられれば、相手の力量を見定めたうえで徹底的に叩き潰そうとするだろう。

 

ただ、以前のように、己の存在を証明するためだけに世界全体を相手取る必要はなくなっていく。

 

### 怠惰――何もしない時間を許す可能性

 

かつてのスオウにとって、行動を止めることは、目的から遠ざかることだった。

 

憎しみを燃やし続けなければならない。

 

破壊を進めなければならない。

 

目的を達成するまでは、立ち止まることに意味などない。

 

そのような思考は、彼女から休息という概念を遠ざけていた。

 

怠惰の大罪は、その価値観を揺さぶる。

 

何もしない。

 

目的を持たない。

 

結果を求めない。

 

ただ、今は休む。

 

そうした時間にも、意味があるのかもしれない。

 

スオウは、最初のうちは休息を無駄だと考えるだろう。

 

アリスが道端で立ち止まれば急かし、宿で休む必要があると言われれば不満を漏らすかもしれない。

 

しかし、旅が続くにつれて、彼女は少しずつ知っていく。

 

何も起きない一日。

 

敵が現れない夜。

 

誰も自分を責めず、誰も自分に何かを要求しない時間。

 

そうした時間が存在しても、自分の人生が失われるわけではないことを。

 

彼女がいつか、何の目的もなく昼寝をするようになったなら。

 

それは、彼女が怠惰に屈したという意味ではない。

 

彼女が、自分の人生を破壊以外の目的に使わなくてもよいと、ほんの少しだけ信じられるようになった証拠なのだ。

 

### 強欲――何かを手元に残す可能性

 

スオウは、全てを滅ぼそうとしていた。

 

そのためには、何かを手に入れることもあっただろう。

 

しかし、それらは破壊という目的のための手段だった。

 

目的が終われば、不要になるものだった。

 

強欲の大罪は、彼女に別の欲望を与える。

 

これは欲しい。

 

これは手放したくない。

 

これは自分のものにしたい。

 

そうした感情である。

 

最初は、単純な物欲として現れるかもしれない。

 

武器。

 

装飾品。

 

珍しい道具。

 

旅先で見つけた、用途の分からない品物。

 

しかし、やがてそれは、物品以外のものにも向けられるようになる。

 

アリスと過ごした時間。

 

旅先で出会った人物との約束。

 

自分の力で成し遂げた仕事。

 

初めて経験した、平穏な一日。

 

そうしたものを、失いたくないと感じるようになる。

 

それは、スオウにとって恐ろしい変化だ。

 

失いたくないものがあるということは、失ったときに傷つく可能性があるということだからだ。

 

かつての彼女は、失うことを恐れるくらいなら、全てを破壊してしまえばいいと考えていた。

 

現在の彼女は、まだその考えを完全には捨てていない。

 

それでも、何かを手元に残したいと思うようになる。

 

それこそが、彼女が新しい人生を築き始めた証拠となる。

 

### 暴食――世界を取り込む可能性

 

暴食は、単に食べ物を大量に摂取することだけを意味しない。

 

自分の中へ何かを取り込もうとする欲求。

 

満たされても、さらに求めてしまう欲求。

 

それは、スオウがかつて世界を破壊し続けようとした衝動とも、どこか似ている。

 

しかし、両者は決定的に異なる。

 

破壊は、対象を消し去ることで目的を達成する。

 

一方で、取り込むことは、対象を自分の中に残すことでもある。

 

スオウは、旅を通じて世界のさまざまなものを知っていく。

 

食べたことのない料理。

 

見たことのない景色。

 

知らなかった文化。

 

理解できなかった価値観。

 

そして、自分とは異なる生き方をする人々。

 

それらを、最初から拒絶するのではなく、ひとまず経験してみる可能性が生まれる。

 

彼女が未知の料理を口にしたとき、最初に出る言葉は「うまい」ではないかもしれない。

 

「……妙な味だ」

 

そんな感想を漏らしながら、もう一口食べる。

 

その行動が示すものは、単なる食欲ではない。

 

彼女が、世界を破壊する以外の方法で、自分の内側へ取り込もうとしているということだ。

 

もちろん、全てを受け入れるわけではない。

 

嫌いなものは嫌いだと言うだろう。

 

理解できないものに苛立つこともあるだろう。

 

それでも、経験することそのものが、彼女の人生に新しい意味を与えていく。

 

### 色欲――他者に惹かれる可能性

 

色欲の大罪が意味するものは、単純な性的欲求に限定されない。

 

誰かに惹かれること。

 

美しいものに目を奪われること。

 

他者の存在に関心を持ち、その人物をもっと知りたいと思うこと。

 

そして、自分以外の誰かとの関係を求めること。

 

かつてのスオウは、他者を破壊の対象として見ることができた。

 

しかし、他者を一人の存在として知ろうとすることは、彼女にとってほとんど必要のない行為だった。

 

色欲の大罪は、彼女に他者への関心を発生させる。

 

誰かの姿に目を留める。

 

声に耳を傾ける。

 

言葉の意味を考える。

 

なぜ、その人物はそのように振る舞うのかと疑問に思う。

 

それらは、必ずしも恋愛感情に直結するものではない。

 

尊敬、憧れ、親愛、好奇心、そして恋心。

 

他者に惹かれる感情には、さまざまな形がある。

 

スオウがそれらをどのように経験するかは、今後の旅によって変わっていくだろう。

 

重要なのは、彼女が他者との関係を、利用するか破壊するかという二択だけで考えなくなることだ。

 

誰かに惹かれることは、必ずしもその相手に支配されることではない。

 

誰かを大切に思うことも、自分の自由を失うことではない。

 

そのことを、スオウはこれから学んでいく。

 

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# 第五章:七つの大罪と憎しみの関係

 

スオウの精神構造において、七つの大罪は憎しみを消し去るための力ではない。

 

むしろ、それぞれが憎しみと共存する可能性を生み出す。

 

憤怒は、憎しみと結びつきやすい。

 

嫉妬は、憎しみの理由を増やすことがある。

 

傲慢は、自分の憎しみを正当化する材料にもなる。

 

怠惰は、問題から逃げるための口実になりうる。

 

強欲は、失うことへの恐怖を増大させる。

 

暴食は、際限のない欲求へと変わりうる。

 

色欲は、執着や独占欲に変質する可能性を持つ。

 

つまり、七つの大罪を得たからといって、スオウが自動的に善良になるわけではない。

 

むしろ、彼女の内面は以前より複雑になる。

 

憎しみだけで行動していた頃は、目的が単純だった。

 

今は、複数の感情が同時に存在する。

 

憎い。

 

だが、気になる。

 

腹が立つ。

 

だが、失いたくない。

 

理解できない。

 

だが、もっと知りたい。

 

許せない。

 

だが、今すぐ破壊する必要はないのかもしれない。

 

そのような矛盾が、彼女の中に発生する。

 

スオウにとって、これは必ずしも快適な変化ではない。

 

感情が増えたことで、判断に迷うことも増える。

 

何を選んでも、別の感情が不満を訴えることがある。

 

以前なら迷う必要がなかった場面で、立ち止まることもある。

 

それでも、彼女は少しずつ理解していく。

 

矛盾する感情が同時に存在していても、自分が壊れるわけではない。

 

憎しみが残っていても、誰かを大切に思うことはできる。

 

怒りを感じていても、行動を選び直すことはできる。

 

自分の中に欲望が生まれても、それを全て叶える必要はない。

 

**感情が生まれることと、その感情に従うことは、同じではない。**

 

この理解こそが、スオウの変化における最も重要な到達点となる。

 

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# 第六章:能力設定

 

## 1.闇の魔力

 

スオウの基礎となる魔力。

 

深い闇と破壊的な性質を持ち、攻撃、障壁、魔力放出など、多様な用途に使用できる。

 

かつてのスオウは、この魔力を世界の破壊へと集中させていた。

 

現在も、その破壊力自体が失われたわけではない。

 

むしろ、彼女が戦闘能力を維持している以上、闇の魔力は引き続き重要な力であり続ける。

 

ただし、力を使う目的は一つではなくなった。

 

以前は、全てを滅ぼすために力を使っていた。

 

今は、目の前の敵を倒すためにも、危険から身を守るためにも、仲間を助けるためにも使用する可能性がある。

 

力の性質よりも、力を使う理由が変化したのである。

 

## 2.闇の炎

 

闇の魔力を炎として放出する能力。

 

スオウの怒りや憎悪と強く結びついており、感情が激しく高ぶると、炎の勢いも増大する傾向がある。

 

しかし、感情が高ぶれば必ず暴走するというわけではない。

 

旅を続ける中で、スオウは自分の感情と魔力の関係を少しずつ理解していく。

 

怒りを感じたからといって、即座に最大出力を解放する必要はない。

 

破壊する力を持っているからといって、全力で破壊する必要もない。

 

そのような判断ができるようになることが、彼女にとって重要な成長となる。

 

## 3.フレア

 

広範囲に甚大な破壊をもたらす高位の攻撃魔法。

 

スオウは、かつてロアヒカセンに対してゼロ距離でフレアを放つほどの攻撃性と決断力を見せた。

 

その際、インビンシブルによって無敵状態となったロアヒカセンには、攻撃が通用しなかった。

 

さらに、ロアヒカセンはかばうを使用し、スオウ自身が爆発に巻き込まれることを防いだ。

 

この出来事は、スオウにとって単なる戦闘上の敗北ではない。

 

自分が敵だと認識した相手が、攻撃を防ぐだけでなく、自分自身を守るという理解しがたい行動を取ったのである。

 

その経験は、スオウが他者の行動を一つの価値観だけで判断できなくなるきっかけの一つとなる。

 

フレアそのものの威力が失われることはない。

 

しかし、彼女が今後フレアを使用する際には、その威力をどのように扱うのかという問題が生まれる。

 

圧倒的な破壊力を持つことと、それを適切に使用できることは別の問題だからだ。

 

## 4.七つの大罪の刻印

 

ロアヒカセンがアルカディアシステムを掌握し、ヴァーチャ社長の魔力を利用してスオウに与えた、七つの大罪に由来する力の総称。

 

これらは、七種類の独立した攻撃魔法というよりも、スオウの存在そのものに新たな性質を与えるものとして扱う。

 

それぞれの大罪は、精神的な欲求と魔力の性質の両方に影響を与える可能性を持つ。

 

ただし、刻印の具体的な外見や、各能力の数値的な強さについては、現段階では固定しない。

 

重要なのは、これらの力がスオウを自動的に善人へ変えるものではないという点である。

 

刻印は可能性を与える。

 

その可能性をどのように扱うかは、スオウ自身の経験と選択によって変わっていく。

 

## 5.大罪の共鳴

 

七つの大罪が同時に作用することで、スオウの魔力と精神に複合的な変化が生じる可能性がある。

 

例えば、憤怒と傲慢が共鳴すれば、敵を圧倒しようとする意志が強まるかもしれない。

 

強欲と嫉妬が共鳴すれば、失いたくないものや、自分が持っていないものへの執着が強まるかもしれない。

 

暴食と色欲が共鳴すれば、未知のものを知りたい、触れたい、経験したいという欲求が高まる可能性もある。

 

ただし、これは決められた必殺技の一覧ではない。

 

彼女の内面と行動に応じて、異なる形で表面化する可能性を持つということだ。

 

そして、七つの大罪が共鳴したとしても、憎しみが消えるわけではない。

 

むしろ、複数の感情が同時に高まったとき、彼女は自分の中に生じた矛盾を、以前よりも強く意識することになる。

 

## 6.最終能力の本質

 

スオウの最終的な強さは、単純な魔力の増加や、新しい必殺技の獲得だけでは説明できない。

 

かつての彼女は、世界を破壊するという一つの目的に全てを集中させていた。

 

その目的に関しては、極めて強固な意志を持っていた。

 

しかし、目的が一つしかなかったため、その目的が揺らいだとき、彼女には他の道を選ぶための基準が存在しなかった。

 

現在のスオウは、憎しみ以外の感情と欲求を知り始めている。

 

そのため、戦闘においても、単純な破壊だけではない判断を行える可能性が生まれる。

 

何を守るのか。

 

何を優先するのか。

 

どこまで戦うのか。

 

どこで退くのか。

 

何を失いたくないのか。

 

これらの判断は、純粋な魔力の大きさだけでは決まらない。

 

彼女が何を経験し、何を大切だと感じるようになったのかによって変わっていく。

 

したがって、最終的なスオウの能力を一言で表すならば、それは単なる破壊力の増大ではない。

 

**自分の力を、破壊以外の目的にも使用できる可能性を獲得したこと。**

 

それこそが、彼女にとって最も重要な変化なのである。

 

---

 

# 第七章:ゼロムスとの関係

 

## 1.信仰と帰依の残滓

 

スオウは、ゼロムスの威光のもとに全てを滅ぼそうとしていた。

 

その目的は、彼女の人生における最終的な到達点だった。

 

したがって、アルカディアで敗北し、ロアヒカセンによって新しい可能性を与えられたからといって、その関係が自動的に消滅するわけではない。

 

彼女の中には、依然としてゼロムスに結びついた思想や目的の残滓が存在する。

 

それらが信仰なのか、誓約なのか、使命感なのか、あるいは自分の過去を正当化するための支柱なのか。

 

その全てが、現在のスオウにとって明確になっているわけではない。

 

彼女自身も、自分がゼロムスをどのように思っているのか、すぐには答えられないだろう。

 

## 2.新しい人生との矛盾

 

アリスとの旅は、かつての目的と相反するものを多く含んでいる。

 

世界を滅ぼすために進むのではなく、世界を知るために進む。

 

何かを破壊するために他者と関わるのではなく、必要があれば協力し、時には助けられながら旅を続ける。

 

全てを無へ帰すために力を求めるのではなく、自分が何を望んでいるのかを知るために経験を重ねる。

 

これらは、かつてのスオウの生き方とは根本的に異なる。

 

だからこそ、彼女は時として、自分が何をしているのか分からなくなる。

 

なぜ、こんなことをしているのか。

 

なぜ、こんな場所にいるのか。

 

なぜ、自分はまだ生きているのか。

 

そうした疑問が生まれることもあるだろう。

 

しかし、その疑問に答えられないからといって、以前の目的へ戻る必要はない。

 

今の彼女は、そのことをまだ十分に理解していない。

 

## 3.ゼロムスを否定することが最終目的ではない

 

このIFルートにおいて、スオウの物語を単純な反逆の物語にする必要はない。

 

彼女がゼロムスを否定し、かつての信念を全て捨て去ることだけが、成長の証拠ではないからだ。

 

重要なのは、彼女が自分の人生について、自分自身で判断する機会を得ることにある。

 

ゼロムスをどう思うのか。

 

かつての目的をどう評価するのか。

 

自分が行ったことに、どのような責任を負うのか。

 

そして、これから何をするのか。

 

そうした問いに対して、彼女自身が答えを出せるようになること。

 

それが、スオウの物語における重要な課題となる。

 

彼女が最終的に何を選ぶのかは、現段階では確定させない。

 

その選択こそが、彼女がこれから生きていく中で見つけるべきものだからである。

 

---

 

# 第八章:アリスとの関係

 

## 1.理解不能な同行者

 

アリスは、スオウにとって理解しがたい存在である。

 

あまりにも明るい。

 

あまりにも前向きである。

 

あまりにも自由である。

 

そして、何よりも、スオウが常識だと考えていることを平然と覆してくる。

 

運賃を払うか、運転手を殴るか。

 

善と悪を自由にする冒険。

 

世界を好き勝手に楽しむという発想。

 

スオウにとって、それらは理屈の通らない言葉ばかりだ。

 

しかし、アリスには悪意がない。

 

少なくとも、スオウを苦しめること自体を目的として行動しているわけではない。

 

彼女は本気で、スオウと一緒に冒険することを楽しみにしている。

 

スオウが何者だったのか。

 

どのような目的を持っていたのか。

 

どれほど危険な存在だったのか。

 

それらを知ったうえで、あるいは十分に理解しないまま、アリスは彼女を旅の同行者として扱う。

 

それは、スオウにとって奇妙な経験となる。

 

自分が何をしたのかではなく、これから何をするのかを前提として接してくる相手。

 

自分の過去だけを見て、未来まで決めつけようとしない相手。

 

それが、アリスである。

 

## 2.保護者ではなく、同行者

 

アリスは、スオウを一方的に導く教師ではない。

 

スオウの問題を全て解決する賢者でもない。

 

そして、スオウの行動を常に正しい方向へ修正できる存在でもない。

 

むしろ、アリス自身が問題を起こすこともある。

 

突飛な発想で周囲を振り回し、常識外れの判断を下し、時にはスオウに余計な苦労をさせることもあるだろう。

 

そのため、スオウはアリスに振り回される。

 

怒る。

 

呆れる。

 

文句を言う。

 

時には本気で置いていこうと考える。

 

しかし、旅が続くにつれて、彼女はアリスが単なる厄介者ではないことを知っていく。

 

アリスには、アリスなりの世界の見方がある。

 

物事を善と悪だけで単純に分類するのではなく、何が起きるのか分からないからこそ、まず経験してみようとする姿勢がある。

 

それは、スオウの生き方とは正反対だ。

 

かつてのスオウは、世界を理解するより先に、世界を否定していた。

 

アリスは、世界を完全に理解していなくても、その中へ飛び込んでいく。

 

その姿勢は、スオウにとって理解できないものでありながら、次第に無視できないものになっていく。

 

## 3.アリスがスオウに与えるもの

 

アリスは、スオウに生きる意味を説かない。

 

憎しみを捨てろとも言わない。

 

過去を忘れろとも言わない。

 

彼女がスオウに与えるのは、もっと単純なものだ。

 

次の目的地。

 

次に遭遇する出来事。

 

次に食べる料理。

 

次に解決しなければならない問題。

 

そして、次の日も続いていく旅。

 

スオウが人生の結論を出す前に、次の一日がやってくる。

 

それは、かつての彼女には存在しなかった感覚である。

 

以前の彼女は、全てを破壊するという結論に向かって生きていた。

 

現在の彼女は、明日何が起きるのかを知らない。

 

それでも、アリスが隣にいる。

 

その事実が、彼女の人生に新しい時間の流れを生み出していく。

 

彼女は、アリスのことを友人だとすぐには認めないかもしれない。

 

仲間だと呼ぶことさえ、しばらくは拒むかもしれない。

 

しかし、アリスが危険に陥ったとき、スオウが反射的に助けようとするようになったなら。

 

それは、彼女が自分以外の誰かを、単なる破壊の対象でも、利用するための道具でもない存在として認識し始めたということだ。

 

そして、その変化は、誰かに命じられて起こるものではない。

 

スオウ自身の経験によって、少しずつ形作られていく。

 

---

 

# 第九章:性格の変化と日常

 

## 1.基本的な気質

 

最終的なスオウは、明るく社交的な人物に変化するわけではない。

 

彼女の基本的な気質には、依然として鋭さが残る。

 

言葉遣いは辛辣で、理解できないものに対しては容赦なく疑問を投げかける。

 

不合理なことを押しつけられれば反発する。

 

自分の考えを簡単に曲げることもない。

 

また、自分の過去について軽々しく語ることもないだろう。

 

彼女は、自分が変化したからといって、以前の自分を簡単に切り離せるわけではない。

 

それでも、以前と異なる点がある。

 

他者の考えを聞く余地が生まれたこと。

 

自分の判断が間違っている可能性を、完全には否定しなくなったこと。

 

そして、目の前の出来事を、全て破壊という結論へ結びつけなくなったこと。

 

これらの変化は、日常の小さな場面で表れる。

 

## 2.食事

 

旅先で食事をするとき、スオウは最初から楽しそうに振る舞うわけではない。

 

知らない料理を前にすれば、警戒することもある。

 

アリスが奇妙な食材を持ってきたなら、まず疑うだろう。

 

しかし、一口食べてみる。

 

そして、意外にも悪くない味だった場合、彼女はしばらく黙る。

 

「……まあ、食べられないほどではないな」

 

それが彼女なりの高評価である。

 

アリスが「おいしいですね!」と喜べば、スオウは「お前の味覚は信用できん」と返すかもしれない。

 

だが、皿が空になっていれば、言葉よりも正直な答えがそこにある。

 

食事は、彼女にとって単なる生存のための行為ではなくなっていく。

 

未知のものを経験すること。

 

誰かと同じ時間を過ごすこと。

 

次に何を食べようかと考えること。

 

そうした小さな出来事が、彼女の人生の中に残り始める。

 

## 3.休息

 

スオウは、休むことに慣れていない。

 

何もしない時間があると、かえって落ち着かなくなることもある。

 

何かをするべきではないのか。

 

今、この時間を費やす意味はあるのか。

 

そうした疑問が浮かぶこともあるだろう。

 

しかし、旅を続けるうちに、彼女は少しずつ休息を受け入れるようになる。

 

宿の窓から外を眺める。

 

焚き火の前で、アリスの話を聞く。

 

誰もいない場所で、ただ静かに過ごす。

 

それらは、以前のスオウにとって、目的のない無駄な時間だった。

 

今の彼女にとっても、必ずしも好きな時間とは限らない。

 

それでも、休息を取ったからといって、自分の存在意義が失われるわけではないことを知っていく。

 

## 4.他者との会話

 

スオウは、他者に対して無条件に優しくなるわけではない。

 

相手の言葉を疑うこともある。

 

不愉快な態度を取られれば、反発することもある。

 

しかし、以前のように、他者を知ること自体を無意味だと考えるわけではなくなっていく。

 

相手がなぜそのように振る舞うのか。

 

何を望んでいるのか。

 

何を恐れているのか。

 

そうしたことを、必要に応じて考えるようになる。

 

そして、時には、自分とは異なる価値観を持つ相手の言葉を聞いたうえで、すぐには答えを出さないこともある。

 

これは、彼女にとって大きな変化である。

 

以前の彼女は、世界を破壊するという結論を持っていた。

 

現在の彼女は、結論を保留することを覚え始めている。

 

---

 

# 第十章:戦闘における最終的な姿

 

## 1.憎しみの魔女としての戦い

 

スオウは、戦闘能力を失ってはいない。

 

むしろ、かつての破壊的な力と、七つの大罪によって与えられた可能性を併せ持つ、危険な存在であり続ける。

 

戦闘が始まれば、彼女の表情から日常の困惑が消えることもある。

 

敵の動きを見極める。

 

魔力の流れを読む。

 

攻撃の性質を判断する。

 

そして、必要な力を使用する。

 

その判断に迷いがない場面も多いだろう。

 

彼女は、かつて世界を滅ぼそうとしていた存在なのだ。

 

戦い方そのものが、簡単に消えるわけではない。

 

しかし、戦闘における変化は、敵を倒すこと以外の選択肢が生まれた点にある。

 

敵を倒す必要があるのか。

 

相手を無力化するだけでよいのか。

 

仲間を守ることを優先すべきか。

 

撤退することが最善なのか。

 

そうした判断を、状況に応じて行える可能性がある。

 

## 2.守ることへの戸惑い

 

スオウにとって、他者を守るという行為は、かつての目的とは相容れないものだった。

 

世界を破壊する者が、その世界の一部を守る。

 

全てを滅ぼそうとする者が、特定の誰かの生存を優先する。

 

それは、彼女自身の過去の思想と矛盾する。

 

だからこそ、最初のうちは、誰かを助けたとしても、その理由を認めたがらないだろう。

 

「邪魔だったから排除しただけだ」

 

「そいつが死ぬと面倒だから助けただけだ」

 

「別に、お前のためにやったわけではない」

 

そうした言葉で、自分の行動を説明しようとする。

 

しかし、同じことを何度も繰り返すうちに、その説明だけでは足りなくなる。

 

なぜ、自分は危険を冒したのか。

 

なぜ、助ける必要があると判断したのか。

 

その問いに対して、彼女は少しずつ自分自身の答えを探していく。

 

## 3.憎しみが再燃したとき

 

最終的なスオウも、憎しみに飲み込まれる可能性を持つ。

 

過去の記憶を刺激されたとき。

 

自分が許せないものを目の当たりにしたとき。

 

あるいは、アリスや旅先で出会った誰かが、取り返しのつかない危険にさらされたとき。

 

その瞬間、彼女の中に眠る憎悪が再び強く燃え上がることがある。

 

闇の炎が噴き上がり、破壊衝動が強まり、かつてのスオウに近い状態へ戻る可能性もある。

 

しかし、現在の彼女には、かつて存在しなかったものがある。

 

憎しみ以外の記憶である。

 

自分が経験した日常。

 

アリスとの会話。

 

旅先で出会った人々。

 

自分が守ろうとしたもの。

 

自分が手放したくないと感じたもの。

 

そうした記憶が、憎しみと同時に存在している。

 

それらは、必ずしも彼女を即座に落ち着かせるわけではない。

 

それでも、憎しみが全てを支配しようとしたとき、彼女には別の判断をするための可能性が残されている。

 

それこそが、ロアヒカセンによって与えられた変化の本質である。

 

---

 

# 第十一章:物語における弱点

 

## 1.感情の扱いに慣れていない

 

スオウは、憎しみを長く抱えてきた。

 

その一方で、それ以外の感情をどのように扱えばよいのかについては、経験が不足している。

 

そのため、自分の中に新しい感情が生まれたとき、それを正確に理解できないことがある。

 

嫉妬を怒りだと誤解する。

 

寂しさを苛立ちだと思い込む。

 

好意を警戒心だと解釈する。

 

不安を、相手への不信感として表現する。

 

そうしたことが起こりうる。

 

彼女は、自分の感情を全て理解できるほど器用な人物ではない。

 

むしろ、理解できない感情に直面すると、以前の考え方へ逃げ込もうとすることもあるだろう。

 

## 2.過去への責任

 

スオウは、憎しみから生まれた行動を、全て過去の自分の問題として切り捨てることはできない。

 

彼女が何かを破壊し、誰かを傷つけ、世界に危険をもたらしたのなら、その結果は残る。

 

彼女が変わったからといって、被害が自動的に消えるわけではない。

 

そして、被害を受けた者が、彼女の変化を受け入れなければならない理由もない。

 

そのことは、今後の物語において重要な意味を持つ。

 

スオウは、自分が変わり始めたことを理由に、過去を帳消しにすることはできない。

 

必要ならば、謝罪しなければならない。

 

必要ならば、償わなければならない。

 

それでも、全ての相手が彼女を許してくれるとは限らない。

 

彼女は、その現実と向き合う必要がある。

 

## 3.自分の存在意義を見失う危険

 

スオウは、長い間、破壊という目的を人生の中心に置いてきた。

 

その目的が揺らいだことで、彼女は新しい可能性を得た。

 

しかし、同時に、自分が何のために生きているのか分からなくなる危険も抱えている。

 

以前は、何をすべきかが明確だった。

 

全てを滅ぼす。

 

それだけでよかった。

 

現在は、何を望んでいるのかを自分自身で考えなければならない。

 

これは、自由であると同時に、負担でもある。

 

選択肢が増えたからといって、すぐに正しい答えが見つかるわけではない。

 

スオウは、時に迷い、立ち止まり、何も選べなくなることもあるだろう。

 

その状態を、彼女は弱さだと考えるかもしれない。

 

しかし、迷うことができるというのは、以前には存在しなかった変化でもある。

 

---

 

# 第十二章:最終的な人物像

 

最終的なスオウは、善人ではない。

 

悪人であることを誇り続ける存在でもない。

 

彼女は、かつて自分が信じていた目的を完全には捨てきれず、しかし、その目的だけでは生きられなくなった存在である。

 

憎しみは残っている。

 

怒りもある。

 

他者を許せない気持ちもある。

 

自分の過去を正当化したいという欲求が、完全に消え去るわけでもない。

 

しかし、それらの感情と同時に、別のものも存在するようになった。

 

好奇心。

 

欲望。

 

戸惑い。

 

安堵。

 

親愛。

 

そして、まだ名前をつけられない感情。

 

彼女は、それらを上手に扱うことができない。

 

自分が何を望んでいるのか、すぐには分からない。

 

何かを大切に思ったとしても、それを素直に認めることができない。

 

誰かを助けたとしても、その理由をうまく説明できない。

 

それでも、彼女は旅を続ける。

 

アリスに振り回されながら。

 

世界の理不尽に文句を言いながら。

 

時には怒り、時には失敗し、時には過去の自分へ戻りそうになりながら。

 

それでも、次の日を迎える。

 

その姿は、かつてのスオウとは異なる。

 

かつての彼女は、全てを終わらせるために生きていた。

 

現在の彼女は、何が始まるのか分からないまま生きている。

 

そして、その違いこそが、彼女の最終的な姿を決定づける。

 

---

 

# 第十三章:スオウの最終設定・要約

 

**最終形態名:憎しみの魔女スオウ――未完の旅人**

 

この名称は、戦闘時の変身形態を意味するものではない。

 

彼女が物語の中で到達した、精神的・存在的な状態を表す呼称である。

 

スオウは、ロアヒカセンによって七つの大罪に触れさせられたことで、憎しみ以外の感情と欲求を知る可能性を得た。

 

しかし、それによって憎しみが消滅したわけではない。

 

彼女は依然として闇の魔力と炎を操り、かつての破壊的な力を保持している。

 

ゼロムスとの関係も、過去の行動に対する責任も、全てが解決したわけではない。

 

彼女は、善人になったのではない。

 

許されたのでもない。

 

完成された存在になったのでもない。

 

ただ、自分の人生を憎しみだけで定義することができなくなった。

 

七つの大罪は、彼女に新しい欲求と矛盾をもたらした。

 

憎しみと好意。

 

怒りと安堵。

 

破壊衝動と保護欲。

 

孤独への慣れと、誰かを失いたくないという感情。

 

そうした矛盾が同時に存在することで、彼女は初めて、自分自身の選択によって未来を変える可能性を得たのである。

 

アリスとの旅は、その可能性を経験へと変えていくための時間となる。

 

旅先で出会う人々。

 

初めて食べる料理。

 

理解できない文化。

 

予想外の出来事。

 

失敗と後悔。

 

小さな喜びと、名前のつけられない感情。

 

それらを経験することで、彼女は少しずつ、自分が何を望んでいるのかを知っていく。

 

その道のりは、決して平坦ではない。

 

彼女は何度も迷うだろう。

 

時には憎しみに戻ることもあるだろう。

 

過去の自分を否定できず、未来の自分を信じられない夜もあるだろう。

 

それでも、彼女には明日がある。

 

全てを破壊するための明日ではない。

 

何者かになるためだけの明日でもない。

 

ただ、何が起きるのか分からない明日である。

 

それこそが、かつてのスオウには存在しなかったものだ。

 

**彼女の最終的な姿とは、憎しみを克服した者ではない。憎しみを抱えたまま、それ以外の人生を選べるようになり始めた者である。**

 

そして、彼女はまだ、その人生の答えを知らない。

 

知らないからこそ、歩き続ける。

 

アリスと共に。

 

偽物の光と闇が与えた、偽物の救済から始まる旅を。

 

これは、マイナスからゼロへ戻る物語。

 

世界を救うための物語ではない。

 

過去を帳消しにするための物語でもない。

 

一人の魔女が、自分自身の人生を取り戻すための物語である。

 

**――憎しみの魔女スオウ。彼女はまだ、何者でもない。だからこそ、これから何者にでもなれる。**

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