アトリエ人狼   作:綾海しろ

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アトリエ人狼:五日目の昼時間

【ネビュラ(GM)】

「朝になりました! 昨晩人狼に襲撃されたのは……マリスベルでした! って訳でマリスベルはもう墓下に一足先に行っちゃったので、今日も村人たちは広場に集まり、最も疑わしいべき人を一人投票で決め処刑する事にしました。村人たちはお互いを信じあい、力を合わせて人狼を探し出しましょう! 五日目、昼会議スタート!」

 

 

―― 【五日目・昼】議論開始 ――

 

 

【エイト】

「この村で人狼騒動が起きて5日目。ついにマリスベルも襲撃され、占い結果も霊媒結果も以後落ちる事はない。これからは村人たちの正真正銘殴り合いだ」

 

【あかすみ】

「とは言え狼は既に2人落ちている上に、騎士である俺ちゃんも残ってます。村有利に違いはないですよ皆さん!」

 

【エイト】

「そろそろお互いの目で人狼がはっきりしてきた頃だろう。今日は村人たちの話を聞きたい」

 

【アヤミ】

「そうね。今朝マリスベルが襲撃されたことで、あたし視点での狼ははっきりした。狼に襲撃されたマリスベルは人間確定。そして狼側だと自ら認めて処刑されたスズは偽占い師。だからマリスベルが本物の占い師だと確定。そのマリスベルに昨日占われて人間判定されてるジェラルドさんは人間確定。つまりあたしの目から見てもう、最後の狼はラーヒーさんしかいない……!」

 

【ラーヒー】

「奇遇ですねぇ、私も投票や襲撃を見た上で、最後の人狼はアヤミさん以外ありえない……と確信しました。真占い師であるマリスベルさんに人間判定を出されているエイトさん、ジェラルドさんは人間です。これは間違いありません。そして確定狼として吊られていった櫂君、スズさんは人狼側です。アヤミさんか騎士二人のうちのどちらかの中に人狼側が2人いらっしゃる形になります。しかし偽占い師であるスズさんを庇っていた紫季さんは、ほぼ間違いなく偽騎士でしょう。紫季さんはマリスベルさんとスズさん両方から人間判定されていますからね。狂人である事は確定です。そうなれば自動的にあかすみさんは真騎士。残ったのは人狼であるアヤミさんのみ」

 

【アヤミ】

「……どちらの目から見ても、あたしかラーヒーがラストウルフって事になるわけね」

 

【ラーヒー】

「その通りですよ。ククク、分かりやすくてよいではありませんか」

 

【ジェラルド】

「怖っ……なんでこの状況でラーヒーは笑ってられんだよ!」

 

【ラーヒー】

「おかしいですか? 人狼が誰かはっきりとした今、自分の手で人狼を追い詰める事ができる事を私は嬉しく思いますよ。最後まで誰が人狼かわからないままゲームを終える事のほうが、私にとってはしんどい事ですからねぇ」

 

【ジェラルド】

「確かにな……」

 

【エイト】

「それでは私とジェラルドは、ラーヒーとアヤミの中からどちらが人狼かを見つけ出さねばならないんだな……」

 

【ジェラルド】

「これ以上占いも霊媒の結果も出ない、何のヒントもない状態で最後の狼探すのかよ……難しすぎるぜ」

 

【アヤミ】

「他にヒントがあったとして、人間確定しているエイトとジェラルドに納得してもらえるものを探すのは難しいわ。でもあたしはやらなきゃいけない。だから人狼確定で吊られていった櫂君の動きを中心に思い返してみる事にするわ。あたしはスズが人狼だと思ってるけど、他の人の目から見た時にスズは一応、もしかしたら狂人目で追う事もできるかもしれないから。櫂君ならそれがないでしょ?」

 

【エイト】

「確かに櫂は誰の目から見ても人狼だと結論が出てる。櫂まわりからラストウルフを探すヒントが見つけられれば、少なくとも私は納得できるかもしれないな」

 

【アヤミ】

「オッケー。じゃあそこで少し考えてみる」

 

【ラーヒー】

「でしたらアヤミさんが考えをまとめていらっしゃる間に、私のほうから櫂君まわりのお話をさせて下さい。櫂君が処刑されたのは三日目の決戦弁明後。この村の状態は、もし狼を処刑できない状態で朝を迎えれば、騎士が護衛成功しない限り、村人が負けてしまうかもしれないという危機的状況に立たされていました。ですが狼の襲撃が通ったにも関わらず村は存続し、パワープレイ宣言も起こらなかった。以上の事により、誰の目から見ても櫂君は人狼だという事が明るみとなりました。……ここまではよろしいですか?」

 

【ジェラルド】

「問題ないぜ」

 

【ラーヒー】

「では村の転機となったのはどう考えても三日目の投票時間です。ここでもし仮に人狼が処刑されなければ、どうなっていたでしょうか?」

 

【エイト】

「……人狼の数は減らないまま、襲撃で村人を一人失う。つまりそれは村の敗北を意味するな」

 

【ラーヒー】

「その通りです。狼達はおそらく、なんとしても人狼を吊られたくなかったはずです。あの時、人狼である櫂君に投票したのは確定霊媒師であった毛玉、そして占い師たちから人間判定を受けているエイトさん、そしてアヤミさんの三人です」

 

【アヤミ】

「そうよ! あたしはあの時、櫂君に最初の票を入れたわ! あたしが櫂君を吊りたくなかったはずの人狼だとしたら、そんな事をする理由がないわよね?」

 

【ジェラルド】

「おー! たしかに! って事はラーヒー! お前が最後の人狼か……!」

 

【エイト】

「待つんだジェラルド。ラーヒーの話はまだ終わっていない。そうだろう?」

 

【ラーヒー】

「ええ。確かにアヤミさんはあの時、櫂君への最初の一票を投じました。しかしよく思い出してみて下さい。私はアヤミさんの前に投票権を持ち、その際にこう言ったはずです。騎士を吊らずにいったん保護するのであればという前提で、私はあかすみさんへ一票を投じましたが、これは票を分散する為だと。本来ならできればグレーから吊りたかったのは私も同じです。ですが残りの票数的にそれは厳しいかもしれない。だからひとまず票を分散させて、決戦弁明を聞きましょう、と。私の後にはまだアヤミさん、ジェラルドさん、エイトさんの3人が残っていましたから、人間である可能性が高かった三人がまとめてどこかに票を入れて違う人を吊るというのなら、私はそれでもいい。そういうお願いをしたんです」

 

【エイト】

「確かにラーヒーがそのような事を言っていた記憶は私もある。……そうなってくると、確かに少しは話が変わってくるな」

 

【ジェラルド】

「なんでだよ? ラーヒーは櫂に投票してねぇし、櫂への投票の切っ掛けを作ったのはアヤミじゃんか」

 

【エイト】

「ぱっと見はな。だが三日目の投票時、最初に誰が吊られそうだったか思いだしてみるんだ」

 

【ジェラルド】

「最初に吊られそうだったのは……スズちゃんか?」

 

【エイト】

「そうだ。あの流れでは最初に吊られそうだったのはスズだったはずだ。それを庇う為に紫季が騎士だと言い出し、それは間違いだと正すためにあかすみが出てきた。だがあの時ラーヒーは既に、スズに疑いを向けられていたんだ。ラーヒーの立場からすれば、スズが吊られそうになっているなら、そこでわざわざ吊り先を変えるような事を言う必要はない。仮に人狼であるならなおさらだ。スズが人狼だと明るみに出た際に、仲間の人狼が吊り先を変えに出てきたんだろうとこのように疑われてしまう」

 

【ラーヒー】

「その通りです。私の立場からすれば、本当はあの場でスズさんを吊り切ってしまってもよかった。それでもそうしなかったのは、少しでも騎士の保護と、占い師の真贋の見極めを行う機会を得たかったからです。決戦弁明を聞きたいと願った理由はそこにあります。村人には誰が人狼かわかりません。どこかから情報を得て推測する事でしか、狼を探し出すことはできません。例えこの身を疑われる事になろうとも――私のこの考え方こそが、村人である証明です」

 

【アヤミ】

「……なんか無理やりな事言ってない? ラーヒーが狼だとわかっているあたしからしてみれば、狼であるスズが吊られそうになってるから、その仲間であるラーヒーがなんとか別の方に投票を向けて、無理やりスズ吊りを回避したかったようにしか見えないわ。それに狼である櫂君に最初に投票したのもあたしよ。あたしと櫂君はこの投票から完全に切れてるわ。違う?」

 

【ラーヒー】

「そうですね、確かに櫂君への投票はそう見えるかもしれません。ですが角度を少し変えて考えてみて下さい。確かに私は櫂君に対して、直接的な投票はしていません。ですがそれは決戦弁明を聞くためにあえて票を分散する為です。しかしあの日の投票時、私と違ってアヤミさんは既にスズさんに対して人狼だと思うという、かなり強めの確信めいた推理を残しています。ならば私の発言を無視して、そのままスズさんに投票することができたはずです。違いますか? ――しかしアヤミさんはそうはしなかった。私が票を変えたのがスズさん吊りを回避しようとしていたというのなら、それはアヤミさんも同じではありませんか? いえ、アヤミさんのほうがよりスズさんが狼だと確信めいたものを抱いていたはずです。……なのにまだ一票も入っていなかった櫂君へと票を変え、スズさんを吊り切らなかったのはなぜでしょう?」

 

【アヤミ】

「それは……っ。ラーヒーと同じよ。決戦にしてあたしも話を聞きたかったから。あの時あたしが櫂君に票を入れたのは、スズとのつながりも深いし、次に吊るならここかなって思ったから、だから票を入れたのよ」

 

【ラーヒー】

「そうですか……私はそれを否定はしません。あとは確定白のお二人がどう感じるかにお任せしましょう」

 

【ジェラルド】

「…………」

 

【エイト】

「ジェラルド、何を考えている?」

 

【ジェラルド】

「いや……なんでもねぇ。ちょっとこの二人のやり取りを聞いてて、またなんか変な気分になってよ……前にも感じたんだが、なんだこの不思議な感覚」

 

【ラーヒー】

「……何か私たちのやり取りに、おかしなことがありましたか?」

 

【アヤミ】

「あったのなら教えてほしいわ。もしかしたらちゃんと説明できることかもしれないしね」

 

【ジェラルド】

「いやぁ……さっきから、さ。二人のやり取り聞くたびに「櫂君、櫂君」っていうの聞いて、妙にムズムズしてるんだよ、俺」

 

【エイト】

「櫂……? その呼び方に、何か問題が?」

 

【ジェラルド】

「ただの性格的なもんだとは思うんだけどよ、ラーヒーとアヤミのうち、どっちかは必ず人間なわけだろ? にしては狼である櫂に対して二人とも「櫂君、櫂君」って言ってんのが、妙に馴れ馴れしいというか、なんていうか……」

 

【アヤミ】

「何もおかしくはないはずよ……? だって櫂君、あたし達より年下だもの」

 

【ラーヒー】

「はい。ですからなんとなく雰囲気で、櫂君……とお呼びしていましたが」

 

【ジェラルド】

「あ~~そうだよなあ………別に変じゃないってのはわかってる。わかってるんだが、なんか上手く言えねぇー!」

 

【エイト】

「まさかジェラルド、この期に及んでラーヒーとアヤミ二人とも狼だなんて、そんなことを言い出しはしないよな……?」

 

【ジェラルド】

「……正直ちょっとだけそれも考えちまった」

 

【アヤミ】

「なっ……!?」

 

【ラーヒー】

「まさかその可能性からつぶさなくてはならない感じですか……?」

 

【アヤミ】

「もうすぐ日が暮れるわよ!?」

 

【あかすみ】

「はぁ~やれやれ。オバカさんなジェラルドに一言言っておきましょう。仮にラーヒーとアヤミで二狼なら、櫂とスズを合わせたら人狼側四人、全員露呈してる事になるんだが。その上で紫季と俺ちゃんどっちかも人狼勢だと考えたら、人狼側五人になるぜ。スズと一緒の初歩的な間違いをまさか村側でする奴がいるなんて……いくら俺ちゃんでも考えたくありませんよ、ええ」

 

【ジェラルド】

「夕暮れぎりぎりにバカな事言って本当にすまねぇ……!」

 

【エイト】

「とりあえず今日は紫季を吊り、狼の襲撃に備えよう。私とジェラルドかあかすみ、誰かが襲撃される事になる。おそらく明日が最終日だ。生き延びたメンバーで明日、もう一度状況を整理する」

 

【ネビュラ(GM)】

「はい。という訳で議論終了~! 投票に移るよ!」

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