アトリエ人狼   作:綾海しろ

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アトリエ人狼:二日目の昼時間

【ネビュラ(GM)】

「朝になると、あたしことネビュラが無残な姿で村で発見されました。やはりこの村には人狼がいたのです。村長であるアザラシは村人全員を広場に集めて言いました。――という訳ではいアザラシさん、一言どうぞ」

 

【アザラシ】

「狼ども出てこいや! 村総出でとっちめるで!」

 

【ネビュラ】

「――という訳で、村人たちは毎日昼になると広場に集まり、最も疑わしいべき人を一人投票で決め処刑する事にしました。しかしただ闇雲に投票を行っても間違えて人間を吊るしてしまいます。それでは人狼たちの思うつぼです。でもこの村は古くからの言い伝えがあります。人狼襲来という危機が訪れた時、村の窮地を救うために「占い師」「霊媒師」「騎士」の魂を持つ能力者達が目覚めるという言い伝えが……! ただし目覚める能力者は彼らだけではありません。「狂人」という人狼の味方をする存在も、同時にこの村に目覚めてしまうのです。この言い伝えを思い出した村人たちは、力を合わせて人狼たちに立ち向かう事を決めました。一人では太刀打ちできない人狼も、みんなでなら退治できます。狂人という見えない存在に怯えながら、村人たちはお互いを信じあい、力を合わせて人狼を探し出しましょう! それじゃあ二日目、昼会議スタート!」

 

 

―― 【二日目・昼】 議 論 開 始 ――

 

 

【アザラシ】

「始まったで! 狼、はよ出てこいや!」

 

【櫂】

「出てこいって言って、出てくる狼なんていませんよアザラシさん」

 

【アザラシ】

「わかっとるわ櫂、様式美っちゅうやつや様式美」

 

【櫂】

「本気で言ってた訳じゃないんスか……ならいいんスけど。じゃあ、とりあえずどうします?」

 

【アヤミ】

「ひとまず占い師が一人、村人か人狼かの結果を持ってるワケじゃない。だからまずは占い師に出てもらったらいいんじゃないの?」

 

【美咲】

「占い結果から何か見えてくることがあるかもしれないもんね。人狼ゲームの定石としても、初日は一名村側の能力者に出てもらって舵を取ってもらうのがいいって、聞いた事があるよ」

 

【エイト】

「しかし占い結果は貴重なものだろう? 闇雲に占い師を矢面に出してしまえば人狼から襲撃を受けてしまう」

 

【マリスベル】

「そうよ、危ないじゃない!」

 

【紫季】

「その為に騎士がいるんだろう。騎士は毎晩一人、誰かを狼の襲撃から護ることができる。仮に占い師だと名乗り出たものが一名で確定したとしても、今日の夜はまだ騎士の護衛をもらえるから明日、占い結果を残すことができる。その代わり、騎士はその存在が明るみに出れば真っ先に人狼に狙われてしまうだろうがな」

 

【アザラシ】

「せやな。でも騎士はんの命と占いはんの命なら、当然占い師のほうが命重いやろ。なんせ人狼を見つけ出せる能力は占いはんしかおらへん。騎士はんには名誉ある死を遂げてもろて、ここはいっちょ占いに頑張ってもらおうや!」

 

【紫季】

「俺もそれがいいと思う。そもそも占い師に潜伏したまま死なれても困るからな。それこそ狼が占い師のポジションを乗っ取って村が破滅へと向かってしまうぞ」

 

【ラーヒー】

「それもそうですねぇ。それに何も情報がないままだと、いよいよ当てずっぽうで初回の投票を行はなくてはなりません。それでは狼の数を減らせる貴重な一票をドブに捨てるようなものです。それならば多少の犠牲を強いた上で、皆の情報を更新させていくほうがいいのではないかと」

 

【ジェラルド】

「俺も占い師が出ることに賛成。今のままだと情報がなさ過ぎて、間違って人間吊るしちやいそうでそっちのほうが怖いからな! それに間違って吊ったのが女の子だったら可哀そうじゃんか」

 

【ラーヒー】

「男性だとか女性だとかは、あまり関係ない気もしますけどねぇ」

 

【ジェラルド】

「俺にとっては大事なんだよ!」

 

【スズ】

「……見たところ、占い師が出ることに賛成の人が多そうだから出るね。わたしが占い師だよ。エイトは人間」

 

【エイト】

「私を占ったのか。そして結果は人間、と」

 

【スズ】

「うん」

 

【マリスベル】

「まちなさい! その女が言ってることはデマよ! 本物はわたし! スズは偽物よ!」

 

【エイト】

「マリスベル? お前もまさか占い師か?」

 

【マリスベル】

「そうよ、わたしが本物の占い師。初日はエイトを占って人間判定だったわ。狼が見つかるまで潜伏してたかったのに、なんでみんなして占い師を表に出そうとするのよ……! 頭きちゃう!」

 

【アザラシ】

「ファーwww これはおもろい事になってきよったで。まさか占い二人そっから出るんか! バッチバチになる事間違いなしやんけ!」

 

【アヤミ】

「他に我こそは占い師だって人、もう居ない? 締め切るわよ?」

 

【美咲】

「……いないみたいですね。スズさんとマリスベルさんの二人で確定かな」

 

【ラーヒー】

「そうですね。そのうち片方は偽物……と。人狼なのか、はたまた狂人なのか……さて」

 

【紫季】

「とりあえず二人とも、エイトに人間結果なんだな。という事はエイトは確定村人。あるとしても狂人までか」

 

【アザラシ】

「本物も偽物も人間ちゅうてる事はそうなるやろなぁ。はっつぁんはお気の毒やで、狼はんのお弁当筆頭候補や!」

 

【櫂】

「お弁当……? って何スか?」

 

【エイト】

「夜時間、襲撃で狙われやすいという事さ。人間確定してしまった私には、狼は濡れ衣を着せる事ができないからな。村に居ても狼の隠れ蓑にもならないから、夜に食ってしまえばいいという考えになるんだろう」

 

【櫂】

「なるほど、それでエイトさんがお弁当」

 

【エイト】

「らしいな」

 

【アザラシ】

「南無南無やでほんま」

 

【ジェラルド】

「とりあえずスズちゃんとマリスベルちゃんに質問! なんで初日の占い先をそこに使おうと思ったかだけは聞きたい!」

 

【ラーヒー】

「これはいい質問ですね。私も気になります。よろしければ是非」

 

【スズ】

「占い先にエイトを選んだ理由は、初日は何も情報がない状態だから狼に目星をつけて占うのが難しかったから……かな。だから自分が最も信頼できそうな人を占おうと思ったの。それで紫季とエイトで迷って、とりあえずエイトから占ったよ。人間であれば頼りになるし、狼だったとしたら占わないままいたら騙されてしまいそうと思ったから……かな」

 

【ラーヒー】

「なるほど、なかなか説得力がありますねぇ」

 

【ジェラルド】

「マリスベルちゃんは?」

 

【マリスベル】

「あたしは初日、スズとエイトで迷ったの。でもわたしが村人陣営なら、スズは絶対人狼陣営よ! スズはいつだってわたしの敵だったもの! そう思ったらスズを占う理由なんてなくなったからエイトを占ったわ。結果は人間。エイトはいつだって私の味方をしてくれるってわかってるけど、占いで確実にしておきたかったのよ。理由はそれだけ」

 

【ラーヒー】

「……なるほど。皆さんご感想は?」

 

【ジェラルド】

「ん~。スズちゃんの方はすげえ納得できたけど……」

 

【アヤミ】

「マリスベルの方は正直あたしは微妙。なんで占う前からスズは敵対陣営だってなるのよ。おかしいでしょ」

 

【ジェラルド】

「そうなんだよなぁ」

 

【マリスベル】

「おかしくないわよ! スズはいつだってわたしの敵だったんだから! 味方になったことなんて一度だってなかったのよ、これは運命で決められてるの!」

 

【アザラシ】

「ちゅうても、これゲームやで。たかがゲームに運命背負われてもちと重すぎるわ」

 

【マリスベル】

「うるさい! うるさい! うるさい! バカ共は少し黙ってて! わたしの勘は当たるのよ、現に騙りとしてスズが占い師に出てきてるじゃない!」

 

【美咲】

「確かに敵対陣営にはなっちゃってるんだよね、スズさんとマリスベルちゃん」

 

【毛玉】

「間違ってはないぜ」

 

【エイト】

「確かにな。それにマリスベルの性格的に、そう思っても違和感はないような気もする」

 

【紫季】

「しかしそれを言えば、スズの占い理由も性格的には理解できるだろう」

 

【櫂】

「一般的な感覚で言えば、スズさんの考え方のほうが理解はできるっス。俺は」

 

【マリスベル】

「なんですって! この野猿!」

 

【エイト】

「やめるんだマリスベル。暴言を吐いてはだめだ」

 

【マリスベル】

「う……だ、だって。……わ、わかったわよ! 悪かったわね! これでいいんでしょ」

 

【エイト】

「すまなかったな、櫂……彼女も悪気はないんだ」

 

【櫂】

「あー、全然いいっすよ。マリスベルさんの暴言とか、うちの部隊で普段聞く言葉に比べたら全然たいした事ないんで!」

 

【エイト】

「……そうか? 笑顔でそう返されると、それはそれで戸惑うな……」

 

【櫂】

「可愛いもんっすよ、ほんと。マリスベルさんのは」

 

【アヤミ】

「櫂君も苦労してるのね……」

 

【アザラシ】

「いいから暴言とかそういうんは他所でやってもろて、今はとりあえず投票先を決める事だけ考えていこうや!」

 

【櫂】

「アザラシさんは暴言の当事者の一人なんですから、ちょっと真面目に受け取ってほしかったッスけどね!!!」

 

【ジェラルド】

「おーい、喧嘩はやめろよー! それにこのままだと時間なくなっちゃうぜ。まだみんな、投票先絞れてねぇだろ!?」

 

【ラーヒー】

「その通りです、もし仮に村人同士が言い争いをしているとしたら、それこそ狼たちの思う壺ですから」

 

【ジェラルド】

「だよなー!」

 

【マリスベル】

「で? 結局あんた達はわたしとスズ、どっちを信用するっていうのよ?」

 

【美咲】

「占い師の真贋を付けるのは、初日はまだ早いんじゃないかな。第一印象でこっちが本物っぽいとか偽物っぽいとかはあるかもしれないけど、それが正しいとは限らないし」

 

【毛玉】

「俺ももうちょい様子みたいぜ」

 

【ラーヒー】

「では、占い師以外の方の中から吊り先を選ぶ、という形で皆さんは異論はないですか?」

 

【アヤミ】

「ていうか霊媒師は? こっちも吊りに上げちゃったり、人狼に食われる前に出しておいた方がいいんじゃない?」

 

【紫季】

「悩みどころだな。霊媒師の仕事は明日の朝からだ。初日は普通の村人とわかる事に大差ない。しかもこの村に至っては、初日両占い師ともにエイトを人間置きしてる。スズがマリスベルのどちらかが偽物である事と、エイトが確定で人間であるという事も含め、霊媒師も村人たちと情報の差はないんだ」

 

【ジェラルド】

「霊媒師を出すのはいいけど、占いに騎士が張り付いてるならかわりに食われちまいそうだしなぁ」

 

【アザラシ】

「霊媒出して、こっちもお弁当になってもらえばええやろ。その間は騎士も占いさんも安泰や。霊媒が二人出たら、そっから先に吊りに上げればええしな。知らんけど」

 

【アヤミ】

「まあ確かに。霊媒2人でたらどっちかが確実に偽って訳でしょ? 二日かけて霊媒吊り切れば、とりあえず人狼側一匹は追放できるのよね。その間に占いの結果も色々出てきて、情報も増えてるでしょうし」

 

【アザラシ】

「そういう事や! 霊媒師! 今すぐ出てきぃ!」

 

【毛玉】

「霊媒師は俺~」

 

【ラーヒー】

「毛玉が霊媒ですか。なるほどなるほど】

 

【毛玉】

「でもいきなり人狼に食われるのは嫌だぜ。騎士には俺も護衛対象に入れてほしいんだぜ」

 

【ラーヒー】

「いけませんよ毛玉、騎士の護衛先をずらすような事を言っては。時と場合によれば人狼有利の発言になります」

 

【ジェラルド】

「そっかなあ? 意外と人狼のやつもどこを襲撃するか迷ってくれそうな気もするんだけどなぁ俺」

 

【美咲】

「そういう考え方もできるんだね、色々参考になるなあ」

 

【エイト】

「ほかに我こそは霊媒師だというやつはいないか? いなければ締め切るぞ」

 

【毛玉】

「確定霊媒いえーい」

 

【エイト】

「となると、自称占い師二名と霊媒である毛玉を除いたメンバーから初回の投票先を選ぶ形か」

 

【アヤミ】

「エイトも確定人間なんだから、除いていいと思うけど」

 

【ラーヒー】

「狂人の目はまだありますが、私もひとまずエイトさんは除外していいと思います。どうせそのうち、狼さんたちに食われるでしょうから。食われなかった時にまた考えましょう」

 

【アヤミ】

「それでいいと思うわ」

 

【エイト】

「とりあえず一日目の日が暮れそうだ。確定霊媒師の毛玉、投票の際に気にしてほしい事はあるか?」

 

【毛玉】

「自由に票を入れたらいいよぉ。あ、でも占い師二人は先に投票してほしいー。投票時に明日の占い候補とかも上げてくれたら参考にするよ。頑張ってね」

 

【ネビュラ】

「はい。という訳で議論終了~! 投票に移るよ!」

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