ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→   作:ぱちぱち

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第101話 お前を挑発するためにアキコの悪口をだね

『随分と思い切った手を打ってきたな、カダー社は。それでアキコさんはどうすると言っていたんだ』

 

「お付き合いのある所だし余裕もあるから良いそうだ。もち子さんからもそれとなく頼まれてたっぽいね」

 

『なるほど。彼女らしい』

 

 

 『かすが』はそう言ってくつくつと笑う。俺としては少し気恥ずかしい出来事だった。今度もまた引き抜きかなー綺麗処まで用意しちゃってーと気が抜けた状態で居た所にとんでもない話を投げ込まれ、思わず持ち帰って検討しますという逃げの一手を打ってしまったのだ。

 

 あの場面はもう少し粘って真意を確かめるべきだったなぁ。悔やんでも悔やみきれない。でも隣に座っていた接待要員さんの連絡先は聞けたからそこは良かった。綺麗処の連絡先はね、増えれば嬉しいんだよ男ってのは。

 

 

『まぁ、別に罠って訳でもないだろう。21%という事はカダー社とVVVは関連会社になる。恐らく狙いはそこと資金調達が目的だろう。年度末に決算書を公開したろう、配信で。アレと『あきら』が創ったAIだろうな。VVVは元々規模に見合わない技術力と資金力を持ってると見做されていたが、あの件でそれが想像以上だったと知ったんだろう。繋がりを求めるというのも考えられるさ』

 

「ほへー」

 

『VVVは完全持ち株で上場する気もないんだろう? 業務提携以上に距離を縮めるには手っ取り早い方法だと思ったんじゃないかな』

 

 

 あくまで予想だが、と言って『かすが』はワイングラスに注いだぶどうジュースを口にする。一瓶うん千円のお高いジュースらしい。高いもん飲んでるなぁこいつ。

 

 美味そうにぶどうジュースを飲み干した『かすが』は、グラスを机の上においてギシッと椅子を軋ませる。

 

 

『さて、そちらの状況は把握した。カダー社はうち、雨宮セキュリティーと契約を結びたいという事で間違いないんだな?』

 

「ああ。社内と社外の警備に合わせて情報セキュリティもお願いしたいそうだ」

 

『去年の不祥事はよっぽど堪えたようだな?』

 

「そらそうだろ。5人も上京詐欺にあったんだぞ」

 

 

 VVVの3期生が上京してきた切っ掛け、元カダー社員による上京詐欺事件は、カダー社の評判を大きく貶める結果になった。お陰でデビュー予定だった向こうの5期生組のデビューが数か月遅れたって話もあるほどだ。

 

 この事態を受けてカダー社はこれまでの情報セキュリティーを全面的に見直し、対策を講じてきたのだが一度ついた悪評を拭い去るには至らず。そのためVVVへの株式売却によって関連会社となり、現状様々な要因で日本有数の知名度を誇る雨宮セキュリティーと契約を結ぶ事でイメージの一新を図りたいのだとか。

 

 あの事件の時にカダー社さんは『かすが』の取材を受けているし直接依頼しても問題ないと思うんだが。どうも『かすが』は気難しいイメージがあるみたいで、間に俺を挟んで依頼をしたいと頼み込まれてしまった。まぁ、こいつやってきた事がコトだから怖がられてるんだよな。

 

 ちなみにこの辺りは専務との話ではなく連絡先を聞いた接待要員さんから伺った話だ。なんでも彼女は現状の上層部が拝金主義的な運営方法にシフトしてきていると不満を持っているらしく、上手く使ってくれと色々と内部情報を教えてくれた。良いのかと聞いたら、内部の人間なら誰でも知ってる事だし、もしそれでも駄目なら移籍させてほしいと笑いながら言っていたので、情報は受け取っておいた。

 

 まぁ上手く使うもなにもVVVとカダー社さんは別にトラブルを抱えてるわけでもないし、向こうは向こうで自社の利益のために動いているわけだからね。こっちから何かする理由もないし、この情報は抱えとくだけになりそうだ。

 

 

『この件に関しては了解した。近日中に竹永をカダー社に向かわせて条件のすり合わせを行おう』

 

「お。竹永頑張ってる?」

 

『ああ。どうしてもうちの組織は武張った奴が多くなるからな。あいつは営業が出来て経理にも明るいから使い出があるんだ』

 

「そうか。まぁ元気にやってるならいいや」

 

 

 『かすが』の口から聞き覚えのある名前が出てきたので近況を聞いてみると、元同僚くんは中々に忙しい日々を送っているらしい。最後に会ったのは高級風俗を奢った時だったかな。それ以降はメッセージアプリでやり取りをするくらいだったから直接顔を合わせてはいないんだが元気そうでなによりだ。

 

 

『おーい、かすがー。あ、ちょうどいいや。一也にも話があったんだ』

 

 

 竹永について『かすが』と会話をしていると、部屋のドアを開けて『リリーベル』が顔を覗かせた。こいつは『かすが』と組んで自分の予知能力を使ってなにやら暗躍しており、政治家とかどこぞの企業の幹部なんかに密会を行い、自分の靴にキスをさせたりしている奴だ(風評被害)

 

 雨宮セキュリティーにもよく顔を出しているらしいからこの場に居るのはまぁ分かるんだが、この場に居るという事はつまりあんまり関わりたくない案件の話をするという事である。しまったな、談笑なんぞせずに帰るべきだったか。

 

 しくじったなぁと頭をかいていると、リリーベルは『かすが』の部屋のソファに腰を下ろすと、大きなため息をついて俺を見る。厄介ごとの匂いがする。

 

 

『一也。私、このまま米国に居ると総合格闘技のリングに上がる事になると言ったね?』

 

「言ったな」

 

『アレ、訂正。日本に居ても結果は変わらないというか、こっちだとお前が自分から進んで出るようになるようだ』

 

「どういう経緯でそうなんだよ」

 

『私の口からは詳しくは言えないんだがね』

 

 

 いやーメンゴメンゴと軽く頭を下げてくる『リリーベル』にそう尋ねると、言いにくそうに表情を歪めて。

 

 

『アメリカの格闘選手が、お前を挑発するためにアキコの悪口をだね』

 

「そいつ殺ちゅ」

 

『ああ、やっぱり』

 

 

 試合に出る不利益とか、目立ちたくないだとかそういう理性を蒸発させる言葉を耳にしてしまった。この胃袋の奥の奥からムカムカとする気分はその愚か者の血と反吐でしか癒す事は出来ないだろう。い、いや落ち着こう。冷静に、頭はクールに心はホットだ。ところでそいつなんて言いやがったんだ? クマを手懐けた風俗嬢?

 

 絶対殺ちゅ。

 




山里一也(男)26歳


視聴履歴
『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女 赤神さやか』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人 坂東メンチ』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー マネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者 九十九あきら』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『未来を知る者 リリーベル・リ・ラスティーネ』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)
『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『もう一人の俺 セシル・ファラウェイ』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生 雨宮かすが』(料金:組織)
『魂羽織』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『至高の人形師 人形残夢』(料金:人形作成・開発費)
『拳創成期』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『無双女帝 日華』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)
『テレポーター三沢ひばりは平穏に過ごしたい』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『ハードラックテレポーター 三沢ひばり』を獲得しました(料金:休日)


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