ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→ 作:ぱちぱち
新会社設立の件は結構な速さで業界内を駆け巡った。なんならカダー社さんやアニカラさん以外の会社からも参加できないかという問い合わせが来ているほどだ。
事務所とトラブってるVタレってそんなに多いのかと少し驚いたが、大手ではなく中小のVタレ事務所からの場合はむしろ最新技術を実地で体験する場として新会社に一時移籍したいって人が多いらしい。まぁ中小のVタレ事務所だと立体投射機を用意する事が出来ないしね。去年行ったVVVエキスポでは結構個人勢とか中小のVタレさんも参加してたんだが、あの時に使った立体投射機の楽しさを忘れられないという人が多いんだとか。
まぁ立体投射機を使うと本当にVモデルと一体化したって気持ちになれるから楽しいという感想は良く分かる。『あきら』が徐々にバージョンアップしていった結果、この立体投射機を使って映画を撮ろうなんて話も持ち上がってるくらいにクオリティも上がっているのだ。
そういえば今年の夏もVVVのエキスポをやらないといけないな。って事は新会社のお披露目もそこでやるのが話題性としては良いか。
「つまりこれVVVって事じゃないです?」
「VVVだよねぇ」
新会社設立が本決まりになった辺りで移籍組としてホログライブさんからは竜ヶ坂りんりんさんと根暗まんしぃさんという二人のVタレさんが移籍することになった。竜ヶ坂と書いてドラゴンざかと読むらしい。凄いなVタレのネーミング。ちなみにこの人が接待要員さんである。もう一人の方は今まであった事が無い人だが、Vモデルの可愛らしい印象とは違って綺麗な人だという印象の美人さんだ。根暗さんの方が先輩らしい。
「まぁ、契約上は所属するって形になるけど基本は各自の独自裁量で動いてもらう事になると思う。やりたい事を応援するがスタンスの会社なんで」
「おっけーおっけー! いやぁ、これだよ配信者。毎日朝4時に起きて通勤して会社と打ち合わせして案件配信とって夜に雑談して深夜に眠るとかくそブラック労働とはおさらばだ! 今日から毎日10時まで寝て昼めし食って配信して夜更かしして寝てやるぜぇ!」
「三日で飽きるよそんなの。私はあれでも良かったんだけどねぇ……VVVは自由恋愛って本当です?」
「あ、それ私も聞きたい! 所属Vタレに恋愛禁止とかないってほんと? 雛まつりちゃんとかどう見てもアイドル推し多いっしょ?」
「うち、社長がアキコさんですよ? 元風俗嬢を公言して配信中に彼ピと赤裸々生活を口にする」
「「あぁ……」」
他の事務所だったらどう考えても炎上するような発言をバンバン繰り返して「それがうちの会社だから」で済ませる傑物が頭なんだ。自由恋愛くらいでどうこう言う事はないし、新会社のルールはVVVに合わせて作られるので当然そっちも変な縛りは存在しないしさせないつもりだ。
そしてこの根暗さんというVタレさんはこの部分が非常に大きかったらしい。なんでもこの人、ガチ恋を量産するタイプの配信スタイルなのにちょっと前に結婚しちゃったらしくそれが事務所にバレてしまったのだという。配信上では「根暗な私を好きって言ってくれるのはぞんび(根暗ファン)の皆だけだよぅ」っていかにも弱気な女の子って感じで自分に恋心を向けさせ、裏ではしっかりと男を捕まえていたと。しかもこのスタイルでこの方、ホログライブで最高額のお布施チャットを稼いだのだとか。うん、結構なお点前だ。
ホログライブさんとしては特大の爆弾なのでなんとかしたいが実生活の方まで縛る事は流石に難しいし根暗さんが自棄を起こしたらもっと目も当てられない大惨事になりかねない。そんな持て余し気味だった時に新会社設立の話が出てきたんだからちょうどいいとばかりに彼女も移籍組になったと。
「でもプランニングどうするんです? これまでのスタイルだとその内刺されるのでは」
「刺されるってそんな、その、ええと。刺される……かな? ほらリアルの私と根暗まんしぃは別だし」
「うちの社長、本名でVタレやってる理由なんですがね。例えガワを被っていても自分が言った言葉の責任は自分が取らなきゃいけないから、だったら名前まで偽るのは嫌! だったんです。キャラクターのガワを被って夢を見せてるって思っていても相手はそう捉えてない、そういう前提で対策した方が良いですよ。もちろん、新会社に移籍してきた以上貴女はうちの社員です。全力で守りますがそのためには貴女が自分を全力で守ろうとしてください」
「は……はい……」
「やば……新社長頼りがいあるぅ」
「ドラゴンざかさん茶化さない」
ホログライブさんからは一先ず二人、それにはちじくじさんからは4名のVタレさんが新会社に移籍してきた。こういった話し合いを各自と取り合い、この事務所の活動方針について認識をすり合わせをしていき、トラブルの芽を摘んでいく。
またVVVのシステムをそのまま導入すると彼ら彼女らを会社で雇用する形になるが、新会社の場合はあくまでも強く希望する場合を除いて個人事業主として契約する形を取るつもりだ。そもそも仕事を持っている人も多いし、腰かけのつもりでこの会社に来てる人も多いだろうしね。
その点を踏まえて説明を行い、基本的に最優先は自分の生活だと告げる。表向きは兎も角としてこの会社が設立した一番の理由は元の事務所と距離を置いて大きな問題が起きないようにする、だからな。いつか弾けると思っていた爆弾を移籍して鎮火させる、それだけの為にカダー社さんやアニカラさんは会社設立の資金を出しているのだ。
まぁ、VVVにとってはまたちょっと違う理由があるんだが。アキコさんの鶴の一声があったとはいえそれだけの為に数億単位のお金は動かせないのだ。そう、この新会社にVVVはカダー社さんとアニカラさんの倍近い資金を注入している。というか事務所はVVVの事務所が入っているマンションの使っていない部屋だし機材なんかも全てVVVが用意した物を使っているのだ。
なぜこんなにお金を使っているのか。それはもう、税金対策である。子会社に出資してそちら側でVVVの業務を一部負担する事により大きな減税を見込めるのだ。
それに『勇作』からむしろこうした方がお前の仕事は減ると思うって言われたんだよな。役職が増えて仕事が減るってどういう事かと思うが、まぁそこはその時のお楽しみって奴だろう。
「VVVって、やっぱ卑怯だわ」
「いきなり親会社を罵倒するのは良くないのでは???」
「いやぁ……これは言いたくなるって。別世界じゃん、もう」
はちじくじさんから移籍した群青らいむさんが新しく働くことになる新会社の事務所を見てそう口にする。別世界か、言い得て妙かもしれない。なにせ普通のマンションという外観からドアを潜り抜けた先にあるのは近未来のオフィスルームとでも言うべき部屋なんだから。
室内に入った瞬間から作動する立体投射機に、顔認証で近づくとロックが解除される室内のドア。室内に入ると空間にいきなりポップアップウインドウが出てきて今日の予定と在室している人を教えてくれるし、ちょっとした編集作業程度ならこのウインドウに口頭で指示するだけでも出来てしまう。なにせこの部屋の管理はヴァーイが行ってくれているのだ。なんなら「飲み物が欲しい」と口にするだけで小型の猫型配膳ロボットが機敏な動きでジュースをお盆に載せてやってくるのだ。
「しゃちょ。私、ここ、住みたい」
「ダメです」
人を駄目にするほど心地よく座れるソファにダイブした群青らいむさんがそう口にするが、もちろん迷惑なので夕方には帰ってもらう。あと、この部屋の中は本家VVVのやり方に則り24時間配信するから変な行動はしない方が良いぞ。麻雀とか。
山里一也(男)26歳
視聴履歴
『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女 赤神さやか』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人 坂東メンチ』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー マネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者 九十九あきら』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『未来を知る者 リリーベル・リ・ラスティーネ』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)
『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『もう一人の俺 セシル・ファラウェイ』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生 雨宮かすが』(料金:組織)
『魂羽織』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『至高の人形師 人形残夢』(料金:人形作成・開発費)
『拳創成期』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『無双女帝 日華』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)
『テレポーター三沢ひばりは平穏に過ごしたい』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『ハードラックテレポーター 三沢ひばり』を獲得しました(料金:休日)
『プロレスラーに明日はない!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『炎の経営者 純情仮面(本名:間藤勇作)』(料金:良き闘い)
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