ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→   作:ぱちぱち

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第117話 アナウンサーってどうです?

 テレビの向こうで見た事のある男性は、なんというか。テレビ越しだと分からない雰囲気とかってあるんだな、というイメージの人物だった。

 

「おお、君がリリー先生が手配してくれた専門家とやらかね!」

 

『山……海里です。これからしばらくの間、先生の護衛を行います』

 

『坂東メンチ。俺かかず、二郎が所謂オカルトの方の対処は行う。二郎は普通の護衛もやるから基本は二郎が傍につくんで、よろしく願います』

 

 

 立体投射機で姿を変えた俺の今の名前は海里二郎。実年齢+10歳くらいの冴えない風貌のおっさんだ。護衛というよりも秘書に近い肩書で傍にいる事になるため、目立たない容姿をチョイスしている。

 

 今回の護衛対象、遠藤という人物は元はとあるテレビ局で働いていた人物で30代の頃に会社の不祥事に巻き込まれて退職。その件をバネに政界を志し、昨年の大粛清を機に時流に乗って国会議員になった人物だ。テレビで見ていた彼はいかにもメディア上がりのバリキャリって感じの雰囲気だったんだが、実際に会ってみた遠藤という男は扇を持って「よっしゃしょっしゃ!」とか今にも言いそうな感じで、思っていたよりも100倍くらい接しやすそうな人柄だった。

 

 この男が居なくなると『かすが』が思い描くマスコミ対策がかなり遅れるらしい。最低でも生かして欲しいと言われている重要人物だとか。まぁ、『かすが』がどういう絵図面を描いているかは知らんがマスコミを規制する法案とかが出来るなら歓迎だ。あいつら人を玩具かなんかと思って好き放題書きやがるからな。

 

 

「おお、君もマスコミに酷い目にあった口かね! いやぁ奇遇だなぁ。私もね、会社に切り捨てられた時に身に覚えのない横領の責任を取らされてね。連日連夜好き勝手書かれて女房も実家に帰ってさぁ。5年も裁判で争ってようやく無実を証明した時は気持ちよかった!」

 

「うわぁ……っと失礼。それは、お疲れさまでした」

 

「うん。まぁ、あれで頭が冷えてね。マスメディアに対して冷静な目で見て、おかしいと気づけた。いい経験になったと今なら思うよ」

 

 

 妻も戻ってきたしね! とにこやかに笑う遠藤さんは、現在余りにも悪影響が大きい既存のマスメディアに関する法案を改正し、報道の自由を保持したままそれに基づく責任を無視している現状を変えようとしているそうだ。マスメディアが声高に謡う報道の自由にはそれに付属して非常に重い社会的責任が伴うものなのだ。

 

 

「事実を曲げず正確に伝え、個人の名誉やプライバシーを不当に侵害せず、報道に対する批判や誤りに対して誠実に対応し、個人の利益や偏った意図に左右されない。本来報道の自由とはこの4原則を踏まえた上で行われるものだ。だが、現状それらは全てマスメディア各社の都合が良いように解釈されて運用されている。連日連夜報じられたニュースが誤報だったとして、それが訂正される時はどうなると思う? どこぞの時間のニュースで一言謝って終わりならまだいいが完全無視だってごまんとあるんだ。それじゃあ駄目なんだよ。それじゃあもう通用しない。メディアを見ている民衆だってバカじゃない。マスメディアが明日の未来に残るためにもこの改革は実現しないといかんのだ」

 

 

 実際に熱を伴うかのような遠藤さんの熱意に、無言で頷きを返す。ああ、駄目だ。俺、こういう情熱をもって前に進む人駄目なんだよな、好きになっちゃう。出会ってまだ1時間にも満たないのに、ついつい引き込まれてしまいそうになる。これ、米国大統領と対面した時に感じたアレと同種だ。流石に大統領ほどの吸引力は持ってないが……やっぱり国会議員になるほどの人間には、こういう、吸引力めいた魅力があるものなんだろう。

 

 そういえばとんでもなく不人気な国会議員でも実際に会って話をしたら驚くほど面白い人物だったって話を聞いた事がある。日本国1億人の中から選挙という手段で議員になった人物は、それだけの理由があるってことなんだろう。

 

 逆にテレビでは蝶よ花よと持て囃された国会議員が実際に会ってみると予想の100倍クソみたいな奴だったって話もあるけどな。やっぱりマスメディアってクソなのでは?

 

 

 

 

 

 さて、遠藤先生の警護に参加する事になったとはいえ俺自身には会社の仕事もある。今回は山里ならぬ海里役として『セシル』に来てもらったが、これ以降は会社の方で俺の代役を務めてもらう事になる。一身上の都合により『メンチ』の魂羽織は作らないと決めてるからな。遠藤先生の警護には俺が常に付くつもりだ。

 

 

『いや、いい加減俺にも身体くれよ。セシルや勇作と飲みてぇんだって』

 

――一身上の都合によりその願いは俺の力を超えているから無理

 

 

 頭の中でゲラゲラ男どもが笑っているが、これだけは絶対に譲る気はない。だってお前考えて見ろよ。メンチに魂羽織を渡すって事は起きてすぐに寝ぼけ眼のアキコさんと『メンチ』が部屋から出てくるのを目撃するかもしれないって事なんだぞ?

 

 壊れるだろ、俺の脳が。

 

 いや、でもアキコさんは『メンチ』の横で笑っててほしい! それは間違いない! でも明らかに事後を見るのは耐えられない! なんだ、この胸の高まりは。もしかしてこれが恋……!?

 

 

『いや……癖だろ』

 

『癖だな』

 

『日本人怖ぇ……』

 

 

 脳内に巣食う男どもからの三者三葉の言葉に深く尊厳を傷つけられた気がする。まぁ、流石に今のやり取りは冗談なんだが、アキコさんはな……うん。あれだ、兄貴が家に連れてきた彼女って感じで、その彼女さんに迂闊にも初恋しちゃったのが俺なわけだ。多分、そんな感じなんだろう。頭ではアレは俺の女じゃないって分かってても心がつい目で追ってしまう感じか。

 

 彼女、探そう。これは良くないわ。

 

 

「遠藤先生……アナウンサーってどうです?」

 

「お、おお。どうした急に」

 

「いえ、眠気覚ましの雑談にでもと」

 

「凄いチョイスだなぁ……やっぱりそういう仕事だと出会いがないのかい?」

 

「仕事の相手以上は作りにくいんですよねぇ」

 

 

 警護中、ふとした空き時間に遠藤さんにそう尋ねると、遠藤さんはギョッとしたような顔をした後にちょっと相談に乗ってくれた。この会話の後、ちょっと遠藤さんとは距離が縮まった気がするからやはり男はシモの話しで仲良くなるのが鉄板なんだろうなぁ。




山里一也(男)26歳


視聴履歴
『ドキドキ! 魔女っ子大戦争』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『不死鳥の魔女 赤神さやか』(運営に怒られたので値上げしました。料金10円)
『煉獄列島』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『閻魔の地上代行人 坂東メンチ』(料金1000円)
『電脳歌姫ろっくんろー!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『鬼畜クマネージャー マネージャー』(料金30000円)
『九十九あきらは終末世界を諦めない』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『天災科学者 九十九あきら』(料金:ひなちゃん家のご飯)
『安楽椅子の占い師』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『未来を知る者 リリーベル・リ・ラスティーネ』(料金:1億円or生徒とのランチ権1回分)
『ドッペルゲンガー』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『もう一人の俺 セシル・ファラウェイ』(料金:週休2日三食昼寝付き週6万)
『世界最強の傭兵隊長だった俺が女子高生になった件について』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『生真面目系殺伐女子高生 雨宮かすが』(料金:組織)
『魂羽織』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『至高の人形師 人形残夢』(料金:人形作成・開発費)
『拳創成期』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『無双女帝 日華』(料金:気持ちよく昼寝できる環境)
『テレポーター三沢ひばりは平穏に過ごしたい』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『ハードラックテレポーター 三沢ひばり』を獲得しました(料金:休日)
『プロレスラーに明日はない!』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権『炎の経営者 純情仮面(本名:間藤勇作)』(料金:良き闘い)
『ライアードクター』(レンタル終了)
プレミアムレンタル権は獲得していません



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