ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→ 作:ぱちぱち
予想だにしなかった工事の進展により、今年の年末年始は拠点の生活環境を整えるところまで進める事が出来た。急いで作ろうと思っていなかったが工事が進んだ事は喜ばしいことだ。今住んでいるVVVのマンションからだとまともなルートで半日はかかる廃村だが『ひばり』のテレポートがあればこの拠点も有効活用できる。
『残夢』の人形工房はこちらに引っ越し。あとは現在建築ロボットたちが頑張って作ってくれている大型の建物が完成したらそこに『あきら』のロボット研究所を入れる予定だ。
建物の建設で大活躍中の建築ロボットだが、しばらくは公表しないことに決まった。現状のこいつは『あきら』の技術力前提で作られているもので量産とかはちょっと難しいのと、既存の建設会社で働かせるにはちょっと劇薬じゃないか、と『勇作』が懸念を示したからだ。
『こいつが役に立つのは間違いないが、いきなり大量生産とかしたら今現在工事現場で働いてる人間の仕事を一気に奪いかねんだろ。あきら謹製の一品物って感じで暫く働かせてデータを取って、丁度いいくらいの性能に抑えた廉価版を作った方が良いんじゃないか?』
『えー! せっかく作ったのに!』
『いや、勇作の言葉は正しい。それにいきなり自立型ロボットを作ってしまったらお役所もうるさくなるだろうからな。一台か二台で実験的に使ってみて実績を積むのは良い考えだ』
『うー……そだね。データを集めるって考えよっか!』
『あきら』としては『勇作』の提案はお気に召さなかったようだが、最終的に『かすが』の言葉に頷いたため完成した3台の建築ロボットのうち一台を『メンチ』の飲み友達である立山さんの会社で試してみてもらおうと纏まった。もちろん事前に政府に新しい建設機械として届け出を出す必要があるが、そこは『かすが』が請け負ったため何かしらの伝手があるんだろう。あとは立山さんの会社がOKを出さない可能性もあるが、まぁそこら辺は政府への届け出が終わった後の売り込み方次第になるだろうし今気にしても仕方ないだろう。
まぁ、少なくとも廃村を瞬く間にいっぱしの村落くらいまで再開発した性能を考えれば難色を示す事はないと思うんだが、建設に関しては専門外だから、プロの視線からどう映るか判断が出来ないんだよなぁ。
そんな形で年越しを迎えた俺たちは廃村の寂れた神社を清掃してお参りし、そこに居た土地神様に挨拶したりお礼を言われたりしながら初詣も済ませて三が日を遊んで過ごし、東京へ帰ってきた。遊んで過ごすってなんだよと言われそうだが本当に遊んで過ごしたんだよ。羽根つきとかかるたとか。
こういうローテクな遊びとかは意外と皆好きだったりするんだ。特に『あきら』とかは身体能力の差で毎回ドベになっていたが随分と楽しんでいた。ブービーは『めぐみ』だが、『かすが』や『セシル』とはほとんど差が無かったから来年はどうなるか分からない。それより上は本気で打つと羽子板が砕けたり羽根が途中で燃え尽きるから特殊ルールを用いて、羽子板が砕けたら負け、とか打った羽根が燃え尽きたら負け、とかいう縛りプレイ込みのルールで対戦する魔境になっていたが、最終的に『日華』が優勝者になった。技術力というか体の操作が巧いのが決め手だったな。
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「明けましておめでとう。今年もよろしくねー!」
さて、東京に戻って来たらまず真っ先にやるべきことはアキコさんへの挨拶である。社長だしね! 上司だしね!
事務所に顔出しした後、つけっぱなしにしている事務所の公式チャンネル配信に明けましておめでとうの文字を入れ込み、新年からわざわざ誰も居ないチャンネルを眺めていた暇人げふんげふん。熱心なVVVファンに挨拶をしていると、ひなちゃんと蝶子ちゃんがご家族を連れて挨拶にやってきたため応対中はマイクをオフにしておく。事務所の立体投射機だとご家族は黒子装束になるため、新年早々アキコさんと黒子装束の人たちが無言で頭を下げ合うという傍から見たら何をしているか意味が分からない絵面が1時間くらい続く事になる。なんでこれで同接増えてるんだろう。
「山里先輩、明けましておめでとうございまーす」
「今年もよろしくお願いします」
ひなちゃんと蝶子ちゃんご家族が着た後、入れ替わる様に猪上くんと鹿谷くんが事務所にやってくる。出勤日でもないのに律儀だなぁと思っていると、二人は事務所の端でルルブを片手になにかゲームを始めた。
「いや遊びに来たんかーい」
「ふひひ、サーセン! って言えば良いんですっけ?」
「分からん。なにそれ」
「古のネット用語らしいですよ」
話を聞いてみると、二人ともこの年末年始は実家に戻っていたそうなんだがあまりにも暇で暇でたまらなかったらしい。まぁ、普段は仕事してるか遊んでるか遊びながら仕事してるかだからな。完全OFFが1週間以上続くと持て余してしまうって事なんだろう。
それでちょっと予定を変えて早めに東京に戻り二人で暇をつぶしていたそうなんだが、まぁ二人だけで出来る事となるとやっぱり少ない。
「という訳でシカやんが持ってたルルブ借りて二人でTRPGしてたんですよてーぶるとーくあーるぴーじー。シールドワールドってやつです」
「初代の方です」
「いや御免、知らん」
やたらとデカいルールブックを見せびらかす鹿谷くんに率直にそう言うと、鹿谷くんは非常に残念そうな顔を浮かべた。ごめん、今までの人生でTRPGをやろうって知り合いが居なくてさ。
ただ、この場には面白そうな遊びに反応する人が結構いる。
「あら。それってあれよね人狼とかってやつ?」
「主旨的に近いものはありますが違います」
『ゲームでしょ? なら私に任せなさい! ゲームは大得意なんだから!』
俺たちの会話を耳ざとく聞きつけたアキコさんと『さやか』がそう口にすると、それなら私もと『リリーベル』が会話に加わってきて急遽VVVTRPG大会が開催されることに。大まかなルールとどういうゲームかを説明すると『さやか』が露骨に嫌そうな顔をしたが、まぁ参加するって言った以上は吐いたツバは飲ませんからな?(鬼畜クマ成分)
サイコロを振ってキャラクターの能力値決めをしたり、能力値にあったキャラ設定を考えたりしている内に時間はどんどん過ぎていき、結局半日近くTRPG大会をする事になったのだがまぁ楽しかったし公式チャンネルの同接数もかなり良かったから良し! 景気の良いスタートも切れたし今年も頑張っていこう。
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