ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→   作:ぱちぱち

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第159話 自宅がもぬけの殻になっててぇ!

 闇のカルト組織の会合に無理やり参加させられた俺は『かすが』に対する復讐を決行した。

 

 

「大きくなーれ」

 

『なるわけないだろうが! おいバカ! じょうろで水をかけるんじゃない! ぺっぺ! 砂が口に入った! やめろぉぉ!!』

 

 

 故郷(詐称)の肥沃な土に頭がギリ出る位に埋められた『かすが』が悲鳴を上げるが、勿論この場にこいつを助ける奴はいない。当初は鯨の餌として足を縄で縛ってクルージングする予定だったんだが『めぐみ』が止めてきたからしょうがなく頭だけ残して生き埋めに変更だ。半日くらいしたら哀れに思った残夢辺りが助けてくれるんじゃないかな。

 

 普段はストッパーになる『メンチ』も『かすが』が立ち上げた組織がカルトっぽくて微妙にこっちの世界で初めて遭遇した事件を思い出したらしくて『かすが』に厳しめの態度を取ってるしね。

 

 まぁこいつは原作の相棒に台風が迫る海岸沿いの砂浜に同じ状態で埋められても生き残ったバイタリティーのある女だ。この状態で頭にはちみつ垂らしても多分なんだかんだ生き残るだろう。

 

 しかしカルト教団かぁ。アレは酷い事件だったな……まぁやらかしたカルトはやらかした事件の後にどんどん過激化していってオカルト犯罪組織の道を進んでたから、『メンチ』と『かすが』のタッグで物理的に消滅させたけどね。あれこそ映画化するべき騒動だった気がする。

 

 

『だから“鈴の音”はカルトじゃない! 互助組織だ! 国家運営を円滑にするための潤滑剤として作ったんだよ! 実際に加入者も有力者ばかりで犯罪もおかしてないから!!』

 

「お、そうだな」

 

 

 でも“鈴の音”の会合で受けたあの感じはどう考えてもカルト宗教のノリだったけどな。弟子枠で呼ばれた俺ですら信仰対象みたいな扱いを受けたし、一時期は護衛対象だった遠藤さんからもキラキラしたお目目で敬われたし非常に居心地が悪いイベントだった。うん、こいつは暫く埋めといて反省を促そうか。あとは『リリーベル』なんだが……あいつは下手な事すると魂羽織がぶっ壊れるかもしれないから1か月くらい蝶子ちゃんに接近禁止命令出しとくか。それが一番効くだろう、あいつには。

 

 

 

 

 

 

 さて、復讐を終えた後は東京に戻って仕事仕事の毎日だ。いやー、日常に戻ってきたっていうか? 大変爽快な気分だぜぇ。復讐ってのは自分の心を整理するための行動だから、やり遂げた後は肩の荷が下りたみたいなさわやかな気分になるんだよね。

 

 復讐の連鎖はダメだって言う奴が居るけど、ああいうのは大体自分がやった事の責任を取りたくないから「復讐なんて諦めろ! 諦めてみじめに暮らせ!」って言ってる似非善人だと思うんだよね。だから俺に復讐してくる分には受けて立つし、少なくとも俺をブラック労働で扱き使った元会社の社長が「弟の仇!」とか言ってナイフもって凸ってきたら満面の笑顔でぼこぼこにするつもりだ。復讐の連鎖を断つってのはこういう事だろ。

 

 まぁそれで関係ない奴に凸っていくようなのも居るからVVV関係の社員とかには『あきら』謹製の崩壊世界でも役に立つ防犯グッズとかGPS付社員証なんかを配っている。この防犯グッズは人間以上の力を持つ獣人とかミュータントにも効く優れものだ。

 

 

「これ、人間に使っていい奴です……よね?」

 

「うん。俺で試したけど2、3時間は動けないけどそれ以降は後遺症なく動けたよ」

 

「社長に……すげぇ、流石九十九博士謹製」

 

「あの、社長。私もこれ欲しいです」

 

「わ、私も……」

 

 

 俺に効いた部分か、それともちゃんと後遺症なく2、3時間相手を拘束する効能の部分か。心底から絞り出すような梟くんの言葉はどういう意味合いを持っているのか少し気になるが、製品を信頼してくれる分にはままええか。Vタレも人気商売だし、いつファンを語る〇チガイに刺されそうになるか分からんからな。VVVとVS両社のVタレには必ずこれを携行するように義務付けておいた。

 

 特にアイドル売りのホログライブ出身の二人は真面目な顔で「古巣にもこれ、勧めて良いです?」と聞いてきたので了承すると、次の日にはカダー社さんが正式に『九十九あきら謹製防犯グッズ』を発注してきて、そこから少し遅れてはちじくじさんの方からも注文が来たため、やっぱガチ恋勢の対策ってのはどこも気を使ってるらしい。

 

 うちの場合、こまめに社長自らユニコーンとかガチ恋勢を駆逐してるからそういった面では他の箱よりも若干気が楽ではあるんだが、VVVの場合は社員が持ってる情報を欲しがる連中が多々いるから防犯に手を抜くなんて選択肢はない。社員証のGPSだって拉致される可能性を考えての物だしね。

 

 まぁそのためにVVVは雨宮セキュリティーと専属契約してるんだけどね。実家に住んでるひなちゃんや蝶子ちゃん、猪上くん以外は会社で補助金を出してセキュリティのしっかりしたマンションか事務所が入っているマンションに居住させてるし、実家暮らしの3名も雨宮セキュリティー警備のシステムを入れて貰って警備しているため、今の所社員が危険な目に合った事は『かすが』を呼んだ理由のあのストーカー事件以降はない。

 

 こう考えると『かすが』はもう居ないといけない重要な人物なんだがなぁ。たまに趣味をこじらせすぎてとんでもないことを仕出かすからイマイチ信用しきれないんだよ、あいつ。

 

 まぁ、長々と書いたがつまりはVVVもVSも外部からの脅威には十分に対策を打っており、なにか問題が起きてもすぐに対処できるようになっているというわけだ。

 

 この状態で問題が起きて、それが俺たちの手を煩わせるほどの大事になる事は普通はない。普通はないんだが、これでも会社を経営していく上でどうしたって起きてくる問題は存在する。

 

 そしてそういうものは大体、外部からの脅威ではなく身内から発生するものだったりするわけだ。

 

 こんな風に。

 

 

「社長ぉ、たすけてくださぁい! 旦那に三行半突きつけられちゃってぇ! 自宅がもぬけの殻になっててぇ!」

 

「俺にどうしろと???」

 

 

 こんな泣き言を言っているのはホログライブから出向してきているガチ恋勢製造機こと根暗まんしぃさん。視聴者にバレないように密かに結婚していた中身とガワは別だと言い訳がましい言葉を言っている根暗まんしぃさんである。

 

 こんな事言っている奴だからその内やらかすと思ったためVSに所属後はガチ恋営業は止めろと業務命令を下し、半年ほどかけて配信スタイルを改造していたのだが年度末になるこのクソ忙しい時期にこいつはまた爆弾を放り込んできた。いや、それはガチで夫婦の間の話しじゃないか。俺関わったらダメな奴だよな、絶対に。

 

 ただ、マイクを切ってるとはいえ事務所でいつまでも泣かせるわけにはいかない。コンプラとかそういうのもあるし、俺が泣かせたって他の社員にイジられてしまうからな。その為一旦外に連れ出し、念のために先輩後輩の間柄で交流がある竜カ坂さんを伴って配信機材が無い空き部屋で話を聞くことにしたのだが。

 

 

「立体投射機での配信と仕事場が面白すぎて年明けから自宅に帰ってなかった? よし、旦那さんに謝りに行こう」

 

「そんなぁ!」

 

「先輩……あんた……」

 

 

 思わず大学生のガキか? と言いそうになって言わなかった自分の自制心を褒めたい。その内容は余りにも下らない事だったのだが、どうひいき目に見ても遊ばせすぎたVSが悪いよなぁという案件だったためこれは管理不行き届きだよなぁ。いや、確かに毎日朝から居るなぁって思ってたんだけどさ。寝袋とかあったし。でも年明けからって良い大人が2か月も家に帰ってないとは思わないじゃん普通。

 

 ひとまず菓子折りを持って詫びに行くべきだろうと判断し、旦那さんも配信者として事務所を構えている人の為、先方にVSとして連絡を取り即日謝罪に行く事が決定。犯罪者からは守れるけど身内のやらかしはなぁ。流石にこれは想定してなかったわ。




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